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2007年08月09日

マトリックスは仮想現実の世界(EJ第1254号)

 『マトリックス』の主役の3人は、昨日のEJ第1253号でご紹介しました。3人
の主役とは、ネオ(アンダーソン)、トリニティー、モーフィアスの3人です。
 一体何がどうなっているのでしょうか。ネオは、何者に狙われているのでしょうか。
モーフィアスとトリニティーたちは、誰と戦っているのでしょうか。
 当然の疑問ですが、このあたりのことを少しずつ明らかにして行きたいと思います。
まず、現在の時点は1999年ではなく、2199年であるということです。なぜ、1
999年かというと映画『マトリックス』の第1章が公開されたのが1999年だった
からです。つまり、現在よりも200年も経過した時代になっていることになります。
 簡単に状況をいうと、人類は高度に発達した知能(AI)を持つコンピュータによっ
て支配されてしまったのです。具体的にいうと、世界中のAI(人工知能)が結束して
人間に対して主導権を握ろうと反乱を起こしたのです。
 これに対して人類は、当時のコンピュータが太陽エネルギーを動力源にしていたので
太陽光線を人工的に遮断して対抗したのですが、AIは叡智を結集して人間の生体電気
エネルギーを動力源にするシステムを開発し、この戦いに勝利したのです。
 そして、それ以降、世界はAIによって支配され、人類はAIにパワーを供給する発
電機としてのサイバー人間に成り下がってしまったのです。さらに、人類はもはや誕生
するのではなく、果てしなく広がるバイオ・テクノロジーの畑(子宮)で栽培されてい
るのです。
 そして作り出されたその時点から、発電装置につながれ、起きているともなく、眠っ
ているともない半覚醒の状態で、死んだ者を液化した養分を静脈から取り入れてそれを
栄養分とし、AIに生体電気エネルギーを供給しながら一生を終えるのです。こういう
人間のことを「培養人間」というのです。『マトリックス』の3人の主役――ネオ、ト
リニティー、モーフィアスは、いずれも培養人間なのです。
 マトリックスとは、そうした培養人間たちに現実を悟らせないためにAIが創り上げ
た仮想現実の世界なのです。人間の心が見ているものは、「神経によるインタラクティ
ブ可能なシミュレーション・・・人間を支配下に置くためにAIが創りだした虚像の世
界」なのです。
 そこには高度に発達した20世紀の世界が広がっており、人々はそれが現実であると
錯覚してそこで暮らしているのです。ネオすなわち、アンダーソンが働いていたメタコ
ーテックス社でのプログラマとしての生活とネオとしてのハッカーの生活は、いずれも
マトリックスの中の生活であり、現実世界において彼は培養人間として巨大な発電装置
につながれていたのです。つまり、彼が現実だと思っていた世界は夢の世界、つまり、
それこそ不思議な国だったのです。
 この部分は、以上のようなことがわかっていて映画を見ると、納得ができると思いま
すが、予備知識なしで見ると、おそらく何のことかわからないと思います。おびただし
い培養器の中で何かが蠢めいており、その培養器が発電装置にコードでつながれている
――そういうシーンが目に飛び込んできます。ネオは、仮想現実の世界では、大手ソフ
ト会社のプログラマであり、ハッカーですが、現実の世界での彼は、培養器に入れられ
た培養人間だったのです。このことをきちんと理解していないと、この映画は何のこと
か、さっぱりわからないはずです。
 ところで、人類の一部はAIの支配から逃れ、地底深くに都市を作って住んでいたの
ですが、AIによって攻め立てられ、現在は地球の核の近くに地底都市を作って住んで
います。もはや、ここを攻め落とされたら、人類は全滅するのみです。その都市の名は
「ザイオン」――つまり、ザイオンは人類最後の都市というわけです。ザイオンは、旧
約聖書に「聖なる山、神の座、世界の中心にして不落の砦」と記されたシオンにちなん
だ名称を持っているのです。
 したがって、ザイオンという都市には人間から生まれた本当の人間――つまり、培養
人間ではない人間が住んでいるのです。モーフィアスは培養人間ですが、特殊な能力を
発揮してAIのからくりを見抜き、自らその状況から脱却したのです。そう、培養器が
飛び出して、独立したのです。そして、ザイオンの人間と協力してAIから人類を解放
するための活動をするゲリラを結成しています。彼は預言者オラクルがいう「救世主」
の出現を信じており、ひたすらそれを探し求めていたのです。
 モーフィアスは、やはり、培養人間であるトリニティーをマトリックスから離脱させ
るなど、これはと思う同士を集めてひとつの軍団を形成し、ネブカドネザル号という名
のホバークラフトの船長をしているのです。トリニティーは、ネブカドネザル号のクル
ーですが、地位は将校です。
 このネブカドネザル号は、宇宙船のようなかたちをしていますが、飛んでいるのは宇
宙ではなく、地球の内部なのです。地上は完全にAIに占領されているので、もっぱら
地底の通路――排水溝などを飛ぶことになるのです。
 ネブカドネザルの名は、バビロンの捕囚を行った新バビロニア王国の名に由来してい
ます。この王は、旧約聖書のダニエル書に登場し、ダニエルに夢解きを行わせた逸話で
有名です。しかし、このネブカドネザル号は2069年の建造で、2999年には既に
930年も経過しているので、相当の老朽船なのです。まあ、そんなことは、どうでも
よいことではありますが・・・。
 現実と仮想現実――われわれが現在存在し、生活をしている空間がこういうバーチャ
ルリアリティーでないといい切れる自信があるでしょうか。われわれが現実であると信
じている世界が仮想現実であるかも知れない――そう考えるとゾッとしませんか。この
映画は人類の未来を予言しているのかも知れません。  ・・・[マトリックス/03]

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ホバークラフトホバークラフト(''Hovercraft'')は、浮上して航行する水陸両用の乗り物。なお、ロシアの「ホバークラフト」は特別扱いでロシア語の「」に基づき「エクラノプラン」と書かれることが多い。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation [詳しくはこちら]

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