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2007年03月06日

青色の発見からスタートした有機EL(EJ第1101号)

 有機ELの話は、今日と明日で終りです。今朝は、有機EL制作の課題について考え
ます。
 有機ELの品質は、その材料がすべてを握っているといっても過言ではないですが、
具体的にはどのような材料を使うのでしょうか。そして、そのような有機材料は日本に
あるのでしょうか。
 材料がなくなる心配はありません。なぜなら、有機ELの材料のほとんどは石油から
作られるからです。石油からプラスチックが作られるように、石油を原料として石油化
学製品(有機物)はいくらでも合成することが可能なのです。
 初期の頃の有機ELの材料は、「アントラセン」という有機化合物が使われたのです。このアントラセン――青色に発光するのですが、実はこの「青色に光る」ということは
重要な意味を持っているのです。というのは、青色さえ出せれば、他の色はすべてその
青色から引き出すことができるからです。
 青色は、可視光線の中で一番波長が短く、それ以外の色はすべて青色よりも長波長に
なります。この長波長の色は、それよりも短波長の色から取り出せるのです。そういう
意味で、青色は特殊な色であるといえます。
 思えば、有機ELは、アントラセンが発見され、一番短波長の青色からはじまった意
義は大きいのです。もし、これが長波長の赤色からはじまっていたら、有機ELがこれ
ほど急速に実用化されることはなかったと思うからです。
 その赤色の発見からはじまった例として、レーザーの基になるLEDがあります。
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        LED=Light Emitting Diode/発光ダイオード
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 LEDについては、赤色が最初に発見され、橙色、黄色、緑色までは出すことができ
たのですが、高輝度で鮮やかな青色の光を放つLEDを作り出すことができなかったの
です。それをカルフォルニア大学の中村修二教授が開発に成功して、青色、藍色、紫色
が出せるようになったのです。しかし、それまでのLEDの発達は苦難の道乗りであっ
たといえます。赤色が最初に発見されるのと青色が発見されるのとでは天と地ほど違う
のです。
 ところで、もともと有機物というのは、電気の絶縁体に使われてきたのです。プラス
チックや電気のコードなどがそうです。その有機物に電気を通して光らせるというのが
有機ELなのですがこれを今から25年も前にやって成功させたのが、あのノーベル賞
の白川英樹博士です。このように考えてみると、この分野の研究で日本が強いことはわ
かると思います。
 有機材料についてはこのくらいにして、有機ELの最大の課題といわれる長寿化の問
題について考えてみます。
 1987年にコダックのタン氏が実験に成功したときの有機ELは、わずか数分しか
光らすことができませんでした。そのためコダック社は当初歯牙にもかけなかったので
す。しかし、その後、日本の学者の研究によって、寿命は10時間から100時間にな
り2003年1月の時点で、ある特定の材料では10万時間を超えるところにきていま
す。しかし、一番よく使われる材料では、せいぜい数万時間であり、この程度の寿命で
は商品化は難しいのです。
 寿命を延長させる方法としては、有機ELが劣化するメカニズムをひとつひとつ解明
し、それを潰していくというやり方があります。有機ELの劣化の主要な原因には次の
2つがあります。
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             1.発光効率が低下する
             2.ダークスポット増加
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 最初に「寿命」の定義をしておく必要があります。簡単にいうと、「明るさが半分に
なるまでの時間」ということになっているのです。1平方センチ当り5ミリアンペアの
電流密度で、5ミリ角の素子が100カンデラで光っているとすると、それが半分の5
0カンデラになるまでの時間が寿命ということになるのです。
 劣化の原因の第1は「発光効率が低下する」ことですが、これには、有機ELが光る
システムそのものに原因があるのです。というのは、有機ELの光る基本的なメカニズ
ムである次の2つの反応に原因があるのです。
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       1.還元反応 ・・・ 有機物に電子を与える
       2.酸化反応 ・・・ 有機物から電子をとる
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 有機ELはその構造上、電子を与えたり、引き抜いたりを繰り返えさざるを得ないの
ですが、そのプロセスにおいて化合物が何らかの副反応を起こして構造が変わってしま
うのです。構造が変化すると、光らない「消光サイト」が増えて、光る部分が少なくな
っていくのです。そのため、消光サイトが増えるにしたがって有機ELの発光効率が落
ちてしまうのです。
 副反応が起きる原因は、不純物が混じることにあるとされています。有機物の純度は
無機半導体の材料レベルには達しておらず、さまざまな方法によって徹底的な純度アッ
プを図るしかないのです。有機材料の純度決定法を確立する研究が進行中です。
 「ダークスポット」は、発光面の中にできる非発光点がボツボツと増えていく現象です。原因は電極材料と湿気(水)とが反応することです。対策としては湿気を完全に遮断す
るしかないわけですが、これについては既に解決されているといいます。
 現在の有機ELの寿命は、先ほど述べたように数万時間〜10万時間――1年が約8
000時間ですから、もし、10万時間であれば、10年以上は持つということになり
ますが、現在の家電レベルでは不十分であり、これをもう一桁増やすことを目標に研究
が続けられているということです。城戸教授によると、いずれも解決できる問題である
といっています。                  ・・・ [有機EL/12]

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