INTEC JAPAN/BLOG

このブログは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。(株)イー・メディアとの提携により、同社のドキュメント・レポート「Electronic Journal」をウィークデイの毎日お届けします。
「Electronic Journal」は様々な情報を400字詰原稿用紙7枚にまとめて配信する日刊メールマガジンです。

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● 2007年07月 記事 ●

2007年07月02日

米国の真意/中国の出方(EJ第1310号)

 台湾に関する米国の真意がどこにあるのかについて考えてみたいと思います。昨年
の12月9日に表明したブッシュ大統領の言葉を3月13日付の朝日新聞の記事から
正確に記述すると、次のようになります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      (台湾海峡の)現状を変えようとする中国と台湾のどちらの
      一方的な決定にも反対だ。台湾指導者の言動は、現状を一方
      的に変えるという、私たちが反対していることに前向きに見
      える。               ――ブッシュ大統領
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 ブッシュ政権の本音は、大統領選挙のある2004年は「サイレント・イヤー」にし
たいのです。だから、陳水扁総統が国民投票をいい出したことにブッシュ大統領は本気
で怒ったというのです。それに台湾当局からの米国への事情説明がかなり遅れたことに
も腹を立てたといわれています。
 しかし、米議会には親台派が多いのです。パウエル国務長官などは、台湾の国民投票
について次のようにいっています。
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      表現にいくらかの柔軟性が見られる。私たちは北京とも、陳
      総統とも良好な関係にある。    ――パウエル国務長官
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 こうした米国のわずかな変化に対しても中国は次々と特使を米国に繰り出して米国
に協力を求めているのです。実にねばり強い対米工作といえます。
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      2月初旬/中国・国務院台湾事務弁公室・陳雲林主任
       グロスマン米国務次官など複数の高官に接触
      3月9日/中国・タイピンクオ筆頭外務次官
       パウエル国務長官、アーミテージ副長官、ライス補佐官
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 それでいて米国は、2月末日から3月にかけてフィリピン最北端バタネス諸島におい
て、米比合同軍事演習「バリカタン04」を実施しているのです。
 なぜ、バタネス諸島なのでしょうか。
 それは台湾海峡有事の際、バタネス諸島は米軍の有力な拠点となりうるからです。こ
のバタネス諸島最北端から台湾南端の島まで、わずか70キロ。至近距離での軍事演習
に、中国は相当ショックを受けたようです。
 台湾海峡から半径500カイリ(900キロ)以内には、中国本土以外の陸地はなく
、バタネス諸島は米軍の拠点になりうる唯一の場所なのです。米軍がフィリピンから撤
退して12年が経過するのですが、最近フィリピンのあちこちの島で米軍の姿が見られ
るようらなってきているようです。
 米国は、現在は「サイレント・イヤー」ということで、中台双方に現状維持を呼びか
けていますが、5年後、10年後まで現在の状態が続くことは考えていないはずです。
しかし、米国が「1つの中国」という基本的な考え方を放棄し、台湾の自主独立を強力
に支持すれば、北京も究極的には台湾独立を受け入れると考えているはずです。米国と
対決してまではやらないであろうと考えているのです。
 しかし、中国にとって台湾はどうしても支配下に収めたい国なのです。そのため、あ
らゆる工作がすべて失敗に終り、台湾が独立を宣言するようなことが起こるときは、戦
争やむなしと考えているといわれます。そのため、現在その準備を着々と進めてきてい
るといわれます。
 多くの国家指導者は「戦って失う損害と、戦わないで失う損害を天秤にかけて判断す
る」といわれますが、中国にとって台湾は戦わないで失う損害は、戦って失う損害より
も大きいと考えているものと思われます。
 中国が台湾を軍事統一するためには、米国の軍事介入をいかにして阻止するかにかか
っています。そのため中国は、次の3つの実現に力を入れているといわれます。
 第1は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と原子力潜水艦発射型弾道ミサイル(SL
BM) によって、米本土を威嚇し、牽制することです。
 最近中国のミサイル技術は飛躍的に向上しているのです。それは昨年有人宇宙飛行を
成功させたことでも明らかです。したがって、ICBMについては既に実現しているも
のと思われます。
 第2は、中距離弾道ミサイルの配備によって日本を威嚇し、米軍に対する自衛隊によ
る後方支援活動を一切させないように牽制することです。
 日本の主要都市を狙った中距離弾道ミサイルは、既に配備が終わっており、いつでも
脅しがかけられる状況にあります。現在日本では、北朝鮮が脅威といっていますが、中
国が日本に与える脅威はもっと現実的なものです。
 第3は、上記1と2をやったうえで、潜水艦を使って台湾を海上封鎖し、米空母や原
子力潜水艦が接近するのを断固として阻止することです。
 ここ2〜3年のことですが、奄美大島や沖縄本島、久米島、宮古島などの東シナ海・
日本側海域で中国の海洋調査船が非常に多く出没しています。明らかな領海侵犯です。
 一体その目的は何なのでしょうか。
 それは海洋調査といっていますが、潜水艦の航路を探る調査であると考えられます。
海底の起伏や水温、流れの速さなどを調査して、台湾有事に備えているのです。
 もし、中国が台湾に侵攻すれば、米国は横須賀から第7艦隊を派遣してくることは確
実ですが、そこで米空母の進入を阻止するために、航路となるこの海域に潜水艦を展開
し、機雷を敷設して第7艦隊の足を止める――そういう作戦を中国は考えているものと
考えられます。何としても台湾を征服する構えです。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/07]

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2007年07月03日

台湾に残る武士道精神(EJ第1311号)

 2002年10月のことです。慶應義塾大学の学生サークルである「経済新人会」は
、李登輝台湾前総統に対して三田祭での講演を依頼したのです。李登輝氏はこれを快諾
し、11月8日に来日して講演することになったのです。その演題は、「日本人と日本
精神」だったのです。
 しかし、一部の政治家や中国の専門家、それに外務省が慶応義塾大学に働きかけて李
登輝氏の講演会を中止させてしまったのです。ところが、そのとき講演の草稿は出来上
がっており、その幻の講演の内容は、2002年11月19日付「産経新聞」に全文が
掲載されたのです。
 考えてみれば不思議な話です。台湾という他国の指導者に、日本人が日本精神を教え
てもらうとは・・・それは、日本人が既に日本人のDNAたる武士道精神を忘れてしま
っているからにほかならないからです。
 台湾は、日清戦争後、1895年4月17日の下関条約によって日本に永久割譲され
ており、日本の敗戦までの50年間、日本の支配下に置かれていたのです。台湾から見
ると、50年間日本によって植民地支配をされていたことになります。
 植民地支配というと、中国や韓国や北朝鮮がいうように「搾取と虐殺」を連想してし
まいますが、日本はこと台湾に関する限りそういうものには無関係であったといえるの
です。
 それは、台湾のみならず中国や韓国や北朝鮮でも同じだったと思うのですが、台湾に
関する限り、李登輝氏を含む当の台湾人が宗主国日本については「搾取と虐殺」はなか
ったと明言しているからです。
 台湾に生まれ、日本の大学に学び、台湾と日本の関係に関する多くの著書を持つ黄文
雄氏は、その著書において次のように述べています。
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       たしかに欧米の植民地政策には、搾取や虐殺をともなうもの
      が少なくなかった。それが、また、現代の「植民地に対する嫌
      悪」につながっているのだろう。しかし、戦後、悪罵され続け
      てきた「日本帝国主義○○植民地」は、欧米の植民地と違い、
      台湾、朝鮮、満州のどこにも「植民地搾取」云々など見られな
      かったのだ。  ――黄文雄著、『台湾は日本人がつくった』
                             徳間書店刊
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 領台当時の1895年においては、搾取どころか、台湾総督府の支出はすべて日本中
央政府の軍事予算から出されていたことをご存知でしょうか。台湾の財政が自立したの
は、日本領台10年目以降だったのです。
 1896年当時の日本の人口は4300万人、国家支出は2億300万円――このう
ち軍事費は9800万円、そこから台湾総督府に約700万円支出していたのです。こ
れを当時の人口で割ると国民1人当たりの予算は2円27銭になります。
 これに対し、台湾の人口は約270万人、台湾への1人の当たりの予算は3円16銭
――予算からみると、国民1人当たりの配分は台湾の方が大きくなるのです。このよう
な宗主国と植民地の関係があるでしょうか。
 当時日本軍の規律は非常に厳しかったのです。台湾がそうであったということは、中
国や韓国や北朝鮮も同様であったと考えられるのです。しかし、中国や韓国や北朝鮮で
は「反日抗日」の嵐です。なぜ、日本はアジアにおいて唯一日本人のことを悪くいわな
い台湾に冷たく、「反日抗日」を叫び続ける中国の機嫌をとろうとするのでしょうか。
 話を李登輝氏の講演内容に戻します。李登輝氏が講演しようとしていたのは、「八田
與一」のことなのです。八田與一は、台湾で、烏山頭ダムの建設に功労した人物なので
す。現代の日本人はほとんどこの名前を知らないでしょう。
 それまでの台湾には巨大なダムがなく、天災による被害も多かったのです。しかし、
八田ダムの完成により、周辺農民の生活は守られたのです。さらに、当時二束三文にし
かならなかったその周辺の耕地は、八田ダムによって良田となり、地価総額が1億円に
達するという国富を生んだのです。
 今でも烏山頭ダムの一角には八田與一の功績を讃え、彼の像と夫妻の墓が建てられて
いるのです。八田は、フィリピンの棉作の灌漑の視察に船で行く途中、米国の潜水艦に
よって撃沈され、亡くなっており、八田の妻は敗戦後、夫を偲んで烏山頭ダムの放水口
に身投げして亡くなっているからです。
 李登輝氏は、講演で八田與一がダム建設で果たした貢献は多大なものであり、その貢
献度を通じて感じ取れる日本精神とは何かについて話したのです。
 李登輝氏はこれに関して、次の3つのことを述べています。
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      1.数千年の長きにわたって日本を根幹から支えてきたものは
        八田に見られる気高い形而上的価値観や道徳観である。
      2.伝統と進歩という一見相反する2つの概念をいかにアウフ
        ヘーベン(止揚)するかについて教えてもらったこと。
      3.台湾の人々はいまでも八田夫妻の偉業を尊敬している。そ
        の精神的なあり方から、日本精神がうかがえるという。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 そして、李登輝氏は、現代の若い日本人は、あまりにも物質面に傾いており、皮相な
進歩ばかりに目を奪われていて、その大前提となる精神的伝統や文化の重みが見えなく
なっている――このように説いています。
 なお、台湾に関しては、小林よしのり氏の『台湾論』を読むことをお勧めします。黄
文雄氏は、この本を不朽の名著として絶賛しています。この本は、台湾でも上梓された
のですが、統一派の外省人の反対に会い、大変な大変な騒ぎになったのです。彼らにと
って小林の『台湾論』は都合の悪いものだったのです。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/08]

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2007年07月04日

歴史を捏造し政治に利用する中国(EJ第1312号)

