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このブログは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。(株)イー・メディアとの提携により、同社のドキュメント・レポート「Electronic Journal」をウィークデイの毎日お届けします。
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2007年06月22日

●中国の姿勢転換のウラにあるもの(EJ第1304号)

 本日から25回にわたってお送りする東アジア情勢のレポートは、EJで2004年
3月9日から4月9日まで連載したものです。見かけ上現在は当時と情勢が変わってい
るように見えますが、その本質は何も変わっていないのです。そういう意味で、日本、
中国、韓国、北朝鮮について振り返ってみることは無駄ではないと考えます。今回はそ
の第1回目です。
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 米国のブッシュ政権が朝鮮半島問題の解決には中国を使うべきであるという論理を
整理すると次のようになります。
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      1.どのようなことがあっても、北朝鮮を核保有国にしては
        ならない。これだけは、絶対に阻止する必要がある。
      2.核保有国になると北朝鮮は、必ずその技術を他国に輸出
        するので、核は世界中に拡散してしまうことになる。
      3.どうしても北朝鮮が核開発をやめないなら、たとえ武力
        に訴えてでも、断固として阻止に努める必要がある。
      4.しかし、今年は「静かにする必要のある年」であり、し
        たがって、中国にはひと働きしてもらう必要がある。
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 こういう論理に立って米国は中国に対して次のような脅しをかけているフシがあり
ます。
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      北朝鮮が核開発をやれば、日本も核を持つ。そうなれば、韓国
      や台湾も核開発に踏み切る。そういう事態になって一番困るの
      は中国ではないか。    ――重村智計/長谷川慶太郎著、
      『北朝鮮自壊』より。東洋経済新聞社刊
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 しかし、それにしてもブッシュ政権になってからの中国の姿勢には明らかな変化が見
られます。もともと中国はかつての朝鮮戦争においては、米韓両国に対抗して北朝鮮の
側に立った国でありその観点に立つと、最近の中国の米国に対する協力ぶりには目を見
張るものがあるのです。一体、そこには何があったのでしょうか。米国は中国に何を与
えたのでしょうか。
 結論からいうと、それは「台湾問題」ではないかと考えられるのです。つまり、ブッ
シュ政権は台湾問題について中国に対して何かを譲ったのではないかということです。
これについては、中国を中心に東アジアの政治経済問題に詳しいフリージャーナリスト
青木直人氏がその著書、『北朝鮮処分』(祥伝社刊)などで主張されています。
 2002年10月25日、江沢民はテキサス州のクロフォードにあるブッシュ大統領
の私邸を訪ねて話し込んでいます。そのさい、江沢民は声を大にして朝鮮半島の非核を
主張し、強く反対を表明しているのです。江沢民がこれほど明確に北朝鮮の核に対して
反対の意思を明らかにしたことはなかったことです。
 中国と米国の関係を見るとき、次の3つのコミュニケを確認する必要があります。
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        1.上海コミュニケ ・・・・・ 1972年
        2.米中コミュニケ ・・・・・ 1978年
        3.米中コミュニケ ・・・・・ 1982年
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 第1の「上海コミュニケ」は、ニクソン大統領と周恩来首相が調印したときの歴史的
なものです。この中の「台湾条項」は次のようになっています。
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      台湾海峡の両側のすべての中国人が中国はただひとつであると
      主張していることをアメリカは認識しており、この見解に異議
      を唱えない。            ――ニクソン米大統領
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 このコミュニケでは、米国としての考え方はあるものの、中国が主張いる「中国はひ
とつである」とする見解に異議を唱えないと宣言し、従来の考え方よりも大きく中国に
歩み寄っています。
 第2の「米中コミュニケ」は、1978年の国交正常時におけるコミュニケであり、
第3の「米中コミュニケ」は、「台湾向けの武器売却に関するコミュニケ」です。
 整理すると、中国が台湾に関して主張していることには次の3つがあるのです。
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        1.中国はひとつ
        2.「ひとつの中国、ひとつの台湾」を認めない
        3.台湾独立反対
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 いままで米国は、あいまいな発言ながら、1と2については同調してきていますが、
3に関しては、公式発言として一切発言してきていないのです。ブッシュ政権の台湾に
関する見解はどうかということですが、江沢民との話し合いのあとブッシュ大統領は、
はっきりと3について次のように発言しています。
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       1.台湾の独立にアゲインスト ・・・ against
       2.台湾の独立に  オポーズ ・・・ oppose
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 1は、江沢民との話し合い直後の声明です。ここではアゲインストということばを使
っています。これは「反対する」というよりも「賛成しない」という程度の意味です。
 2は、胡錦涛国家主席とエビアン・サミットで会見したさいの表現です。これは「オ
ポーズ」は「反対する」という意味で、明らかに「アゲインスト」よりも強い反対の表
現です。「オポーズ」という以上、米国としては「台湾独立反対」の立場を明らかにし
たことを意味しています。
 ブッシュ大統領が「オポーズ」という表現を使ったのは、2003年6月のことです
が、その2ヶ月前の4月に中国の仲介によって米国、中国、北朝鮮による3者会談によ
る会談が行われており米国はそれを高く評価したものと考えられます。
 おりしも3月20日に台湾では総統選挙が行われます。現総統の陳水扁と最大野党で
ある連戦主席と野党第2党である親民党の宋主席が連合で対抗しています。台湾独立を
主張する陳陣営が勝てるかどうかは米国の姿勢が影響すると考えられます。
                ・・・[2004年時点の東アジア情勢/01]

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