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● 2007年02月 記事 ●

2007年02月01日

天体Mはなぜ『灼熱の氷惑星』なのか(EJ第1021号)

 太陽系が形成されたとき、核に固い物質を持つ惑星は太陽の重力によって太陽の近く
に集まり、岩石の地殻を持つ地球型惑星が誕生したのです。水星、金星、地球、火星が
そうです。これに対して密度の小さなガス状の気体で形成される惑星を木星型惑星とい
うのです。木星、土星、天王星、海王星、冥王星がそれに該当します。
 水というのは水素と酸素から構成されます。これらの元素を重いか軽いかという観点
で見ると、水素元素は元素のなかで一番軽いのです。太陽から出る光の粒子の圧力(光
圧力)によって最も軽い水素元素は太陽系の外側に飛ばされたので、水素元素を多く持
つ惑星――すなわち木星型惑星――は太陽系の最も遠くに位置するのです。
 これに対して、もうひとつの構成元素である酸素は比較的重い元素であり、これらは
太陽の万有引力によって引き寄せられるので、太陽系の内側の地球型惑星に多く分布す
るのです。天体Mの軌道は他の惑星の公転軌道に対して一定の角度をもって傾いていま
す。この天体Mが普通の惑星の公転軌道と交差するのは天体Mにおける1年に2回――
つまり、3000年に2回ということになります。
 当初天体Mは太陽系の外側にいるので水素原子を多く保有していたのですが、それが
地球の近くを通ることによって酸素を多く取り込み、長い間のうちにそれらが化合して
膨大なる水を形成したと考えられるのです。
 続いて、高橋氏が考えている天体Mの構造について述べることにします。
 天体Mは中心部に核を有しています。この核にC(炭素)やN(窒素)やH(水素)
といった元素が万有引力によって引きつけられて「殻」が形成されていったのです。こ
れにO(酸素)が引きつけられると「水」ができるのです。天体Mの核の大きさは地球
の2分の1程度と考えられています。
 天体Mは、その核のまわりに膨大な量の水をまとっています。天体Mには陸地はなく
すべては水でできています。しかし、宇宙空間は摂氏マイナス273.15度、表面の
水は凍結し、厚い氷の層が形成されています。その氷の厚さは30キロ〜60キロに達
しているといわれています。
 その氷の下は、3000キロ〜3600キロの水があります。地球の海の平均な深さ
は4000メートルといわれていますので、地球の海の深さの約1000倍も深いので
す。高橋氏はこれを海と呼ばず「水圏」といっています。
 もうひとつ大きな特徴があります。それは水圏の温度です。その温度は摂氏800度
〜1000度――「超熱湯」であるということです。摂氏1000度であれば水蒸気に
なって蒸発してしまうのでは――と考える人がいるでしょう。
 しかし、蒸発はしないのです。なぜなら、表層部こそ1000気圧程度ですが、水圏
の深層部では20万気圧を超えるすさまじい圧力がかかっているからなのです。
 水は摂氏100度になると沸騰して気体になります。しかし、水がそうなるには、水
にかかる気圧が1気圧であるという条件が必要なのです。もし、平地よりも気圧の低い
山の上でお湯を沸かすと、摂氏100度になる前に沸騰するし、逆に圧力をかけると摂
氏100度以上になっても沸騰しないのです。
 天体Mの水圏はまさにこの状態なのです。つまり、熱湯なのですが、沸騰しないし、
気体にはならない――しかし、表層部は氷で厚く覆われている――そこで、高橋氏は天体Mを「灼熱の氷惑星」と命名したのです。
 ここで、天体Mの核の部分が地球の半分であると考える根拠について、高橋氏は次の
ようにいっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       それは、小型地球(天体M)と本物の地球とのニア・ミス的
      な衝突を考える場合に、相手の質量が大きいと地球のものが相
      手の方にもっていかれるという不合理があるからだ。相手の方
      が地球よりも小さくなければ、地球は相手の持っているミズを
      奪うことができない。密度が両天体において等しい――どちら
      も平均密度5.52の固体天体である――場合ならば、半径を
      小さくしておかないと、相手の質量が小さくならない。それ故
      まず半径を2分の1と仮定し、したがって体積は8分の1、質
      量も8分の1になるとしたのである。
             ――高橋実著「灼熱の氷惑星」より。原書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 要するに高橋氏は、天体Mの水が地球に移されたと考えているのです。そのためには
、天体Mは地球よりも小さくなければならないという発想をしたわけです。
 高橋氏は、天体Mが地球に超接近して、天体Mと地球の重力が互いに干渉し、一瞬無
重力状態の空間が生じ、天体Mの一部の水にかかる水圧がゼロになる――これによって
膨大な圧力で封じ込められていた水が、堰を切って地球になだれ込んだと考えているの
です。これが「ノアの洪水」です。
 液体や気体は固体とは違って、つねに全体が同じ圧力になるような性質があります。
したがって、どこかに圧力ゼロの部分ができると、その部分をなくそうとして他の部分
から圧力が加わるのです。これは「パスカルの原理」として知られています。
 高橋氏は、天体Mは地球と超接近したと考えているのですが、それはきわめて短時間
のうちに起こったとしています。天体Mは周期3000年の長楕円軌道を描いており、
地球の公転面に対してほぼ垂直な軌道であるからです。地球との相対速度は秒速30キ
ロで、地球の直径分だけ通過するのに約400秒――およそ7分ぐらいの間の出来事と
いうことになります。
 問題は、どのくらい接近したかですが、高橋氏の計算によると1500キロ程度まで
接近しているのです。天体Mが地球にこの距離まで接近すると何が起こるかは、明日述
べることにします。               ・・・ [ノアの洪水2/02]

天体Mと地球の異常接近.jpg

2007年02月02日

いかにして天体Mは水を地球に移したか(EJ第1022号)

 「ノアの洪水」の水は、天体M、すなわち、灼熱の氷惑星が地球のすぐ近くを通過し
たときに、天体Mから地球に移されたものである――これが高橋氏の立てた仮説です。
 高橋氏は、天体Mを地球から1500キロメートル離して通過させたとき何が起こる
かについて思考実験を行なっています。既に述べたように、天体Mが地球を通り抜ける
のにわずか400秒しかかからないのです。
 この400秒の間に、1500メートル離れた空間をわたって地球に物を移すことは
可能なのでしょうか。地球方向へ加速する大きな重力と、天体Mの速度を考えると、ち
ょうど後方に物を投げ出すようなことになるわけです。
 ここでいう「物」を文字通りの固形物と考えると、大きな矛盾がいくつも出てきてし
まうのです。しかし、移される「物」が、「水」であると考えた場合、それらの矛盾は
ほとんど消えてしまう――高橋氏はこういっています。
 ここで、天体Mの表面が分厚い氷層で覆われていることを思い出していただきたいの
です。そうすると、天体Mはちょうど満々とした膨大な水をたたえた巨大な氷の水がめ
のような感じになります。
 この水がめが、地球に近づくにつれて無重力圏ができてくるのです。はじめは無重力
圏の面積は小さいですが、近づくにつれて大きくなっていきます。そして、地球と最も
近づく1500メートルの時点で、天体Mの核の手前600キロメートルのあたりまで
無重力圏が広がって最大になるのです。そして、前後を通じて800秒ほどの間、天体
Mの水圏の一部は一時無重力状態になるのです。この無重力圏は、ちょうどそこだけが
水がめのフタを外した状態になると考えてよいでしょう。これについて高橋氏は、非常
に緻密な計算を積み重ね、多くの図を使って説明していますが、かなり複雑なのでこれ
については省略します。
 しかし、水がめのフタが開いたといっても、それは半径600キロメートルぐらいの
ものです。水圏自体は、巨大な水圧で天体Mの核へと引きつけられているのです。した
がって、そこから、水が外に向けて凄い勢いで噴出するためには、その無重力圏に対し
て、相当強い水圧がかかる必要があるのです。高橋氏はその圧力がどのくらいになるか
計算することに成功しています。
 結論からいうと、この半径600キロメートルほどの中央開口部には、約500万気
圧の圧力が天体M自身のタテ方向(半径方向の水圧)の水圧の集積としてかかってくる
のです。
 天体M自身の水圧は半径方向に天体Mの中心に向かって、圧縮するような方向にかか
っているのです。そこに一ヶ所無重力面ができるのです。つまり、圧力がなくなるわけ
です。この部分に関しては核に方向に押し付けられてはいないのです。そのため、開口
部には天体M自身の水圧が凄い力でかかってきます。
 数値を出しておくと、開口面積が半径600キロメートルの円の場合は、約250万
気圧、開口面積が2000キロメートルの場合は、70万気圧になるのです。この無重
力圏の圧力は、地球との距離が近くなると急に大きくなり、少し距離が遠のくと極端に
小さくなるのです。
 しかし、結論として述べた500万気圧にはあと250万気圧も足りません。高橋氏
は、その250万気圧に、地球の引力による「ずり下がり水圧」が加わるとていってい
るのです。
 無重力圏の圧力は、地球との距離が離れているときは数万気圧してかからないのです
が、このずり下がり水圧は、相当遠い距離からきいてくるのです。数値でいうと、無重
力圏の気圧がせいぜい1万気圧のときに、ずり下がり水圧は、早くも20万気圧ぐらい
になっているのです。
 ここで、添付ファイルの図を見ていただきたいのです。これはずり下がり水圧が横圧
によって生ずることを示しています。天体Mの水圏を仮に11の層に分け、外側から順
にⅠ、Ⅱ、Ⅲ・・・というように番号をつけます。
 さらに1つの層を10個の輪に分け、その輪をエレメンタリ・バンドとします。この
バンドが地球の重力に引かれて、地球方向に向かってずり落ちてくるのです。
 任意の1つのバンドは、縦方向、つまり天体Mの半径の方向に圧力を受けています。
もし、ここが固体である場合は、この圧力によって摩擦力が働くので、バンドがずり落
ちることはないのですが、水天体では摩擦がないので、このバンドのずり落ちを止め力
はありません。
 各バンドは、その下のバンドに圧力を加えるので、最も下方のバンドは、その上方の
バンドの重みをすべて受けることになるのです。したがって、最後のバンドの側面は、
上方の質量の重みを全部、少ない面積で受け止めるので、その面に対する水圧は、開口
面積が狭いほど高くなります。高橋氏の計算によると、その水圧、すなわち、ずり下が
り水圧は最高230万気圧になります。合計すると、約500万気圧になります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        無重力圏の異常水圧 ・・・・・ 最高250万気圧
        ずり下がり水圧 ・・・・・・・ 最高230万気圧
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これはすさまじい水圧であり、水はノズルのように物凄い勢いで外に飛び出し、地球
上に注ぎます。その水の量は、数京トン(京は兆の1万倍)――これだけの水を毎秒2
0キロメートルでノズル状に地球上に飛ばすのです。地球がこの水によって埋め尽くさ
れても不思議はないのです。これが「ノアの洪水」であるというのが高橋氏の説です。
それは聖書でいうところの次の状況そのものです。天の窓(開口部)が開いたのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれ
      た――「創世記」第7章11節より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                        ・・・ [ノアの洪水2/03] 