 中国はかねてから台湾について、次の主張を声高にいってきています。
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      台湾は古から中国の神聖なる絶対不可分なる固有領土である
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 しかし、冷静に歴史を調べて見るとこの主張には何も根拠もないことがわかります。
中国は日本に対して一方的な歴史認識を押し付けますが、中国ほど歴史を自国に都合が
良いように捏造する国もないと考えます。
 日本には最古の歴史書として『古事記』と『日本書紀』がありそこには天孫降臨をは
じめ神話で彩られた記述があります。しかし、日本の場合は、歴史のロマンはロマンと
して、神話の時代と実際の時代とを明確に分けています。
 これに対して中国は、『春秋』『史記』『資治通鑑』などの史書がすべて正しい歴史と
して、これに対して何の疑いを抱かずに「正史」として信じられています。しかも、中
国共産党が決定した「正しい歴史認識」は自国民だけでなく、それを諸外国に平気で押
し付けてくる――ここが日本と大きく違う点なのです。
 『「中国は「夏」の時代から台湾の領有をはじめた』という説があります。しかし、
「夏」とは4000年前に誕生したとされる幻の王朝であって、何も根拠がないので
す。4000年前というと、日本史では縄文時代に当たる時代の話です。
 また、中国最古の書籍『尚書』に「島夷奔服」という記述があるのですが、これは、
「島の住民が中国の王の徳に従い競って貢物をしてやってきた」と解釈し、この「島」
こそ台湾のことであると決めつけています。「島」が台湾である根拠など何もないにも
かかわらずです。
 南シナ海をめぐる紛争というのがあります。南シナ海の南沙諸島は、中国、フィリピ
ン、ベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイなどがその領有権を主張しています。その
ときも中国は、またしても「島夷奔服」を持ち出し、こともあろうにここでは「島」が
南沙諸島であるといっているのです。あれほど、台湾だと強弁していたのに、自分たち
の都合で平気で南沙諸島に切り換えてしまう――驚くべき節操のなさです。
 それどころか、台湾について記述された中国の古典によると、いずれも、台湾は昔か
ら中国領ではないと書いてあるのです。
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      『聖武記』(清朝時代)
        台湾は古より中国に属せず
      『靖海記事』
        台湾の一地は原化外に属す。土蕃雑処して、いまだ版図に
        入らざるなり
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これらは、台湾は古来から中国とまったく関係もなく、何の交渉もなかったことを示
しています。歴史を自国に都合の良いようにねじまげて、政治的に利用する――これが
中国のやり方です。
 中国自身も台湾に関しては、歴史的に見ても根拠が薄弱であることをよく承知してお
り、それだけに外国との国交を樹立するときには、台湾に関して、それが中国の領土で
あることを認めるよう相手国に求めています。しかし、各国の態度は慎重であり、明確
にそれを認めた国はないといえます。
 事実を確かめてみると、1970年までに中国と国交を樹立した国は46ヶ国ですが
そのさいに発表した共同コミュニケでは台湾の帰属に関しては何もふれられていない
のです。
 1970年以降に中国と国交を樹立したカナダについては、台湾は中国領土の不可分
の一部であるとする中国の主張については「テイク・ノート(留意する)」という表現
にとどめています。イタリア、ベルギー、アルゼンチン、ギリシア、ブラジルなどの国
家もカナダと同じ態度をとっているのです。
 米国は、中国の主張については「アクノレッジ(認識)」にとどめており、オースト
ラリア、ニュージーランド、スペイン、マレーシア、タイは米国と同じ態度をとってい
ます。
 日本はどうかというと、公式的には中国政府の立場を「十分理解し尊重する」という
比較的慎重な表現にとどめており、中国の主張を認めているわけではないのです。
 しかし、問題は政治家なのです。それも昔から「平和」「民主」「人権」を唱えてきて
いる土井たか子や菅直人らの対応が問題なのです。土井たか子は、社会党委員長時代の
1986年に北京を訪問し、「帰国したら、中国統一のために国民運動を起こす」と約
束しています。また、菅直人もわざわざ北京詣までして統一の支持を表明しています。
また、最近では、田中真紀子が外務大臣のとき、やはり統一を容認するような発言を独
断的に行っているのは記憶に新しいところです。こういう軽率きわまりないことをする
から、「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」など、実際に存在しなかった問題(これはちゃ
んとした証拠が存在)をろくに調べもせずに認めてしまう――そういう国益を毀損する
国会議員が多いのは問題です。日本の国会議員の中で中国に対して、「台湾への武力行
使はやめるべき」と公式に迫ったのは、鳩山由紀夫前民主党党首だだひとりです。
 台湾の帰属問題については、2つの条約――サンフランシスコ平和条約(1951)
と日華平和条約(1952)において、決定しています。そこには、次のように明記さ
れているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        (日本は)台湾および澎湖島、新南群島を放棄する
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 日本は単に「放棄」を宣言しているだけで、どこかの国に「割譲」したり、「返還」
したとは、一言も書いていないのです。日本は別に台湾を中国から奪い取ったわけでは
ないのです。歴史をきちんと調べない代議士――こういう連中は国益を毀損しても平気
な顔を口を拭っているのです。  ・・・ [2004年時点の東アジア情勢/09]

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2007年07月05日

台湾問題は日本の問題である(EJ第1313号)

 先日ある読者から、なぜ、日本が中国と台湾の問題に首を突っ込むのか疑問である
――という意見が寄せられました。これは、EJでなぜこの問題を取り上げるのか――
という問題にもつながりますので、お答えしておきたいと思います。
 もし、中国が台湾を制した場合のことを考えてみます。中国が台湾を維持できる条件
としては、次の2つのことが実現される必要があります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        1.台湾海峡の制海権・制空権を完全に握ること。
        2.フィリピン・琉球列島からの脅威を排除する。
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 これら2つが実現すると、中国の経済水域は太平洋に突き出し大陸から太平洋にのび
る大陸棚の石油資源掘削権を手に入れることができます。
 しかし、台湾海峡の制海権・制空権ともに現在、米国が握っており、米軍がこれを簡
単に明け渡すはずがないので、当然軍事的緊張が高まるのは必至です。
 もし、米国が何もしないと、米国の西太平洋における制海・空権が南北に分断され、
米国の中西部太平洋の最前線がマリアナ諸島のグアム島の線に後退することになって
しまいます。
 そうなると、日本はどうなるのでしょうか。日本は、次の3つのダメージを受けるこ
とになります。
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      1.東南アジアとのシーレーンが完全に分断されてしまう。
      2.日本の生命線である中東とのシーレーンが脅かされる。
      3.海洋国家としての対大陸戦略が決定的に打撃を受ける。
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 一言でいうと、この状況は、かつて貿易航路が遮断され、戦争へと突き進むしかなか
った日清戦争以前の状態の日本に戻ることを意味するのです。
 「海洋国家としての対大陸戦略」とは、樺太から日本列島、台湾を結んで大陸勢力の
海洋進出を包囲する戦略のことで、日本は米国と組んで、一貫してこの戦略を取ってき
ています。したがって、台湾が中国領になると、この戦略が打撃を受けるのです。
 それだけではないのです。世界の対中路線が、2つに分かれてしまう事態が起こりま
す。EUの米国離れを画策するフランスとドイツは中国寄りの姿勢を示すのに対して、
英国は米国と歩調を合わせるでしょう。ロシアは、EUの東進と米中のアジア浸透に対
して強い警戒心を抱いているので、複雑な態度をとるはずです。
 北朝鮮と韓国の朝鮮半島はどうなるでしょうか。
 現在、韓国はこのあとEJでも取り上げますが、非常に危機的状況にあります。それ
は、韓国の北朝鮮化が大きく進んでいるからです。そうなると、朝鮮半島は韓国を含め
て中国寄りの路線になることは必至です。
 これまで朝鮮半島は日本と中国の軍事的緩衝地帯となっていたのですが、韓国までも
が中国寄りの姿勢をとると、米軍の朝鮮半島撤退は既定方針なので、防衛ラインが一挙
になくなることを意味しています。
 そうすると日本の国内では、次のような国論の分裂が避けられなくなると思います。
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        1.一国平和主義の日和見政策をとるという意見
        2.対米依存を脱し親中国政策をとるという意見
        3.米国と組み、海洋国家戦略をとるという意見
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これは、日清戦争前の国論の分裂とそっくりです。現在、イラクへの自衛隊派遣をめ
ぐって国論は分裂しましたが、日清・日露戦争のときも開戦寸前まで、国論は分裂した
のです。
 海洋国家としての日本は、今まで取ってきた第3の政策を続けるべきであると思いま
すが、そうすると、もし台中戦争が勃発して米国が日本に後方支援を求めてきたとき、
法的にも断ることはできなくなります。
 日本が米軍支援を拒めない法的根拠は、1996年にクリントン大統領と橋本首相と
の間で合意した日米安保共同宣言に基づいて翌年に決定された「新ガイドライン」(日
米防衛協力のための指針)です。
 当時の加藤紘一自民党幹事長は「新ガイドライン」に明記された米軍支援には、台湾
有事のさいの米軍支援が含まれることを認めています。米側としてもクリストフNSC
アジア部長(当時)が米議会でこのことを証言しているのです。つまり、もし台湾有事
があると、日本は逃げられず、日本も戦争に巻き込まれることになるのです。
 このように、台湾問題は単に中台間の問題ではなく、日本の問題でもあるのです。し
かし、多くの日本人は、それを外国の問題として他人事のように考えています。願わく
ば、日本人は正しい日本の歴史をもっと勉強して欲しいものです。
 もちろん明日の台湾総統選挙において陳水扁が勝っても負けても、直ちに「独立」か
「統一」かが決まるわけではありません。台湾が独立するまでには、まだ多くの困難な
ことを乗り越える必要があります。
 現在、中国には100万人規模の台湾人企業家が渡り、前の総統選挙のときとは比べ
ものにならないほど経済的結びつきは強固になっています。
 たとえ陳水扁が勝ったとしても、独立への道を強引に進めようとすると、中国に10
0万人の人質を置いたまま、中台関係は悪化することになってしまいます。いつまでも
続きませんが、当面は、米国の望む「現状維持」が続くはずです。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/10]

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2007年07月06日

中国は今後どう出るか(EJ第1314号)

