いかにして天体Mは水を地球に移したか(EJ第1022号)
「ノアの洪水」の水は、天体M、すなわち、灼熱の氷惑星が地球のすぐ近くを通過し
たときに、天体Mから地球に移されたものである――これが高橋氏の立てた仮説です。
高橋氏は、天体Mを地球から1500キロメートル離して通過させたとき何が起こる
かについて思考実験を行なっています。既に述べたように、天体Mが地球を通り抜ける
のにわずか400秒しかかからないのです。
この400秒の間に、1500メートル離れた空間をわたって地球に物を移すことは
可能なのでしょうか。地球方向へ加速する大きな重力と、天体Mの速度を考えると、ち
ょうど後方に物を投げ出すようなことになるわけです。
ここでいう「物」を文字通りの固形物と考えると、大きな矛盾がいくつも出てきてし
まうのです。しかし、移される「物」が、「水」であると考えた場合、それらの矛盾は
ほとんど消えてしまう――高橋氏はこういっています。
ここで、天体Mの表面が分厚い氷層で覆われていることを思い出していただきたいの
です。そうすると、天体Mはちょうど満々とした膨大な水をたたえた巨大な氷の水がめ
のような感じになります。
この水がめが、地球に近づくにつれて無重力圏ができてくるのです。はじめは無重力
圏の面積は小さいですが、近づくにつれて大きくなっていきます。そして、地球と最も
近づく1500メートルの時点で、天体Mの核の手前600キロメートルのあたりまで
無重力圏が広がって最大になるのです。そして、前後を通じて800秒ほどの間、天体
Mの水圏の一部は一時無重力状態になるのです。この無重力圏は、ちょうどそこだけが
水がめのフタを外した状態になると考えてよいでしょう。これについて高橋氏は、非常
に緻密な計算を積み重ね、多くの図を使って説明していますが、かなり複雑なのでこれ
については省略します。
しかし、水がめのフタが開いたといっても、それは半径600キロメートルぐらいの
ものです。水圏自体は、巨大な水圧で天体Mの核へと引きつけられているのです。した
がって、そこから、水が外に向けて凄い勢いで噴出するためには、その無重力圏に対し
て、相当強い水圧がかかる必要があるのです。高橋氏はその圧力がどのくらいになるか
計算することに成功しています。
結論からいうと、この半径600キロメートルほどの中央開口部には、約500万気
圧の圧力が天体M自身のタテ方向(半径方向の水圧)の水圧の集積としてかかってくる
のです。
天体M自身の水圧は半径方向に天体Mの中心に向かって、圧縮するような方向にかか
っているのです。そこに一ヶ所無重力面ができるのです。つまり、圧力がなくなるわけ
です。この部分に関しては核に方向に押し付けられてはいないのです。そのため、開口
部には天体M自身の水圧が凄い力でかかってきます。
数値を出しておくと、開口面積が半径600キロメートルの円の場合は、約250万
気圧、開口面積が2000キロメートルの場合は、70万気圧になるのです。この無重
力圏の圧力は、地球との距離が近くなると急に大きくなり、少し距離が遠のくと極端に
小さくなるのです。
しかし、結論として述べた500万気圧にはあと250万気圧も足りません。高橋氏
は、その250万気圧に、地球の引力による「ずり下がり水圧」が加わるとていってい
るのです。
無重力圏の圧力は、地球との距離が離れているときは数万気圧してかからないのです
が、このずり下がり水圧は、相当遠い距離からきいてくるのです。数値でいうと、無重
力圏の気圧がせいぜい1万気圧のときに、ずり下がり水圧は、早くも20万気圧ぐらい
になっているのです。
ここで、添付ファイルの図を見ていただきたいのです。これはずり下がり水圧が横圧
によって生ずることを示しています。天体Mの水圏を仮に11の層に分け、外側から順
にⅠ、Ⅱ、Ⅲ・・・というように番号をつけます。
さらに1つの層を10個の輪に分け、その輪をエレメンタリ・バンドとします。この
バンドが地球の重力に引かれて、地球方向に向かってずり落ちてくるのです。
任意の1つのバンドは、縦方向、つまり天体Mの半径の方向に圧力を受けています。
もし、ここが固体である場合は、この圧力によって摩擦力が働くので、バンドがずり落
ちることはないのですが、水天体では摩擦がないので、このバンドのずり落ちを止め力
はありません。
各バンドは、その下のバンドに圧力を加えるので、最も下方のバンドは、その上方の
バンドの重みをすべて受けることになるのです。したがって、最後のバンドの側面は、
上方の質量の重みを全部、少ない面積で受け止めるので、その面に対する水圧は、開口
面積が狭いほど高くなります。高橋氏の計算によると、その水圧、すなわち、ずり下が
り水圧は最高230万気圧になります。合計すると、約500万気圧になります。
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無重力圏の異常水圧 ・・・・・ 最高250万気圧
ずり下がり水圧 ・・・・・・・ 最高230万気圧
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これはすさまじい水圧であり、水はノズルのように物凄い勢いで外に飛び出し、地球
上に注ぎます。その水の量は、数京トン(京は兆の1万倍)――これだけの水を毎秒2
0キロメートルでノズル状に地球上に飛ばすのです。地球がこの水によって埋め尽くさ
れても不思議はないのです。これが「ノアの洪水」であるというのが高橋氏の説です。
それは聖書でいうところの次の状況そのものです。天の窓(開口部)が開いたのです。
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この日、大いなる深淵の源がことごとく裂け、天の窓が開かれ
た――「創世記」第7章11節より
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・・・ [ノアの洪水2/03]
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