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2007年02月22日

有機ELの材料に関する基礎知識(EJ第1093号)

 「有機」というと、「有機農法」とか「有機米」というように使われますが、そもそ
も「有機」というのは何でしょうか。有機ELを理解するには、このあたりからはっき
りさせていく必要があります。少し田中耕一さん的な世界に入りますが、逃げないでつ
き合っていただきたいと思います。
 化学の世界で「有機」というのは、次のように考えられているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     有機とは、動植物の体をつくっているものであり、人為的に合
      成することができないものである
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 有機というのは「オーガニック」(organic)の日本語訳で「オーガン」とは「内臓」
を意味するのです。これに対して「無機」というのは、石とか岩のように生物とは関係
のないもの――つまり、生物に関係のあるものとそうでないものというそういう分類が
「有機」と「無機」なのです。
 しかし、あとになって、石油から人工的に多くの有機物が作れることがわかってきて
生物と無生物で分ける意義がなくなってきています。そこで、現在では、「炭素を骨格
とする化合物」のことを「有機化合物」といっています。
 有機化合物の基本形というものがあります。学校の化学の時間を思い出すことになり
ますが、あえて説明します。Cは炭素、Hは水素です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
              H         H H
              I         I I
            H−C−H     H−C−C−H
              I         I I
              H         H H
             メタン        エタン
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 基本形として、炭素1個と水素4個からなる「メタン」と炭素2個と水素6個からな
る「エタン」というものがあります。これらは「ガス」です。炭素を3個にし、水素を
8個にすると「プロパン」になります。
 骨格になる炭素の数に対応して、水素の数を増やしていくと、いろいろなものができ
ます。炭素8個と水素18個の組み合わせは「オクタン」と呼ばれる液体になりますし
炭素の数を数万個にしてつなぐと、プラスチックの一種である「ポリエチレン」になり
ます。「ポリスチレン」や「ポリエステル」などもこれと同種です。こういうものは、
すべて炭素化合物、すなわち、「有機物」なのです。
 こういう化合物ではない有機物は天然に広く存在しています。しかし、そういう天然
の有機物を有機ELの材料として使うことはなく、材料として使われるのは人工の有機
化合物です。
 ですから、有機ELを研究している学者は、さまざまな有機化合物を人工的に作り上
げ、有機ELの材料として使ってみて発光の状態などを調査しているのです。なぜなら
材料こそが有機ELの品質を決めるからです。
 有機ELの材料(有機材料)を考えるうえで、知っておくべきことがあります。それ
は、有機物には次の2つの種類があることをです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         1.低分子系の材料
         2.高分子系の材料 ・・・ ポリマー系
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「低分子」と「高分子」を分けるものは分子量の違いなのです。化学の基礎ですが、
分子とは、物質をつくっている最小の粒子で、そのものの基本になる性質をもっていま
す。分子は、普通いくつかの原子が結合してできています。「水」を例として考えまし
ょう。水をどんどん小さくしていくと、最後に、分割できない最小の粒子となります。
これが「分子」です。この分子をさらに分割すると水の性質はなくなり、水素原子2個
と酸素原子1個になります。水素や酸素などの原子量は次のように決まっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
             原子量
          H(水素) ・・・・・  1
          C(炭素) ・・・・・ 12
          N(窒素) ・・・・・ 14
          O(酸素) ・・・・・ 16
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 各物質の分子量とはこれらの原子量の合計した数なのです。水の場合は、水素原子2
個と酸素原子1個ですから、分子量は次の通り18になります。同様に、エチレン(C
2H4)は28になります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          H2O=1×2+16=18
          C2H4=12×2+1×4=28
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 それでは、低分子と高分子を分ける分子量は、どのくらいになるのかですが、大雑把
な目安は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          低分子 ・・・・・ 分子量 1000以下
          高分子 ・・・・・ 分子量10000以上
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 実は、高分子は、低分子をもとにして作るのです。低分子モノマーを、多数(ポリ)
集めて作るという意味で、高分子のことを「ポリマー」というのです。普通は高分子と
はいわず、ポリマーといっているのです。現時点で研究が進んでいるのは、低分子系の
方なのです。                     ・・・ [有機EL/04]

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