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2007年06月19日

●日本人の平和に対する考え方(EJ第1387号)

 憲法改正に頑なに反対し、その一方で自衛隊を創設して着々と軍備内容を充実してい
る――そういう日本の姿勢が周辺諸国に日本脅威論を生んでいると前回書きました。こ
の問題について、今日と明日のEJで考えてみます。
 作家の大江健三郎氏が米国で自衛隊について次のように語っています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       日本の保守派にはこの憲法が米国から押しつけられたものだ
      から改正する必要があるという意見があるが、米国の民主主義
      を愛する人たちが作った憲法なのだから、あくまで擁護すべき
      だ。軍隊(自衛隊)についても、前文にある『平和を愛する諸
      国民の公正に信頼して』とあるように、中国や朝鮮半島の人民
      たちと協力して、自衛隊の全廃を目指さねばならない。終戦か
      ら50周年のいますぐにもそのことに着手すべきだ。
              ――平成7年4月30日付、「産経新聞」より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 日本にはこういう知識人がいるのです。「中国や朝鮮半島の人民たちと協力して、自
衛隊の全廃を目指さねばならない」についてはいったいこの人は何を考えているのかと
思ってしまいます。なぜ、中国や朝鮮半島の人々と協力しなければならないのでしょう
か。常軌を逸しているとしか思えません。
 日本人は、軍事力(軍隊)を持たなければ、平和が得られると思っているようです。
武力を持たなければ攻められないと思っているのです。しかし、これは実に甘い考え方
です。
 この考え方によって、自衛隊は創設後50年が経過しても、いまだに「軍隊」ではな
いということになっているわけです。これでは、専守防衛とはいいながら、自衛隊はほ
とんど機能できないしょう。
 日本の場合、絶対的強者が絶対的弱者に対して、力を行使することがないようにする
――こういう考え方に立って法律が作られています。警職法がその典型です。この考え
方自体は間違っていないのですが、そういう法律を作った時代背景が大きく変わってき
ているのです。
 米国でスピード違反をして、覆面パトカーに停止を命ぜられた場合、米国の警察官は
どういう対応をするかご存知でしょうか。
 警察官はまず、実弾入りの銃を抜いて突きつけて「両手を頭の後ろに組んで車から降
りろ」と命令します。そして、降りたら「車に向かって立って、車の上に両手をつけ」
と命ずるのです。それで、違反者の心臓部に後ろから銃を突きつけたままで身体検査を
して、武器を持っていないかどうかを確かめたうえで、銃をおろして交通違反の尋問に
入る――こんな具合です。
 どうでしょうか。日本とは大違いです。もちろん日本のやり方がいいに決まっていま
すが、米国は銃の保持が許されているのでこれだけ厳しくなっているのです。
 しかし、日本では、暴走族の少年に警察官が銃を抜いて諭しただけで、その警察官が
懲戒免職になるのです。米国では、警察官の任務遂行のために、警察官の人権の方を犯
罪者の人権よりも重視しているのです。この方が自然であると思いませんか。
 日本のこういう考え方は海外に派遣されている自衛隊にも厳しく課せられています。
イラクの自衛隊は、さんざん国会で神学論争が繰り返されたあげく武器の使用について
は、正当防衛と緊急避難――それ以外は相手に危害を与えてはならないということにな
っています。武力による威嚇あるいは武力の行使になるからという考え方からです。
 攻撃を受けている自衛隊員の人権よりも、攻撃を仕掛けている者に気を使うというか
襲撃者の人権を擁護しているのです。そもそもサマワを「非戦闘地域」と認定している
ところに論理矛盾があるのです。
 まず、「イラクに自衛隊を派遣しなければならない」ということが先にあって、憲法
の制約からサマワを非戦闘地域にしてしまうという乱暴な結論が出てくるのです。した
がって、そこに派遣された自衛隊員は、自分の身をまともに守れない危険な状況に晒さ
れていることになります。
 専守防衛に関しても、法的整備はきわめて遅れています。空の守りを例にあげましょ
う。国籍不明機が日本の領空に近づいてきたとします。そうすると、直ちにスクランブ
ル(緊急発進)指令が発せられ、24時間待機をしている戦闘機パイロットは3分以内
に飛び立っていきます。こういうスクランブルは、ソ連との冷戦時で1日3回、現在で
も2日に1回はかかるそうです。
 上空で目的機を発見すると、一定の距離を置いてそのまま行動監視体制に入ります。
しかし、国籍不明機がそのまま領空に近づいてくると、パイロットは「このままの進路
を保っていると日本の領空に入るので変針せよ」と英語に加えて、ロシア語、朝鮮語、
中国語で警告するのです。
 問題はここからです。相手機が指示に従わず、そのまま領空を侵犯し、攻撃を仕掛け
てきた場合です。自衛隊機には正当防衛、緊急避難は認められているので、当然のこと
ながら応戦します。しかし、仮に自衛隊機が撃墜されてしまったとするのです。そこに
もう1機自衛隊機がやってきて、味方機を撃墜して逃げて行く国籍不明機を発見したと
します。当然追尾して攻撃する――誰でもそう考えますね。
 ところが法的には追尾して攻撃できないのです。さらに、国籍不明機がわが国に対し
て、爆倉を開いて爆弾を落とそうとしているとします。この場合は攻撃できるのですが
落とし終わって出て行く国籍不明機を追尾して攻撃できないのです。このようなことで
日本の空を守れるでしょうか。
 すべては、憲法と有事法制――これによって自衛隊を正規の国軍、すなわち、軍隊と
認めていないことによって起こっているのです。専守防衛は認めているのですから、な
ぜ、自衛隊がその目的を果たせるよう、法整備をしないのでしょうか。もう神学論争は
たくさんです。                  ・・・[自衛隊の実力/18]

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コメント (3)

≫日本人は、軍事力(軍隊)を持たなければ、平和が得られると思っているようです。
武力を持たなければ攻められないと思っているのです。しかし、これは実に甘い考え方
です。

1.では武力を放棄すると誰が侵略してくるのでしょうか?

2.仮に極論で日本が核を持ったとして、本当に抑止力になるのでしょうか?

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