横圧はどう働いたか.jpg  
            

2007年02月05日

サハラ砂漠は約千秒で造られた(EJ第1023号)

 突如姿をあらわした天体Mが、どんどん地球に近づいて、衝突寸前に地球をかすめて
天空の彼方に消えたとき、地球上では何が起こったかについて述べてみます。
 天体Mはいきなりその姿をあらわし、みるみる大きくなって、空いっぱいに広がりま
す。昼間なのにあたりは暗くなり、やがて真っ暗闇になります。しかし、それも長く続
かず、再び明かりは戻ってきます。人々は一瞬ホッとします。その間に天体Mはどんど
ん小さくなって、やがて宇宙の彼方に消えてしまいます。その間、わずか7分間です。
 このあたりになって人々は騒ぎ始めます。「今のは、いったい何だったのか」と。そ
のときにわかに空が灰色に濁りはじめ、雷がとどろき、巨大な稲妻が空を走ります。同
時に、どぉっーと雨が降ってきたのです。雨は豪雨となり、滝となって流れます。
 みるみる大地は水で覆われて今までに体験したことのない洪水が発生します。海岸線
はどんどん後退し、しかも勢いを増しながら水は陸地を飲み込んでいきます。やがて、
轟音とともに高さ5000メートルに及ぶ津波が発生し、多くの人間や動物が波に飲み
込まれていきます。高い山に逃れた人もほんの少し生き延びたに過ぎず、上と下からく
る波にさらわれてしまい、多くの生命が失われたのです。
 やがて全世界を覆った水は海へと流れて行き、海の水かさは増して、海岸線は大きく
後退したのです。多くの生物は絶滅し、地球の生態系は激変してしまいます。海流や気
候も一変し、それはもはやかつての地球ではなくなってしまったのです。
 どうでしょうか。これは、まさに「ノアの洪水」そのものではないでしょうか。高橋
氏の計算によると、天体Mから地球に落とされた水はおよそ4OO京トン〜600京ト
ン――1京=1兆×10000――になりますが、それは天体Mの持つ水量の0.4〜
O.6%に過ぎないのです。この量の水は、地球に持ってくると、深さ12キロメート
ルの海になります。
 これらの水の多くは、ちょうどホースから出る水のように、スプラッシュ状態になっ
て地球上に落とされたのです。天体Mから落とされた水は、地球の成層圏上に乗り、そ
の軌道を回り続けて徐々に地上に落下していったと考えられるのです。つまり、水はス
プラッシュ状になって、世界中にばらまかれたのです。
 高橋氏は、思考実験をここまで続けて、天体M仮説の証拠探しをやっています。本当
に天体Mによって地球に膨大な水がもたらされたのであれば、必ずその痕跡がある――
というのが高橋氏の考え方です。
 高橋氏が目をつけたのは、天体Mが地球に放った水の軌跡なのです。膨大な水のスプ
ラッシュが地上に激突すれば、そこに何らかの痕跡が残るからです。それを見つけよう
というわけです。
 高橋氏は興味深い前提を立てています。それは、地球上の現在における異常な人口密
度の偏在です。高橋氏は、世界中で非常に広い地域が、極度に高い人口密度を示してい
るという事実に注目しています。それは、中国、インド、ヨーロッパです。
 高橋氏によると、これらの地域は、生態系の発展過程において中断がなかったからで
はないかというのです。ということは、生態系の中断があったところは、現在でも人口
が疎らであるということになります。
 高橋氏は、これら中国、インド、ヨーロッパを避けて、天体Mからのスプラッシュの
飛んだ方向を探索した結果、主力スプラッシュの飛んだとみられる方向は、インドの東
からシナイ半島へ、そして西へとたどったものと推測したのです。そこには、サハラ砂
漠があったのです。
 このサハラ砂漠――実は地球の謎のひとつなのです。なぜならサハラ砂漠のすぐ隣接
地帯は、気候温暖な地中海沿岸諸国になっていますし、また、サハラ砂漠と同じ緯度の
ところで、人類が凄く繁栄しているようなところがあります。それなのに、そのような
ところに、なぜ、あのような大砂漠ができたのでしょうか。
 高橋氏は、天体Mからの巨大スプラッシュが原因であると考えたのです。彼は次のよ
うにいっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       このサハラ砂漠の砂は、天体Mから直撃水と一緒にきたもの
      だ。スプラッシュの中には砂まじりの水があったのだ。これは
      宇宙の鉄砲水だ。巨大な砂泥流が、もともとは緑成す大平原、
      文化栄えし土地を、一挙に襲ったのだ。
             ――高橋実著、『灼熱の氷惑星』より。原書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 高橋氏の計算によると、スプラッシュの速度は毎秒最高30キロメートル〜毎秒11
キロメートルを超えていたので、この状態で数十京トンの直撃水がきていたとしても、
水のほとんどは地球を離脱して飛んでいこうとします。
 しかし、その水に砂が混じっていたら・・・と高橋氏は考えたのです。そして、次の
ようにいっているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      特に決定的なことは、この大量の砂を含んだ水であったからこ
      そ、高速度のスプラッシュに制動が利いて、スプラッシュは低
      速度になり、地球に止まり得た――という考え方であった。
             ――高橋実著、『灼熱の氷惑星』より。原書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 大砂泥流を含んだ巨大なスプラッシュのうち、毎秒30キロメートルから11キロメ
ートルという高速度のものはサハラ砂漠の現在ある場所の上空を30秒ほどで通過し、
大西洋のはるか上空に出て地球を離脱しています。
 そして、毎秒11〜8キロメートルまでのものは、地球の長周期衛星となり、毎秒8
キロメートル以下のものは、円軌道衛星のコースをたどりながら地球に落ちていったの
です。そして、それ以下の毎秒数キロメートルの大砂泥流は、サハラ砂漠を一瞬、いや
約1000秒の間に造った――高橋氏はそう推測したのです。サハラ砂漠の砂の量は、
2000兆トンもあるのです。            ・・・ [ノアの洪水/04]

2007年02月06日

大炭田はいかにして造られたか(EJ第1024号)

 昨日のEJで、天体Mから地球に向けて噴出された大量の砂を含む水は、400京ト
ン〜600京トンと推定されていると述べました。しかし、これらの水のほとんどは地
上には落ちず、地球外に飛び去っているのです。地上に落ちたのはほんの一部です。し
かし、そのほんの一部の天体Mの水が地球上に大きな変化をもたらしているのです。
 高橋氏は、天体Mからスプラッシュ状で地球に移された水は、10京トン程度である
と計算しています。この10京トンの水が海に入ると当然海面が上昇します。しかし、
海の水が増えるとそれに比例して長い期間をかけて陸塊が浮上するのです。
 海に落ちた水の重さによって地球のマントルがゆっくり動き、圧力均衡を保つために
陸塊は徐々に押し上げられるのです。これを「アイソスタシー」といいます。天体Mか
ら地球に移された水の量と「海の浮上」「陸の浮上」の関係は次のように計算されてい
ます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         移された水  海の浮上  陸の浮上
          3.5京トン  100m   30m
          7.0京トン  200m   60m
         10.5京トン  300m   90m
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ここで、陸の浮上は、海に水が入ってから1年に5ミリメートルとされているので、
100メートル浮上するのに2万年かかる計算になります。そうであるとすると、現時
点で陸の浮上が終ったのか、まだ浮上中なのかが関心のあるところですが、いわゆるノ
アの異変がいつ起こったのかがはっきりしない限り、それはわからないのです。高橋氏
は、天体Mからの水は10.5京トンで海は300メートル浮上したと想定しており、
このケースでは現在でも浮上中ではないかと述べています。
 ここで、天体Mから地球に降ってきた砂について、もう少し考察してみることにしま
す。
 天体Mにおいて、この砂は天体Mの核の周辺にあったはずです。つまり水圏の底部に
あったのです。表面からの深さ3000キロメートルの深部です。その砂が大量の水と
ともに地球上に落ちてくるには、それらの砂が表面に上がってきている必要があるので
す。それはどのようにしてそうなったのでしょうか。
 地球に水が移される直前、天体Mの水圏の底深く、核の表面に近いあたりまで無重力
圏ができたことは、EJ1022号で、お話ししています。しかし、その時間は100
秒ほどであり、この短時間の間に底の方の砂が表面に出てくるはずはないのです。
 ここで思い出していただきたいのは、天体Mが地球とニアミスを起こす数千秒前から
起こっていた地球の方向へのずり下がり圧力のことです。これは遠くからでも働く「ず
り下がり引力」が原因となっていて、その均衡を保つために、卵形殻を形成しようとす
る水の動きがあるのです。
 この卵形殻は地球の重力が引っ張っている方向に突き出す形になっていて、その瞬間
ごとの内部水圧の均衡を保つのです。水のこの動きによって約500京トンの水が、核
周辺の砂ごと、もの凄い勢いで天体Mの表層部に向かって奔流のように移動してくるの
です。そのため、天の窓が開く前にすでに大量の砂が表層近くまで、きていたのです。
 さて、地上に落ちてきた砂ですが、それは摂氏1000度前後の熱い砂なのです。一
緒に落ちてくる水も熱湯ですから、地底のマグマから噴出される溶岩の熱と同じと考え
ればよいのです。砂の総量は1000兆トン以上もあるのです。
 実は高橋氏はこの熱い砂が石炭や石油を作ったと考えているのです。天体Mからのス
プラッシュの通った軌跡をたどると、そこに石油地帯と大炭田が分布しているのです。
石油についてはあまり説得力はないのですが、石炭については高橋氏の説はかなり説得
力があります。
 大炭田を作った熱源がマグマの熱にあるとするなら、石炭ができたところは、理屈か
らは地殻の大変動のあった場所ということになります。しかし、実際には世界の大炭田
はことごとくといってよいほど、造山帯や地震帯とは全く関係のないところでできてい
るのです。
 世界最大の大炭田分布地帯であるミシシッピー流域ももちろんそうですし、シベリア
の炭田も中国の炭田もその通りなのです。地震帯とは関係ない安定した平野でそれらは
できているのです。
 日本人は、石炭は深い地底を掘り進むものと考えています。日本の炭田はそうだから
です。しかし世界の大炭田のあり方は、そこへ石炭の厚い層を敷き並べて、まるで「置
いたように」存在するのです。もちろんその上に表土はありますが、それを採掘する手
段は掘り進むのではなく、置いてあるものを拾うというイメージなのです。しかし、そ
の熱源が特定できないのです。
 以上のことを前提として、世界の大炭田の熱源が天体Mからの熱い砂泥流であると考
えてみます。肥沃な大平原の上に大量の熱い砂泥流が一瞬の間に襲ったとします。いう
までもないことですが、この熱い砂泥流が襲った地域のあらゆる生物――バクテリアに
いたるまで、一瞬のもとに死に絶えます。
 この砂の熱床は、石炭の原体物資が堆積する場所に、原体物資よりも早く沈積して、
一大熱床を形成します。その上に原体物資として植物の大遺体群が敷き並べられるので
す。さらに後から若干の砂が積もっていきます。
 水が退き、大平原には新しい地形がつくられますが、そこは一層広い範囲に沈積した
砂が山岳地帯の方まで広く分布しているのです。これらの砂は早く冷却しますが、その
後の年月の雨で流されて、平原の上に新しい上層堆積を造っていきます。こうして上部
が覆われると、最初の熱床を形成した砂の熱は内部にこもり、植物の遺体を全部蒸し焼
きにし、炭化させていくのです。このようにして大平原の石炭の炭田ができたのです。
イシヤキイモをつくるのと同じ理屈です。     ・・・ [ノアの洪水2/05]

