「相対性理論とタイムマシン」(EJ第1138号)
いま「タイムマシン」が静かなブームになっているのをご存知
でしょうか。なぜか、タイムマシンなのです。特設コーナができ
ている書店もあります。
実は今から30年ほど前、タイムマシンのブームがあり、当時
「広瀬 正」という作家の本が売れていました。彼は、過去への
タイムトラベルを取り上げて小説にしているのですが、読み終わ
ると????になってしまったものです。
最後に彼は『タイムマシンの作り方』という本を上梓して、急
逝してしまうのですが、彼の棺には「タイムマシン」と書かれて
いたそうです。添付ファイルで広瀬正氏と彼の本をご紹介してお
きます。1973年の出版です。
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広瀬 正著
『タイムマシンのつくり方』 河出書房新社刊
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この手のタイムトラベルSF作家として優れた作品を残した人
に、ハインライン、ウェルズ、フレッド・ホイルがいますが、広
瀬もその中に入る優れたタイムトラベルSF作家だと思います。
もうひとつ――先日映画「マトリックス/リローデッド」を観
たのですが、前回に引き続いて「マトリックス」という空間に興
味を持ちました。この空間は一体何でしょうか。直接タイムマシ
ンには関係はありませんが、何か共通するような、ぞくぞくする
ものを感じます。
そういうわけで、これからしばらく「タイムマシン」をテーマ
に取り上げてみたいと思うのです。しかし、このテーマは、時間
論、時空論に深く関連し、ともすると話が哲学的になりやすいの
で、そのあたりに注意して、やさしい記述に努めますので、しば
らくお付き合いください。
「タイムマシン」とは一体何でしょうか。
この答えは意外に簡単なのです。人間が乗れて、光に近い速度
で進むか、光を超える速度で進むマシン――それがタイムマシン
なのです。
光に近い速度か光を超える速度かは、タイムマシンの性能に次
のように関係してくるのです。
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光に近い 速度 ・・・ 未来に行けるタイムマシン
光を超える速度 ・・・ 過去に行けるタイムマシン
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タイムマシンの問題には、アインシュタインの相対性理論が深
く関与してきます。相対性理論をごくごく簡単にいってしまいう
と、次のようになります。
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相対的に速く動いている物体の時間は遅く進む
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地球から、光速ロケットが宇宙に飛び出したとします。この場
合、光速ロケットの中の時間は、地球にいる人に比べて遅く進む
ということです。
この場合、その光速ロケットから地球を見ると、ロケットは静
止し、地球が光速で遠ざかっているように見えます。そうである
とすると、地球の時間の方が遅く進むのです。相対的というので
すから、そういうことになります。
ところで、相対性理論には「加速度」を考える、考えないで次
の2つがあるのです。
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加速度を考える ・・・ 一般相対性理論
加速度考えない ・・・ 特殊相対性理論
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この場合、加速度が変化すると、変化した側の時間が遅く進む
のです。例えば、光速ロケットが地球を飛び出し、途中で反転し
て戻ってきたとします。帰ってくるために反転したロケットは、
加速度が変化しているので、光速ロケットの時間は遅く進むこと
になります。要するに、物体を動かして、それをまた本本の位置
に戻せば戻った方の時間が遅く進むのです。
しかし、あのアイザック・ニュートンの時間のとらえ方は違う
のです。彼は時間について次のようにいっています。
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絶対的な、真の、数学的な時間は、外部の何ものにも影響を
受けず、一様に流れる ―――――ニュートン
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一般の人の時間の観念は、このニートンの考え方に近いと思い
ます。時間というものは、どこにいても万人にとって等しく流れ
るはずのもの――そう考をえています。
確かに心理的には、時間はときにより長かったり、短かったり
しますが、あくまで時間は時間であり、何をしようとどこにいよ
うと、時間は絶対的、普遍的なものであると考えています。これ
に異を唱える人はいないはずです。
しかし、この考え方は間違っているのです。それを指摘したの
がアインシュタインの相対性理論なのです。つまり、アインシュ
タインは、時間と空間に関するニュートンの考え方を否定したこ
とになります。
この相対性理論が発表されたのは1905年のことですから、
そろそろ一世紀が経過しようとしています。この長い時間の間に
相対性理論はあらゆる角度から世界中の物理学者が検証しており
正しいことを認めています。
時間は相対的であり、普遍的な「今」をともなう絶対時間の常
識的な観念は虚構である――このことを多くの物理学者は認めて
います。しかし、あなたはどうでしたか。時間をどのように考え
ていたでしょうか。 −−[タイムマシン01]