 台湾の総統選挙は、報道のように陳候補が銃撃されるなど大変なことが起こりました
が、僅差ながら陳水扁候補が再選されるという結果に終わっています。しかし、選挙と
同時に行われた国民投票は過半数に達せず、台湾国民のバランス感覚が働いたかたちに
なっています。今も混乱が続いていますが、台湾については、当面はこれで良かったと
思っています。
 注目すべきは、これによって中国がどう動くかです。前回の台湾総統選挙のときは、
中国は近くの海域で大規模な軍事演習を行い、独立志向の陳水扁率いる民進党陣営に対
して、大きなプレッシャーを与えましたが、今回は表面上は目立った行動をとっていな
いのです。
 僅差であり、前日の陳水扁候補の銃撃による同情票による再選という面はあるにして
も、たとえもう一度選挙が行われたとしても陳水扁候補が勝つと考えています。その根
拠としては、民進党の得票率には大きな伸びがあるからです。過去3回の選挙の民進党
の得票率は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         1996年の総統選挙 ・・・・・ 21%
         2000年の総統選挙 ・・・・・ 39%
         2004年の総統選挙 ・・・・・ 50%
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 しかも、4年前の選挙のときは、連戦主席の国民党と宋主席の親民党とが分かれて戦
い、それで陳水扁候補に総統の座を奪われたのですが今回は連戦・宋両陣営が組んで、
連戦主席を押し立てての必勝の選挙だったのに、またしても敗れ去ったのですからその
ショックは大きいわけです。
 こうした事態を中国は憂慮していると考えます。もし、陳政権の経済運営がうまく回
転すると民意は一層陳陣営に傾き、台湾はますます政治的には中国から離れることにな
るからです。すべては、2008年のオリンピックまでが勝負どころといえます。
 ところで、台湾の総統選挙を3日後に控えた3月17日、産経新聞は、その社説に、
「中国調査船/軍事目的なら一層懸念が募る」というタイトルを打つ記事を掲載してい
ます。
 この社説は、中国の海洋調査船が日本の排他経済水域内で違法な調査を繰り返してい
ることを強い怒りをもって抗議する内容になっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       調査船3隻が1月2日から3月7日までの間、南西諸島から
      小笠原諸島にかけての太平洋上で、計11件の違法な海岸調査
      を行った。既に昨年1年間の違法な8件を突破し、過去最多だ
      った1999年の33件を上回るハイペースだ。
       日本は違法調査を発見する度に中国側に抗議し、2月10日
      に開いた次官級の日中安保対話でも再発防止を要請した。しか
      し、中国は「事実関係を把握する」などと答えるだけで、調査
      を続けた。極めて不誠実な対応である。
                ――3月17日付、「産経新聞」社説より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 世界でこんな生ぬるい対応をやっているのは日本だけであると思います。これだけ傍
若無人のことをされながら、日本政府は近く中国向け円借款967億円を決めることに
なっているのです。なぜ、日本は中国に対してはこうも及び腰なのでしょうか。
 ちなみにこのことを伝えている大新聞は、産経新聞だけなのです。他の新聞はよほど
のことがないす限り書きません。したがって、中国が何をしているかを知りたければ、
産経新聞を参照するのが一番であると思います。
 なぜ、産経新聞なのかというと、それには理由があります。
 かなり前の話なのですが、かつて中国政府は日本のマスコミをコントロールすること
を意図してか、「北京に特派員を置きたければ、反中国的な報道を控えてもらいたい」
と申し入れてきたことがあるのです。
 こうしてできたのが「日中記者交換協定」なのです。このとき日本のマスコミで唯一
産経新聞だけが中国側に「ノー」を突きつけて参加しなかったのです。そのため、産経
新聞は実に数十年間にわたって中国から追放されたのです。
 経済的排他水域内では当然のことですが、沿岸国が資源開発や海洋調査の主権的権利
を持っています。もし、他国が海洋調査を行うには、国連海洋法条約に基づき、6ヶ月
前までに沿岸国に申請し、承認を得なければならないことになっているのですが、中国
は明らかに条約に違反し、日本に申請していないのです。
 中国がしきりと行っている海洋調査は既に述べたように、潜水艦の航行や作戦、機雷
敷設に必要な情報を収集する台湾有事を想定した軍事目的で行われた可能性が高いのです。まして、今までは東シナ海が中心であったのに、最近では太平洋に中心海域を移し
ているのです。
 明らかに中国は、台湾の独立を何が何でも阻止する構えです。そして、中国にとって
台湾有事のさいの直接対立する外国は、もちろん米国であり、日本なのです。最近の中
国の対米戦略は、例の6ヶ国協議でその中心的役割を演ずることで、一応成果を上げて
いるように見えます。しかし、これも次回の6ヶ国協議で決着がつかないと、協議は決
裂してしまうでしょう。
 日本に対しても、中国は硬軟両様の対策を打ってきています。中国が一番気にしてい
るのは、日本人が誰でも知っている台湾人が意外に多いということです。ダイエーの王
監督をはじめとして元西武の郭泰源、元中日の郭源治などのプロ野球選手、歌手の故テ
レサ・テン、政治家の李登輝など、日本人が知る台湾人は非常に多いのです。彼らは、
日本語も堪能であり、日本人に深く受け入れられている人がほとんどなのです。
 それに比べると、中国人でそういう人は少ないのです。中国は最近になって、そのこ
とに気がついていくつか手を打ってきているのです。   
・・・[2004年時点の東アジア情勢/11]

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2007年07月09日

中国による日本の世論懐柔策(EJ第1315号)

 一般論ですが、現代の日本人はある面では中国人と台湾人を一緒にしてとらえている
ところがあります。上海出身とか台湾出身とかいっても、それぞれを中国の地名として
考えているところがあるのです。漢字だけの名前、言葉は中国語、見分けがつかない顔
立ち――どれをとっても中国人そのものであるといえます。ということは、平均的日本
人の頭の中には、中国が主張する「ひとつの中国」が既にでき上がっていることになり
ます。
 ちなみに、現在の台湾の公用語は台湾式の「北京語」ですが、これは第2次世界大戦
後に中国大陸から台湾にやってきた外省人によって持ち込まれたものです。それ以前の
50年間は、日本が統治していたので、台湾国語と同じ位置づけで日本語が使われてい
たことから、現在65歳以上の人は日本語が話せるのです。
 したがって、台湾は日本にとって特別な国なのですが、肝心の日本人が必ずしもその
ようにとらえていない――これは重要であると思います。中国は、現代の日本人が台湾
をどう見ているかをよく知っており、それを利用して日本の国論を「ひとつの中国」に
向けさせようとしているのです。
 中国は、「ひとつの中国」を実現するカギを握っているのは米国よりも日本であると
考えています。なぜなら、日本は、台湾に一番近い西側の大国であって、しかも中国と
も深い経済関係があります。その日本の国論が本当の意味で「台湾独立」を認めるよう
な事態になると、欧米の大国もそれに傾く可能性が高いと中国は警戒しているのです。
台湾や中国との関係が深い日本がそう判断したのなら、「台湾独立」を承認しても、中
国権益を失うことはないとそれらの大国が判断しても不思議はないからです。
 それに現代の日本は、「ワイドショー政治」とか「ワイドショー世論」といわれるほ
ど、茶の間のテレビ報道によって国論が左右されやすい国になっています。もし、「台
湾独立」か「ひとつの中国」かという議論になったら、台湾側はその議論に登場させる
タレントは数多くいるのに対し、中国にはそれに匹敵するタレントがあまりにも少ない
のです。
 朱建栄という中国人の学者がいます。東洋学院大学人文学部人間科学科の教授です。
彼は、日本語に堪能でほとんど日本人と同じように話せるのです。そのため、日本のテ
レビにはよく登場しときにはワイドショーにも出演します。
 しかし、この朱建栄という人物――バックに中国政府がついており、いろいろな番組
に出演して中国政府の主張を代弁しているのです。しかし、朱建栄を知っているのは、
日本人のインテリ層のごく一部に過ぎないのです。
 また、中国のプロバスケットボールの選手に23歳の姚明(ヤオミン)という有名な
選手がいます。彼はアップル・コンピュータ、VISAカードのCMに採用されており
、今年に入ってからでも米マクドナルドとスポンサー契約に合意しています。まさに有
名タレントそのものですが、もちろん姚明は米国では政治的発言はできないし、やれば
多くのスポンサーは即降りてしまうことは確実です。
 といって、姚明は日本ではほとんど知られておらず、日本ではそういう目的に使えな
いタレントなのです。つまり、日本では、誰でも知っていて好意的に受け入れられる中
国人のタレントが非常に少ないという事実をごく最近になって中国政府は、遅まきなが
ら気がついたのです。
 ところが、台湾には日本人が誰でも知っていて好感を持っているタレントを多く抱え
ています。その典型的な例として、故人ではありますが、テレサ・テンがいます。テレ
サ・テンという名前は、中国圏以外で使われるもので、中国圏では次のように発音する
のです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
        中国圏以外 ・・・ テレサ・テン(Teresa Teng)
        北京語 ・・・・・ デン・リーチュン
        広東語 ・・・・・ ダン・ライグァン
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 テレサ・テンは、台湾雲林県龍岩村生まれの台湾本省人ですが風貌に似合わず、積極
的な政治的行動をとった人として知られています。天安門事件のさいも、中国政府の弾
圧に抗議して世界に向けて抗議の発言を行っていたのです。もし、テレサ・テンが生て
いて、しかるべき時期に、世界に向けて「台湾独立に力添えを」と訴えたらどうなるで
しょうか。そのインパクトの強さを中国政府は非常に恐れていたのです。そのために、
彼女がタイのホテルで急死したとき、その死因をめぐっていろいろなうわさが取りざた
されたのです。
 中国政府はテレサ・テンに対して、かなり以前から「台湾のスパイ」として神経を尖
らせていたのです。1980年に入ってテレサ・テンの歌声は中国でも大流行します。
とくに彼女が北京語で歌った「何日君再来」は大ヒット曲になったのです。
 しかし1983年10月11〜12日に開催された中国共産党中全会において、「整
党に関する決定」が採択され、反精神汚染運動がはじまったのです。そして、テレサ・
テンの歌った「何日君再来」は精神汚染であると弾劾されたのです。
 このようにテレサ・テンは、中国政府にとってかなりマークされた存在であったので
すが、彼女の死後、ごく最近になって中国は、テレサ・テンの生涯を描く舞台劇と映画
の製作を発表しています。タイトルは『小城故事』――公開は2002年1月とありま
すが、本当に公開されたのかどうかは、私自身確認できていません。この動きは、テレ
サ・テンに対する中国での名誉回復の動きなのでしょうか。
 さて、日本の世論懐柔のために中国政府が作り出したものとは「女子十二楽坊」なの
です。今や多くの日本人がこの名前を知っていますが、「女子十二楽坊」が日本にデビ
ューしたのは2003年のことであり、それでいてその年末の紅白歌合戦に出場する
――おかしいとは思いませんか。  ・・・[2004年時点の東アジア情勢/12]

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2007年07月10日

中国版官製美女楽団/十二楽坊(EJ第1316号)