2007年02月07日

天体Mは東洋ではどのように見えたか(EJ第1025号)

 聖書における「ノアの洪水」は、全世界が水で覆われ、ノアの箱舟に乗っていた生物
以外はすべて死滅したと伝えています。しかし、「ノアの洪水」が、天体Mの地球への
異常接近によって起こったものであるとすると、豪雨その他で全世界的には大きな被害
を受けたものの、助かった人類や生物は多いということになります。日本もそのひとつ
でしょう。
 問題は、地球のどこの地域が天体Mからの熱砂泥流のスプラッシュを受けたかです。
高橋氏はスプラッシュの直撃を受けた地域は、グリニッチ経度で東経50度/北緯23
度の地域といっています。その場所を地図で調べると、サウジアラビアのリアドの付近
になるのです。
 この東経50度/北緯23度の地点から東西に赤道とはほとんど平行に天体Mの表
面が通過したのです。ここで、スプラッシュの直撃という状況についてもう少し詳しく
説明をしておきます。高橋氏は、力学的に次のように説明しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      水が完全に摩擦係数ゼロの、完全な非弾性体である限り、スプ
      ラッシュは、それがあたった曲面の切線を含む平面の方向に飛
      ぶ。曲面である地球の表面にぶつかった巨大な噴流も、結局こ
      の原理にしたがう―――高橋 実氏
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 スプラッシュは、曲面になっている地表にぶつかると、それは上空に上がりものの1
00キロメートル先に行くと、地上とは、1000メートル開き、300キロメートル
では8750メートルの高さ、つまり、エベレストの上を飛び越えるぐらいの高さにな
るのです。
 そうすると地上はどのような状況になるのでしょうか。いくら高さがあっても、超音
速で圧縮された高温・高圧の空気が襲っていることは間違いないものと考えられます。
しかも、直撃後、そのかなりの部分は地球を離脱したものの、残りの部分は1時間30
分くらいで地球を一周し、再び同じ地域を襲っているはずなのです。速度は落ち、スケ
ールは少しずつ小さくなってはくるものの、生き物にとってはこの方が最悪です。もっ
とも、スプラッシュの第一撃を受けた時点で生態系を含めて生き物は全滅していている
はずですが・・・・。
 これに加えて、一撃から1時間30分経過した頃、豪雨がはじまっているのです。砂
泥流を運んだ巨大な水流は一挙に大西洋に入り、それから途方もない大きな津波――お
そらく最初の波頭は数万メートルにも及ぶ巨大なる津波――となって南北両米大陸を襲
ったものと考えられます。
 そして、1日か2日の間に海の水は幅が広がり、ほとんど世界中の沿岸平野を海に沈
めてしまうことになるのです。ところが、南米と北米とをつないでいる地峡帯がちょう
ど防護壁の役割をして、大津波を遮って太平洋に逃がさなかったので、太平洋の西海岸
の諸民族は大津波の被害を直接受けないで済んだのです。
 しかし、その分ひどい目にあったのはメキシコ湾岸の諸民族です。メキシコ湾岸の諸
民族は、一時間に数十メートルも海面が上昇するのに仰天して、必死になって山の方に
逃げたという記録が伝説となって残っています。
 アマゾン流域のインディオは、次のような語り伝えをもっているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      あるとき、天地もとどろくような物凄い音がした。すべてのも
      のが暗黒につつまれ、このあと大雨が降り始めた。雨はすべて
      のものを洗い流し、全世界を水びたしにした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 高橋氏は、この音は超音速で進行する大津波の水の壁がその前面につくり出す高圧の
空気の衝撃波が原因――と分析しているのです。
 この水の壁は、高さ数千メートルで、超音速、しかも、横に数千キロメートルに拡がり、大西洋上の大気を引っさらえて圧縮するような勢いで進行します。それに対して空気が
抵抗するので、水の壁は速度を落とし、音速よりも低くなりかかった瞬間に天地をとど
ろかせるような音を出すのです。流域に住んでいたインディオが聞いたのは、おそらく
この音であると高橋氏はいいます。
 おそらく高さ5〜6000メートル級の大津波は南北米大陸の大西洋岸を襲い、その
水はかなり高い山にまで達したと推定されるのです。そして、実際にそれを裏付ける記
録がこれらの地域に古い伝説として残されているのです。
 ここで、添付ファイルを見ていただきたい。これは、スプラッシュの直撃を受ける約
6分前の天体Mの位置と地球上の主要都市の位置関係を示しています。図がこまかくて
見えにくいかも知れませんが、この図を基にして解説します。
 この時点で異常接近してきた天体Mを見ることができた経度は直撃地帯を除いて考
えると、パキスタンのカラチから東京までの都市です。実際にはどのように見えたかで
すが、直撃を辛うじて免れたインドのボンベイでは、直撃80秒前には天体Mは頭上に
きており、ほとんど全天を覆うように見えたはずなのです。
 東京の位置ではどうであったかというと、正午、西方の地平線に視角48度にも達す
る巨大な天体Mが、白昼にもかかわらず、目撃されるはずだというのです。また、この
東京の位置では、それより1時間前には、天体Mは太陽を完全に覆い隠していたはずで
ある――と高橋氏はいっているのです。
 この天体Mが目撃できたカラチから東京までの地域には、インドや中国などの世界最
大の人口の密集地域が含まれているのですが、この異常現象を伝える伝承があまりない
のです。それは直撃地域の真うしろに位置していたからでしょうか。ただ、断片的に中
国には「桑田変じて蒼海となる」というような言葉が残っています。高橋氏は、これを
「東洋の沈黙」と名づけて、その解明に取り組んでいるのです。
・・・ [ノアの洪水2/06]

2007年02月08日

『東洋の沈黙』の謎を解く(EJ第1026号)

 このところ天体Mに関する高橋氏の説について詳しく説明しています。途中から読ま
れた人は何のことかサッパリ分からないと思いますので、簡単にまとめておきます。
 高橋氏の説を一言でいうと、「ノアの洪水」は聖書の中の寓話ではなく、天体Mとい
う未知の惑星――この惑星には陸地はなく全部が水でできており、その表面は凍結して
氷の層でおおわれているものの、中心の核の周辺の水は摂氏1000度以上の高温であ
るところから、高橋氏はこれを「灼熱の氷惑星」と命名――この惑星が地球に異常接近
して、その水を地球に移したのが「ノアの洪水」原因であるという壮大なる説です。
 高橋氏のこの説は、1975年に『灼熱の氷惑星』(原書房)というタイトルで単行
本としてまとめられ、日の目を見ることになったのですが、発表と同時に各種メディア
で取り上げられ、一大センセーションを巻き起こしたのです。
 しかし、天文学者や地球科学をはじめとする学会の反応は非常に冷たいものでした。
そんな天体が存在するはずがない――というのが学会の統一的な見解だったのです。そ
れに、当時は「氷惑星」そのものが発見されておらず、そんな惑星はあり得ないと考え
られていたのです。
 しかし、1979年になって氷惑星の存在はNASAによって確認されたのです。そ
れは、NASAが打ち上げた太陽系探査船ボイジャー1号と2号によってもたらされた
のです。1979年3月5日、ボイジャー1号は木星を回る衛星群の間を飛行し、多く
の写真を撮影しています。さらに、同じ年の7月9日、ボイジャー2号が木星に接近し
て多くの写真を地球に送ってきているのです。その写真には、木星の衛星であるエウロ
パ、ガニメデ、カリストが撮影されたのですが、それらの衛星の表面には、氷の殻があ
ることが確認されたのです。衛星ではありますが、大きさは水星クラスであり、氷惑星
といってよいと思います。
 さらにボイジャー2号は、天王星の写真も地球に送ってきたのですが、この写真から
表面の反射光を分析したところ驚くべき事実が判明したのです。天王星には大気がある
のですが、この大気の下に厚さ1600キロにも及ぶ氷の層があり、その氷の殻の下に
は、数千度の超熱水が8000キロもの深さで存在することがわかったのです。まさに
「灼熱の氷惑星」です。
 さらに、ボイジャー2号は、1989年8月25日、海王星のデータを送ってきたの
ですが、これまた、「灼熱の氷惑星」そのものであることがわかったのです。
 このように思考実験の中だけの存在であると思われていた氷惑星は実際に存在するこ
とが判明したのです。これによって、まだ発見されてはいませんが、天体Mが存在する
可能性については、アカデミズムも否定できなくなってしまったのです。
 高橋氏の本を手に入れることは、現在となっては極めて困難ですが、現在でも「灼熱
の氷惑星」というサイトは存在しますのでアドレスをご紹介しておきます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     http://raccoon.gaiax.com/www/raccoon/c/i/chiakiy/needs.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 さて、昨日の続きです。「東洋の沈黙」について、高橋氏の所説をご紹介します。な
ぜ、東洋には天体Mの異常現象についての記録や伝承がないのでしょうか。
 地球が天体Mの最初のスプラッシュの直撃を受けたあと、東京は6時間で日没を迎
え、そのあと12時間は夜です。同様に、ラングーンは9時間、セイロンやボンベイは
12時間で日没になりそれから12時間は夜です。この夜の間に何が起こったかです。
 高橋氏はこう考えているのです。この6時間〜12時間に大西洋に落ちた大量の水が
しだいに太平洋に流れ込み、太平洋の沿岸の諸民族を一挙に呑み込んでしまったのでは
ないかと・・・。
 こうようにいうと、昨日のEJで、「南米と北米とをつないでいる地峡帯がちょうど
防護壁の役割をして、大津波を遮って太平洋に逃がさなかったので、太平洋の西海岸の
諸民族は大津波の被害を直接受けないで済んだ」と書いたことと矛盾するのではないか
と考える人がいると思います。
 しかし、それは大津波の直撃は避けられたという意味であってノアの別の異変が生じ
たのです。それは、かなりの時間差を伴って東洋の諸民族を襲ったと考えられます。
 大西洋に一度に注ぎ込まれた大量の水は、大西洋の水位を大きく上げたのですが、こ
れによってカナダ北部の低い盾状地は水びたしになり、北米の平野も、アマゾンの広大
な流域も一時水中に没したのです。
 しかし、大西洋は閉じられた海ではないのです。この時点で大西洋と太平洋は大きな
水位差ができ、大西洋に溢れた水はなだれをうって太平洋に流れ込んでいったのです。
これによって高橋氏は恐ろしい推理をしています。
 海面を1時間に数メートルずつ上げていき、それを十数時間にわたって続けるとどう
なるでしょうか。しかも、その異変の最中太平洋の西海岸は夜であり、諸民族は寝てい
たのです。彼らの夜中の12時間の間に彼らの住んでいた平野は数百メートルの海底に
沈んでしまったのです。つまり、彼らは気がついたときは死んでいたことになります。
 彼らの大半は昼から夜にかけて異様なかたちの天体Mを目撃しているはずなのです。
しかし、このようにあっさりと死んでしまえば、そのことについて記録に残したり、伝
承できないことになります。これが「東洋の沈黙」の真相なのではないかというわけです。
 また、太平洋の増水によって、かつて陸であったところが多く海に変わっているので
す。現在の中国の東方、朝鮮半島と日本列島の一部に囲まれたところは、昔は陸地だっ
たのですが、一夜にして海に沈み、黄海となったのです。「桑田変じて蒼海となる」の
蒼海は、黄海のことをいっているのではないでしょうか。この検証は改めてやってみた
いと思います。・・・ [ノアの洪水2/07]

