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2007年02月20日

有機ELと液晶を徹底比較する(EJ第1091号)

 ディスプレイを選ぶとき、一番重視すべきポイントとは一体何でしょうか。何といっ
てもそれは「どのくらい美しく見えるか」ということに尽きると思います。
 ディスプレイの「美しさ」を決める基準のひとつに「輝度」があります。「輝度」は「キラキラ感」ともいわれます。雨が激しく降っていて、そこに稲妻がピカリと光ったり、時代劇で日本刀がキラリと光る――それに、海岸でさざ波がキラキラ白く輝くといった光り方をディスプレイでどこまで表現できるかというのが「輝度」なのです。
 こういう光り方を可能にするには、例えば、稲妻が光った瞬間に急激に大電流を流す
か、電圧を瞬間的に高くすることによってピカッと鋭利な光り方をさせることができる
のです。これを「瞬間最高輝度を上げる」といいます。
 しかし、この瞬間最高輝度を上げることは、ブラウン管やプラズマ・ディスプレイ、
有機ELなどの自発光型ディスプレイではできるのですが、液晶は自ら光ることのでき
ないディスプレイであり、画面の一部だけに瞬間的に大電流を流すことはできないので
す。そういう意味で液晶は、ブラウン管型ディスプレイ(CRT)を超えてはいないの
です。
 液晶は透過型ディスプレイであり、バックライトとして蛍光灯の光を必要とします。
バックライトの輝度はいくらでも上げることはできますが、それは輝度を全体的に上げ
ることになってしまうのです。液晶はコントラストが低いといわれるのは、そのためな
のです。
 それでは、液晶はどのようにしてコントラストをつけるのかというと、蛍光灯の輝度
を高めに設定して、そこから、光のシャッターとして機能する液晶素子によって、輝度
をマイナスして表示するのです。明るさをプラスすることはできないのです。
 これに対して有機ELの場合は、一定の輝度にプラスして電流を調整することによっ
て、光らせるべきところはいくらでも光らせることができるし、光っていないところは
とことん光らせないようにできるのです。したがって、黒の部分は徹底的に黒く、白い
ところは、輝くような白にすることが可能なのです。そのため美しいコントラストをつ
けることができます。
 液晶は、その「薄さ」において優位性があるといわれますが、これはあくまでブラウ
ン管との比較における「薄さ」であって、有機ELのそれとは比較にならないのです。
液晶ディスプレイというのは、結晶のようにきれいに並んだ液状の有機物質――液体材
料という――を使うので、何かに封じてやる必要があります。
 実際には、2枚のガラス板で挟んで保持することになります。それに液晶にはバック
ライトの部分が必要ですから、どうしても「薄さ」に限界が生じてしまいます。
 プラズマ・ディスプレイの場合、プラズマは気体なので、やはり2枚の板ではさむ必
要がありますが、プラズマは自ら光ることができるので、液晶よりはかなり薄くするこ
とができます。バックライトは必要ではないからです。
 これに対して、有機ELの素材は個体なのです。その素材を非常に薄い膜にして1枚
のガラスのような基板に貼り付ける――その膜の薄さは実に0.1ミクロンであって、
2層の電極だけが必要であり、挟む必要はないのです。
 基板は単なる補強材に過ぎないのです。基板はガラスである必要はなく、プラスチッ
クでもいい、フィルムでもいい――ステンレス板でも別にかまわないのです。その構造
は、きわめてシンプルそのもの――そのため有機ELを使えば、究極の壁掛けテレビが
実現することになります。
 さらに液晶のディスプレイとしての大きな欠陥は、応答速度の遅さが上げられます。
液晶テレビは、野球やサッカーなどの早い動きについていけないのです。もちろん、最
近この面は大きく改善されてはいますが、応答速度の遅さは液晶の原理的な問題であっ
て、改善したとしてもそれだけコストがかかることを意味します。これに対して有機E
Lは、液晶の1000倍の速度といわれており、テレビやDVDの表示には無類の強さ
を発揮することになります。
 それでは、有機ELは大型化できるのでしょうか。プラズマ・ディスプレイは、大型
化は得意ですが、小型化は困難なのです。もちろん液晶も大型化は困難であり、現在の
大きさにするまでに長い期間がかかっています。
 ところが、有機ELは、大型でも中型でも小型でも、何でも可能なのです。これによ
って、大型テレビから、家電製品のバネル小さいものでは、携帯電話やデジカメのディ
スプレイ、PDAなど、きわめて広範囲に利用できるのです。
 このように検討していくと、有機ELはいいことづくめでありこれといって欠点は見
られないのです。
 最後に、10のチェック項目における液晶との比較リストを示しておきます。『有機
ELのすべて』(日本実業出版社刊)の著者、城戸淳二山形大学工学部教授(有機EL
国家プロジェクト座長)によるチェックリストです。
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                液  晶    有機EL
         消費電力     ○       ◎
         応答速度     △       ○
         大 型 化     △       ○
         画  質     △       ○
         寿  命     ○        ○
         コ ス ト     △       ○
         視 野 角     △       ◎
         輝  度     △       ○
         柔 軟 性     ×        ◎
         耐震耐熱     △       ○
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                           ・・・[有機EL/02]

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