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2007年08月02日

従業員第一顧客第二の方針(EJ第271号)

 「お客様第一主義」を標榜している企業は多いです。CS(顧客満足)が話題になっ
てから、どこの企業も「お客様第一主義」を掲げるようになりました。しかし、その多
くは見せかけだけのスローガンに終っているところが多いと思います。
 そういう企業が多いなかにあって、サウスウエスト航空は「従業員第一、顧客第二」
を堂々と掲げているのです。これは「リーダース・ダイジェスト」1995年7月号に
次のように紹介されています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      『サウスウエスト航空のCEOハープ・ケレハーは、飛行機の
     座席を格安料金で顧客に提供しているが、顧客よりも従業員の方
     を優先するときっぱり言い切る――たとえそのために顧客を失う
     ことがあってもだ。(中略) 顧客の方が間違っていることもあ
     る。われわれはそういう顧客はお断りしている。手紙を書いてこ
     う言うのだ。「よその飛行機に乗ってください。われわれの従業
     員を侮辱しないでほしい」』と。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 サウスウエスト航空には、三つのきまりがあります。第一は、「顧客サービスは生真
面目である必要はない」、第二は「規則に縛られなくてもよい」、第三は「顧客はいつも
正しいとは限らない」、の3つです。しかし、サウスウエスト航空は何度も賞を受賞す
るほど、サービスの良さでは定評があるのです。
 ケレハーCEOは「必要なのは、格安運賃と最も頻度の高い運航、そして遊びが好き
で、温かく、心が広く、快活で、もしなし好きな、航空業界きっての従業員が顧客サー
ビスを行うことだ」といっているのです。
 実は、サウスウエスト航空には、顧客サービスのためのマニュアルのたぐいは一切な
いのです。同社ではその理由を、「サービスは日常生活がそのまま反映されているから
…」としているのです。つまり、サービスの考え方が少し違うのです。
 サウスウエスト航空の従業員たちにとってサービスは、出社したときに始まり、退社
するときに終るものではないということを自覚しています。サービスとは、従業員の現
実生活そのものなのです。ですから、サウスウエスト航空ではそういうことが自然にで
きる人を厳選して採用しているわけです。
 確かにサービスとは、顧客に対してだけ行う口先だけのものであってはならないし、
そういうサービスは顧客に見破られてしまうものです。仕事以外の場所でもつね日頃か
ら温かい気持で人に接している人であれば、それを仕事の場所でも自然に出せばよいと
サウスウエスト航空は考えているのです。
 作家カール・アルブレヒトによると、サービスの精神は「与えるという要素――つま
り、単に仕事をするだけでなく、それに加えて、自分の持っているものを与える度量の
広さである」といっています。こういうものは、家庭でのみ身につくものであり、企業
で身に付けさせることは困難なのです。
 ですから、そういう資質を持った社員を採用することに全力をあげるのです。そして
採用した以上サウスウエスト航空は従業員を愛し、その成果を祝福し、事業の成功を共
に喜び、人間として尊敬するという態度を「従業員第一、顧客第二」という方針にこめ
ているのです。
 サウスウエスト航空のサービスについて、ケレハーCEOは、ダラスのラブ・フィー
ルド空港に勤務する同社の顧客サービス係ジジ・ペリーの次の話をよくするそうです。
 心臓の手術を終えたばかりの70歳の女性は、テキサス州アマリロに行くためサウス
ウエスト航空を利用しようとしたのです。ところが、アマリロには深い霧がかかってい
たため飛行機はその日ダラスを出発できなかったのです。
 足止めされた乗客たちをホテルに運ぶバスが去ってから2時間半ばかりたったころ、
ジジはその女性が空港ターミナルの外の道路に一人で立っているのに気が付き声をか
けます。ジジはその女性をホテルに案内し、一晩中付き添ったというのです。その女性
が一人でいることをとても怖がっていたからです。
 そして、翌朝飛行機が出発してからアマリロに着くまで、ずっとその女性の面倒をみ
たというのです。これは明らかに仕事上の義務を超えた顧客サービスといえます。ケレ
ハーCEOは「われわれの従業員はこのようなことをいつもしている」といい、ジジの
やったこういうサービスは、従業員だけではなくCEOである自分を含めてサウスウエ
スト航空の幹部社員でも同じことをすると胸を張っていうのです。
 サウスウエスト航空について書いた『破天荒!』の著者はある日、CEOであるケレ
ハーに会うためにダラスの空港に行ったとき、驚くべき光景を目にしたというのです。
それは、CEOのケレハーがダラスの地上要員と一緒に荷物や食料の積み込みをしてい
たのです。しかし、このようなことは、サウスウエスト航空では別に珍しいことではな
いのです。サウスウエスト航空の幹部社員は、同業他社の幹部社員が品位を損なうとし
てやらない仕事でも同社の幹部社員は進んで手伝うことを知っているからです。これこ
そ「率先垂範」そのものです。同社の従業員は、幹部のそうした行動を見て、指導者た
ちに対して、人間として敬愛の気持を募らせるのです。
 「お客様第一主義」を掲げる企業が多い中にあって、「従業員第一」を公然と掲げ、
しかも、どこの企業より充実した顧客サービスを実現しているサウスウエスト航空。見
習うべきです。              ・・・[サウスウエスト航空/04]

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