2007年02月09日

北極と南極の氷塊はどうしてできたか(EJ第1027号)

 地球上には氷河の痕跡が多く残っています。とくに南極圏と北極圏には極冠と呼ばれ
る大氷塊群があります。この南極圏と北極圏の氷には明白な違いがあります。それは、
南極圏では氷塊は大陸の上に乗っていますが、北極圏では海の上に浮かんでいる氷が多
いことです。
 どうして、このような氷塊群ができたのでしょうか。
 常識的には、それは寒気の象徴と考えられています。しかし、高橋実氏は、氷塊群の
ほとんどは天体Mからきたもの――といっているのです。氷塊群は当初は熱帯にも寒帯
にも、山の上にも、海洋の部分にもあったのですが、寒気があったからこそ、北極圏と
南極圏の氷はとけずに残ったというのです。
 しかし、天体Mから氷が地球に移るには、水が移動するようにはいかないのです。天
体Mの表層の氷は30〜70キロメートルあるのですが、この氷の一部が地球に移るに
は天体Mと地球が直接衝突する以外にはあり得ないことなのです。
 ここまでご紹介してきた高橋氏の説は、超ニアミスによる間接衝突という考え方に立
っており、高橋氏自身これを「ノア型の衝突」(間接衝突)と呼んでいます。しかし、
高橋氏は、これと平行して直接衝突のケースも検討しているのです。
 現在の地球は、自転軸(地軸)の方向が黄道面に対して少し傾いています。ごく大雑
把にいうと、自転軸は直角の方向――北極圏の方向を向いているのです。太陽はつねに
地軸の横腹の方向から照らしますから、北極はつねに寒いのであり、極冠ができたとい
うのが現在の通説です。
 高橋氏は、天体Mとの直接衝突によって地軸の方向が変わったのではないか――と考
えているのです。この考え方はトマス・バーネットもしています。これについては20
02年12月13日(金)のEJ1008号をごらんください。
 もっと衝撃的な事実は、天体Mと地球の部分衝突は、過去何回か起きているというの
です。これは、ノア型衝突についても同じことがいえるのです。
 高橋氏は、直接衝突の状況について次のように述べています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      地球上に現在ある大氷塊群として、北極圏をおおっている氷の
      広大な分布はきわめて興味のあるもので、私にはそれが天体M
      と地球との間に起こった深い衝突の跡のように見える。ここに
      深い衝突というのは、地球がその頭を深く天体Mの水圏の中ま
      で突っ込む、という意味である。現在のグリーンランドの南端
      の緯度、すなわち北緯60度より北の部分が全部、天体Mの水
      の中を通り抜けたのだと思われる。
             ――高橋実著、『灼熱の氷惑星』より。原書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これは大変なことをいっています。この直接衝突の模様を天体Mと地球の側から描写
してみましょう。
 天体Mの側から見ると、地球はグリーンランドを先頭に頭突きをしてきたのです。巨
大な衝撃が天体Mの全水層に伝わります。200秒後地球の頭の頂点は天体Mの水圏、
855キロメートルの深さのところを通過します。
 ここの部分の水圧は約3万気圧、水の温度は摂氏100度を超えているのです。さら
に200秒後に地球は反対側の氷を蹴散らして、激しいスプラッシュを飛ばしながら、
高速度で飛び去っていった――そういうように表現できます。
 今度は地球の方から描写してみます。天体Mはグリーンランドにまず氷の壁をぶっつ
け、すぐにスカンジナビア半島とカナダ北部およびアラスカをその水圏の中に包んで、
後半はロシアの北緯60度以北の部分を完全におおってから飛び去っています。北極海
がこの異変の中心域になり、ロシア側海域には大量の砂も移されたのです。
 高橋氏は、この天体Mとの衝突で、地軸が変わったと予測しています。トマス・バー
ネットによると、それまでの地球は、地球全体がまんべんなく日照を受けるような良い
気象条件にあり、生物が生息するのに非常に適していたというのですが、高橋氏も同じ
ことをいっているのです。この状態は、二畳紀以後一定期間続いたはずですが、この時
代が恐竜が繁栄した時代なのです。それが天体Mとの衝突によって滅んだと考えられま
す。
 それでは、南極圏の氷塊はどうしてできたのでしょうか。もし南極圏の氷塊も天体M
との衝突が原因なら、どちらが先に起こったのでしょうか。
 高橋氏は、その謎を解くカギは、二畳紀の氷河痕跡群にあると指摘しています。平ら
な平面の地図上に展開される二畳紀の氷河痕跡群は、一見すると、不統一であるかに見
える広い範囲に散在しています。
 しかし、これを地球儀の上に並べてみると、あるひとつの大きな円形の範囲が浮かび
上がるのです。高橋氏はこれが天体Mとの衝突の跡ではないかと考えているのです。こ
の「円形の庭」の一方の端に南極大陸があるのです。この衝突は、約2億2千万年〜2
億3千万年前――二畳紀末期であると考えられるのです。
 それでは、北極圏の衝突はいつ起きたのでしょうか。高橋氏はそれは今から7千万年
〜8千万年前としています。つまり、南極圏の方が早いのです。
 さて、ここで「円形の庭」と呼ぶ範囲はかなり広いのです。それに中心部は南極では
ないのです。しかし、北極圏におけるグリーンランドの役割――つまり、天体Mの大氷
層にぶつかって、大量の氷を粉砕しているのです。南極大陸は、「円形の庭」の入口の
部分に該当するのです。しかし、「円形の庭」に含まれる地域のほとんどは海面になっ
ています。
 この衝突によって衝突した地球の頂点が天体Mの水圏に入り込む深さは2860キ
ロメートルであり、ほとんど天体Mの核の近くまで行っています。そのあたりの温度は
摂氏600度以上と推定されるのです。衝突の時間は、前後を合わせて、約700秒と
考えられます。                 ・・・ [ノアの洪水2/08]               

2007年02月13日

天体Mに該当する惑星は実在する(EJ第1028号)

