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2007年07月06日

中国は今後どう出るか(EJ第1314号)

 台湾の総統選挙は、報道のように陳候補が銃撃されるなど大変なことが起こりました
が、僅差ながら陳水扁候補が再選されるという結果に終わっています。しかし、選挙と
同時に行われた国民投票は過半数に達せず、台湾国民のバランス感覚が働いたかたちに
なっています。今も混乱が続いていますが、台湾については、当面はこれで良かったと
思っています。
 注目すべきは、これによって中国がどう動くかです。前回の台湾総統選挙のときは、
中国は近くの海域で大規模な軍事演習を行い、独立志向の陳水扁率いる民進党陣営に対
して、大きなプレッシャーを与えましたが、今回は表面上は目立った行動をとっていな
いのです。
 僅差であり、前日の陳水扁候補の銃撃による同情票による再選という面はあるにして
も、たとえもう一度選挙が行われたとしても陳水扁候補が勝つと考えています。その根
拠としては、民進党の得票率には大きな伸びがあるからです。過去3回の選挙の民進党
の得票率は次の通りです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         1996年の総統選挙 ・・・・・ 21%
         2000年の総統選挙 ・・・・・ 39%
         2004年の総統選挙 ・・・・・ 50%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 しかも、4年前の選挙のときは、連戦主席の国民党と宋主席の親民党とが分かれて戦
い、それで陳水扁候補に総統の座を奪われたのですが今回は連戦・宋両陣営が組んで、
連戦主席を押し立てての必勝の選挙だったのに、またしても敗れ去ったのですからその
ショックは大きいわけです。
 こうした事態を中国は憂慮していると考えます。もし、陳政権の経済運営がうまく回
転すると民意は一層陳陣営に傾き、台湾はますます政治的には中国から離れることにな
るからです。すべては、2008年のオリンピックまでが勝負どころといえます。
 ところで、台湾の総統選挙を3日後に控えた3月17日、産経新聞は、その社説に、
「中国調査船/軍事目的なら一層懸念が募る」というタイトルを打つ記事を掲載してい
ます。
 この社説は、中国の海洋調査船が日本の排他経済水域内で違法な調査を繰り返してい
ることを強い怒りをもって抗議する内容になっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
       調査船3隻が1月2日から3月7日までの間、南西諸島から
      小笠原諸島にかけての太平洋上で、計11件の違法な海岸調査
      を行った。既に昨年1年間の違法な8件を突破し、過去最多だ
      った1999年の33件を上回るハイペースだ。
       日本は違法調査を発見する度に中国側に抗議し、2月10日
      に開いた次官級の日中安保対話でも再発防止を要請した。しか
      し、中国は「事実関係を把握する」などと答えるだけで、調査
      を続けた。極めて不誠実な対応である。
                ――3月17日付、「産経新聞」社説より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 世界でこんな生ぬるい対応をやっているのは日本だけであると思います。これだけ傍
若無人のことをされながら、日本政府は近く中国向け円借款967億円を決めることに
なっているのです。なぜ、日本は中国に対してはこうも及び腰なのでしょうか。
 ちなみにこのことを伝えている大新聞は、産経新聞だけなのです。他の新聞はよほど
のことがないす限り書きません。したがって、中国が何をしているかを知りたければ、
産経新聞を参照するのが一番であると思います。
 なぜ、産経新聞なのかというと、それには理由があります。
 かなり前の話なのですが、かつて中国政府は日本のマスコミをコントロールすること
を意図してか、「北京に特派員を置きたければ、反中国的な報道を控えてもらいたい」
と申し入れてきたことがあるのです。
 こうしてできたのが「日中記者交換協定」なのです。このとき日本のマスコミで唯一
産経新聞だけが中国側に「ノー」を突きつけて参加しなかったのです。そのため、産経
新聞は実に数十年間にわたって中国から追放されたのです。
 経済的排他水域内では当然のことですが、沿岸国が資源開発や海洋調査の主権的権利
を持っています。もし、他国が海洋調査を行うには、国連海洋法条約に基づき、6ヶ月
前までに沿岸国に申請し、承認を得なければならないことになっているのですが、中国
は明らかに条約に違反し、日本に申請していないのです。
 中国がしきりと行っている海洋調査は既に述べたように、潜水艦の航行や作戦、機雷
敷設に必要な情報を収集する台湾有事を想定した軍事目的で行われた可能性が高いのです。まして、今までは東シナ海が中心であったのに、最近では太平洋に中心海域を移し
ているのです。
 明らかに中国は、台湾の独立を何が何でも阻止する構えです。そして、中国にとって
台湾有事のさいの直接対立する外国は、もちろん米国であり、日本なのです。最近の中
国の対米戦略は、例の6ヶ国協議でその中心的役割を演ずることで、一応成果を上げて
いるように見えます。しかし、これも次回の6ヶ国協議で決着がつかないと、協議は決
裂してしまうでしょう。
 日本に対しても、中国は硬軟両様の対策を打ってきています。中国が一番気にしてい
るのは、日本人が誰でも知っている台湾人が意外に多いということです。ダイエーの王
監督をはじめとして元西武の郭泰源、元中日の郭源治などのプロ野球選手、歌手の故テ
レサ・テン、政治家の李登輝など、日本人が知る台湾人は非常に多いのです。彼らは、
日本語も堪能であり、日本人に深く受け入れられている人がほとんどなのです。
 それに比べると、中国人でそういう人は少ないのです。中国は最近になって、そのこ
とに気がついていくつか手を打ってきているのです。   
・・・[2004年時点の東アジア情勢/11]

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