 「女子十二楽坊」の結成は、2001年7月ということになっています。楽器ごとにオーディションを行い、中国の著名な音楽学校からの卒業生4000人の応募者の中から選抜したといわれています。楽器は、次の4種類の中国の伝統楽器です。
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       1.二胡 ・・・ 4人    3.笛 ・・・ 2人
       2.琵琶 ・・・ 3人    4.琴 ・・・ 3人
          ――演奏時の構成/二胡は5人おり、1人は予備
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 しかし、全員中国生まれの女子12人(1名予備)による楽団――いろいろ謎が多いのです。その謎を示しておきます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      1.「女子十二楽坊」は、中国と日本以外ではほとんどその名
        が知られていないこと。
      2.結成から、日本での大ヒットまでの時間があまりにも短す
        ぎて不自然であること。
      3.ファーストアルバムからCD+DVDの2枚組を税込価格
        3000円で販売する。
      4.デビューした年の年末の紅白歌合戦に、歌なしの演奏だけ
        の楽団で出場している。
      5.日本人の好みを調査・分析して、演奏曲の中にそれを巧み
        に取り入れていること。
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 第1の疑問点は、「女子十二楽坊」は明らかに日本をターゲットにしているということです。どうしてかというと、現時点ではその名前が、中国と日本でしか知られていないからです。もちろんビジネスとしてやっているのであれば、これから他の外国にも演奏活動を展開するでしょうが、最初のターゲットは日本に絞り込まれており、周到な計画の下に進められたと考えられます。一体何が狙いなのでしょうか。日本人向けの「中国版・官製美女軍団」なのでしょうか。
 第2の疑問点は、日本でのデビューから大ヒットまでがあまりにも短期間である点です。それは楽団の演奏の質が高いこと、好選曲、それにプロモーションが巧みである――それらがすべてうまくいった結果なのでしょうが、日本側の受け入れ体制も含めてそこに相当の配慮があったと考えざるをえないのです。この成功には、以下の第3と第4の疑問点が深く関与しています。
 ちなみに、この楽団のプロデューサーは、王暁京――かつてのナンバーワン・ロッカーですが、何か国から使命を帯びて、相当の資金が投ぜられているように感じます。
 CDを普及させるには、質の高い演奏を収録したCDを格安の価格で提供することですが、それがなかなかできないので、苦労するわけです。しかし、「女子十二楽坊」では、それが実現されています。第3の疑問点は、その価格の異常なほどの安さです。
 ここまで発売されている代表的な3つのCDとその価格は、次の通りです。
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        1.『女子十二楽坊〜Beautiful Energy〜』
          CD15曲/DVDプロモーションビデオなど
                  2003年 7月24日発売
        2.『女子十二楽坊 奇跡』
          CD12曲/DVD13曲
                  2003年11月 6日発売
        3.『女子十二楽坊 輝煌〜Shining Energy〜』
          CD15曲/DVD22曲
                  2004年 3月 3日発売
             ―――1〜3価格 税抜価格2838円
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 DVDには、メンバーの紹介ビデオやプロモーションビデオが含まれるものの、ちゃんとした演奏もたくさん入っており、「女子十二楽坊」を耳と目から楽しめる内容となっています。これをCD1枚の価格で購入できるのですから、極めて格安といえると思います。これだけのことをやるには、相当しっかりとしたスポンサーが必要ですが、それが中国政府であったとしたら、納得できるのではないでしょうか。しかし、これは、あくまでの推定であり、結果としてこれだのヒットとなればビジネスとしては大成功であるということができます。
 第4の疑問点は、なぜ、あのNHKが「女子十二楽坊」をスンナリと紅白歌合戦に出場させたかです。何しろファーストアルバムの発売が2003年7月24日であり、それから約5ヶ月のプロモーションで紅白歌合戦の出場を果たしたことになります。まさに快挙です。NHKに理由を聞いたらその年にヒットしてCDが売れたからという型通りの答えが返ってくることでしょう。
 しかし、「女子十二楽坊」は歌手ではなく、楽団なのです。紅白歌合戦の歴史において、歌以外の演奏だけで出場したケースはないのです。「女子十二楽坊」はそんな難問題もいとも簡単にクリアしています。これもバックに中国政府がいたとすれば・・という仮定に立てば可能になるのではないでしょうか。
 第5の疑問点は、「女子十二楽坊」は北京オリンピック決定直後に結成され、日本をターゲットにしてかなりの調査・分析をしているという点です。なぜ、そんなことをやったのでしょうか。
 既に述べているように、2008年の北京オリンピックは、中国にとってはそれまでの4年間が、「台湾独立」を阻止できるかどうかの重要な4年間になります。そこで、日本対策用に「女子十二楽坊」を仕組んだのではないかと考えられるのです。
 「女子十二楽坊」は、日本における「モーニング娘」にヒントを得ているのは明らかです。チームの名前をブランド化し、メンバーは必要に応じて入れ替える――この方式を踏襲しています。この方が長続きするからです。メンバーは亡命できますが、ブランド名は亡命できませんから・・・。 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/13]

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2007年07月11日

韓国が急速に親北朝鮮化している(EJ第1317号)

 ここまで、台湾の総統選挙に合わせて、台中情勢を分析してきました。しかし、今回
のテーマはあくまで朝鮮半島情勢の分析です。そこで、今朝から朝鮮半島情勢に舵をき
っていきたいと思います。
 現在、韓国が容易ならぬことになっています。といっても、例の盧武鉉大統領の弾劾
騒ぎのことではありません。日に日に韓国の北朝鮮寄りの姿勢が鮮明になりつつあるこ
とです。このままでいくと韓国は、北朝鮮と国家連合をつくって米韓同盟を破棄、金正
日主導下で左傾統一される可能性がある――コリアン・ウォッチャーの西岡力氏はこう
述べています。
 現在、北朝鮮は、台湾の総統選挙やその後の混乱、韓国大統領の弾劾騒ぎのウラで音
なしの構えのように見えますが、しかるべき打つ手はきちんと打っているのです。拉致
問題の交渉において日本は、日米韓の西側の仲間として、少なくとも韓国を味方と見て
いますが、そうではないようなのです。
 2004年3月2日のことです。韓国において、次のような法律が与野党の圧倒的多
数の賛成で可決されています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       「日帝下の親日・反民族行為真相糾明に関する特別法」
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 どういう趣旨の法律かというと、韓国は日本支配から解放後、日本時代の人的遺産を
活用しながら、国家建設や経済発展を図ってきた経緯があるのですが、その中心になっ
て動いた韓国人の保守層を「親日派」として否定し歴史の教訓として後世に伝える――
としているのです。
 本来であれば、そのときの親日派こそ現在の韓国の再建の柱と称えられるべき存在で
あるのに、日本統治終了から実に60年も経過した現在になって「否定する」――親日
派は敵だというのですから、時代錯誤も甚だしい代物です。何をいまさら・・・という
感じです。
 そういえば、そういう時代錯誤の主張を平気でいう国がありましたね。そうです。本
来この主張は北朝鮮の主張なのです。韓国の現代史は、左派や親北朝鮮派からは「親日
派の温存」を非難され、逆に「親日派を清算した」とされる北朝鮮の歴史的優位性が強
調されてきたのです。
 こういう法案が、しかも圧倒的多数で成立しているのです。韓国の国会の多数派は野
党のハンナラ党なのですが、その野党がなぜこの法案に賛成したのかというと、この4
月15日に実施される総選挙において、野党が法案に反対したということになると、選
挙に不利と考えた結果だというのです。
 この事態が日本に与える影響は容易ならざるものですが、日本ではあまり問題になっ
ていません。今回の特別法は左派や親北朝鮮的な傾向の強い若手議員が主導して成立し
ており、このままいくと、今回糾弾される保守派主導で実現した1965年の日韓国交
正常化の見直しにも発展する恐れがあり、日韓関係はにわかに緊迫の度を増すことにな
ります。北朝鮮の工作が韓国において着実に成果を上げつつあるのです。
 韓国では、解放直後に特別法で一部処罰が行われており、本来この問題は済んだ話な
のです。そのうえで、韓国の多くの人々が日本の残した遺産やノウハウを使い、朴元大
統領を中心に国の近代化を図り、現在の韓国の発展の基礎を築いたのに、それを今にな
って、批判の対象にしようというのです。
 糾弾の対象者は、旧日本軍の将校全体となっているのですが、そうなると、故朴大統
領はそれに該当することと、ひいてはハンナラ党の次期首脳に予定されている長女の朴
議員の追い落としにつながるとしてハンナラ党は反対し、対象者を中佐以上の旧日本軍
軍人と修正させるという一幕もあったといわれます。
 国際政治の現場で、北朝鮮をめぐる6ヶ国協議が行われているこの時期において、今
や明白な親北朝鮮政権である盧武鉉政権がこの法案を通したということは何を意味し
ているのでしょうか。
 それは、北朝鮮が日朝首脳交渉の席でも持ち出した日本の植民地支配の責任を強調す
ることにより、北朝鮮を側面で支援し、ひいては、6ヶ国協議で日本を孤立させて、中
朝韓で主導権を握ろうということにほかならないのです。
 韓国の日本文化規制緩和によって、今年から日本のテレビドラマや音楽番組が解禁さ
れています。日本でも、昨今の韓国映画、テレビドラマの人気は高く、スポーツの世界
――とくにサッカーにおいては、W杯共同開催以来、実に理想的なかたちで日韓友好は
進んでいます。しかし、盧武鉉政権は、何かそれとはチグハグなかたちで逆のことをや
っているような気がします。
 盧武鉉政権は、米国からは最初から親北朝鮮寄りと見られています。というのは、盧
武鉉政権の閣僚を見れば明らかであるというのです。その証拠に軍事演習などの軍事情
報がよく北に筒抜けになるというのです。
 それなりの確証を掴んであえてダミー情報を流してみると、それが韓国大統領のホッ
トラインを通して北朝鮮に伝わっていることを確認したというのです。そのため、盧武
鉉大統領が訪米したとき、ブッシュ大統領は会談を30分で打ち切ったのです。
 その盧武鉉大統領は、今回の弾劾決議はクリアできるものと自信満々です。そのせい
か、その発言は少しずつ強気になっているように見えます。
 盧武鉉大統領は、3月1日の「3・1独立運動85周年記念式典」において、記念の
辞を述べていますが、日本の小泉首相に対してこういったのです。これはきわめて異例
のことです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      日本に対して一言、忠告したいことがある。われわれ国民の心
      に傷を与える発言は、分別のない国民や人気に汲々とする一人
      二人の政治家が行っても、少なくとも国家的指導者のレベルで
      は行ってはならない。        ――韓国盧武鉉大統領
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                  ・・・[2004年時点の東アジア情勢/14]

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2007年07月12日

ブッシュ大統領来日の秘話(EJ第1318号)