 「ノアの大洪水は、天体Mが地球に異常接近したか、衝突したことが原因である」
――この高橋実氏の所説を昨日までご紹介してきました。おそらく、「そんなこと信じ
られない」という人がほとんどであると思います。
 だいいち天体Mは高橋氏の思考実験のための「想像上の産物」に過ぎないものです。
実際に発見されているなら話は別ですが、そうでないと話に説得力はないと考える人は
多いと思います。
 しかし・・・です。その天体Mではないかと思われる惑星は実在するのです。「えっ
!?どこに?」――古文献に「災厄をもたらす凶星」として記述されているものの中
に、天体Mに近いものが、ひとつあるのです。
 言語学者で宇宙考古学者のゼカリア・シッチンという人がいます。専門は、古代メソ
ポタミア文明で、シュメール人の粘土板の解説を主な研究テーマとしている人です。
 彼は、現代文明を支えている要素の多くが、今から6000年前に突如として花開い
たシュメール文明にあることに気が付き、この文明を徹底的に調べ上げたのです。
 古代シュメール人は、とくに天文学に優れており、彼らが残した天文学に関する数百
にも及ぶ粘土板に書かれた内容は、現代の天文学の視点からみても、極めて正確としか
いいようのない惑星の位置や星座のリストが含まれるのです。
 シッチンはそれらの粘土板の研究の過程で、とんでもないものを発見するのです。そ
れは惑星が正しく配置された太陽系図でそこには、9つの惑星ともうひとつ別の惑星、
火星と木星の間を通る長楕円軌道を持つ太陽系第10番目の惑星がちゃんと記述され
ていたのです。
 「ふぅーん」と感心する前に考えていただきたいのです。肉眼で確認できる太陽系の
惑星というと、水星、金星、火星、木星、土星までであり、それに地球を加えて6つで
す。あとは天体望遠鏡がなければ視認できないはずです。それなのにシュメール人は、
天王星、海王星、冥王星の存在を知っており、ちゃんと位置まで描かれていたのです。
それどころか、現代でもまだ発見されていない第10番目の惑星まで指摘されているの
です。
 1976年にシッチンは『第12番惑星』を著し、この第10番目の惑星の正体を明
らかにしています。ちなみに、なぜ、『第12番惑星』というのかというと、シュメー
ルの伝統では、太陽も月も惑星として数えるからです。このシッチンの著作は、高橋実
氏が『灼熱の氷惑星』を著した1975年とほぼ時期が一致します。もしかしたら、高
橋氏は、シッチンの研究を知っていて、天体Mを考えたのかも知れません。
 シッチンによると、この第10番目の惑星は「ニビル」と呼ばれ、3600年ごとに
地球に接近し、災厄をもたらす「巨大な赤い星」であるといっています。
 シッチンの研究によると、その惑星の大きさは木星とほぼ同じで、公転周期は約36
00年非常に細長い楕円軌道をしているのです。近日点(太陽に一番近いところ)は火
星と木星の間、遠日点(太陽から最も遠いところ)は外宇宙のはるか彼方にあります。
ちょうど、太陽系を横切るように公転しているために、シュメール語で「交差する星=
ニビル」といわれるのです。
 シッチンについては、大変興味深い話が伝わっています。1989年8月に米国の宇
宙探査機ボイジャーが海王星に接近し、その地表の写真を地球に送ってきたのですが、
シッチンは早くから「海王星の表面は青緑色、水分が潤沢にあり、沼地の植生とおぼし
き斑紋が観察される」ということを欧米の雑誌に書いていたのです。ところが、ポイジ
ャーから送信されてきたデータはシッチンの予言通りだったのです。
 天文学者でも預言者でもないシッチンに、誰も見たことのない海王星の姿をなぜ予言
できたのかというと、古代シュメールの粘土板にそう書かれているとシッチンはいうの
です。しかし、現代の天文学は、シッチンの主張を無視しています。
 シッチンが唱える謎の惑星「ニビル」に関する手がかりはエジプトにもあるのです。
エジプトは数千年にわたって存続した王国であり、その間には多くの彗星が飛来してい
ます。そういうこともあり、エジプトには優れた天文学者が多くいるのです。
 そのエジプトに、ユダヤ人の「出エジプト」に深く関わっているといわれる絵があり
ます。その絵は墓所の天井に描かれているのですが、絵の中央にはオリオン座の3つ星
その下にはサフーオリオンの像、その前には牡牛座のヒアデス星団、その下にはソプデ
トの星(シリウス)が描かれています。注目すべきは、この絵の中に彗星のような軌道
を持つ天体が描かれていることです。
 この天文図を研究・解析している天文学者パベル・スマトニイは、これを「ニビル」
の楕円軌道であるといっています。この天文図では、「ニビル」の軌道は、歪んだ8の
字で描かれているのです。
 現代の天文学で第10番目の惑星ではないかと考えられているのは「超冥王星」と呼
ばれている惑星です。NASAが割り出したデータによると、超冥王星の軌道は長楕円
形で、公転周期は何と3600年――他の惑星の公転面と垂直に近いかたちで公転して
いるというのです。「ニビル」とそっくりです。
 このように、高橋氏の天体Mに近い惑星の候補はたくさんあるのです。しかも、「ニ
ビル」は天体Mのように、災厄をもたらす惑星であるというのです。そうだとすると、
「ニビル」も惑星ですから、再び地球を襲ってくることになります。それはいつなので
しょうか。
 「ニビル」が地球を襲ったのはいつなのでしょうか。そして、現在は3600年周期
のどの位置にあるのでしょうか。非常に気になることです。
 実は1980年代以降、未知の天体発見のニュースが相次いでいるのです。そして、
中東欧、南アジア、中国、メキシコなどでいっせいに洪水が発生しています。気になり
ますね。                    ・・・ [ノアの洪水2/09]

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2007年02月14日

冥王星の軌道の外側に惑星X存在(EJ第1029号)

 昨日のEJで、まだ発見されていない第10番目の惑星を取り上げました。その惑星
が「ニビル」なのか「超冥王星」なのかははっきりしていません。高橋氏の天体Mのモ
デルではないかというタッチで説明しましたが、どうやら高橋氏の考えている天体Mよ
りも大きな惑星のようです。
 便宜上、この未知の惑星を「惑星X」と名づけて説明することにします。「X」は、
まだ未知の天体であるという意味と、ローマ数字で第10番目という意味をこめていま
す。
 そもそもことの起こりは、19世紀から20世紀の中ごろにかけて、太陽系の第7番
惑星である天王星と第8番惑星である海王星の軌道がゆらぎはじめたことにあります。
このような軌道のゆらぎは「摂動」といわれています。
 一般的に惑星に摂動が観測される場合、その外側の軌道に未知の天体があるというサ
インなのです。そして、1930年にローウェル天文台のクライド・トンボーが冥王星
を発見するのです。これについては、EJ1020号で既に述べています。
 しかし冥王星は、地球の月よりも小さいのです。当然のことながら、質量も小さい。
このような小さい質量で、果たして天王星や海王星の軌道に影響を与えることができる
のか――そういう疑問が何人かの天文学者から出されたのです。
 米国の海軍天文台のジェームス・クリスティーらの計算によって、1978年6月に
天王星や海王星に起こった摂動は、冥王星によるものではないという見解が発表された
のです。そうなると天王星や海王星のゆらぎの原因となる惑星Xが存在する可能性が現
実味を帯びてきます。
 もともと天王星や海王星にゆらぎを生じさせた惑星Xについては、米国の天文学者パ
ーシバル・ローウェルの計算では次のような天体とされていたのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      太陽からの平均距離は43〜44天文単位(1天文単位は太陽
      から地球までの距離/約1億5000万キロに相当)、公転周
      期は280〜290年。質量は地球の約7倍。ふたご座の中に
      12等級の明るさで見える。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 実際の冥王星は、これとは比較にならないほど、小さい惑星であったのです。そのこ
とから、冥王星は海王星の衛星であった可能性が高いのです。
 続いて、1981年になって、惑星Xについて重要な発表が行われたのです。米国の
海軍天文台のロバート・ハリントン博士とトマス・ヴァン・フランダン博士は、木星と
土星に関するパイオニア10/11号の観測とバイキング計画の探査結果に基づき、木
星の軌道にムラが生ずるのは、惑星Xの影響によるものという発表を行ったのです。
 両博士による惑星Xの概要は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      惑星Xの大きさは地球の2倍以上。太陽からの平均距離は16
      天文単位。公転周期は1000年以上。冥王星と天王星の地軸
      を横倒しにしたのは、この惑星Xであると予測。長大なる楕円
      軌道を想定。惑星Xの遠日点は果てしなく遠いが、近日点は太
      陽系の内部にある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 1982年になると、NASAもこの事実を公式に認め、冥王星の外側には、未知の
天体Xが存在することを発表したのです。そして、その探査には、赤外線天文衛星「I
RAS」を使うことを発表しています。
 そして、約束通りに「IRAS」は、アメリカ、イギリス、オランダの共同プロジェ
クトとして、1983年1月に打ち上げられたのです。そして、同じ年の12月31日
付の「ニューヨーク・タイムス」は、IRASがオリオン座の方向に謎の天体を発見し
たことを伝えています。
 この記事によると、その天体は木星とほぼ同じ大きさで、距離は地球から800億キ
ロと極めて近く、地球に向かって進んできているようであるというのです。
 このあたりから、惑星Xに関する情報があちこちから、伝えられるようになります。
その内容は、それぞれ異なりますが、最新の情報は、ジョン・マティス教授らのチーム
の報告です。
 1999年10月、米ルイジアナ大学のジョン・マティス教授らのチームが、地球か
ら4兆キロの距離に未知の天体が存在すると公表しています。それは、彗星の軌道に対
する重力の影響、つまり、衛星の摂動から惑星Xの存在を理論的に発見したのです。
 マティス教授は、惑星Xの位置を、太陽から2万5000天文単位(約3兆7500
億キロ)、サイズは木星の3倍程度で距離が遅く、その公転周期は約500万年と試算
しているのです。
 この発表を受けて、1999年10月8日付の「東京新聞」は「太陽系に未知の第1
0惑星?」というタイトルでこれを報道していますので、添付ファイルとして付けてお
きます。
 実は、マティス教授の観測結果に基づいて、2002年5月には、実際に木星並みの
質量を持つとされる惑星Xが発見され、その惑星は、「SOri70」と命名されたの
です。この星は、シグマ・オリオニス星系の比較的若い星団に囲まれている以外のこと
は、何もわかっていないのです。
 しかし、なぜ、最近になって、未知の天体発見のニュースが相次ぐのでしょうか。
 少し気になる情報があります。惑星Xの研究家として名高いマーク・ヘイゼルウッド
という人がいます。彼は、自らの著作の中で、「惑星X=ニビルは、まもなく地球に接
近する」といっているのです。仮に木星ほどの惑星が本当に太陽系の中に侵入してくる
とすれば、すでに何らかの異変や兆しがあらわれているはずですが、実はその兆しはあ
るのです。このことについては、明日のEJでお話しします。  ・・・[ノアの洪水2/10] 

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2007年02月15日

惑星Xはすでに撮影されている(EJ第1030号)

