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2007年08月10日

コンピュータは意識を持てるのか(EJ第1255号)

 AI(人工知能)が高度に発達し、人間と普通に会話し、場合によっては嫉妬し、そ
のために人間の行動を制約することさえする――そんな状況をわれわれは映画『200
1年宇宙の旅』で見ています。木星に向かう宇宙船「ディスカバリー号」のスーパーコ
ンピュータHALとボーマン船長との対立がそれです。
 この旅の途中HALが発狂して宇宙船の乗組員たちを殺すのです。ただひとり生き残
ったディヴ・ボーマン船長は、殺される前にHALの思考力を奪おうとします。そうす
ると、HALは機能を停止させられる前に、自分の行動を正当化するために次のような
ことをいうのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      このミッションは私にとってきわめて重要なので、あなたに台
      なしにされるわけにはいかない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 かつてあのサン・マイクロシステムズ社のビル・ジョイは、マシンが意識を持ったら
、いずれ人間にとって代わるのではないかとマジに恐れていたといいます。ビルがいう
のは、もし思考マシンが、自分たちがやりたいことに人間が邪魔していることを知った
なら、人間を排除する行動に出ることは明らかである――こういっているのです。
 「コンピュータやロボットは、きちんと監視しないと手に負えなくなる」――このア
イデアは、SFの世界では今日にいたるまで、繰り返し使われてきています。
 ウィリアム・ギブスンの1984年の作品、長編小説『ニューロマンサー』の中には
「チューリング」という警察組織が登場するのです。このチューリングの警官は、コン
ピュータシステムに本物の知性や自我が出現する兆候がないかを見張っており、少しで
もその兆候があると、手遅れになる前にシステムを停止するのが仕事なのです。
 「知性や自我は、ひょいと生まれるものである」ということをHALの生みの親であ
るアーサー・C・クラークは、ごく早い時期にその可能性に言及しています。彼の短編
小説『Fはフランケンシュタインの番号』には、世界規模の通信ネットワークが人間の
脳よりも複雑で相互接続の多いものになって、ある日突然、ネットワークの中に意識が
出現する可能性を描いています。
 「意識は複雑なシステムから突発的に生み出される」――映画『マトリックス』にお
いて地球全体に君臨しているAIは、そのようにして生まれたのではないでしょうか。
 ここで話題をひとつ。『2001年宇宙の旅』に登場するコンピュータHALは、I
BMをアルファベットで一文字ずつ前にずらしたものである――ということはあまねく
有名な話です。IBMを超えるコンピュータという意味です。しかしアーサー・クラー
クは、それを否定しているのだそうです。
 しかし、それはクラークのウソで、彼は確信犯なのです。というのは、彼の1990
年の長編小説『ゴールデン・フリース』(早川書房)に登場するAIの名前はJASO
N――彼はそれをJCNと略して呼んでいるのです。JCNはIBMをアルファベット
で、一字ずつ後ろにずらしたものです。HALの話を人にいうとき、これを話すとHA
Lのいわれを知っている人もきっと驚くはずです。
 余談が長くなりましたが、話を『マトリックス』に戻します。映画の主役の3人は既
に述べましたが、彼らが戦っている相手は誰なのでしょうか。
 この映画を見たある知人は、「誰と戦争しているのか今ひとつ相手がはっきりしない
が、とにかく変化が激しくて面白かった」といっていましたが、予備知識なしで見ると
確かにそういうことはいえるかもしれません。
 正解は、人類とAI(意識を持つコンピュータ)との戦いということなのです。やや
こしくてわかりにくいのは、人類が人間と培養人間の両方を含んでいること、それにA
Iはつねに背後にいて、実際に人類が戦うのはAIが創り出した数々のプログラムや、
攻撃用の兵器(センチネル)であることです。
 ちなみに、プログラムは、マトリックスにおいて、すべて人間のかたちをして出てき
ます。一番よく出てきて、ネオやモーフィアスやトリニティーと戦うのは、エージェン
トの頭目のスミスです。ところで、この黒いスーツにサングラスというシークレット・
サービスのいでたちのエージェントの正体は何でしょうか。
 エージェントの正体は、マトリックスの機能が正常に機能しているかどうかを監視す
る「システム監視プログラム」なのです。そのため、マトリックスの中に侵入を繰り返
すゲリラやプログラム自体が持っているバグを排除しようとして動くのです。エージェ
ントの頭目のスミスは、ヒューゴ・ウィービングというオーストラリアの俳優が演じて
います。
 映画を観るとき注目していただきたいのは、第1章におけるエージェントは全員耳に
イヤホンのプラグを付けているのに対し、第2章の「リローデッド」と第3章の「レボ
リューション」ではイヤホンプラグを付けていないことです。これは第1章の段階では
いちいち中央コンピュータ(AI)の指示を受けて動いていたのに、第2章以降はシス
テムから離脱し、独立していることを示しているからです。
 要するに、映画『マトリックス』には、次の3種類の「人間」が登場するのです。こ
れをきちんと見分けないと、頭の中が混乱します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      人間   ・・・・ 自然の繁殖で誕生したザイオンの人間
      培養人間 ・・・・ AIが栽培した人間/首にプラグあり
      プログラム ・・・ AIが創作したマトリックス内の人間
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                         ・・・ [マトリックス/04]

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宇宙船はサイエンス・フィクション|SFの重要な要素であり、非常に多くの作品に宇宙船が登場する。宇宙は人類が星に興味を持った頃から神話・伝承で扱われてきたことで分かるように、普遍的な関心を持たれてきた。それだけに、この宇宙に出るために必要な装置である宇宙船はSFにとって欠かせないものなのである。なお、ハー [詳しくはこちら]

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