乗客の中にパイロットがいた(EJ第1501号)
UA93便の乗客は、自分たちの置かれている絶望的な状況において、飛行機を操縦
する主導権をテロリストたちから奪回するために立ち上がります。
この決意は、電話で家族や地上に伝えられていますが、最も重要なことには誰も電話
でふれていないのです。最も重要なこととは、テロリストから操縦かんを奪回したとし
ても、誰が飛行機を操縦するかということです。
実は、UA93便の乗客の中にはパイロットの資格を持っている者が1人、航空管制
官の訓練を受けた者が1人搭乗していたのです。それは、93便のエコノミークラスに
いた次の2人の人物です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
パイロット/ドナルド・F・グリーン氏
航空管制官/アンドリュー・ガルシア氏
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
しかし、ドナルド・F・グリーン氏が持っていたのは単発4人乗り水陸両用機の免許
です。グリーン氏の妻の話によると、彼は双発ターボプロップ機キングエアの副操縦士
の資格も持っていたというのです。確かにこの資格では、猛スピードで急降下し、異常
な飛行を続けるジャンボ旅客機を安定させることは至難のわざであるといえます。
アンドリュー・ガルシア氏はかつてカルフォルニア州空軍に属していたことがあり、
航空管制官の訓練を受けていたのです。したがって、グリーン氏をガルシア氏がサポー
トすれば、管制塔の指導と誘導でUA93便を無事に着陸させることは必ずしも不可能
ではないと思えるのです。
しかし、乗客・乗員の地上への電話では誰ひとりとしてグリーン氏の存在を指摘して
いないのです。これはいささか不思議な話であると思います。
テロリストがコックピットに侵入し、しばらくしてからジャラがお客に「みなさん、
こちらは機長です。・・・」と呼びかけてきたのですが、それ以来、機長も副操縦士も
一言も発していないのですから、乗客・乗員としては機長や副操縦士は殺害されたと考
えるしかないはずです。その場合、テロリストから操縦かんを奪回したあと誰が操縦す
るか考えておく必要があります。
誰が操縦するのか――この話は乗客の間から必ず出たと思うのです。そういう話が出
れば、グリーン氏はきっと名乗り出たと思うのです。「小型機ですけど、パイロットの
免許は持っていますが・・・」と。
ドナルド・F・グリーン氏の妻であるクローデッド・グリーン氏は次のようにいって
います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
乗客の中にパイロットがいることを誰も口にしなかったのが
不思議でなりません。電話の向こうの奥さんに大丈夫だと言っ
て安心させたいのなら、「乗客の中に飛行機を操縦できる人が
いる」と言うはずじゃありませんか。なのに、誰もそんなこと
は言っていません。ドナルドは積極的な人でしたから、操縦の
経験があると、はっきり名乗り出たはずです。
――クローデッド・グリーン
――ジェレ・ロングマン著/『墜落まで34分』より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
乗客からの電話の中で、トッド・ビーマー氏からの電話は一番適切に機内の様子を伝
えていると思われるので、ご紹介することにします。
その電話は、9時45分にあったのです。UA93便の墜落は10時6分ですから、
墜落の21分前です。電話はシカゴのオヘア空港まで15分の距離にあるイリノイ州オ
ークブルック地上局につながったのです。彼は機内電話でかけてきたのです。
最初は女性のオペレータが電話を受けたのですが、電話の内容が衝撃的なので、彼女
は電話を顧客サービスの責任者リーサー・D・ジェファーソン氏にまわしたのです。
「わかりました。その飛行機がハイジャックされているのですね。何が起きているの
か詳しく話していただけますか?それから電話を切らないようにしておいてください」
とジェファーソン氏はトッド・ビーマー氏に話しかけたのです。以下は、ビーマー氏の
話したことの要約です。( )内は私のコメントです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
彼は小声だが、落ち着いた口調で説明した。3人組にハイジ
ャックされた。(やはりテロリストは3人)ナイフを持った2
人がコックピットに押し入ってドアをロックした。3人目はフ
ァーストクラスにいて、爆弾らしきものを赤いベルトで腰に巻
きつけている。(爆弾ではない偽装)男はみんなに席に着くよ
う命令して、それからファーストクラスとエコノミークラスの
仕切り のカーテンを引いた。
ファーストクラスで2人が床に倒れている。まだ、息がある
かどうかわからない。ジェファーソンの耳に、倒れているのは
機長と副操縦士だとトッドの隣に座っている客室乗務員が話し
ているのが聞こえた。―― 一部略 ――
「飛行機が降下している。どんどん下がっている。いや待て
よ。持ち直した。いま旋回している。北に向かっている。いや
どこに向かって飛んでいるのかわからなくなった。
―― 一部略 ―― 乗客の中の数人が爆弾を巻きつけている
ハイジャック犯に「飛びかかって」飛行機を奪回するつもりだ
と彼は話した。
――ジェレ・ロングマン著/『墜落まで34分』より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
その頃、 チェイニー副大統領はブッシュ大統領に対し、以後ワシントンに接近する
ジェット旅客機で、敵意があると見なされるものはすべて撃墜することの許可を得てい
たのです。そしてUA93便はペンシルバニア州に入ってきたのです。
・・・ [9.11/027]