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2007年03月01日

有機ELには国家プロジェクトがある(EJ第1098号)

 有機ELについて、かなりテクニカルな話が続いていますのでアタマが痛くなった人
も多いと思います。しかし、このくらい詳しく、ひとつの次世代技術について知ってお
くと、いろいろな面に役立つことが多いと思います。新聞記事を読んだ程度では、単な
る情報に過ぎず、応用は効かないものです。
 さて、有機ELは日本が独走状態であると述べましたが、具体的には、どうなのでし
ょうか。果たして、有機ELは、不況にあえぐ日本経済の救世主となり得るのでしょうか。
 有機ELの一番の狙い目は、ケータイ市場であると思います。この分野ではパイオニ
アが、まず、最初に参入しています。1999年のことです。しかし、これはエリアカ
ラーであり、国内向けではなく、モトローラの携帯電話向けに出荷されたのです。
 最近こういう技術革新のトップを突っ走っている企業は、つねにパイオニアなのです
。記録型DVDしかり、有機ELしかりとまさに社名のごとく、つねに先陣を切ってい
ます。
 2002年になると、韓国や台湾で、エリアカラーの携帯電話のディスプレイが発売
されています。東北パイオニア製のエリアカラーディスプレイなどは月産70万ユニッ
トも生産されているのですが、国内には販売されていません。日本のユーザには、フル
カラーでないと売れないという思い込みがあり、国内では販売していないのです。国内
はもっぱら液晶の全盛です。
 それでは、フルカラー有機ELの国内販売はいつになるのかというと、2003年か
ら数社で参入といわれています。もし、有機ELディスプレイが登場すると、液晶との
違いは歴然としており、急速に有機ELにシフトしていくはずです。
 有機ELにとって追い風になるのは、最近少しずつはやり始めているケータイの「動
画配信」です。そのため、あれだけ不振を極めている次世代携帯電話FOMAが、価格
が下がったこともあって、少しずつ売れ出しているのです。これなどは、動画配信が後
押しをしているといえます。
現在、液晶は輝度を上げてきれいに見せていますが、動画になると、液晶は決定的に
不利な立場に立たされてしまいます。というのは、液晶は素子移動が遅いため、動画に
は向かないのです。
 有機ELは、液晶の1000倍の速度で素子が移動するので、動画に向いており、液
晶の敵ではないのです。それに、カラーの美しさがありますから、ケータイ市場に有機
ELが参入すると、大きなシェアを獲得する可能性は大なのです。
 有機ELのテレビ化の状況はどうでしょうか。
 テレビ市場へのアプローチの方法は、60インチクラスの大型と、5インチ〜10イ
ンチクラスの小型の両端から、一番需要が見込める中型サイズに迫っていくという方針
のようです。
 メーカとしては、ソニー、三洋電機などが力を入れています。中でもソニーは「次世
代有機ELテレビはソニーが先陣を切る」という意気込みで取り組んでおり、2003
年1月には24インチ有機ELテレビを試作して発表しています。
 有機ELテレビのサイズの大小と、駆動方式との関係をまとめておきます。
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      大型〜特大型(40〜100インチ) ・・  パッシブ型
      中型〜 大型(15〜 40インチ) ・・ アクティブ型
      小型〜 中型( 5〜 15インチ) ・・ アクティブ型
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 興味深いのは、最大100インチクラスの特大テレビにパッシブ型が採用される可能
性が高いということです。60インチ以上のテレビとなると、有機ELの競合相手は、
もはや液晶ではなくPDP(プラズマ・ディスプレイ)なのです。
 軍配はどちらに上がるかというと、もちろん有機ELであるといえます。なぜなら、
有機ELは、プラズマと比べると、発光素子の効率が10倍以上も勝っていることと、
消費電力においても驚異的に小さくすることができるからです。それに、薄さ、軽さ画
質――何をとってもプラズマを凌いでいます。
 しかし、有機ELで、本当に60インチ以上が可能であるかどうか――これには、新
しく真空蒸着の装置を開発する必要があり大きなヤマが立ちはだかっているのです。
 ところが、この実現のために、2002年から、国家プロジェクトが立ち上がってい
るのをご存知でしょうか。
 日本の有機EL関係の「産・官・学」が結集し、それに加えて産業分野では、材料メ
ーカ、パネルメーカ、印刷会社など、日本を代表する有機EL12社が勢ぞろいして、
この国家プロジェクトに取り組んでいるのです。プロジェクト・リーダーには、山形大
学工学部教授/城戸淳二氏がなっています。
 この国家プロジェクトの目的は次の2つに絞られています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       1.60インチ有機ELディスプレイ/テレビを作る
       2.フレキシブルな「シート・ディスプレイ」を作る
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この2つの目的を5年以内(2002年〜2006年)に達成するというのです。最
近、この分野には、韓国、台湾が激しい攻勢をかけてきており、各社バラバラでやって
いると、いかに優れた技術を持っていても、負けてしまうのです。
 従来の国家プロジェクトは、国は資金のバラマキをやるだけで何も守ってくれないの
です。したがって、自国の中も、海外も敵ばかりという有様で、結局負けてしまうのです。
 しかし、今回は、有機ELの要(かなめ)になる材料メーカ、パネルメーカ、印刷会
社の3者が一体になっており、これがある限り、海外の敵に勝てるはずです。
 それに、このようなプロジェクトでは、どうしても最終商品のパネルに目が行ってし
まいますが、有機ELは材料しだいで勝負が決まるのです。その点、材料メーカとパネ
ルメーカが一体化しているので、大いに期待が持てます。・・・ [有機EL/09]

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