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2007年07月02日

米国の真意/中国の出方(EJ第1310号)

 台湾に関する米国の真意がどこにあるのかについて考えてみたいと思います。昨年
の12月9日に表明したブッシュ大統領の言葉を3月13日付の朝日新聞の記事から
正確に記述すると、次のようになります。
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      (台湾海峡の)現状を変えようとする中国と台湾のどちらの
      一方的な決定にも反対だ。台湾指導者の言動は、現状を一方
      的に変えるという、私たちが反対していることに前向きに見
      える。               ――ブッシュ大統領
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ブッシュ政権の本音は、大統領選挙のある2004年は「サイレント・イヤー」にし
たいのです。だから、陳水扁総統が国民投票をいい出したことにブッシュ大統領は本気
で怒ったというのです。それに台湾当局からの米国への事情説明がかなり遅れたことに
も腹を立てたといわれています。
 しかし、米議会には親台派が多いのです。パウエル国務長官などは、台湾の国民投票
について次のようにいっています。
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      表現にいくらかの柔軟性が見られる。私たちは北京とも、陳
      総統とも良好な関係にある。    ――パウエル国務長官
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 こうした米国のわずかな変化に対しても中国は次々と特使を米国に繰り出して米国
に協力を求めているのです。実にねばり強い対米工作といえます。
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      2月初旬/中国・国務院台湾事務弁公室・陳雲林主任
       グロスマン米国務次官など複数の高官に接触
      3月9日/中国・タイピンクオ筆頭外務次官
       パウエル国務長官、アーミテージ副長官、ライス補佐官
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 それでいて米国は、2月末日から3月にかけてフィリピン最北端バタネス諸島におい
て、米比合同軍事演習「バリカタン04」を実施しているのです。
 なぜ、バタネス諸島なのでしょうか。
 それは台湾海峡有事の際、バタネス諸島は米軍の有力な拠点となりうるからです。こ
のバタネス諸島最北端から台湾南端の島まで、わずか70キロ。至近距離での軍事演習
に、中国は相当ショックを受けたようです。
 台湾海峡から半径500カイリ(900キロ)以内には、中国本土以外の陸地はなく
、バタネス諸島は米軍の拠点になりうる唯一の場所なのです。米軍がフィリピンから撤
退して12年が経過するのですが、最近フィリピンのあちこちの島で米軍の姿が見られ
るようらなってきているようです。
 米国は、現在は「サイレント・イヤー」ということで、中台双方に現状維持を呼びか
けていますが、5年後、10年後まで現在の状態が続くことは考えていないはずです。
しかし、米国が「1つの中国」という基本的な考え方を放棄し、台湾の自主独立を強力
に支持すれば、北京も究極的には台湾独立を受け入れると考えているはずです。米国と
対決してまではやらないであろうと考えているのです。
 しかし、中国にとって台湾はどうしても支配下に収めたい国なのです。そのため、あ
らゆる工作がすべて失敗に終り、台湾が独立を宣言するようなことが起こるときは、戦
争やむなしと考えているといわれます。そのため、現在その準備を着々と進めてきてい
るといわれます。
 多くの国家指導者は「戦って失う損害と、戦わないで失う損害を天秤にかけて判断す
る」といわれますが、中国にとって台湾は戦わないで失う損害は、戦って失う損害より
も大きいと考えているものと思われます。
 中国が台湾を軍事統一するためには、米国の軍事介入をいかにして阻止するかにかか
っています。そのため中国は、次の3つの実現に力を入れているといわれます。
 第1は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と原子力潜水艦発射型弾道ミサイル(SL
BM) によって、米本土を威嚇し、牽制することです。
 最近中国のミサイル技術は飛躍的に向上しているのです。それは昨年有人宇宙飛行を
成功させたことでも明らかです。したがって、ICBMについては既に実現しているも
のと思われます。
 第2は、中距離弾道ミサイルの配備によって日本を威嚇し、米軍に対する自衛隊によ
る後方支援活動を一切させないように牽制することです。
 日本の主要都市を狙った中距離弾道ミサイルは、既に配備が終わっており、いつでも
脅しがかけられる状況にあります。現在日本では、北朝鮮が脅威といっていますが、中
国が日本に与える脅威はもっと現実的なものです。
 第3は、上記1と2をやったうえで、潜水艦を使って台湾を海上封鎖し、米空母や原
子力潜水艦が接近するのを断固として阻止することです。
 ここ2〜3年のことですが、奄美大島や沖縄本島、久米島、宮古島などの東シナ海・
日本側海域で中国の海洋調査船が非常に多く出没しています。明らかな領海侵犯です。
 一体その目的は何なのでしょうか。
 それは海洋調査といっていますが、潜水艦の航路を探る調査であると考えられます。
海底の起伏や水温、流れの速さなどを調査して、台湾有事に備えているのです。
 もし、中国が台湾に侵攻すれば、米国は横須賀から第7艦隊を派遣してくることは確
実ですが、そこで米空母の進入を阻止するために、航路となるこの海域に潜水艦を展開
し、機雷を敷設して第7艦隊の足を止める――そういう作戦を中国は考えているものと
考えられます。何としても台湾を征服する構えです。
                 ・・・[2004年時点の東アジア情勢/07]

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台湾海峡(たいわんかいきょう)とは、中華人民共和国|中国と台湾を隔てる海峡。最も狭いところは幅131km、海峡中には澎湖諸島、金門島、馬祖島(いずれも台湾当局が統治)がある。東シナ海と南シナ海の境であり、また軍事的緊張が続くのが同海峡である。関連項目阿波丸事件・米国の真意/中国の出方(EJ第131 [詳しくはこちら]

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