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2007年07月19日

北朝鮮の3段階戦略(EJ第1322号)

 韓国の政界が混乱し親北朝鮮化することは、日本にとってロクなことがないのです。
なぜなら、朝鮮半島が赤化してしまうと海洋国家としての日本の安全保障に赤ランプが
つくからです。それに加えて台湾が正式に中国に統一されるような事態になると、日本
は最悪の事態に陥ることになります。
 また、先の6ヶ国協議では、大方の予想に反して北朝鮮は強気で押し通し、譲歩らし
い譲歩を一切しませんでした。むしろ譲歩したのは、日中韓の方です。なぜこんなこと
になったのかというと、北朝鮮は、韓国を米国から切り離すことに成功しつつあること
に確信を持ったからです。
 もともとこの6ヶ国協議――中国とロシアは北朝鮮寄りでありそれに日米韓が連携し
て対抗する3対3のパワーバランスだったのですが、肝心の韓国は大きく北に舵をとり
つつあり、今や4対2(中朝ロ韓対日米)の力関係になりつつあるのです。このような
状況を前にして北朝鮮は譲歩などするはずはないのです。
 韓国の北朝鮮寄りを数字で示します。韓国の対北貿易は、前年比で約12%伸び、核
問題の余波で北への国際支援が2年連続で減少するなかにあって、韓国の対北援助は
17%増加しているのです。総額169億円の援助です。内訳は次の通りです。
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          政府支援 ・・・・・ 93億円  4%増
          民間支援 ・・・・・ 76億円 38%増
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 それ以外にもいろいろな口実をつけて韓国は北朝鮮に秘密資金を提供しているので
すから、北朝鮮を追い詰めるどころか一生懸命支えているのです。それに、中国はもと
もと北朝鮮の援助国です。その中国は、第2回の6ヶ国協議開催の見返りに、総額54
億円にのぼる新規援助を金正日に約束しています。何のことはない――北朝鮮制裁に中
韓両国は完全に逆行しているのです。
 第2回6ヶ国協議の前に北朝鮮は、非公式ルートで日本に接近し拉致問題の解決を打
診してきています。「できれば、3月20日までに子供たちを返したい」という甘言を
使ってです。なぜ、3月20日なのでしょうか。
 漠然とした話なのに、あえて具体的な日を出してきたのは、おそらく台湾の総統選挙
(3月20日選挙)を意識しての発言であろうと思われます。つまり、北朝鮮は中国を
代弁しているわけです。中国と北朝鮮は共闘を組んでいるのです。
 要するに中国は台湾総統選挙までのプロセスと選挙結果に関して、日本政府や世論の
論評姿勢に関してタガをはめようとしているのです。北朝鮮が拉致家族を帰したいとい
う以上、そこに多少の期待が生まれます。日本としては、北朝鮮のバックには中国がつ
いていることはわかっているので、その期待を実現に変えるには、日本としては中国を
刺激する発言はなるべく控えたいと考えても不思議はないのです。
 北朝鮮は、次の3段階の戦略を立てているといわれます。
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      第1段階/ブッシュ政権が譲歩するまで待つ
      第2段階/米大統領選終了まで、引き伸ばす
      第3段階/次の2つの選択肢を用意している
       第1選択肢――ブッシュが破れたら、次期大統領と交渉する
       第2選択肢――ブッシュが再選されたら、瀬戸際作戦を展開
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 第1段階は、米国の大統領選挙を最大限に利用して、前向きと後ろ向きの姿勢で、ブ
ッシュ政権の譲歩を引き出そうという戦略す。ブッシュ政権としても選挙を優位に進め
るため、北の核問題を外交交渉で解決して外交ポイントを稼ぎにくる――北朝鮮はそう
計算しているのです。
 第2段階は、ブッシュ政権が譲歩しない場合の対応です。北朝鮮としては、大統領選
挙があるので、ブッシュ政権は直接行動に出ないと考えているので、何はともあれ選挙
終了まで時間があると見ているのです。
 そして、第3段階――これには2つの選択肢があります。民主党のケリー大統領候補
は「核問題は米朝2国間協議で解決すべきである」と発言しており、ケリー候補の勝利
に賭けるという戦略です。ケリー待望論です。
 第2選択肢はブッシュが再選された場合です。これは、北朝鮮にとって最悪の選択肢
になります。クリントン政権のときに北朝鮮が行った瀬戸際作戦――場合によって核実
験を仕掛ける可能性もあります。したがって、もし、米大統領選挙でブッシュ大統領が
再選されると、朝鮮半島の緊張は頂点に達すると思われます。
 しかし、それまでに韓国の左傾化が一挙に進む事態も考えられるのです。なぜなら、
韓国は4月15日に総選挙があり、盧武鉉与党が大躍進する可能性が高いからです。
 弾劾訴追された大統領の与党が大躍進する――これは異常な事態そのものです。しか
し、そうなる可能性が大なのです。盧武鉉大統領が、韓国憲政史上初の大統領弾劾を受
けることになった原因は、自らの与党である「ウリ党=47議席」を露骨に支持する発
言を行ったことにあります。
 総選挙の近い時期であり、危機感を持った最大野党の「ハンナラ党=144議席」は
ウリ党と分裂したため野党になった「民主党=62議席」と組んで、盧武鉉大統領の発
言は公職選挙法違反であるとして、弾劾訴追案を3月9日に提出したのです。
 しかし、大統領を弾劾するには、定数の273議席の3分の2に当る182人の賛成
が必要なのですが、ハンナラ党の中にも訴追に反対の議員も多くいて、弾劾が成立する
可能性はなかったのです。盧武鉉大統領が一言謝罪すればそれで終りだったのです。
 しかるに、盧武鉉大統領は、謝罪するどころか逆に野党を激しく攻撃し、「総選挙の
結果こそが国民の審判」と開き直ったのです。これに態度を硬化させた野党は全員が賛
成に回り、弾劾が成立してしまったのです。それでいて、与党のウリ党の大勝が確実視
されているのですから、韓国の政界は異常な状態です。
                ・・・ [2004年時点の東アジア情勢/19]

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