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2007年06月18日

●武士道精神のある自衛隊員(EJ第1386号)

 天皇陛下をはじめ、歴代首相の外遊になどに使われる政府専用機――尾翼の大きな日
の丸と「日本国」の文字が印象的です。このところ、小泉首相の北朝鮮訪問などでテレ
ビで見る機会が多い政府専用機ですが、この飛行機、どこの航空会社が運用しているか
ご存知でしょうか。
 実は航空会社が運用しているのではなく、航空自衛隊が運用しているのです。政府専
用機は、航空自衛隊千歳基地の「特別航空輸送隊」に所属する機体なのです。この特別
航空輸送隊は、1993年に、航空自衛隊千歳基地で、航空支援集団の隷下部隊として
発足しています。政府専用機のパイロットや航空士、空中輸送員などが所属する第70
1飛行隊のほか、整備隊、隊の本部に約150名の隊員がその運行のための任務につい
ているのです。
 この政府専用機の任務――実は大変なのです。一見優雅に見えるVIPの外遊ですが
その実態は分刻みのスケジュールに追われており、一日で数カ国を訪問する超過密スケ
ジュールのときも多いのです。しかもミスは絶対に許されないのです。
 パイロットをはじめとする飛行クルーはすべて自衛官であり、客室乗務員は女性自衛
官が担当しています。見た目は航空会社のスチュワーデスとそっくりですが、日本航空
でお化粧のしかたや接客マナーを学んでいるためです。それでいて、全員が少林寺拳法
や剣道の有段者というのですから驚きです。
 なお、海外で戦争や大災害が発生したときは、政府専用機が在外邦人救出のために派
遣されるのです。そういう役割は民間航空会社では無理であり、航空自衛隊がその任務
に就いているというわけです。
 こんな話があります。かつてアフガニスタン難民救援のために航空自衛隊のC130
輸送機が派遣されたときのことです。その派遣について野党の議員から、次のような意
見が出たのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       現行法下で自衛隊を派遣できる条件を満たす「安全な地域」
      ならば、民間の輸送機でいいじゃないか。民間機の方が(ジェ
      ット機であるから)早く着ける。       ――野党議員
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この野党議員は自衛隊にクレームをつけるに当ってC130の知識がないです。C1
30は、搭載量20トン、その航続距離は4000キロにおよび、民間機に比べて極端
に短い滑走距離で着陸ができるのです。それに、未舗装の平地でも運用できる優れた性
能を有しているのです。
 民間ジェット旅客機とC130の離着陸に必要な距離を比較してみます。
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      民間ジェット旅客機 ・・ 2500〜3000メートル
      C130 ・・・・・・・       600メートル
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 つまり、未舗装の平地に降りることもあるなど、状況の変化に対する対応力は民間旅
客機にはなく、それがあるC130が必要なのです。C130はイラクにも派遣されて
います。
 もうひとつ意外に知られていないことがあります。それは南極観測です。そもそも、
南極の越冬隊員は文部科学省の職員なのですが、彼らを南極まで運ぶ南極観測船「しら
せ」は、海上自衛隊の艦艇なのです。「しらせ」をよく見ると、艦尾には「旭日旗」が
掲げられています。「しらせ」という名前は、日本人としてはじめて南極を探検した白
瀬轟陸軍中尉にちなんだものです。
 それから、日本の空港の中には、航空自衛官による航空管制が行われている空港があ
ります。千歳空港、小松空港、三沢空港など、航空自衛隊と共同使用している空港がそ
うです。しかし、この事実は知られていません。それから北海道の冬の風物詩「さっぽ
ろ雪祭り」は、陸上自衛隊の協力がなければできないことは、よく知られているところ
です。
 EJ第1383号でご紹介した井上和彦氏の本に出ているエピソードをひとつ紹介
します。
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       ある自衛隊の幹部は、豪雨のなかを同僚とともに帰宅途中、
      側溝に突っ込んで身動きがとれなくなった乗用車を発見、同僚
      とともに遭難車を救助したが、求められても、国民を助けるこ
      とは「自衛官の任務」だからと名前も告げずにその場を立ち去
      った。後日、乗用車の持ち主の女性はどうしてもお礼が言いた
      いと、彼らが自衛官ではないかと想像をめぐらせて、近くの駐
      屯地に問い合わせたところ、その特徴的な人相からこの幹部が
      判明した。
         ――井上和彦著、『そのとき自衛隊は戦えるか』、扶桑社刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 こういう話は、枚挙にいとまがないくらいあるといいます。また、今回のイラク派遣
についても大勢の自衛官が自ら志願したといいます。自衛隊ウォッチャーとして長い経
験を持つ井上和彦氏は自衛隊について次のようにいっています。
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       自衛隊には、現代の日本人がどこかに置き忘れてしまった何
      かがある。これまで日本が世界に誇ってきた「道徳」はすでに
      崩壊した。が、いまも落し物の掲示板に「現金」なるものが表
      示されているのは、もはや自衛隊の施設のなかだけだろう。彼
      らは、国際社会の厳しい現実と向き合いながら、日本古来の美
      しい魂を守りつづけているのだ。      ――上掲書より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 戦後の日本人は平和を声高に唱えることが良識であると錯覚し平和を守るために本
当に何が必要であるかということを考えるのを軽んじてきたと思います。そして、軍事
という現実から目をそらすことで、平和という理想が実現されると思い込んできたと思
うのです。こうした日本人の姿勢が、周辺諸国の日本脅威論を生んでしまう原因である
――そのように考えられます。           ・・・[自衛隊の実力/17]

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