 「惑星X=ニビルは、まもなく地球に接近する」――惑星Xの研究家、マーク・ヘイ
ゼルウッドは、このようにいっています。もし、これが本当なら、その兆候はいろいろ
なところに、すでにあらわれているはずです。
 その最初の兆候は、海王星にあらわれたのです。2002年1月のことです。青緑色
の海王星の北半球に新しい暗斑が出現したのです。もともと海王星の北半球には、暗班
はあったのですが、2001年1月時点のハッブル宇宙望遠鏡による観測では消滅して
いたのです。
 今回発見された暗班は、消滅した暗班と線対称の位置にあたりその暗班の上空には、
明るく光る雲が出現していたのです。これが何であるかは謎に包まれています。
 この現象に対しヘイゼルウッドは、暗班が消えたり出現したりする現象は、海王星の
動きが活発化している証拠であり、その結果、雲を発生させたといっています。
 それでは、どうして海王星の動きが活発化したのでしょうか。それは、海王星の外側
に大きな惑星――つまり、惑星Xが存在しているからではないかとヘイゼルウッドは推
測するのです。
 続いて木星にも異変が起こっているのです。2001年1月のことです。米国の惑星
探査機「カッシーニ」が木星付近を通過したとき、木星の大赤班を撮影したのですが、
これを1979年にボイジャーによって撮影されたものと比較してみると、明らかに縮
小傾向にあるというのです。つまり、木星の活動も、活発になっているのです。
 さらに火星にも異変があらわれています。火星といえば、地球の隣です。火星では、
過去3年間にわたって得られたデータによると、火星の氷冠が速度を速めて溶け出し、
縮小しているというのです。このままだと大量の二酸化酸素が放出され、火星全体で、
大規模な温室効果の状況になる可能性が高いのです。
 さらに火星では、巨大な砂嵐が頻発しているのです。2001年6月15日に砂嵐が
発生し、北半球にも広がり、火星全体の約半分が砂嵐に巻き込まれてしまっているので
す。このようなことは前例がなく、その原因は不明です。
 それでは、地球ではどうでしょうか。
 まず、異常気象があります。そして、多数の死傷者が出る大規模地震も頻発していま
す。2001年は世界各地で65回も大規模地震があり、20000人以上の人が死ん
でいます。米カルフォルニア州バークレー民間地震調査機構(CNSS)によると、1
995年を境に地下500キロレベルでの深層地震の頻度が急増しています。
 火山の噴火もよく起こります。2002年1月19日、アフリカで、過去25年間で
最大級の火山噴火が起きています。そして2002年夏にはイタリアのエトナ火山が噴
火、11月には南米エクアドルのエルレベンタドル火山が噴火し、隣接した州では非常
事態が宣言されています。
 それに洪水の発生も多いのです。2002年夏には中東欧や南アジア、中国、メキシ
コで同時に洪水が発生しています。このようなことは前代未聞です。何かおかしいし、
何かが狂ってきていることは確かです。
 それに、恐ろしいことに、最近太陽系の小惑星や彗星がよく衝突することです。19
94年7月16日に、シューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突したのですが、こ
のときのエネルギーの合計は、地球にあるすべての核爆弾の10倍以上に相当するとい
うのです。
 米アリゾナ州にある地質学研究所の宇宙地質学者であるユージン・シューメーカー博
士は、もし、この彗星が地球に落ちていたら、人類を含む生態系は絶滅の危機に瀕した
はずであるといっているのです。
 博士によると、地球に落下してもおかしくない小惑星、隕石、彗星は約2500個も
あるのです。もし、惑星Xが太陽系に侵入することによって、これらの小天体の軌道に
影響を与えれば、いつ地球を襲ってきても不思議はないとシューメーカー博士は警告を
発しています。
 海王星、木星、火星のいずれにも異変が起きており、そして、地球にも明らかに異常
な変化が感じられます。さらに、太陽がおかしいことを指摘する学者もいます。
 太陽は極大期が終ったはずなのですが、2001年から活性化しているのです。それ
は、外から何らかの影響を受けているとしか考えられないのです。そのせいで地球に放
射される磁力に乱れが生じ、地球全体に影響を与えているというのです。
 磁場(じば)の影響を受ける回遊魚や渡り鳥の行動パターンにも影響が生じていま
す。明らかに太陽を含む太陽系の惑星に対して何らかの「見えざる力」が働いているの
です。どうやら、惑星Xの接近はデマではないようなのです。
 ここに衝撃的な2枚の衛星写真があります。添付ファイルを見ていただきたいのです
が、これは、2002年4月14日と15日の両日、ロシアの秘密衛星「ノーロック
(NORLOK)」によって撮影されたものです。
 多くの星の中に不気味に赤く光る星が見えますね。これが地球に現在接近中といわれ
る惑星Xだといったら、あなたは信じるでしょうか。
 この写真は、ロシアが公表したものではなく、リークされたものです。リークしたの
は、オルグ・マンドゥレク――ロシアの秘密プロジェクト「ノーロック」にかつて所属
していた人物であるといわれます。このプロジェクトは、かつての原爆実験の試験場で
あったセミパラティンクスというところに、専用の基地が設置され、そこで作業が行わ
れていたのです。
 そのプロジェクトの目的は、未知の惑星Xの探査にあり、ロシアとしては、1990
年には惑星Xの実在を確認し、そのフォローをやっていたのです。その天体が写真の赤
い星です。・・・ [ノアの洪水2/11]

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2007年02月16日

惑星Xが地球に近づきつつある!?(EJ第1031号)

 最近モスクワの市街地のあちこちに奇妙な看板が目立っているそうです。看板には、
「新しい惑星が近づいている」というキャッチコピーとともに、赤い不気味な惑星の絵
が描かれています。何かの宣伝のようにも思えますが、ロシアの極秘プロジェクト「ノ
ーロック」のことを考えると、単なる宣伝コピーとは思えないのです。詳細は添付ファ
イルをごらんください。
 2000年9月13日のロイター電によると、経済会議に出席していたロシアの首脳
が、相次いで天変地異ともとれる発言をしていることを伝えています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      2003年、ロシアは未曾有の人口減少に見舞われるだろう
                      ――ボリス・グリズロフ
      2003年、ロシア国内では連鎖的に自然災害が起こり、国
      家存続の危機を迎えるかも知れない
                        ――プーチン大統領
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 情報筋の話によると、ロシアはかなり前から太陽系に侵入してくる未知の天体に注目
し探査を開始しています。昨日のEJでもお伝えした極秘プロジェクト「ノーロック」
はそのために設立されたのです。
 その後、ロシアはそのプロジェクトの推進の一環として、赤外線探査衛星「NORL
OK」を密かに打ち上げ、オリオン座の方向に位置している未知の天体の存在をキャッ
チし、観測を開始したのです。そして、2002年4月に「NORLOK」が撮影に成
功したのが、昨日のEJに添付した2枚の写真なのです。ロシアの首脳がさかんに天変
地異を口にしているのは、これと無関係ではないと考えられます。
 当然世界中の天文学者がこの謎の惑星Xの観測を競ってやっています。2002年1
月のことですが、土星の軌道付近を移動する謎の天体をある天文学者が写真撮影して話
題になりましたが、この未知の天体は地球の4倍もあるというのです。
 当然NASAも惑星Xについては、詳細な情報を掴んでいるはずですが、一切公表し
ていないのです。情報を総合すると、その未知の天体、惑星Xは、2002年9月15
日現在、オリオン座と牡牛座の中間あたりに位置しており、2003年のはじめには市
販の天体望遠鏡でも、その姿をとらえられるようになるということです。
 未知の天体が惑星であるとすると今までに何回も地球に近づいてきているはずです。
その周期については諸説がありますが、3600年周期という説が支配的です。それな
ら、古代人の記録の中に何らかの記録が残っているはずです。
 これに関して興味深い話があります。それは米国南西部の4つの州に住んでいる「ホ
ピ族」という部族に伝わる伝承と予言です。ちなみに南西部の4つの州とは、ユタ、コ
ロラド、アリゾナニューメキシコの4つです。
 ホピ族は文字を持っていません。そのため、古代からの伝承と予言を、口伝えや岩絵
で子孫に残してきています。その中に、世界の終る末日=浄化の日の前に出現する「青
い天体」の予言があるのです。ホピ族は、広島と長崎に投下された原爆について事前に
語り、的中させたことで有名です。
 1995年にその「青い天体」がやってきたのです。尾を2本持つ星として知られる
「ヘールボップ彗星」が飛来したのです。これについては、添付ファイルをごらんくだ
さい。聖地で会合を開いたホピ族の長老たちは、その星が地球全体の浄化のはじまる前
兆であると宣言しています。
 そして、彼らは次のようなメッセージを世界に向けて発信しはじめたのです。概要を
まとめておきます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      ・浄めの星は、今この瞬間も天空を飛んでいる。これは、予言
       にも記された浄めの時代であることの知らせである。
      ・変化は大都市を中心に顕著になる。今後2年間、世界的な規
       模の不況が訪れる。食料も飲料水も手に入らない状態は2〜
       3ヶ月も続き、都市部は飢えた人々や病人で溢れる。
      ・凶兆をもたらすのは次々と地球を襲う彗星である。大西洋と
       太平洋に大きな彗星が落ちる。その後に出現する浄化の星は
       天空にあらわれた後、しばらくその場にとどまるだろう。
      ・地球がすべて浄化されるには7年を要し、その間に地球は何
       回か北と南の逆転を繰り返す。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ホピ族の予言をよく読むと、「ポールシフト」を思わせる表現が出てきています。
「ポールシフト」とは、極の移動や逆転を意味しています。未知の天体、惑星Xによっ
て、そういう地球をゆるがすような大激変が本当に起こるのでしょうか。
 このホピ族の予言をまるでコピーするように同じことを告げている予言者がいます。
それは、第2のエドガー・ケーシーとして知られるゴートン・マイケル・スキャリオン
の予言です。彼は、2002年に次のように予言しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      宇宙空間から不気味な尾を引く物体が近づいてくる。太陽系は
      その物体で攪乱される。その影響で太陽は刺激され、活動を活
      発化させている。彗星がいくつも地球を直撃しているのが見え
      る。パニックに陥った人々が安全の地を求めて、逃げまどって
      いる。       ――ゴードン・マイケル・スキャリオン
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「ノアの大洪水」の話を発展させてきたのですが、とんでもない話になってしまいま
した。月からはじまった宇宙の話は、もうひとつある天体の話をしたあと、再び月の話
になって終るのですが、また宇宙の話を取り上げたいと思います。・・・ [ノアの洪水2/12]               

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2007年02月19日

純国産有望技術/有機ELとは何か(EJ第1090号)

