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2007年06月14日

●日本の船員と商船が減っている(EJ第1384号)

 東京のお台場に「船の科学館」というのがあります。そこに昨年の5月から、北朝鮮
の工作船が、引き揚げた船体と武器など、回収物が一般公開されています。
 2001年12月22日、奄美大島沖の海上で北朝鮮所属の工作船が海上保安庁の巡
視船「あまみ」と銃撃戦を展開し工作船は沈没しています。自爆といわれていますが、
海上保安庁が沈めたことは間違いないのです。
 しかし、1999年2月5日、北朝鮮の不審船2隻が佐渡島と能登半島沖で発見され
たとき、海上自衛隊の護衛艦が出動し、砲撃を加えています。しかし、このときの砲撃
は空鉄砲であり、わざと当らないように撃っているのです。そのうえ、本気で追尾せず
に逃がしており、船が北朝鮮の清津港に入ったことを確認したにもかかわらず、日本政
府は何も抗議していないのです。
 海上保安庁は本気で撃っているのに、海上自衛隊は空鉄砲――法律で縛っているため
にこのようなすっきりしないことになるのです。海上自衛隊が軍隊ではないからです。
今まで述べてきたように、日本の自衛隊は軍隊としては精強なのですが、法律でがんじ
がらめに縛られていて、その力をほとんど発揮できないようになっているのです。これ
では国防にはならないのです。
 日本人が自衛隊を軍隊であると認めて、海上自衛隊の船を軍艦として正式に認知する
と、それは国内外で軍隊としての権限を持つことになります。軍艦は治外法権であって
外国では外交官と同じように扱われるのです。
 例えば、海上自衛隊の船がペルシャ湾などに行く場合、相手国から検疫がきても、警
察がきても拒否できるし、広い海の上で悪事を働く海賊のような船があったら、それを
捕まえる権限もあるのです。そういう権限が国際的に認められているのです。
 日本では自衛隊は軍隊ではありませんが、外国では軍隊として認めてくれています。
ですから、海上自衛隊の船が外国に行くと軍艦としての扱いですが、日本に帰ってくる
と軍艦ではなくなるのです。したがって、検疫も受けなければならないし、密輸をして
いないかどうかの検査も受けることになるのです。
 今回のイラク戦争で、航空自衛隊はC−130を派遣しましたが、ものが日本から向
こうに行くので、貿易法上の手続きをすべて行う必要があり、さらに輸出という扱いに
なる関係上、経済産業省に届け出なければならないのです。もし、自衛隊が軍隊である
なら、このようなことはしなくて済むのです。こういうことは一般の国民はあまり考え
ていないと思います。
 元海上自衛隊幕僚長の林崎千明氏は、『自衛隊の現場から見る日本の安全保障』(自由
国民社刊)という本に論文を寄稿し、その中で、減る一方の日本の船員と船について、
警告を発しています。日本は、貿易で生きており、資源を輸入して、加工して、それを
売って生活の糧を得ています。そういう日本にとって、船員と船の減少は深刻な事態で
あり、国防にも大きく影響します。
 海外との貿易に使う日本の船や外航船の船員は、現在何人ぐらいいるかご存知でしょ
うか。
 2003年度の国土交通省の「海事レポート」(添付ファイル参照)によると、20
02年10月の時点でわずか3800人しかいないというのです。これに漁船員を含め
ると、日本の船員は約9万人しかいないのです。25年前には、28万人の船員がいた
のですが、年を追うにしたがって減少し、現在では3分の1になってしまっています。
 昨年の10月1日に、歴史のある東京商船大学は、東京水産大学と合併し、東京海洋
大学となりましたが、これは明らかに船員の減少が原因であると思われます。
 それでは、日本の外航商船の数はどのくらいあるか、ご存知でしょうか。
 1988隻――これが正解です。しかし、日本の船会社が所有し、しかも船籍を日本
に置いている船は、たったの110隻なのです。つまり、日本国家に対して税金を払っ
ている船は110隻しかないということです。
 日本は世界中から年間に約8億トン輸入し、輸出は約1億トン――そういう国です。
8億トンのものを輸入するには2000隻程度の船ではとても足りないのです。そのた
め、輸入のうちの半分以上が外国船をチャーターしているのです。
 それに船員が減少しているので、それへの対応も必要です。そこで、2000隻のう
ちの1900隻を「便宜置籍船」にして、パナマやリベリアなどに置いているのです。
「便宜置籍船」とは日本の船なのですが、税金などの配慮から、便宜を提供する国に船
籍を登録している船のことです。
 これらの便宜置籍船は、船長は日本人ですが、他の船員はすべてフィリピンやマレー
シア、中国などの船員が乗っています。はじめのうちは、船長、事務長、通信長などは
日本人だったのですが、最近では、日本人は船長だけになってしまっています。コスト
の関係でリストラされたわけです。
 商船は、有事のときは軍用船として使えるようにする――これは海の守りの基本であ
り、各国は補助金を出して必要な設備をつけさせています。つまり、有事のさいに軍用
船として使えるように、軍に適合する通信機を搭載したり、軍のトラックを積んだりで
きる装備を施すのです。
 船会社としては、船のスピードは20ノットもあればいいのに軍と一緒に行動する必
要があるので、22ノットで走行できるようにする――この場合、2ノット分の補助金
を国が出すのです。米国、英国、フランスという先進国はいずれもそういう補助金を出
しているのです。
 英国にクイーンエリザベス号という商船がありますが、これには軍用として使える装
備が施されています。もし、英国が戦争をはじめたら、クイーンエリザベス号は英国海
軍が徴用し、軍人を運ぶことができるようになっています。これに対して日本は、そう
いうことを一切やっていないのです。        ・・・[自衛隊の実力/15]

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