 次の本を購入しました。著者の前野徹さんについては『第四の国難』(扶桑社刊)のときに一度紹介させていただいたことがあります。今回の本、もちろん出たばかりの本です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          前野徹著、『日本の敵は日本人』(経済界刊)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この本の中に一般の人の知らない凄い情報を発見――驚愕すると同時に、心から小泉
首相の優柔不断さに国民として怒りを覚えました。これを知ると、小泉首相の正体が分
かります。
 この問題は、これからお話ししようとする朝鮮半島問題にも関係があることですから
本日のEJはこの話題です。
 2002年2月にブッシュ大統領が来日したとき、ブッシュ大統領ひとりで明治神宮
に参拝していますね。私は何かおかしいと思ったのですが、これには凄いウラがありま
した。
 実はブッシュ大統領は、来日前に小泉首相に「一緒に靖国神社を参拝したい」と申し
出ていたのです。この申し出を受けた首相は大慌てで、官邸と外務省と調整――結局近
隣諸国と問題を起こしたくないとして断ってしまったそうです。しかも、代替案の明治
神宮にもブッシュ大統領と2人で参拝することも断って、大統領ひとりを参拝させたの
です。
 天皇陛下や日本の首相、大臣が外国を訪問すると、国際的な儀礼として、慰霊塔や無
名戦士の墓に行って献花し、祈りを捧げることになっています。しかし、日本では、来
日した国家元首が靖国神社参拝を申し出ても外務省は断っています。同様にブッシュ大
統領の場合も断ったのでしょう。なぜ、断るのか――それは中国・韓国に配慮してです
 もし、そうであるならば、小泉首相自らも靖国神社参拝をやめるべきです。しかし、
やめない。しかし、公約の8月15日を避けて参拝している――そんなことは小細工で
あって、一国の首相のやるべき行為ではないと思います。本当に中韓に配慮するなら、
例え公約をしてもやるべきではありません。公約違反といわれたくないので中途半端に
やって、両方から不信を招いている――これが現状です。
 前野氏は、このブッシュ大統領の申し出について、次のように述べています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       ブッシュ大統領の申し出は、このおかしな状況を一気に打開
      するチャンスだった。近隣諸国が公人の靖国参拝を非難する根
      拠になっているのが、東京裁判でA級戦犯とされた英霊が祀ら
      れている、である。連合国の盟主で東京裁判開廷の主導的役割
      を果たしたアメリカ合衆国の大統領が靖国神社に参拝すれば、
      この根拠が吹っ飛ぶ。     ―――前野徹氏の前掲書より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 諸外国の訪問者の中には、日本の置かれている特殊な事情を知らないで靖国神社参拝
を申し出るケースも少なくないでしょう。しかし、米国は違います。知らないはずはな
い。断ることを前提に儀礼的に申し出たのでもない。小泉首相の置かれた苦しい立場を
十分に考えたうえで、「一緒に靖国神社に参拝しよう」といってくれたのです。
 米国においても東京裁判のことを反省する動きもあるのです。もし、大統領が靖国神
社を参拝すれば、A級戦犯は戦犯ではないと認めたことになるのです。
 中国にしても韓国にしても米国の大統領が参拝したとなると、一応は激しく反発する
でしょうが、その後の対応は非常にやりにくくなります。なぜなら、今までは日本一国
であったら激しい非難を浴びせることができたのですが、今度非難すると米国にも非難
を浴びせることになるからです。なぜ、小泉首相は、この千載一遇のチャンスをなぜむ
ざむざと見逃したのでしょうか。
 戦後半世紀60年が経過しているというのに「反日特別法」という法律を制定した韓
国――その韓国は過去に中国に侵略されること100回以上に及ぶのです。その中国に
対して、韓国が謝罪を求めたという話は聞かないのです。なぜ、日本は安易に謝罪ばか
りを何回も繰り返すのでしょうか。
 中国と韓国は、反日を国是とし、日本の過去を非難、謝罪させて金をむしりとろうと
することを国家戦略としているのです。それに対して真摯に自分の国の歴史を調べ直す
こともせず、なぜ、安易に謝罪に応じてしまうのでしょうか。他の国がそんなことをす
るでしょうか。たとえそれが真実であってもです。もし、日本が他の国の教科書に少し
でもクレームをつけたとしたら、直ちに主権侵害の猛抗議を受けてしまいます。
 日本が現在のような情けない謝罪国家、贖罪国家に成り果てる原因を作った大罪人と
して前野氏が名指ししているのが、宮沢喜一元首相なのです。
 1982年6月25日のことです。高校の世界史教科書に関する検定結果が発表され
たのです。そのとき、文部省記者クラブの記者が検定申請時に、中国華北地方に対する
「侵略」の記述を文部省が「進出」に書き換えたと勘違いして報道してしまったため全
新聞が一斉にこれを報道してしまったのです。
 この記事に中国が反応し、怒りの声をあげ、外交問題に発展してしまったのです。時
の内閣総理大臣は鈴木善幸、官房長官は宮沢喜だったのです。同じ年の9月に中国訪問
が予定されていたのですが、それが中止になる寸前までコトはいったのです。
 繰り返しますが、これは「誤報」なのです。誤報であれば、そういう事実がないので
すから、中国側に伝えれば済む話です。しかし、中国の過剰反応はいつもの通りです。
結局どうしたかというと、宮沢官房長官は誤報である事実を知りながら、無責任にも謝
罪して、おまけに「教科書検定基準」に「近隣諸国条項」まで設けて中国のご機嫌をと
り、首相の訪中を実現させています。
 その結果、それが、中韓両国のわが国教科書への干渉を許す悪しき前例となり、歴史
はますます歪められていくのです。  ・・・[2004年時点の東アジア情勢/15]

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2007年07月13日

『反日特別法』成立の背景(EJ第1319号)

 沖縄県の尖閣諸島・魚釣島への中国人活動家の不法上陸事件と沖縄県警による活動家
らの逮捕、それに対する中国政府の抗議と強制送還、台湾総統選挙の再集計(験票)問
題、北朝鮮の日米批判――日本周辺が尋常ならざる状況になっています。
 2003年10月9日のEJ第1208号において、「反韓史観」というものについ
て説明しました。3月2日に韓国で成立した「反日特別法」は、この「反韓史観」に基
づいています。
 「反韓史観」を再現しておきます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       韓国は親日・親米の民族勢力によって発足したアメリカ帝国
      主義の植民地であり、そもそもが誕生してはならない国なので
      ある。これに反して、北韓は抗日愛国勢力によって打ち立てら
      れた人民主権の国家であるゆえに、北韓を中心に統一された場
      合のみ、民族の将来は保障されるものである。
                           ――『反韓史観』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これは、故金日成がさかんに唱えていた主張なのです。要するに、韓国という国は、
旧日本軍の残した遺産を使って、親日・親米の人たちが中心になってつくった国であっ
て、本来ならば誕生してはならない国であるという論理です。
 この前提には、朝鮮半島は、抗日愛国勢力による人民主権の国家でなければならない
という考え方があります。しかし、北朝鮮については、抗日愛国勢力による人民主権の
国家であって問題はないので、韓国もそういう国家に改造する必要があるというわけで
す。この考え方は、韓国における親北・左派勢力の考え方と一致し、その頭目が金大中
前大統領なのです。
 金大中は自分が大統領在任中にそういう基盤をつくり、盧武鉉大統領をけしたてて、
ついに「反日特別法」を圧倒的多数をもって成立させたのです。金大中の引いた路線が
着実に実っていることになります。
 何しろ金大中という人は、自分が大統領在任中に「一民族二体制」を根づかせて、次
の大統領として仮に「アンチ金大中」が就任しても絶対に元の路線には戻せないように
してやる――と明言していた人なのです。盧武鉉大統領は完全に金大中の配下ですから
計画は急ピッチで進んでいることになります。
 2000年6月13日、金大中と金正日は南北首脳会談において南北共同宣言を行っ
ているのですが、そのとき重要なことが約束されているのです。南北共同宣言の第二項
には次のようなことが書いてあります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       両国の統一のための南側の連合制案と、北側の低い段階の連
      邦制案は、互いに共通点が多いことを認め、今後この方向で統
      一を目指していくこととした。
                       ――南北共同宣言の第二項
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「南側の連合制案」とは何でしょうか。
 金大中は、次の「三段階統一案」というものを前から提案していますが、「連合制」
というのはその第一段階に該当します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       第一段階:南北連合 ・・ 国と国が主権を持って連合
       第二段階:連邦制移行 ・ それを連邦制レベルに移行
       第三段階:完全統一 ・・ ひとつの国として完全統一
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 韓国の憲法には、「南北統一」について、「自由民主主義体制で統一する」と明記され
ています。北朝鮮は、「主体思想で統一する」としてあります。これは、動かし難いも
のです。
 そこで、金大中案は、まず、第一段階として、自由民主主義の韓国という国家と主体
思想の北朝鮮という国家が、それぞれ主権を持ったまま連合する――これを南北連合と
いうのです。
 これに対して、北朝鮮の提唱する連邦制案というのは、実は故金日成がかねてから唱
えていたものであって、両国の社会体制はそれまで通りそのまま維持する、すなわち、
資本主義と社会主義を維持したうえで連邦制を組むというものです。
 したがって、基本的なところは、金大中案と同じではないかというわけなのです。こ
の体制でしばらくやって、時間をかけて国家統一を実現しようというわけです。
 しかし、これに対して「騙されてはならない」と警鐘を鳴らしているのは、北から亡
命したファン・ジャンヨブ氏なのです。北朝鮮の連邦制統一法案は、体制競争で勝利す
るための戦略的法案であって、うかうかとこれに乗ると、必ずや朝鮮半島は主体思想の
もとに統一されてしまうことになるといっています。これは、金日成が練りに練り上げ
た必勝の統一法案だというのです。
 金日成の考え方はこうです。
 北と南が社会体制はそのままで連邦制を組んだとします。そしてお互いに自由に連邦
間を行ききして話し合いや宣伝などをやることになります。
 その場合、北はひとつの思想で統一された国家であり、南からいかに宣伝されても少
しも影響を受けることはない――しかし、南は自由の国であるから、北から南に行って
社会主義の優越性などの宣伝を行えば、少なくとも南の人民の半分は思想的に奪い取る
ことはできるはず――金日成はこう考えたのです。
 そうするとこういう結論になります。
 現在、南の人口は北の2倍ある――しかし、南の半分、つまり1は北が取れるので北
の1と合わせて2となる――つまり、北2に対し、南1となるので、その時点で総選挙
を仕掛ければ、北は勝てるし、戦争をしても北が勝利することになる――こう金日成は
いっているのです。
 この可能性はとても高いです。もしかすると、現在の韓国の3分の1は、既に親北化
している可能性があります。金日成、金正日、金大中の3金が長い間にわたって、少し
ずつやってきたことが実りつつあるのです。金大中は国を売ったのです。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/16]

2007年07月17日

北の国家主席が空席である理由(EJ第1320号)

