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2007年02月21日

『面』光源として応用できる有機EL(EJ第1092号)

 昨日までのEJで、有機ELが液晶などと比べると、ディスプレイとしていかに優れ
ているかについてお話ししました。しかしあまり良いことづくめでは、かえって信用さ
れないということがあっても困りますので、あえて問題点を指摘しておきます。
 有機ELの唯一の弱点は素子寿命が短いということです。確かに2002年までは、
有機ELの素子寿命は1万〜2万時間程度だったのです。このままでは、10万時間以
上といわれる液晶に対抗できないのです。
 しかし、有機ELの技術革新はすばらしく2002年中に、その「10万時間以上」
をクリアしてしまっているのです。さらに技術が進むと、素子寿命はもっと伸びる可能
性があり、既に問題点ではなくなりつつあります。
 強いてもうひとつ問題点を上げると、発光効率と耐久性の高い材料の開発が必ずしも
容易ではないという点があります。有機ELの材料の質によっては、耐久性に問題が出
てくるからです。しかし、こういうことは、他の技術にもありますし、決してクリアで
きない課題ではないといえます。
 それどころか、有機ELは、次世代フラット・ディスプレイの分野だけではなく、照
明市場に大きな影響を与えようとしているのです。照明といえば、現代においても、エ
ジソンの発明以来の白熱灯(電球)と蛍光灯が中心ですが、そこに有機ELが入り込も
うとしているのです。白熱灯や蛍光灯と対比すると、次のようになります。
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          1.白熱灯  ・・・・・ 「点」光源
          2.蛍光灯  ・・・・・ 「線」光源
          3.有機EL ・・・・・ 「面」光源
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 有機ELの場合、「面」そのものが光るという全く新しい光源です。非常に明るく、
しかも、とてつもなく薄いのです。だからどこにでも貼り付けられるので、天井に有機
ELの照明シートを貼れば、天井全体が光り、非常に明るいのです。文字通り部屋の隅
々まで光があふれます。
 有機ELは、どのような色も出せるので、白色を出せば普通の照明に使えます。もち
ろん、さまざまな色を使って、イルミネーションとしても使えます。現在のところ消費
電力では白熱灯よりも小さく、蛍光灯よりも大きいというレベルですが、将来的には、
消費電力で蛍光灯より小さくなるといわれています。
 もうひとつの可能性として、有機ELによる「電子ペーパー」というものが考えられ
ます。いきなり「電子ペーパー」といわれてもピンとこないと思いますが、ここでペー
パーとは文字通り紙のことではなく、紙のように薄いフィルム状のもの――それが「電
子ペーパー」なのです。
 そこまでいうと、EJ1090号に添付した朝日新聞の切り抜き記事を思い出してい
ただけると思います。その記事は、パイオニアによって、世界初のフィルム状の有機E
Lの開発に成功したと報じています。これこそ「電子ペーパー」そのものです。
 「電子ペーパー」は、シート状のディスプレイです。シート状ですから、くるくると
巻いて持ち運びができますし、テレビとしてもPCのディスプレイとしても使えます。
もちろん、フルカラーですし、ディスプレイですから、動画も扱えます。
 こういうディスブレイが出現すると、PCの形状――とりわけノートPCの形状が大
きく変わる可能性があります。ノートPCからディスプレイの部分とキーボードの部分
を切り離したら、とても軽くなるはずです。そして、箱型になったPCの本体部分をか
ばんの中に入れておき、手に持つのはシート状のディスプレイとマウスのみというスタ
イルです。かばんの中の本体部分とディスプレイとは、ブルーツゥースを使って無線で
つなぐのです。
 このように、有機ELは、ディスプレイの分野だけではなく、照明市場、電子ペーパ
ー(シート・ディスプレイ)などの分野でも使われようとしています。しかし、これほ
ど有望な技術でありながら、有機ELの正体は一般にはあまり知られているとはいえな
いと思います。そこで、EJでは、できるだけわかりやすく、その正体に迫ってみたい
と思います。
 その前に、電子ディスプレイの世界で使われている技術を整理しておきます。
 ディスプレイに使われる素材には、自ら光を発するタイプと光を発しないタイプがあ
ります。現在、幅広く使われている液晶は後者、光を発しない「受光タイプ」に属する
のです。王者、液晶としては、これが最大の弱みとなります。
 この液晶を超える技術としてひしめきあっているのは、いずれも自ら光を発する「自
発光タイプ」です。もちろん、有機ELもその中に入ります。
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       1.CRT(ブラウン管)
       2.POP(プラズマ・ディスプレイ)
       3.EL(有機EL/無機EL)
       4.FED(フィールド・エミッション・ディスプレイ)
       5.VFD(蛍光表示管)
       6.LED(蛍光ダイオード)
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 有機ELは、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の中に入るのですが、無機ELと
いうのもあるのです。無機ELというのは無機蛍光体という素材を使うのですが、薄膜
無機ELというタイプがその耐久性の高さから、主として工場で使う機器のディスプレ
イや車載用に使用されています。
 一時期、日本語ワープロのディスプレイとしても使われたのですが、カラー化ができ
ないことや、高電圧、交流駆動であるため消費電力も高いことから、液晶との競争に敗
れています。明日のEJでは、有機ELの正体に迫ります。・・・ [有機EL/03]

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