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2007年04月12日

宇宙開発計画の司令塔はどこか(EJ第1360号)

 気象衛星にせよ、多目的衛星(偵察衛星)にせよ、それを企画し、設計し、設計内容
を精査し、計画を立てて製作する――そういう司令塔はどこなのでしょうか。
 はっきりしているのは、製作しているのはメーカであるということです。問題は、メ
ーカを指揮して製作に当たらせているのはどこなのでしょうか。
 文部科学省なのでしょうか。それとも、JAXA(宇宙航空研究所開発機構)なので
しょうか。それともそのための特定のプロジェクトチームなのでしょうか。
 一番それらしいのはJAXA(以前はNASDA)ということになりますが、JAX
Aが本当にロケットや衛星の開発のノウハウを持っているのでしょうか。
 このようにいうと、基本的なコンセプトや仕様をメーカに提示したり、設計に関して
指示を出しているという答えが返ってくると思いますが、JAXAは本当にそのような
ことができる能力を持っているのでしょうか。
 これらの疑問に対し、日本初の偵察衛星(「みどり2」/多目的衛星)の製作の軌跡
を簡単に振り返って、実態はどうなっているかについて検証したいと思います。
 先週28日のEJ第1359号で、北朝鮮のテポドン発射の直後から偵察衛星に対す
る風向きが大きく変わったことを書きましたが、実際に1998年9月7日、政府与党
連絡会議は「情報衛星プロジェクトチーム」(座長:中山太郎元外務大臣)を発足させ
ているのです。
 このプロジェクトチームのメンバーは、次の通りですが、いずれも自由民主党の防衛
族議員です。
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      中山 太郎(大正13年生) 大阪高等医学専門学校卒
      野呂田芳成(昭和 4年生) 中央大学法学部卒
      愛知 和男(昭和12年生) 東京大学法学部卒
      玉澤徳一郎(昭和12年生) 早稲田大学大学院政治学部卒
      衛藤征士郎(昭和16年生) 早稲田大学大学院政治学部卒
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 同年10月14日には、このメンバーでヒヤリングが行われているのですが、そのと
きの資料「多目的情報収集衛星システムの検討」は、三菱電機の鎌倉製作所のエンジニ
アが総力でまとめたのです。ちなみにその資料には、次のようなことまで書いてあった
のです。
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           1998年着手/2002年打ち上げ
           予算総額       2000億円
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 プロジェクトチームは、テポドン発射の10日後の9月10日から10月15日まで
に7回のヒアリングを行い、10月29日に「情報収集衛星導入についての提言」をま
とめて党に提出しているのです。なお、この提言書の詳細は、次のアドレスをクリック
すると、見ることができます。
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       http://www.jimin.jp/jimin/saishin9998/seisaku-21.html
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 そして、11月6日の閣議で、政府は2002年度に情報収集衛星4機を打ち上げる
ことを決定し、予算も1998年度の第3次補正予算で17億円を組み、直ちにこの計
画は動き出すことになったのです。何と素早いというか、電光石火というか――当時小
渕内閣は予算の大判振る舞いをしていたときですから、こういうことができたのかも知
れません。
 単に予算を取るまでの計画のまとめ方ではないのです。かなり具体的なことまでこの
短い間に決まっているのです。主要な5つの点をまとめると次のようになります。
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        1.比較的低軌道の周回軌道へ打ち上げる周回衛星
        2.必要な情報を高分解能で撮影できる機能を持つ
        3.1メートル以下の分解能を有する光学センサー
        4.悪天候や夜間時の撮影も可能なものにする機能
        5.同一地点を最低1日1回以上観測を可能にする
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 プロジェクトチームのメンバーの学歴を見ると、中山氏を除き全員が文科系です。そ
の中山氏の専攻も医学なのです。とてもではないが、ロケットや衛星に関して、基本的
なコンセプトを示したり、設計に関して指示ができるとは思えないのです。
 それなら、なぜ、このように早くまとまったのかというと、製作を担当した三菱電機
が衛星ビジネスのためにかねてから準備をしており、その計画をプロジェクトチームが
そのまま受け入れたからなのです。むしろ、プロジェクトメンバーから専門的な質問が
出ないからこそ早くまとめられたといってよいと思います。
 その証拠に、「民間から情報衛星について聞く」と題して行われた10月14日のヒ
ヤリングにおいて、三菱電機はプレゼンを行っているのですが、そのプレゼンの内容と
結論としてまとまったプロジェクトチームの5つのポイントは、まったく同じものなの
です。
 政治家はものごとの核心を把握して的確な判断を下し、あとは専門家にまかせればよ
い――これは丸投げ宰相の小泉首相がいうことばと同じですが、プロジェクトチームの
上記のメンバーに偵察衛星の核心を把握して的確な判断が下せるでしょうか。これは基
本的に丸投げと同じと考えてよいと思います。
 それでは、JAXAは何をやっているのかですが、ここには天下り官僚が居座ってお
り、専門家の言によると、ほとんど役立っていないと考えてよいそうです。結局、メー
カがコンセプトも基本設計も実施計画も、すべて作って製作するというかたちになって
いるのです。官僚たちはこういう衛星開発を利用して新しい組織を作り、天下り先の確
保に執念を燃やしているのです。         ・・・ [日本宇宙開発/15]

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