 故金日成は、先の先のことまで考えた恐るべき戦略家であると思います。まさか、自
由民主主義体制の韓国がやすやすと北朝鮮の手に落ちるとは誰も考えていないと思い
ますが、現在の韓国の状況を見ていると、そうともいえないのです。現在の韓国は、米
国から距離を少しずつ置き、中国に接近し、北と親和政策をとって反日を盛り上げ、米
中韓ではなく、中朝韓の連携を強めようとしています。金大中がいう「たとえアンチ金
大中が大統領になっても路線の変更はできない」体制がかなりでき上りつつあるように
感じられるのです。
 「反日特別法」が圧倒的多数で成立したのも、国民の多くがそれを望んでいるので、
絶対多数のハンナラ党もそれに乗らざるを得なかったのです。それは、北の仕掛けた韓
国の赤化が進んでいる証拠であるといえなくもないのです。それに大統領が超親北派で
あり、しかも、金大中前大統領の忠実な配下というのですから、事態はとても深刻なの
です。
 昨日のEJで、北のいう連邦制が導入されたとき北は、タイミングを見て総選挙か戦
争で南を奪い取ることを考えていると述べました。また、連邦制の導入に成功しても、
南の半分を赤化することに手こずったら、やはり、北は戦争という手段を使うことを想
定しているといわれます。
 ファンジャンヨブ氏によると、かねがね金日成は連邦制の話になると、幹部たちに次
のような話を聞かせることが常だったというのです。ファンジャンヨブ氏自身もその話
を金日成から直接聞いています。以下、金日成の話を要約します。
――金日成の考える「戦争」−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 軍隊においては、特殊部隊は戦略的に重要である。そのために小学校の頃からテコン
ドーを教え、テコンドーの実習を大々的に行うべきである。
 仮に連邦制が行われ、南朝鮮情勢が複雑になったときに、もしわが人民軍隊が直接進
撃して、南朝鮮の親北勢力を支援したとすると、これを南進として外国(米国)が再び
干渉してくることは必至である。
 しかし、テコンドー部隊を約100万名組織し、拳銃を一丁ずつ携帯させて南朝鮮に
送れば、同じ朝鮮人民であるから誰が南出身で、誰が北出身なのか区別できなくなる。
したがって、南進という口実を与えることなく、われわれが南朝鮮の親北勢力と力を合
わせて政権を奪うことができる。これも戦争なのである。
 どうでしょうか。これが金日成のいう「戦争」なのです。韓国が北の誘いに乗って、
もし連邦制などに踏み出したら、金日成のいう「戦争」によって、政権をとられてしま
うでしょう。
 金日成の死後の1998年、北朝鮮の憲法は大幅に改正されています。ところが不思
議なことに、「国家主席」の座は空席になっているのです。金正日は「国防委員長」で
す。なぜ、国家主席に就任しないのでしょうか。
 これには実に驚くべきたくらみが隠されているのです。北朝鮮の憲法の前文は「国家
主席は永久に故金日成である」と書いてあるのです。死人を主席にしておいて、最高人
民会議の常任委員長を事実上の国家元首とみなしています。現在この地位に就いている
のは、金水南という人物です。そうすると、北朝鮮のトップは次のようになります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         国家主席 ・・・・・・・・・ 故金日成
         常任委員会委員長 ・・・・・  金水南
         国防委員長 ・・・・・・・・  金正日
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これによると、北朝鮮の形式上のナンバーワンは金水南であって金正日ではないので
す。実質的にはトップは金正日なのですがあえてそういうかたちをとっています。これ
は、近い将来、韓国と連邦制をとることを想定しての措置と考えられます。
 朝鮮半島の北と南の連邦制がはじまったとします。連邦制では国家首班は交替制とな
るので、1回北側が担当すると、次回は南側ということになります。しかし、北の前の
憲法では国家首班は人民軍総司令官になっていたので、南側の担当のときに北側の軍隊
の統帥権も渡さなければならないことになる――これは当然のことですが、北側として
は渡したくないと考えているのです。
 そこで、金日成が亡くなったときに憲法を改正して、金正日が国防委員長に下がって
軍の統帥権を離さないようにしたのです。仮に現在のままで連邦制が行われると、北の
金水南と南の盧武鉉が交代で国家首班を担当することになります。しかし、金正日は国
防委員長のままで残るという姑息な企てなのです。
 しかし外交関係においては、事実上の北ナンバーワンは金正日であるという配慮が行
われているのです。その典型を南北首脳会談のときの外交儀礼に見ることができます。
 南北首脳会談のさいの外交儀礼の記録は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      空港への出迎え/閲兵式 ・・・・ 金大中 金水南 金正日
      1日目の晩餐会(金水南主催)・・ 金大中 金水南
      2日目の晩餐会(金大中主催)・・ 金大中 金水南 金正日
      3日目の昼食会(金正日主催)・・ 金大中 金水南 金正日
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 これをよく見ると面白いことがわかります。空港への出迎えは金水南、金正日が2人
とも出てきています。これは当然のことですが、1日目の金水南主催の晩餐会に金正日
が出てきていないのです。金水南が本当のトップなら、当然金正日が出てくるべきです
が、出てきていないのです。
 2日目の晩餐会は金大中の主催ですから、金水南、金正日が出てくるのは当然のこと
ですが、金大中が韓国に帰る3日目の昼食会は金正日が主催し、そこに金水南を呼んで
いることです。こうなると、明らかに金正日が北朝鮮のナンバーワンであることを外交
儀礼上も示す演出をしていることになります。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/17]

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2007年07月18日

盧武鉉は始まりでなく結果である(EJ第1321号)

 現在の韓国は左傾化し、かなりおかしくなっています。多くの人は盧武鉉大統領にな
ってからそうなったと考えていますが、それは違います。コリア・ウオッチャ−の西岡
力氏は「盧武鉉は始まりではなく結果である」といっています。
 西岡氏によると、韓国がおかしくなったのは、20年以上にわたる北朝鮮による左傾
民族主義の工作が少しずつ実を結んできた結果だというのです。
 1970年代までは、朴大統領が左傾化を警戒して、KCIA(韓国中央情報部――
1980年に国家安全企画部)まで作って北とつながりを持つと死刑も辞さないという
覚悟でかなりきつい北の押さえ込みをやったのです。
 しかし1979年に朴大統領が暗殺され、北への弾圧が緩むのです。これによって、
今まで抑えられてきた金大中を中心する左派勢力が動き出します。そのあと、全斗煥を
中心とする勢力がクーデターによって軍部を掌握し、全斗煥が政権を取ります。そのと
き金大中の地元の光州市でデモ隊と軍隊が衝突して200人近くも死亡するという光
州事件が起こります。
 このとき全斗煥の後ろには米国がいるという情報を親北勢力が流しはじめるのです。
絶妙のタイミングといえます。そのため、光州事件を契機に反米感情が高まってくるこ
とになります。そして、光州事件以後、学生運動の中に次のような2つのセクトができ
るのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      1.基本矛盾は資本家対プロレタリアートにあり、資本家こそ
        はわれわれの敵である――マルクス・レーニン派
      2.基本矛盾は外勢対民族にあり、韓国は米国の植民地であり
        米国は外勢、敵である――主体思想派のグループ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 全斗煥政権の時代は、民主化を推進して自由を広げた時代なのです。言論の自由もで
きてマルクスでも何でも読めるようになったのです。当然、北の工作もやりやすくなっ
たといえます。
 北からは地下運動を専門に行う工作員が送り込まれ、彼らは資金も豊富に持っている
ので、やがて大衆を味方につけて巧妙きわまる運動を展開するようになります。デモを
やっても決して暴徒化しない――大衆に合った要求を掲げ、決してそれ以上の要求もせ
ず、その旗印の下でのみ動くのです。
 石や火炎瓶も投げないし、大衆の見ている前では無抵抗に機動隊に殴られ、引きずら
れていってどんどん逮捕される――そうすることによって、大衆を味方につけるのです。
 これに対してマルクス・レーニン派のセクトは、日本の過激派と同じようにヘルメッ
トをかぶり、石や火炎瓶を投げて派手な闘争を繰り広げる――これでは大衆の支持は得
られないのです。
 そのうちにマルクス・レーニン派のセクトは、北の主体思想派によって少しずつ感化
され、主体思想化していったのです。何しろ彼らは思想の洗脳にかけてはプロであり、
鍛え抜かれているのです。やがて、労働者だけではなく、政治家、学者、公務員、弁護
士、裁判官、教師、マスコミの各層に主体思想は浸透していくことになります。
 そして、1980年代から90年代にかけて、「親北・反米」の思想は深く静かに少
しずつ深耕し、1998年に金大中が大統領になってから、親北政権が5年間続くので
す。そして、その仕上げが、2003年からの盧武鉉政権というわけです。西岡力氏の
いう「盧武鉉は始まりではなく結果である」というのはこういう意味なのです。
 金大中前大統領がどれほど韓国にとって危険な存在であったかを示す知られざる事
件があります。2000年6月に行われた南北首脳会談のとき、その返礼として金正日
総書記がソウルを訪れるという話があったことはよく知られています。
 しかし、表面的には何事も起こらず、金大中は大統領を降りています。実は2001
年に、金大中は南北共同宣言第2項(EJ1319号参照)を使って南北国家連合をや
ろうとして失敗していたのです。
 どういうシナリオだったかというと、2001年5月を想定して、金正日総書記がソ
ウルを訪問して平和宣言を行い、在韓米軍の地位を変更して憲法改正をやろうと画策し
たのです。
 この動きは米国の知るところとなり、米国はこれを事前に潰しているのです。金大中
は2001年3月に訪米したのですが、このとき米国は金大中に事実を突きつけて圧力
をかけ、この企てを阻止しているのです。
 西岡力氏の情報によると、この事件に関係する動きとして2001年7月23日に韓
国の国家情報院の対北戦略総合課長が解任されています。解任理由は、この課長が米国
CIA要員のユンという人物に、対北戦略情報を漏らしたという疑いによって懲戒委員
会にかけられ、罷免されたというのです。
 実は、2001年3月14日付の『読売新聞』には、次の趣旨の記事が載っているの
です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       金正日がソウルを5月に訪問する。そこで、南北は平和宣言
      を発表することで合意しており、すでに数回にわたり、草案を
      交換している。  ――2001年3月14日付『読売新聞』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この記事には「ワシントン発」の記載があるので、米国がリークしたことは間違いな
いものと思われます。韓国ではどうして情報が漏れたかを極秘に調べ、突き止めた結果
その課長は解任されたのです。
 金大中の狙いは何かというと、今まで学界の論議に限定されていた統一憲法論議を与
野党間の論議に上げたかったのです。金正日をソウルに呼んで、これを契機に憲法を改
正して統一憲法を策定したうえ、国民投票を行って、南北共同宣言の第2項に沿った国
家連合の移行を画策したのです。驚くべきことです。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/18]

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2007年07月19日

北朝鮮の3段階戦略(EJ第1322号)

