●海上自衛隊の掃海技術と対潜能力(EJ第1377号)
自衛隊についてわれわれが一番知りたいことは、現在の自衛隊の実力がどのレベルの
ものかということです。今朝からこのことについて明らかにしていきます。
自衛隊には、次のように、「7つの世界一」というものがあるのですが、ご存知です
か。ひとつずつ検証します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.永年にわたる実戦経験が育てた掃海技術
2.海上自衛隊のお家芸である「対潜作戦」
3.原子力潜水艦に劣らぬ通常型潜水艦戦力
4.最先端技術の結晶である「F2戦闘機」
5.百発百中の精度誇るハイテク・ミサイル
6.世界最高のレベルのパイロットと整備員
7.世界一質と士気の高さを誇る自衛隊将兵
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第1の自衛隊の世界一は、「永年にわたる実戦経験が育てた掃海技術」です。
太平洋戦争で日本は、米軍によって周辺海域に10703個の機雷を撒かれ、経済封
鎖された苦い経験があるのです。戦後、経済復興に先立って日本は嫌でもこれらの機雷
を自ら除去する作業をやらざるを得なかったのです。
この危険な作業に携わったのは、元海軍軍人であり、多くの尊い犠牲がそこに払われ
たことについては既に述べています。しかし、この掃海作業はけっして無駄ではなかっ
たのです。
1950年に朝鮮戦争が勃発すると、占領軍から日本の掃海部隊に出動命令が下り、
掃海部隊は北朝鮮軍が敷設した機雷処理に従事しています。そのとき、1950年10
月から12月までに27個の機雷を処理しているのです。これは凄いことなのです。
掃海艇延べ44隻、巡視艇10隻を派遣し、その掃海作業は、38線を越えて元山、
鎮南浦、海州まで及んだといわれますから日本は朝鮮戦争に参加していたといっても過
言ではないのです。そういう意味で日本は、朝鮮戦争の第17番目の参戦国であり、こ
れが戦後初のPKO活動といわれるゆえんです。
このように、日本の掃海部隊の掃海作業は、太平洋戦争から朝鮮戦争を経て今日まで
休まず続けられてきているのです。あの1991年の湾岸戦争においても34個の機雷
を処理し、その活躍が国際社会から高い評価を受けています。
日本の掃海部隊の実績は、戦前の4157個も含め2002年3月までに6221個
もの機雷を処理しており、かかる実績を持つ軍隊は、海上自衛隊・掃海部隊以外はない
のです。したがって日本の掃海部隊は世界一であり、その掃海に当る艦艇も、掃海艇を
はじめ、掃海艦、掃海母艦、掃海管制艇など、掃海任務に当たる艦艇を30余隻を有し
ており、これも世界一なのです。
第2の自衛隊の世界一は、「海上自衛隊のお家芸である「対潜作戦」です。
アーレイ・バーク元米海軍大将らの協力を得て、何とか海軍のレベルを維持できた海
上自衛隊が掃海と共に力を入れたのは、対潜水艦作戦だったのです。
というのは、これも太平洋戦争のときの苦い経験があったからです。それは、米軍に
よる通商破壊作戦です。具体的にいうと、潜水艦による商船への攻撃です。日本はこれ
によって海上輸送能力が著しく低下し、工業生産は壊滅的打撃を受けたのです。戦争中
に沈められた日本の商船は約1100隻であり、この数は日本の商船の半分に当たるの
です。
54隻の護衛艦から成る日本の海上自衛隊の艦艇は、本格的な防空システム艦である
イージス艇が登場するまでは、対潜作戦にシフトした艦艇であり、高い対潜能力を持っ
ているのです。
対潜ヘリ3機を搭載する護衛艦に、サブマリン・ハンターと呼ばれるP3C哨戒機約
100機――米国に次ぐ第2位――の編成で、潜水艦を発見し、攻撃するのです。
P3C哨戒機はロッキード社で開発され、日本でライセンス生産をしたものですが、
海中に潜む潜水艦を次の4つの探知法で探知して攻撃するのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.音 響探知
2.磁 気探知
3.電 波探知
4.赤外線探知
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「音響探知」は、円筒型対潜聴音具(ソノブイ)を投下して潜水艦の発するスクリュ
ーやエンジンの音を聴音し、あるいは自ら音波を出して潜水艦からはねかえってくる音
を解析して、水中の潜水艦の位置を割り出すのです。
「磁気探知」というのは、潜水艦が航行するとき起こる地上磁気の変化を読み取る方
法であり、「電波探知」とは敵の発する電波をキャッチすること、「赤外線探知」は、赤
外線カメラで熱源を捉えて潜水艦を発見する方法です。
日本の場合、P3C対潜哨戒機には、機長・副機長の下に音響探知のための音響対潜
員2名、音響以外の探知を担当する第三対潜員、これらの情報を集めて攻撃の戦術を立
てる戦術士のほか、航空通信士、機上電子整備員、機上武器員が乗り込み、一丸となっ
て、敵の潜水艦を発見し、攻撃するのです。
日本の場合、電子機器を使いこなす能力が非常に優れているため、世界一の対潜能力
が発揮されているのです。リムパックと呼ばれる米国、オーストラリア、カナダ、韓国
などの環太平洋自由主義諸国と行う合同訓練でも日本の対潜技術は、最優秀の評価に輝
いているのです。
なお、日本のP3C対潜哨戒機は、1981年の導入から今日にいたるまで墜落によ
る損失はゼロという輝かしい記録を更新中です。現在、海上自衛隊では、P3C対潜哨
戒機の後継機としてよりハイテク化されたMPAを自主開発中であり、これが加われば
日本の対潜能力は一段と高まると考えられます。 ・・・ [自衛隊の実力/08]
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://www.intecjapan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/523