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2007年04月03日

みどりはなぜ機能を喪失したか(EJ第1353号)

 H−ⅡA第6号機の打ち上げ失敗については大きく取り上げられ、注目されましたが
今までにもあまり表に出ないロケットや衛星に関わる失敗はたくさんあるのです。その
例として大型地球観測衛星「みどり」について考えてみることにします。
 H−ⅡA第6号機が失敗したのは、2003年11月29日ですが、同じ年の10月
25日に地球観測衛星「みどり2」が機能を停止するという発表がありました。このよ
うな報道に接するとわれわれは一瞬衛星の寿命が尽きたのかと考えてしまいますが、そ
うではないのです。
 「みどり2」は、2002年12月14日にH−ⅡAロケット4号機で打ち上げられ
たばかりです。衛星の寿命は平均3年といわれますが、うまく利用すれば10年は十分
使えるのです。それが1年経過しないうちに機能を停止したのです。
 「みどり2」というからには、もうひとつ「みどり」があるはずです。確かに「みど
り」は1997年6月に打ち上げられているのですが、やはり打ち上げ後1年にならな
い時点で機能を停止しているのです。何のことはない、「みどり」は2回連続して失敗
していることになります。
 宇宙開発の場合、ロケットの打ち上げは新聞でも大きく取り上げられますが、打ち上
げ後に衛星に故障が生じて運用を中止するときは、あまり大きな記事の扱いにならない
のです。しかし、打ち上げ後1年を経過しないうちに機能を停止するのは明らかに失敗
であり、われわれはもっと関心を持って見守るべきです。
 ところで「みどり」と「みどり2」は、大型地球観測衛星といわれますが、なぜ「大
型」といわれるのかご存知ですか。
 それは「重量」なのです。「みどり」も「みどり2」も重量が3トンを超えるので、
大型衛星といわれるのです。「みどり」以前の地球観測衛星には「ふよう1号」という
のがありましたが、重量は1.34トンであり、これが当時としては最大の衛星だった
のです。「みどり」/「みどり2」はその2倍以上です。
 問題はその失敗の原因です。原因の追究のためには、もう少し詳しく「みどり」につ
いて知る必要があります。
 この地球観測衛星は、もともと「みどり」という名前ではなく開発時の名称は「AD
EOS」といったのです。「ADEOS」は、次のことばの省略形です。
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      ADEOS = Advanced Earth Observation Satellite
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 ことばからわかるように、技術的に高度な機構を備えた衛星とされているのです。衛
星の構造をごく大雑把にいうと、本体の前半部分に各種センサーを配置し、後半部分に
電源系や推進系、それに地表との通信系がまとめてあります。つまり、それぞれの機能
がモジュール化されているのです。こういう特徴を持つ衛星のことを「プラットフォー
ム衛星」といいます。
 「みどり」と「みどり2」は、その前半部分に非常に多くのセンサーを搭載し、それ
ぞれが3トン以上の重量になっています。
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        「みどり」  ・・・ センサー8基 3.5トン
        「みどり2」 ・・・ センサー5基 3.7トン
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 なぜ、このように多くのセンサーを積んでいるのかというと、それは国際貢献の分が
含まれているからです。「みどり」「みどり2」ともに日本が開発したセンサーは、2
基ずつであり、残りは米航空宇宙局(NASA)やフランス国立宇宙研究センター(C
NES)のセンサーなどを無償で搭載しているからです。
 それだけに失敗は許されないのです。せっかく信頼を寄せてくれているのにそれを裏
切る結果になったからです。たとえ無償とはいえ、失敗の確率の高いロケットであれば
どの国も高価なセンサーを提供しないからです。
 さて、地球観測衛星は地球を南北に回る極軌道に投入されますが、それぞれ投入され
る軌道は異なるのです。「みどり」と「みどり2」の軌道は次の通りです。
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        「みどり」  ・・・・・ 回帰周期41日準回帰軌道
        「みどり2」 ・・・・・ 回帰周期 4日準回帰軌道
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 回帰周期41日準回帰軌道とは、41日に1回、地表の同じ場所の上空に戻ってくる
軌道という意味なのです。つまり、これら2つの衛星によって、地球をちょうどなめる
ように観測することができるのです。
 さて、この「プラットフォーム衛星」の設計は、非常に難しいのです。とくに電源系
――電気の供給をどうするかが一番困難なのです。「みどり」と「みどり2」の場合、
「フレキシブル型太陽電池パドル」を採用しています。
 この太陽電池パドル――柔らかい幕の上に電池セルを貼り付ける方式です。形状は文
章では表現しにくいので、添付ファイルを見ていただきたいと思います。
 このフレキシブル型パドルは、枠を持たない柔らかな幕を宇宙空間に広げる方式であ
って、無重力環境でどんな振動が起こるか、または温度変化によって伸び縮みをどう計
算するかなどの難問を解かなければならないのです。
 NASDAの技術陣は、この難問にあえて挑み見事に失敗をしています。なぜなら、
「みどり」「みどり2」の機能喪失は、ともに衛星の電源系にトラブルが生じたことが
原因とされているからです。
 「みどり」の機能喪失は、フレキシブル型の太陽電池パドルがちぎれてしまったこと
が原因ですし、「みどり2」の機能喪失は太陽電池パドル基部の電線ハーネスの破断が
疑われています。これは、明らかな設計上のミスといわれています。なぜ、このミスが
生じたのでしょうか。              ・・・ [日本宇宙開発/08] 

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