 韓国の政界が混乱し親北朝鮮化することは、日本にとってロクなことがないのです。
なぜなら、朝鮮半島が赤化してしまうと海洋国家としての日本の安全保障に赤ランプが
つくからです。それに加えて台湾が正式に中国に統一されるような事態になると、日本
は最悪の事態に陥ることになります。
 また、先の6ヶ国協議では、大方の予想に反して北朝鮮は強気で押し通し、譲歩らし
い譲歩を一切しませんでした。むしろ譲歩したのは、日中韓の方です。なぜこんなこと
になったのかというと、北朝鮮は、韓国を米国から切り離すことに成功しつつあること
に確信を持ったからです。
 もともとこの6ヶ国協議――中国とロシアは北朝鮮寄りでありそれに日米韓が連携し
て対抗する3対3のパワーバランスだったのですが、肝心の韓国は大きく北に舵をとり
つつあり、今や4対2(中朝ロ韓対日米)の力関係になりつつあるのです。このような
状況を前にして北朝鮮は譲歩などするはずはないのです。
 韓国の北朝鮮寄りを数字で示します。韓国の対北貿易は、前年比で約12%伸び、核
問題の余波で北への国際支援が2年連続で減少するなかにあって、韓国の対北援助は
17%増加しているのです。総額169億円の援助です。内訳は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          政府支援 ・・・・・ 93億円  4%増
          民間支援 ・・・・・ 76億円 38%増
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 それ以外にもいろいろな口実をつけて韓国は北朝鮮に秘密資金を提供しているので
すから、北朝鮮を追い詰めるどころか一生懸命支えているのです。それに、中国はもと
もと北朝鮮の援助国です。その中国は、第2回の6ヶ国協議開催の見返りに、総額54
億円にのぼる新規援助を金正日に約束しています。何のことはない――北朝鮮制裁に中
韓両国は完全に逆行しているのです。
 第2回6ヶ国協議の前に北朝鮮は、非公式ルートで日本に接近し拉致問題の解決を打
診してきています。「できれば、3月20日までに子供たちを返したい」という甘言を
使ってです。なぜ、3月20日なのでしょうか。
 漠然とした話なのに、あえて具体的な日を出してきたのは、おそらく台湾の総統選挙
(3月20日選挙)を意識しての発言であろうと思われます。つまり、北朝鮮は中国を
代弁しているわけです。中国と北朝鮮は共闘を組んでいるのです。
 要するに中国は台湾総統選挙までのプロセスと選挙結果に関して、日本政府や世論の
論評姿勢に関してタガをはめようとしているのです。北朝鮮が拉致家族を帰したいとい
う以上、そこに多少の期待が生まれます。日本としては、北朝鮮のバックには中国がつ
いていることはわかっているので、その期待を実現に変えるには、日本としては中国を
刺激する発言はなるべく控えたいと考えても不思議はないのです。
 北朝鮮は、次の3段階の戦略を立てているといわれます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      第1段階/ブッシュ政権が譲歩するまで待つ
      第2段階/米大統領選終了まで、引き伸ばす
      第3段階/次の2つの選択肢を用意している
       第1選択肢――ブッシュが破れたら、次期大統領と交渉する
       第2選択肢――ブッシュが再選されたら、瀬戸際作戦を展開
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 第1段階は、米国の大統領選挙を最大限に利用して、前向きと後ろ向きの姿勢で、ブ
ッシュ政権の譲歩を引き出そうという戦略す。ブッシュ政権としても選挙を優位に進め
るため、北の核問題を外交交渉で解決して外交ポイントを稼ぎにくる――北朝鮮はそう
計算しているのです。
 第2段階は、ブッシュ政権が譲歩しない場合の対応です。北朝鮮としては、大統領選
挙があるので、ブッシュ政権は直接行動に出ないと考えているので、何はともあれ選挙
終了まで時間があると見ているのです。
 そして、第3段階――これには2つの選択肢があります。民主党のケリー大統領候補
は「核問題は米朝2国間協議で解決すべきである」と発言しており、ケリー候補の勝利
に賭けるという戦略です。ケリー待望論です。
 第2選択肢はブッシュが再選された場合です。これは、北朝鮮にとって最悪の選択肢
になります。クリントン政権のときに北朝鮮が行った瀬戸際作戦――場合によって核実
験を仕掛ける可能性もあります。したがって、もし、米大統領選挙でブッシュ大統領が
再選されると、朝鮮半島の緊張は頂点に達すると思われます。
 しかし、それまでに韓国の左傾化が一挙に進む事態も考えられるのです。なぜなら、
韓国は4月15日に総選挙があり、盧武鉉与党が大躍進する可能性が高いからです。
 弾劾訴追された大統領の与党が大躍進する――これは異常な事態そのものです。しか
し、そうなる可能性が大なのです。盧武鉉大統領が、韓国憲政史上初の大統領弾劾を受
けることになった原因は、自らの与党である「ウリ党=47議席」を露骨に支持する発
言を行ったことにあります。
 総選挙の近い時期であり、危機感を持った最大野党の「ハンナラ党=144議席」は
ウリ党と分裂したため野党になった「民主党=62議席」と組んで、盧武鉉大統領の発
言は公職選挙法違反であるとして、弾劾訴追案を3月9日に提出したのです。
 しかし、大統領を弾劾するには、定数の273議席の3分の2に当る182人の賛成
が必要なのですが、ハンナラ党の中にも訴追に反対の議員も多くいて、弾劾が成立する
可能性はなかったのです。盧武鉉大統領が一言謝罪すればそれで終りだったのです。
 しかるに、盧武鉉大統領は、謝罪するどころか逆に野党を激しく攻撃し、「総選挙の
結果こそが国民の審判」と開き直ったのです。これに態度を硬化させた野党は全員が賛
成に回り、弾劾が成立してしまったのです。それでいて、与党のウリ党の大勝が確実視
されているのですから、韓国の政界は異常な状態です。
                ・・・ [2004年時点の東アジア情勢/19]

2007年07月20日

ワイドな視点から世界をとらえる(EJ第1323号)

 6月22日から始めた朝鮮半島問題――途中で台湾のことにも触れましたので、今朝
で20回目になります。このテーマは来週も続きます。もうウンザリという人もいるか
も知れませんが、日本にとって非常に重要なことですから、ぜひ読んで考えていただき
たいと思います。現在の日本を考える一視点が提供できればと考えて書いております。
 しかし、こういうテーマを取り上げて書いていると「右寄りで硬派の主張」というレ
ッテルを貼られてしまう恐れがあります。現在、大半の日本人は、左右どっちつかずの
事なかれ主義――というよりも、どちらかというと反戦平和を唱える左寄りの人が多い
ようですから、少しでも右寄りのことを書くと「右寄り思想」とか、「右翼」とか極め
つけられてしまいます。
 ある知人がいっていたのですが、外国では自国の国旗をTシャツやバッグや車などに
平気でデザインしますし、それを着たり、持ち歩いたり、走ったりしても、何も不思議
ではなく、なかなかお洒落で、ごく日常的なことです。
 しかし、日本で日の丸のTシャツを着たり、日の丸入りのバッグを持ったり、車に日
の丸をデザインしたりすると、たちまち右翼と思われてしまいます。それにいまだに学
校では、国旗・国歌でもめています。そういう意味では韓国だけでなく、日本も異常な
のです。自分の国の国旗や国歌に敬意を払わない国――それが日本なのです。そんな国
が世界にあるでしょうか。
 EJを書くとき私は、このテーマに限らず、収集した膨大なデータを客観的に分析し
ごく常識的なことをできるだけ平易に書いているつもりです。現在の日本は内政でも外
交でも非常に厳しい状況の只中にあると思います。しかし、そういう厳しい現実から目
を叛けている日本人があまりにも多いと思うのです。
 それに新聞も必ずしも真実を伝えていません。日本の新聞だけを読んでいても世界の
動きはわからないと思います。そのため、外国の新聞や雑誌にも目を通し、ワイドな視
点に立って物事を見る――そうでないと、世界全体がどう動いているのかが見えてこな
いのです。EJでは、組織で情報を集めているわけではないので、そういう立場に立つ
のは難しいのですが、できるだけ努力しているつもりです。もう少しお付き合いください。
 韓国がおかしい――多くの識者がそういっています。4月1日発売の新刊書に『北朝
鮮化する韓国』という本があります。まさに、そのものズバリのタイトルですね。こう
いう本が出るということは、EJで主張しているようなことが現実に起こっていること
の証拠でもあります。
 韓国は、4月15日に総選挙が行われます。3月31日に既に公示され選挙戦がはじ
まっています。この総選挙は弾劾訴追で憲法裁判所の最終審判を待つ身の盧武鉉大統領
の信任投票の性格が強いのです。しかし、弾劾反対の世論の高まりと与党人気という2
つの追い風を受けて、与党が圧勝する展開なのです。具体的には、「議席の過半数」か
3分の1の「100以上」をクリアしそうな勢いなのです。弾劾が可か否かの瀬戸際に
立つ大統領の現在の与党「ウリ党」が圧倒的な勝利の予想――普通は考えられないこと
ですが、現在の分析ではそういう可能性が高いのです。
 現在、韓国の政界はかなり複雑になっていますので、整理しておきましょう。
 もともと盧武鉉大統領の与党は「新千年民主党」という党なのです。ところが、20
03年9月19日、盧武鉉派の議員が「国民参与統合新党」を結成して、新千年民主党
を脱党してしまったのです。その原因は、盧武鉉派の急進路線が新千年民主党に受け入
れられないため、集団脱党となったのです。そして、盧武鉉大統領自身も新千年民主党
から脱党しています。大統領が脱党すること自体は別に珍しくはないのですが、政権奪
取直後の脱党は異例なことといえます。
 そして、10月27日に新党の名前は、「開かれたウリ党(ヨルリン・ウリダン)」
(以下、ウリ党)と決まったのですが、この名前は韓国人にも奇妙な名前に感じられそ
うです。盧武鉉大統領は直ちにウリ党入党を宣言しますが、現時点では入党していない
ので、おそらく総選挙後に入党するものと思われます。
 このウリ党の正体は何でしょうか。
 それは改革を表に掲げた社会主義的な政党であり、急進的な革新政党といえます。韓
国の既存政党は極度に腐敗しており、新千年民主党も例外ではないのです。したがって
ウリ党はそれらと決別したクリーンな政党というイメージを作るべく新千年民主党から
脱党したものと思われますが、今のところ国民が味方について大成功といえます。そし
て、ひそかに彼らは憲法改正に必要な3分の2以上の議席を得ようとして、脱党という
思い切った手段に出たのだと思います。
 韓国では政治の不正行為や腐敗行為のことを「非理(ピリ)」といっており「非理」
を暴露して野党を切り崩すことは政治手法として使われています。今回はこれに大統領
弾劾ということが加わったので、非理の暴露が効果的に効いたのです。
 しかし、もともと韓国の混乱は、盧武鉉大統領の側近の非理が発覚して、昨年の10
月16日逮捕されたことがキッカケなのです。これを受けて大統領は、再信任を求める
と言明し、殊勝な姿勢を示しておいて、そのうえで対立陣営――ハンナラ党と新千年民
主党の非理をあぶり出す戦略に出たのです。これは大統領による野党へのブラフ以外の
何ものでもありません。
 実際の動きとしては、12月6日に検察は、三星、LG、SK現代自動車、ロッテを
捜索しています。これは、大統領の反撃なのです。その結果、1月12日、最高検察庁
は政治資金法違反と収賄の疑いで与野党議員8人を逮捕しています。ハンナラ党5人、
民主党2人、ウリ党1人という内訳です。
 これをきっかけにして韓国のマスコミは、ハンナラ党の非理に焦点を合わせて過熱ぎ
みの報道をはじめています。その結果が圧倒的なウリ党支持なのです。完全なドロ合戦
ですね。             ・・・[2004年時点の東アジア情勢/20]