 2003年4月18日付の日本経済新聞朝刊に、次の見出しの記事が出ていたのをご
存知ですか。かなり大きな記事です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        パイオニアの有機ELディスプレイ
        フィルム状でフルカラー/世界初、折り曲げも自在
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この記事は何を伝えているのかというと、パイオニアが、フルカラーの動画を映し出
せるフィルム状の有機ELディスプレーの開発に成功したというニュースです。既に、
ガラス製の有機ELは量産化がはじまっていますが、フィルム状の有機ELは世界初の
快挙ということです。
 パイオニアが今回開発に成功したのは、定期券程度の大きさのフィルムで、重さは3
グラム――画素に関しては次の通りであり携帯電話の表示装置として普及するものとみ
られます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
           縦 ・・・・・ 120画素
           横 ・・・・・ 160画素
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 EJでは、2001年5月16日のEJ616号で、一度有機ELを取り上げていま
す。その時点では、有機EL技術もまだそれほどでもなく、情報も少なかったので、日
本がリードしている新技術としての紹介にとどめたのです。
 しかし、ここにきて、冒頭のパイオニアの開発に見られるように、有機ELの技術は
大きく前進し、実用化の域に達しつつあります。しかも、純国産技術として日本が完全
に世界をリードしている将来有望な技術なのです。そこで、少し詳しくこの技術を、E
Jの新テーマとして取り上げてみることにします。
 まず、有機ELとは何でしょうか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
           有機EL=Electroluminescence
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 有機ELはのELは、「エレクトロ・ルミネッセンス」の意味であり、電気を有機物
に通すことで発行させる技術のことです。そして、有機ELは、次世代フラット・ディ
スプレイの本命技術のことです。なお、ELを英語で書くときは、次のようには書かな
いので、注意が必要です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
           Electro Luminescence
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ディスプレイ市場を2分するのは、テレビとPC用のディスプレイです。大雑把にい
って、テレビが30%、PC用のディスプレイは50%、残りの20%は、携帯電話、
PDA、デジカメなどのディスプレイと車に搭載するパネル用になっています。
 それらのディスプレイに何が使われているかを2000年の経済産業省の統計で見
ると、次のようになります。市場全体としての規模は、約5.1兆円です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        液晶 ・・・・・   2.7兆円  52.9%
        ブラウン管 ・・   2.3兆円  45.0%
        プラズマ ・・・   0.1兆円   2.1%
               ―――――――――――――――――――――――
                   5.1兆円 100.0%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 最近は、液晶の明るさは一段と向上し、価格も下がっており、今後はテレビでもPC
用のディスプレイでも液晶が中心になっていくと考えている人は多いと思います。
 しかし、そうとはいえないのです。確かに液晶は、ブラウン管にない「薄さ」という
大きなメリットがありますが、ディスプレイとしての基礎能力は、意外に高くはないの
です。というのは、液晶は自らは光を発する物質ではなく、バックライトが必要である
こと、コストが高いこと、上や下、横から見ると色変わりがあることや高速な動きにつ
いていけない反応の遅さなど――大きな問題点がいくつもあるからです。
 それでは、液晶の次の候補として、どのような技術があるのでしょうか。主要なもの
は、次の3つです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       1.有機EL
       2.PDP(プラズマ・ディスプレイ)
       3.FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これら3つのなかで一番の本命が有機ELなのです。経済産業省の予測によると、2
010年の世界のディスプレイ市場は次のようになっています。なお、ディスプレイ市
場で知っておくべきことは、日本、韓国、台湾の3国で、世界シェアの大半を占めてい
るということです。つまり、市場のほとんどをアジアが押さえているわけです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       液晶 ・・・・・・  4.40兆円  36.9%
       有機EL ・・・・  4.10兆円  34.4%
       ブラウン管 ・・・  1.55兆円  13.0%
       FED ・・・・・  1.45兆円  12.2%
       プラズマ ・・・・  0.40兆円   3.5%
              ――――――――――――――――――――――――
                  11.9兆円 100.0%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 市場規模は2000年の5.1兆円から11.9兆円と倍増の勢いであり、そのなか
において、有機ELは全体の34.4%を占め、大きく液晶に迫っているのです。
                          ・・・ [有機EL/01]

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2007年02月20日

有機ELと液晶を徹底比較する(EJ第1091号)

 ディスプレイを選ぶとき、一番重視すべきポイントとは一体何でしょうか。何といっ
てもそれは「どのくらい美しく見えるか」ということに尽きると思います。
 ディスプレイの「美しさ」を決める基準のひとつに「輝度」があります。「輝度」は「キラキラ感」ともいわれます。雨が激しく降っていて、そこに稲妻がピカリと光ったり、時代劇で日本刀がキラリと光る――それに、海岸でさざ波がキラキラ白く輝くといった光り方をディスプレイでどこまで表現できるかというのが「輝度」なのです。
 こういう光り方を可能にするには、例えば、稲妻が光った瞬間に急激に大電流を流す
か、電圧を瞬間的に高くすることによってピカッと鋭利な光り方をさせることができる
のです。これを「瞬間最高輝度を上げる」といいます。
 しかし、この瞬間最高輝度を上げることは、ブラウン管やプラズマ・ディスプレイ、
有機ELなどの自発光型ディスプレイではできるのですが、液晶は自ら光ることのでき
ないディスプレイであり、画面の一部だけに瞬間的に大電流を流すことはできないので
す。そういう意味で液晶は、ブラウン管型ディスプレイ(CRT)を超えてはいないの
です。
 液晶は透過型ディスプレイであり、バックライトとして蛍光灯の光を必要とします。
バックライトの輝度はいくらでも上げることはできますが、それは輝度を全体的に上げ
ることになってしまうのです。液晶はコントラストが低いといわれるのは、そのためな
のです。
 それでは、液晶はどのようにしてコントラストをつけるのかというと、蛍光灯の輝度
を高めに設定して、そこから、光のシャッターとして機能する液晶素子によって、輝度
をマイナスして表示するのです。明るさをプラスすることはできないのです。
 これに対して有機ELの場合は、一定の輝度にプラスして電流を調整することによっ
て、光らせるべきところはいくらでも光らせることができるし、光っていないところは
とことん光らせないようにできるのです。したがって、黒の部分は徹底的に黒く、白い
ところは、輝くような白にすることが可能なのです。そのため美しいコントラストをつ
けることができます。
 液晶は、その「薄さ」において優位性があるといわれますが、これはあくまでブラウ
ン管との比較における「薄さ」であって、有機ELのそれとは比較にならないのです。
液晶ディスプレイというのは、結晶のようにきれいに並んだ液状の有機物質――液体材
料という――を使うので、何かに封じてやる必要があります。
 実際には、2枚のガラス板で挟んで保持することになります。それに液晶にはバック
ライトの部分が必要ですから、どうしても「薄さ」に限界が生じてしまいます。
 プラズマ・ディスプレイの場合、プラズマは気体なので、やはり2枚の板ではさむ必
要がありますが、プラズマは自ら光ることができるので、液晶よりはかなり薄くするこ
とができます。バックライトは必要ではないからです。
 これに対して、有機ELの素材は個体なのです。その素材を非常に薄い膜にして1枚
のガラスのような基板に貼り付ける――その膜の薄さは実に0.1ミクロンであって、
2層の電極だけが必要であり、挟む必要はないのです。
 基板は単なる補強材に過ぎないのです。基板はガラスである必要はなく、プラスチッ
クでもいい、フィルムでもいい――ステンレス板でも別にかまわないのです。その構造
は、きわめてシンプルそのもの――そのため有機ELを使えば、究極の壁掛けテレビが
実現することになります。
 さらに液晶のディスプレイとしての大きな欠陥は、応答速度の遅さが上げられます。
液晶テレビは、野球やサッカーなどの早い動きについていけないのです。もちろん、最
近この面は大きく改善されてはいますが、応答速度の遅さは液晶の原理的な問題であっ
て、改善したとしてもそれだけコストがかかることを意味します。これに対して有機E
Lは、液晶の1000倍の速度といわれており、テレビやDVDの表示には無類の強さ
を発揮することになります。
 それでは、有機ELは大型化できるのでしょうか。プラズマ・ディスプレイは、大型
化は得意ですが、小型化は困難なのです。もちろん液晶も大型化は困難であり、現在の
大きさにするまでに長い期間がかかっています。
 ところが、有機ELは、大型でも中型でも小型でも、何でも可能なのです。これによ
って、大型テレビから、家電製品のバネル小さいものでは、携帯電話やデジカメのディ
スプレイ、PDAなど、きわめて広範囲に利用できるのです。
 このように検討していくと、有機ELはいいことづくめでありこれといって欠点は見
られないのです。
 最後に、10のチェック項目における液晶との比較リストを示しておきます。『有機
ELのすべて』(日本実業出版社刊)の著者、城戸淳二山形大学工学部教授(有機EL
国家プロジェクト座長)によるチェックリストです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                液  晶    有機EL
         消費電力     ○       ◎
         応答速度     △       ○
         大 型 化     △       ○
         画  質     △       ○
         寿  命     ○        ○
         コ ス ト     △       ○
         視 野 角     △       ◎
         輝  度     △       ○
         柔 軟 性     ×        ◎
         耐震耐熱     △       ○
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                           ・・・[有機EL/02]

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2007年02月21日

『面』光源として応用できる有機EL(EJ第1092号)

 昨日までのEJで、有機ELが液晶などと比べると、ディスプレイとしていかに優れ
ているかについてお話ししました。しかしあまり良いことづくめでは、かえって信用さ
れないということがあっても困りますので、あえて問題点を指摘しておきます。
 有機ELの唯一の弱点は素子寿命が短いということです。確かに2002年までは、
有機ELの素子寿命は1万〜2万時間程度だったのです。このままでは、10万時間以
上といわれる液晶に対抗できないのです。
 しかし、有機ELの技術革新はすばらしく2002年中に、その「10万時間以上」
をクリアしてしまっているのです。さらに技術が進むと、素子寿命はもっと伸びる可能
性があり、既に問題点ではなくなりつつあります。
 強いてもうひとつ問題点を上げると、発光効率と耐久性の高い材料の開発が必ずしも
容易ではないという点があります。有機ELの材料の質によっては、耐久性に問題が出
てくるからです。しかし、こういうことは、他の技術にもありますし、決してクリアで
きない課題ではないといえます。
 それどころか、有機ELは、次世代フラット・ディスプレイの分野だけではなく、照
明市場に大きな影響を与えようとしているのです。照明といえば、現代においても、エ
ジソンの発明以来の白熱灯(電球)と蛍光灯が中心ですが、そこに有機ELが入り込も
うとしているのです。白熱灯や蛍光灯と対比すると、次のようになります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          1.白熱灯  ・・・・・ 「点」光源
          2.蛍光灯  ・・・・・ 「線」光源
          3.有機EL ・・・・・ 「面」光源
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 有機ELの場合、「面」そのものが光るという全く新しい光源です。非常に明るく、
しかも、とてつもなく薄いのです。だからどこにでも貼り付けられるので、天井に有機
ELの照明シートを貼れば、天井全体が光り、非常に明るいのです。文字通り部屋の隅
々まで光があふれます。
 有機ELは、どのような色も出せるので、白色を出せば普通の照明に使えます。もち
ろん、さまざまな色を使って、イルミネーションとしても使えます。現在のところ消費
電力では白熱灯よりも小さく、蛍光灯よりも大きいというレベルですが、将来的には、
消費電力で蛍光灯より小さくなるといわれています。
 もうひとつの可能性として、有機ELによる「電子ペーパー」というものが考えられ
ます。いきなり「電子ペーパー」といわれてもピンとこないと思いますが、ここでペー
パーとは文字通り紙のことではなく、紙のように薄いフィルム状のもの――それが「電
子ペーパー」なのです。
 そこまでいうと、EJ1090号に添付した朝日新聞の切り抜き記事を思い出してい
ただけると思います。その記事は、パイオニアによって、世界初のフィルム状の有機E
Lの開発に成功したと報じています。これこそ「電子ペーパー」そのものです。
 「電子ペーパー」は、シート状のディスプレイです。シート状ですから、くるくると
巻いて持ち運びができますし、テレビとしてもPCのディスプレイとしても使えます。
もちろん、フルカラーですし、ディスプレイですから、動画も扱えます。
 こういうディスブレイが出現すると、PCの形状――とりわけノートPCの形状が大
きく変わる可能性があります。ノートPCからディスプレイの部分とキーボードの部分
を切り離したら、とても軽くなるはずです。そして、箱型になったPCの本体部分をか
ばんの中に入れておき、手に持つのはシート状のディスプレイとマウスのみというスタ
イルです。かばんの中の本体部分とディスプレイとは、ブルーツゥースを使って無線で
つなぐのです。
 このように、有機ELは、ディスプレイの分野だけではなく、照明市場、電子ペーパ
ー(シート・ディスプレイ)などの分野でも使われようとしています。しかし、これほ
ど有望な技術でありながら、有機ELの正体は一般にはあまり知られているとはいえな
いと思います。そこで、EJでは、できるだけわかりやすく、その正体に迫ってみたい
と思います。
 その前に、電子ディスプレイの世界で使われている技術を整理しておきます。
 ディスプレイに使われる素材には、自ら光を発するタイプと光を発しないタイプがあ
ります。現在、幅広く使われている液晶は後者、光を発しない「受光タイプ」に属する
のです。王者、液晶としては、これが最大の弱みとなります。
 この液晶を超える技術としてひしめきあっているのは、いずれも自ら光を発する「自
発光タイプ」です。もちろん、有機ELもその中に入ります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       1.CRT(ブラウン管)
       2.POP(プラズマ・ディスプレイ)
       3.EL(有機EL/無機EL)
       4.FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)
       5.VFD(蛍光表示管)
       6.LED(蛍光ダイオード)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 有機ELは、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の中に入るのですが、無機ELと
いうのもあるのです。無機ELというのは無機蛍光体という素材を使うのですが、薄膜
無機ELというタイプがその耐久性の高さから、主として工場で使う機器のディスプレ
イや車載用に使用されています。
 一時期、日本語ワープロのディスプレイとしても使われたのですが、カラー化ができ
ないことや、高電圧、交流駆動であるため消費電力も高いことから、液晶との競争に敗
れています。明日のEJでは、有機ELの正体に迫ります。・・・ [有機EL/03]

