朝日/新日本両監査法人の確執(EJ第1230号)
「アンダーセン崩壊」は、日本の監査法人に大きな精神的重圧というか、危機感とい
うか、一種の恐怖となって重くのしかかっていた――実は、このことが、りそな担当の
会計士の自殺の背景にあるのです。
平田会計士自殺の謎を解くために、自殺前後の状況をもう一度再現しておくことにし
ます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2003年4月22日 朝日監査法人監査辞退決意
4月24日 平田聡氏自殺
4月30日 朝日監査法人の監査辞退
5月 7日 新日本監査法人の「豹変」
5月17日 りそなの公的資金注入要請
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
当初の報道では平田氏が厳格査定を主張したが、甘い査定をしようとする監査法人上
層部と対立――意見が通らず、平田氏は、それに抗議して自殺したというシナリオが盛
んにいわれたものです。いわゆる抗議の憤死です。
しかし、それは的外れな見方なのです。というのは平田氏が属する朝日監査法人は、
22日に既に監査を降りることを決めていたという情報があるからです。ところが『り
そなの会計士はなぜ死んだのか』(毎日新聞社刊)の著者である山口敦雄氏は、新日本監
査法人への取材の結果、この事実が誤りであることを突き止めています。
山口氏の取材に対し、新日本監査法人の上層部の代表社員は次のように述べたという
のです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
朝日監査法人は、4月22日の時点では、りそなを降りると
いう決断はしていない。繰り延べ税金資産を全額認めないとい
う方向感を示しただけである。
――新日本監査法人代表社員
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
さらにこの代表社員は、朝日監査法人が「監査を降りる」ことを伝えてきたのは、平
田氏が自殺をした次の日、すなわち、4月25日だったといっているのです。
これにより、次の推測ができるのです。
朝日監査法人は、4月22日に開催された上級審査会において激論の結果、繰り延べ
税金資産を全額認めないという方針を決めたのです。問題は、どうしてこのような方針
が出されたかです。というのは、1年前はあさひ銀行に対して繰り延べ税金資産を5年
分認めているからです。
朝日監査法人は、2002年9月の大和銀行の臨時株主総会で、りそな銀行の監査を
新日本監査法人と共同でやることを決めています。それも、単独で監査をやる気でいた
新日本監査法人を説得して共同監査に持ち込んでいるのです。それは、少なくともこの
時点では、りそな銀行の監査にリスクを感じていなかったことを示しています。
しかし、ちょうどこの時期にアンダーセンが廃業しています。まして朝日監査法人は
アンダーセンと提携していたのですから、その衝撃は大変なものであったと推測できま
す。
それに加えて、2002年10月に金融庁から、例の竹中プラン――金融再生プログ
ラムが出されたことによって、繰り延べ税金資産の厳格化の流れが一挙に加速すること
になります。
そして、2003年3月頃には、朝日監査法人はりそな銀行の財務体質の脆弱さにリ
スクを感ずるようになっていたのです。りそな銀行担当の会計士である平田氏としては
当然りそな銀行の監査に対しては厳しい方針をもって臨んでいたはずです。
これに対して新日本監査法人の方は、昨年に引き続いて繰り延べ税金資産を5年分認
めようとしていたのです。したがって、2つの監査法人の間では、その落としどころを
めぐって激しい議論が戦わされていたのです。
それに、朝日監査法人はこの時点では、新日本監査法人と一緒に監査をやるのがいや
になっていたのではないかと思います。ひとつには、厳格監査をめぐって意見が合わな
いことに加えて、大和銀行、大和HDのデータは新日本監査法人が握っており、再三催
促してもなかなか出してくれなかったからです。
その大和銀行/大和HD側のデータが新日本監査法人から示されたのが、4月16日
のことです。この日、平田氏は上司の代表社員と一緒に大阪のりそな銀行本店に出張し
ているのです。しかしその決算の数字は相当良くないものであったのです。これでは、
繰り延べ税金資産を認めないと過小資本になる――朝日監査法人としてはそう判断せざ
るを得なかったのです。
朝日監査法人が監査から降りたがっていた理由がもうひとつあります。それは、共同
監査といってもあくまでメインは新日本監査法人であり、朝日監査法人は副の存在だっ
たからです。なぜなら、あさひ銀行と大和銀行の場合、存続会社は大和銀行だったから
です。それにいずれは新日本監査法人は監査の1本化を狙っていたので、朝日監査法人
としては進んでリスクをとることはないという考え方があったからです。
このような経緯から朝日監査法人上層部は、りそな銀行の監査から降りる決断をして
いたのです。しかし、決算を前にして担当の監査法人が監査を辞退するというのは、監
査法人の信用問題になり、大きなイメージダウンになります。また、りそな株の暴落に
つながる恐れもあったのです。
そういうわけで、朝日監査法人としては、りそな銀行の監査を引き受けるかどうか調
査してみたが、受嘱しないという結論にいたったというシナリオを考えついたのです。
これは、朝日監査法人上層部の経営判断です。
しかし、平田氏は、監査法人上層部の考え方に賛成ではなかったのです。繰り延べ税
金資産をゼロ査定してしまえば、りそなは破綻する――そうすれば、大勢の人が職を失
うことになる。何とか救う方法はないかと必死に平田氏は考えたのです。
・・・ [りそな処理の謎/13]
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://www.intecjapan.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/611
コメント (1)
http://blog.goo.ne.jp/umineko300/
これは私(鈴木一弘)が5年に渡って受け続けているモラルハラスメントに関する記述です。すべて実話です。前代未聞の人権侵害事件です。
加害者は、私が以前勤めていた大手監査法人(新日本監査法人)と外資系会計事務所(アーンストアンドヤング)の共同出資による関連会社(新日本アーンストアンドヤング)の社長(瀧崎章夫)です。大手監査法人は日本の経済社会で非常に権威と権力があり、日本のあらゆる会社に働きかけ、圧力をかけることができる立場にあります。
投稿者: suzuki | 2008年03月19日 10:15