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2007年03月23日

H−Ⅱロケットの知られざる実力(EJ第1346号)

 2004年5月5日付の日本経済新聞の社説に「H2A立て直しに万全期せ」という
タイトルの主張が掲載されていました。H2Aといえば2003年11月29日に種子
島宇宙センターから打ち上げられ、失敗に終わった国産の主力ロケットのことです。
 それがなぜ今ごろ日経の社説になるのかというと、打ち上げ失敗の原因調査がいまだ
にもたついているからです。実は宇宙開発委員会は、3月のはじめに最終報告書の案を
まとめているのですが、その内容が身内に甘い分析をしているとして各方面から非難が
集中して修正を余儀なくされているのです。
 一体H2A(H−ⅡA)に何が起こったのでしょうか。それにしても、なぜ、日本の
ロケットはこうも頻繁に落ちるのでしょうか。H−ⅡAだけではないのです。なぜか日
本のロケットは失敗続きです。技術立国日本といわれるほど日本の技術は世界をリード
しているはずですが、なぜロケットだけはこうも遅れているのでしょうか。
 既に中国は、有人宇宙衛星の打ち上げに成功しているのにこの有様です。このまま行
けば日本の宇宙開発は、米国やロシア、それに中国に追いつくどころか、韓国にも、北
朝鮮にも、インドにも抜かれる恐れがあるのです。
 これについては、既に数冊の本が出ているのでかなり前から情報を集めていたのです
が、ロケットの問題は、あまりにも専門的な用語が多く、前提として知っておくべき知
識も多いので、EJのテーマに取り上げるのに二の足を踏んでいたのです。
 しかし、5月5日の日経の社説を読んで取り上げる決心をしました。専門的な内容で
すが、誰にでもわかるようわかりやすく記述するつもりですので、読んでいただきたい
と思います。今朝はその予告編として考えていただきたいと思います。
 最初に、H2A――EJではH−ⅡAと記述――の話からはじめることにします。H−
ⅡAロケットは、H−Ⅱロケットの後継機です。H−Ⅱロケットは日本初の完全国産化
を達成したロケットで、1994年の初フライトに成功して以来、これまでに7機の打
ち上げを行っています。
 実は、このロケットなかなかの優れものなのです。大きな特色を上げると、次の4つ
になります。
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        1.重量2トン級の静止衛星の打ち上げ能力がある
        2.全段自主技術開発による2段式ロケットである
        3.1トン級の静止衛星は同時に2個打ち上げ可能
        4.静止軌道以外の各軌道に打ち上げることが可能
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 なお、の段階で早くも「静止衛星」などの専門用語が出てきますが、それらの専門用
語はあとで説明しますので、ここでは、漠然とした特色だけを理解しておいていただき
たいと思います。
 宇宙開発先進国のロケットと比較して日本のロケットの際立つ特色として上げられる
のは、「経済的なロケット」という点にあります。具体的にいうと、H−Ⅱロケットは
人工衛星を静止軌道だけてなく、低・中高度の各種軌道に打ち上げられますし、1トン
程度の衛星であれば、同時に2個打ち上げることも可能ということですから、そういう
意味ではきわめて経済的といえます。それに、ロケット製造コストも他の先進国に比べ
て際立って低コストなのです。
 経済的といっても「安かろう悪かろう」では困りますが、日本のロケットの技術はわ
れわれが考えているよりは、はるかにレベルが高いのです。ちなみに、H−Ⅱロケット
の製造コストは1機約170億円ですが、その改良作であるH−ⅡAロケットの製造コ
ストは、半額の85億円にダウンしているのです。こういうことは他国には見られない
特色といえます。
 さて、H−Ⅱロケットは、1994年に初フライトに成功したあと、1997年まで
は順調に打ち上げ成功を続けていたのですが、1998年と1999年の2回にわたっ
て打ち上げに失敗し7機でその運用を中止しているのです。H−Ⅱロケットの7回の打
ち上げ記録を示しておきます。
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       1.H−Ⅱ1号機  成功  1994. 2. 4
       2.H−Ⅱ2号機  成功  1994. 8.28
       3.H−Ⅱ3号機  成功  1995. 3.18
       4.H−Ⅱ4号機  成功  1996. 8.17
       5.H−Ⅱ6号機  成功  1997.11.28
       6.H−Ⅱ5号機  失敗  1998. 2.21
       7.H−Ⅱ8号機  失敗  1999.11.15
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 これを見ると、6号機の方が5号機よりも早く打ち上げられていますが、ロケット開
発ではこういうことはよくあるのです。ちなみに、7号機は準備されていたのですが、
5号機と8号機が相次いで失敗したので、予定していた7号機の打ち上げは中止された
のです。そして、H−Ⅱで培われた技術は、H−ⅡAに受け継がれることになります。
 ここで注目すべきことがあります。H−Ⅱ1号機から3号機までは、ロケットの試験
なのです。これは、ことごとく成功しています。これらの3回にわたるテストでOKが
出たので、いよいよ本番の衛星の打ち上げがはじまったのです。そして、4号と6号、
では、次の衛星が打ち上げられています。
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      H−Ⅱ4号機 ・・・ 地球観測プラットフォーム技術衛星
      H−Ⅱ6号機 ・・・ 熱帯雨林観測衛星(TRMM)など
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 この成功の波に乗って、5号機では通信放送技術衛星、8号機では多目的衛星を打ち
上げる予定だったのですが、続けて失敗してしまうのです。なぜ、テスト成功のあと、
このような失敗が起こるのでしょうか。      ・・・ [日本宇宙開発/01]

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