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2007年02月22日

有機ELの材料に関する基礎知識(EJ第1093号)

 「有機」というと、「有機農法」とか「有機米」というように使われますが、そもそ
も「有機」というのは何でしょうか。有機ELを理解するには、このあたりからはっき
りさせていく必要があります。少し田中耕一さん的な世界に入りますが、逃げないでつ
き合っていただきたいと思います。
 化学の世界で「有機」というのは、次のように考えられているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     有機とは、動植物の体をつくっているものであり、人為的に合
      成することができないものである
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 有機というのは「オーガニック」(organic)の日本語訳で「オーガン」とは「内臓」
を意味するのです。これに対して「無機」というのは、石とか岩のように生物とは関係
のないもの――つまり、生物に関係のあるものとそうでないものというそういう分類が
「有機」と「無機」なのです。
 しかし、あとになって、石油から人工的に多くの有機物が作れることがわかってきて
生物と無生物で分ける意義がなくなってきています。そこで、現在では、「炭素を骨格
とする化合物」のことを「有機化合物」といっています。
 有機化合物の基本形というものがあります。学校の化学の時間を思い出すことになり
ますが、あえて説明します。Cは炭素、Hは水素です。
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              H         H H
              I         I I
            H−C−H     H−C−C−H
              I         I I
              H         H H
             メタン        エタン
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 基本形として、炭素1個と水素4個からなる「メタン」と炭素2個と水素6個からな
る「エタン」というものがあります。これらは「ガス」です。炭素を3個にし、水素を
8個にすると「プロパン」になります。
 骨格になる炭素の数に対応して、水素の数を増やしていくと、いろいろなものができ
ます。炭素8個と水素18個の組み合わせは「オクタン」と呼ばれる液体になりますし
炭素の数を数万個にしてつなぐと、プラスチックの一種である「ポリエチレン」になり
ます。「ポリスチレン」や「ポリエステル」などもこれと同種です。こういうものは、
すべて炭素化合物、すなわち、「有機物」なのです。
 こういう化合物ではない有機物は天然に広く存在しています。しかし、そういう天然
の有機物を有機ELの材料として使うことはなく、材料として使われるのは人工の有機
化合物です。
 ですから、有機ELを研究している学者は、さまざまな有機化合物を人工的に作り上
げ、有機ELの材料として使ってみて発光の状態などを調査しているのです。なぜなら
材料こそが有機ELの品質を決めるからです。
 有機ELの材料(有機材料)を考えるうえで、知っておくべきことがあります。それ
は、有機物には次の2つの種類があることをです。
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         1.低分子系の材料
         2.高分子系の材料 ・・・ ポリマー系
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 「低分子」と「高分子」を分けるものは分子量の違いなのです。化学の基礎ですが、
分子とは、物質をつくっている最小の粒子で、そのものの基本になる性質をもっていま
す。分子は、普通いくつかの原子が結合してできています。「水」を例として考えまし
ょう。水をどんどん小さくしていくと、最後に、分割できない最小の粒子となります。
これが「分子」です。この分子をさらに分割すると水の性質はなくなり、水素原子2個
と酸素原子1個になります。水素や酸素などの原子量は次のように決まっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
             原子量
          H(水素) ・・・・・  1
          C(炭素) ・・・・・ 12
          N(窒素) ・・・・・ 14
          O(酸素) ・・・・・ 16
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 各物質の分子量とはこれらの原子量の合計した数なのです。水の場合は、水素原子2
個と酸素原子1個ですから、分子量は次の通り18になります。同様に、エチレン(C
2H4)は28になります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          H2O=1×2+16=18
          C2H4=12×2+1×4=28
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 それでは、低分子と高分子を分ける分子量は、どのくらいになるのかですが、大雑把
な目安は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          低分子 ・・・・・ 分子量 1000以下
          高分子 ・・・・・ 分子量10000以上
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 実は、高分子は、低分子をもとにして作るのです。低分子モノマーを、多数(ポリ)
集めて作るという意味で、高分子のことを「ポリマー」というのです。普通は高分子と
はいわず、ポリマーといっているのです。現時点で研究が進んでいるのは、低分子系の
方なのです。                     ・・・ [有機EL/04]

2007年02月23日

有機EL開発におけるコダック特許(EJ第1094号)

 「太陽電池」というものがあります。現在では、広く普及して電卓などに当然のよう
に使われています。乾電池などの補給が必要ないので、とても便利です。実は、有機E
Lの原理は、この太陽電池のちょうど逆の発想なのです。
 太陽電池は、太陽や電球などの光エネルギーを受けた物質が電気エネルギーを発生し
、電子機器を動かすというものです。有機ELはこれとは逆に、電気エネルギーを光エ
ネルギーに変えて、材料としての有機物に電気を流し、光らせようというものです。し
かし、プラスチックなどの有機物は電気が流れにくいのです。そういうわけで、多くの
学者がこの研究に挑んでは失敗していったのです。
 こういう状況のなかでひとつの道を拓いたのが、イーストマン・コダック社の、タン
という研究員だったのです。
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             C.W.タン――C.W.Tang
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 80年代のはじめのことですが、当時米国政府は石油対策として、太陽電池の研究開
発に多額の投資を行っていたので、イーストマン・コダック社でも、太陽電池の研究開
発を積極的に行っていたのです。
 しかし、タン氏が率いるコダック社の研究チームでは、太陽電池の素材に有機物質を
利用していたのです。普通はシリコンなどの無機物を使うのですが、コダック社のタン
・ チームは、他とは一味少し違う太陽電池を開発していたのです。いわゆる有機太陽電
・ 池です。そのとき開発された技術は次の4つです。
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             1.真空成膜技術
             2.電荷輸送性有機材料
             3.電極材料
             4.素子構造(多層構造)
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 簡単にいうと、タン氏らはその太陽電池制作の工程の中で、有機薄膜を積み重ねて使
うという独特の方法で、高効率化を実現することに成功していたのです。
 タン氏は、この有機太陽電池の制作経験から、効率よく有機物質に電気を通せれば、
有機物質を光らせることは可能と考えていたのです。そして、発光させる有機材料を2
層にするという卓抜なアイデアが実って、非常に高い輝度で光らせることに成功してい
るのです。
 しかし、コダック社内では、ほとんどタン氏は、相手にされなかったのです。という
のは、光るとはいってもほんの数分で消えてしまったからです。それどころか、コダッ
ク社は、タン氏にそのプロジェクトの停止を通告したのです。
 何やら青色発光ダイオードの開発に成功した中村修二博士の話とよく似ています。そ
こでタン氏は「プロジェクトを解散するなら、せめて論文だけでも発表させて欲しい」
と会社と交渉し、それを認めさせています。
 このコダック社というのは非常にシビアな会社で、技術者たちに、特許を出願しても
論文の発表は厳禁という不文律を押し付けていたのです。会社から論文発表の許可を得
たタン氏は早速論文を発表します。1987年のことです。
 結果として、この1987年という年を機に有機ELは大飛躍を遂げることになりま
す。というのは、タン氏の論文を見て、日本の学者、技術者、企業が続々とタン氏に会
いに、コダック社にやってくるようになったからです。その結果、タン氏のプロジェク
トは継続されることになったのです。
 ちなみに、「アプライド・フィジックス・レターズ」に掲載されたタン氏の論文を見
て積極的に動いた日本の企業は、次の8社です。まさに先見の明――日本企業は大した
ものです。そこから先は、有機ELは日本の独壇場になるのです。
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          ≪電機系メーカ≫   ≪化学メーカ≫
           1.パイオニア    7.三菱化学
           2.NEC      8.出光興産
           3.TDK
           4.スタンレー
           5.三洋電機
           6.東芝
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 コダック社のタン氏の研究成果により生まれた技術は次の2つです。これは「コダッ
ク特許」といわれています。
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           1.超薄漠を可能にしたこと
           2.発光層二層化の多層構造
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 有機層に電極を付けて電気を流す場合、有機膜が薄ければ薄いほど電気は流れやすく
なります。しかし、膜を薄くすると、ピンホールができてしまうのです。ピンホールと
いうのは、小さい穴とかすき間のことです。
 ピンホールが多い膜に金属の電極を付けると、金属がピンホールに入ってしまい、シ
ョートしてしまうのです。しかし、それを避けるために膜を厚くすると、相当高い電圧
をかけても電気が流れにくくなってしまうのです。
 そこでタン氏は、薄膜にしてもピンホールができない優れた有機材料を発見して使っ
ています。これは、低分子系の材料です。しかも、それを2層にして万全を期したこと
です。2層にするとたとえ1層目にピンホール欠陥があったとしても、2層目のコーテ
ィングによって、その欠陥を防ぐことができるのです。
 ところで、薄漠というのは、「真空蒸着」という方法で作るのですが、これはとくに
珍しい技術ではないのです。それよりも材料が有機ELの質を決めるのです。
                          ・・・ [有機EL/05]