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2007年02月01日

天体Mはなぜ『灼熱の氷惑星』なのか(EJ第1021号)

 太陽系が形成されたとき、核に固い物質を持つ惑星は太陽の重力によって太陽の近く
に集まり、岩石の地殻を持つ地球型惑星が誕生したのです。水星、金星、地球、火星が
そうです。これに対して密度の小さなガス状の気体で形成される惑星を木星型惑星とい
うのです。木星、土星、天王星、海王星、冥王星がそれに該当します。
 水というのは水素と酸素から構成されます。これらの元素を重いか軽いかという観点
で見ると、水素元素は元素のなかで一番軽いのです。太陽から出る光の粒子の圧力(光
圧力)によって最も軽い水素元素は太陽系の外側に飛ばされたので、水素元素を多く持
つ惑星――すなわち木星型惑星――は太陽系の最も遠くに位置するのです。
 これに対して、もうひとつの構成元素である酸素は比較的重い元素であり、これらは
太陽の万有引力によって引き寄せられるので、太陽系の内側の地球型惑星に多く分布す
るのです。天体Mの軌道は他の惑星の公転軌道に対して一定の角度をもって傾いていま
す。この天体Mが普通の惑星の公転軌道と交差するのは天体Mにおける1年に2回――
つまり、3000年に2回ということになります。
 当初天体Mは太陽系の外側にいるので水素原子を多く保有していたのですが、それが
地球の近くを通ることによって酸素を多く取り込み、長い間のうちにそれらが化合して
膨大なる水を形成したと考えられるのです。
 続いて、高橋氏が考えている天体Mの構造について述べることにします。
 天体Mは中心部に核を有しています。この核にC(炭素)やN(窒素)やH(水素)
といった元素が万有引力によって引きつけられて「殻」が形成されていったのです。こ
れにO(酸素)が引きつけられると「水」ができるのです。天体Mの核の大きさは地球
の2分の1程度と考えられています。
 天体Mは、その核のまわりに膨大な量の水をまとっています。天体Mには陸地はなく
すべては水でできています。しかし、宇宙空間は摂氏マイナス273.15度、表面の
水は凍結し、厚い氷の層が形成されています。その氷の厚さは30キロ〜60キロに達
しているといわれています。
 その氷の下は、3000キロ〜3600キロの水があります。地球の海の平均な深さ
は4000メートルといわれていますので、地球の海の深さの約1000倍も深いので
す。高橋氏はこれを海と呼ばず「水圏」といっています。
 もうひとつ大きな特徴があります。それは水圏の温度です。その温度は摂氏800度
〜1000度――「超熱湯」であるということです。摂氏1000度であれば水蒸気に
なって蒸発してしまうのでは――と考える人がいるでしょう。
 しかし、蒸発はしないのです。なぜなら、表層部こそ1000気圧程度ですが、水圏
の深層部では20万気圧を超えるすさまじい圧力がかかっているからなのです。
 水は摂氏100度になると沸騰して気体になります。しかし、水がそうなるには、水
にかかる気圧が1気圧であるという条件が必要なのです。もし、平地よりも気圧の低い
山の上でお湯を沸かすと、摂氏100度になる前に沸騰するし、逆に圧力をかけると摂
氏100度以上になっても沸騰しないのです。
 天体Mの水圏はまさにこの状態なのです。つまり、熱湯なのですが、沸騰しないし、
気体にはならない――しかし、表層部は氷で厚く覆われている――そこで、高橋氏は天体Mを「灼熱の氷惑星」と命名したのです。
 ここで、天体Mの核の部分が地球の半分であると考える根拠について、高橋氏は次の
ようにいっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       それは、小型地球(天体M)と本物の地球とのニア・ミス的
      な衝突を考える場合に、相手の質量が大きいと地球のものが相
      手の方にもっていかれるという不合理があるからだ。相手の方
      が地球よりも小さくなければ、地球は相手の持っているミズを
      奪うことができない。密度が両天体において等しい――どちら
      も平均密度5.52の固体天体である――場合ならば、半径を
      小さくしておかないと、相手の質量が小さくならない。それ故
      まず半径を2分の1と仮定し、したがって体積は8分の1、質
      量も8分の1になるとしたのである。
             ――高橋実著「灼熱の氷惑星」より。原書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 要するに高橋氏は、天体Mの水が地球に移されたと考えているのです。そのためには
、天体Mは地球よりも小さくなければならないという発想をしたわけです。
 高橋氏は、天体Mが地球に超接近して、天体Mと地球の重力が互いに干渉し、一瞬無
重力状態の空間が生じ、天体Mの一部の水にかかる水圧がゼロになる――これによって
膨大な圧力で封じ込められていた水が、堰を切って地球になだれ込んだと考えているの
です。これが「ノアの洪水」です。
 液体や気体は固体とは違って、つねに全体が同じ圧力になるような性質があります。
したがって、どこかに圧力ゼロの部分ができると、その部分をなくそうとして他の部分
から圧力が加わるのです。これは「パスカルの原理」として知られています。
 高橋氏は、天体Mは地球と超接近したと考えているのですが、それはきわめて短時間
のうちに起こったとしています。天体Mは周期3000年の長楕円軌道を描いており、
地球の公転面に対してほぼ垂直な軌道であるからです。地球との相対速度は秒速30キ
ロで、地球の直径分だけ通過するのに約400秒――およそ7分ぐらいの間の出来事と
いうことになります。
 問題は、どのくらい接近したかですが、高橋氏の計算によると1500キロ程度まで
接近しているのです。天体Mが地球にこの距離まで接近すると何が起こるかは、明日述
べることにします。               ・・・ [ノアの洪水2/02]

天体Mと地球の異常接近.jpg

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