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2007年07月23日

金大中前大統領がやったこと(EJ第1324号)

−−この記事は2004年4月5日に記述されたものです。−−

 10日後の4月15日、お隣りの韓国では、総選挙が行われます。この選挙結果が朝
鮮半島の運命を決めることになるといっても過言ではないのです。そして、それは当然
のことながら日本の運命をも決める可能性があると思うのです。
 予想では、現在の少数与党であるウリ党が大勝利をおさめるといわれていますが、本
当のことなのでしょうか。この結果を予測するにはもう少し韓国のことを詳しく知る必
要があります。
 韓国には、韓国国内最大の影響力を持つ次の2つのメディアがあります。
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         1.KBC ・・・・・ 韓国放送公社
         2.MBC ・・・・・ 文化放送
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 金大中は大統領に就任すると、すぐこれら2つのメディアの社長に次の人物を送り込
んでいます。
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         1.KBC ・・・・・ パクコンサン社長
         2.MBC ・・・・・ キムジュンベ社長
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 KBCのパクコンサンは、韓国の「朝日新聞」といわれる「東亜日報」の編集局長、
論説主幹を歴任した人物、キムジュンベも同じく「東亜日報」の論説委員出身で、左傾
的市民団体「参与連帯」の代表者なのです。
 この2人は金大中と同じ全羅道出身者であり、金大中の側近中の側近なのです。一般
的な印象では、パクコンサン社長は穏健派であるのに対し、キムジュンベ社長は急進派
とされています。
 しかし、パクコンサン社長が就任する前からKBCの現場は左傾化しており、199
4年7月8日に金日成が死去したとき、その同じ日に、金日成を礼賛する『金日成一代
記』なる番組を放送しています。韓国にとって金日成は敵対勢力の首魁であり、それを
礼賛する番組を流すことは通常では考えられないことであるといえます。これら、KB
S、MBCは当時の金大中大統領をバックに一層左傾化を強めていくことになります。
 つまり、金大中はまず公営テレビ局を占拠して左傾的番組を流すことによって民意を
誘導しようとしたのです。どのようなことをやったかというと、とくに保守・反共的な
新聞メディアを攻撃の対象にしたのです。
 その当時韓国で保守・反共的な新聞といえば、「朝鮮日報」があります。KBSはそ
の「朝鮮日報」は日本の天皇を称える記事をトップに扱ったり、学兵出兵を勧誘したと
か、このメディアがいかに親日的、反民族的メディアであったかを公共のテレビ電波を
使って宣伝したのです。
 これは、日本でいうと、NHKが、朝日、毎日、読売の各紙を批判しているようなも
ので、誠に異常なことといえます。そしてKBSは「今なら話せる」というかたちの番
組を何本も制作し、北朝鮮寄りの主張を正当化する偏向番組を流したり、「歴史を掘り
下げる」という番組では、自分たちに都合の良いように歪曲・捏造された韓国現代史を
放送して、テレビに最も影響されやすい中・高校生の頭にそれを刷り込むなど洗脳を行
ったのです。
 続いて金大中はやはりテレビを利用して新聞や雑誌の弾圧に乗り出したのです。金大
中は1998年の春に「言論の改革」を掲げ、同じ年の8月27日には「言改連(言論
改革市民連帯)」を立ち上げさせ、その代表がテレビに出演して新聞の非を徹底的に批
判したのです。
 そして、同じ年の10月1日、「朝鮮日報」のパンソンフン社長と「東亜日報」の名
誉会長(オーナー)が脱税容疑で逮捕されるのです。これに新聞各社は震え上がり、以
後まともな政権批判は一切できなくなってしまったのです。金大中のやり方は非常に巧
妙であり、法律に触れないようにうまくバランスをとってやったので、まんまとこれが
成功してしまったのです。
 つまり、金大中の時代に韓国は、既に自由民主主義国家ではなくなってしまい、現在
に至っているのです。これを証明するものとして、2002年の夏に国際新聞協会(I
PI)は韓国の実情を調査し、今までの「言論自由国」を格下げして「言論監視国」に
ランクしていることが上げられます。
 こういう基盤が作られたうえに現在の盧武鉉大統領がいるのです。この人は金大中を
守り抜き、金大中のひいた路線に沿って南北統一を成し遂げるという使命を負っている
ようです。金大中が対北不正送金問題で最大のピンチに陥ったとき、盧武鉉大統領は拒
否権を発動して金大中への事情聴取をやめさせ、対北送金疑惑の幕引きをやっているの
です。大統領としては素人とか無能とかいわれますが、肝心なこと――韓国の国民のた
めにはならないが北朝鮮のためになることはきちんとやっているのです。
 台湾にしても韓国にしても日本が最も親しく付き合わなければならない国です。台湾
には今でも「ジップンチンシン」という言葉が残っています。ジップンチンシンとは、
「日本精神」、すなわち、武士道を意味するのです。
 韓国といえば、今や反日で固まっていますが、1945年に日本が敗北して、それこ
そボロボロになって朝鮮半島を引き上げたとき、韓国では次のような警句が流布してい
たのです。
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       ミグック・ミッチマラ、ソレン・ソクチマラ、イルボン・
       イロナンダ  ―― 美国(米国)を信ずるな、ソ連に騙
       されるな、日本は再起する ――
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 そのときの韓国人は、日本の領有下を通じて日本人の本質を見抜いており、こういう
警句を作ったのです。台湾の場合と同様に反日ではない知日派の韓国人がいたのです。
しかし、現在の韓国人は、宣伝に踊らされて反日になっている――実に残念なことであ
ると思います。明日は盧武鉉大統領の選挙戦略について述べることにします。 
・・・[2004年時点の東アジア情勢/21]

2007年07月24日

韓国総選挙はどう行われるか(EJ第1325号)

 韓国の現政権がKBCやMBCというテレビ局を事実上支配下に置いているのは、選
挙において非常に有利になるので、公平性が問題になります。どうしてかというと、盧
武鉉大統領を支持する世代は、20代から30代のいわゆるインターネット世代であり
映像に反応する映像世代だからです。
 彼らにとって「映像」は非常に重要なのです。北朝鮮で多くの餓死者が出ているとい
っても、彼らは映像がなければ信じないし逆に映像があると無批判に信じてしまう傾向
があります。
 このようにいうと、日本では北朝鮮の子供が飢えている映像はいくらでもあると考え
るかも知れませんが、韓国では北朝鮮のああいう映像は絶対に見られないのです。テレ
ビ局がそういう映像を一切出さないようにしているからです。韓国のメディアが一番気
を使うのは北朝鮮の報道なのです。
 こんな話があります。2OOO年6月のことです。KBSのテレビ・クルーがはじめ
て北朝鮮に入ったのですが、撮影はすべて北当局から派遣された監視員の指示にしたが
い、自由にカメラを向けることは許されなかったのです。
 そして、撮影が終わると、当局がビデオ・テープの提供を求めたのです。アングルは
指示通り撮ったのだからその必要はないといったのですが認められず、テープを提出す
ると、その代りに北の当局が編集したテープが渡され、これを放映するよう命令された
というのです。何のことはない――KBSは北のプロガバンダに役立つ映像を放映する
しかなかったのです。
 その映像には、高層ビルが立ち並ぶ平壌の街や幸せそうに暮らす市民などが映ってい
たというのです。こういう映像をKBSで見せられると、いわゆる若いインターネット
世代は「ソウルより街がきれいである」とか「ソウルの市民と何も変わりないではない
か」とか、単純に考えてしまうのです。
 こうなったら何をいってもだめなのです。脱北者がいくら「あれは平壌だけの話だ」
と力説しても、この世代の人は「それなら証拠を出せ」という抗議が殺到する始末で、
信じようとしないのです。そして、「最後は北は同胞であり、それを否定するのは反民
族である」というようにいわれてしまい、絶句するしかないというのです。どうやら、
現在の韓国人は、信じ難い話ではありますが、われわれ日本人が知っている程度の北朝
鮮の事情すら知らされていないということになります。
 韓国のインターネット世代の若者が北のイメージを一変させたのは、2OOO年6月
に行われた南北頂上会談の映像を見てからです。この映像は金正日と金大中が入念に打
ち合わされたうえで流された映像であるといわれます。
 現在、朝鮮戦争(韓国では韓国戦争)は休戦中です。したがって、金大中は北朝鮮か
ら見ると、敵将ということになります。したがって、国賓待遇はとれないのです。国賓
であれば、赤いカーペットをしき、21発の礼砲を撃つのです。
 しかし、テレビを意識して赤いカーペットをしき、両首脳がその上で抱擁するという
演出をしたのです。そして、金正日は年長者の金大中を車の上席である右側に案内し、
自分は左側に乗り込んでいます。これだけのことで、韓国のインターネット世代の若者
は、金正日を独裁者から目上の人を尊敬する礼儀正しい人という評価に変えてしまった
のです。
 この映像が流されてから、若い韓国人の対北朝鮮観は一変し、北朝鮮は敵ではなく同
胞であり、北朝鮮を敵視するのは米国と日本の帝国主義者のみというようになってしま
ったのです。恐るべき映像の力です。
 この韓国のインターネット世代――20代から30代の若い韓国人が現在の盧武鉉大
統領を誕生させたのです。そして、不正が少ないことを売り物にする大統領の与党ウリ
党の人気は上々なのです。こういう状況で選挙が行われます。
 与党のウリ党は、次の3つの戦術を駆使して総選挙を戦うものと考えられます。
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            1.インターネットサイバー選挙
            2.市民団体による落選運動展開
            3.コンピュータによる開票作業
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 第1の戦術は「インターネットサイバー選挙」です。
 これは、インターネットを使って若い世代を総動員する作戦であり、2002年の大
統領選挙はこれで盧武鉉を当選させたのでこれをもっと組織的に展開しようと考えてい
ます。
 具体的にいうと、投票の動員にインターネットを使ったり、対抗候補をインターネッ
トで誹謗・中傷して投票に影響を与えるのです。もちろん違法ですが、韓国ではそれが
行われるのです。
 第2の戦術は「市民団体による落選運動展開」です。
 韓国には数多くの市民団体があります。その数はざっと500団体――そのうちの3
00程度の団体が左傾化しているといわれます。そういう市民団体が特定の候補を落選
させる運動を展開するものとみられます。
 この落選運動は違法なのですが、2000年の総選挙で容疑者は在宅起訴か罰金刑で
済んでいるので、それを覚悟でやるものと思われます。中央選挙管理委員会が甘いので
す。
 第2の戦術は「コンピュータによる開票作業」です。
 これも違法なのですが、なぜか今回も使われます。要するに、不明票の確認のさいに
プログラムの組み方ひとつでどちらかを有利にできるというのですが、これが採用され
ると、若手が大勢ついている与党の方が有利になります。小選挙区で票が伯仲するので
すから、選挙結果に重大な影響を与えるのです。
 以上のウリ党の3つの戦術――日本では考えられない話ですが違法、妨害、中傷何で
もありのとんでもない選挙戦が行われる可能性があります。