日本は”普通の国”ではない(EJ第933号)
遂にテロ特措法が期限切れになり、インド洋で給油活動に従事していた海上自衛隊は
日本に帰ってきます。日本外交はどうあるべきでしょうか。そこで、今回は、日本外交
の問題を取り上げることにします。
なお、この記事は、2002年8月26日から9月13日までEJで取り上げたテー
マであることをお断りしておきます。
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毎週日曜日の午前7時30分からフジテレビで、「報道2001」という番組をやっ
ています。竹村健一氏の番組です。大物政治家がよく登場します。
この「報道2001」の番組の最後に「竹村健一のいっぺんいうてみたかった」とい
うコーナーがあり、そこで竹村氏はよく話題の新刊書を紹介するのです。確か8月11日のそのコーナーだったと思いますが、竹村氏は次の本を紹介したのです。
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村田良平著/田久保忠衛・小森義久――特別鼎談
『甦れ、日本外交/なぜ外務省はダメになったか』扶桑社刊
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著者の村田良平氏は現在72歳。京都大学法学部を卒業し外務省に入省。中近東アフ
リカ局長、経済局長を経て外務事務次官、駐米大使、駐独大使を歴任後退官。現在、日
本財団特別顧問をされています。
竹村氏によると、村田良平氏は大物外交官で、本書の中では外務省の後輩を実名で批
判している――これはなかなか勇気のある行動で、読み応えがあるということでした。
早速購入して読んでみたのですが、366ページに及ぶ重厚な内容の本です。村田氏
は最近の外務省のありようについて、猛省すべきことはたくさんあり、確かに何人かの
現役の後輩を実名で批判していますが、大部分の外務省員は今も日本のために真面目に
働いていることを少しでもいいから伝えたい――これが外務省OBとしての本音ではな
いかと思います。そういうわけで、この本をベースとして、しばらく日本外交について
EJで考えてみたいと思います。
「日本の常識は世界の非常識」ということばがあります。これも竹村健一氏のことば
ですが、村田良平氏は上掲書の冒頭で「日本は普通の国ではない」――もう少し露骨に
いうと、「普通の、まともな国ではない」といっています。村田氏のことばを借りてい
うと、次のようになります。
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「日本は敗戦とともに、戦前とは異質であるが逆の方向の“異
常な国”になっており、現在でも、基本的には異常なままでと
どまっている」と。
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どのように異常かはあとで述べるとして、異常な国になってしまった原因は次の5つ
だというのです。
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1.無敵不敗と信じた日本陸海軍の完全敗北
2.6年8ヶ月にわたる米軍による占領支配
3.戦力不保持条項等を含む憲法の押し付け
4.手続きも内容も裁判に価しない東京裁判
5.長期に及ぶ米国のマインドコントロール
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それぞれの項目について述べることは避けますが、戦前の誇り高い日本人はこれら5
項目によって強い精神的ダメージを受け、普通でない国に変節してしまったと村田氏は
いっています。
日本は、戦後米国をお手本として民主主義を学んだといわれますが、占領期間中はと
ても民主主義などというものではなかったのです。占領軍の方針に反する一切の発言場
を封じられ、記事は検閲を施され、国旗と国歌は禁止されたのです。とくに占領政策と
東京裁判についての批判は強権で弾圧されたのです。
要するに占領中は日本人には、連合軍の選択する情報しか与えられなかったのです。
そのうちに日本人は日本人であることに後ろめたさを抱くようになります。連合軍が日
本を普通の国でない国にするのに6年8ヶ月あれば十分だったのです。
それでは、日本のどこが普通ではない異常の国であるかについてまとめてみます。
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1.主権の大切さが国民に定着していない国
2.万事穏便にトラブルを解決せんとする国
3.ほとんど本能的というべき人命尊重指向
4.国民が正しい歴史観を持っていない国家
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国家の威信、主権は国の大小を問わず独立国家にとってきわめて重要なものです。そ
の手本として村田氏は、かつてフィンランドという比較的小国が、隣国であったソ連と
いう巨人に対して、独立国としての矜持を保つためにいかに努力を払ってきたか、歴史
をひもといてみるべしといっています。「一寸の虫にも五分の魂」そのものだというの
です。
この独立国家にとって、何よりも重要な主権の侵害に対して世界でいちばん鈍感な国
は日本であるというのです。日本は敗戦以来明らかに主権が侵害されたというケースで
も、生ぬるい対応しかしてこなかったといえます。
北朝鮮によると推察される日本人の拉致事件、今年5月、瀋陽の日本領事館で起こっ
た日本に庇護を求めた北朝鮮人5名を中国の軍事警察が力で連行していった事件――明
らかな主権の著しい侵害であるにもかかわらず、いずれも生ぬるい対応しかしていない
のです。これが米国だったらと考えれば、日本がやはり普通の国ではないことがわかる
と思います。
それは、何でも穏便に解決しようという「平和友好外交」という日本の外交姿勢に問
題があるのです。もとより、平和友好は外交の目的ではなく、外交努力をした結果とし
て生まれればよいものなのです。
村田氏によると、外交の要諦は合意をはかって利益を確保することとほぼ同程度に、
どうしても残る不満、不和を一定の許容範囲に収めることによって、それを紛争の糧と
しないための努力である――といっています。しかし、どのような場合でも、独立国と
しての矜持を保つことが必要なのです。 ・・・[日本外交の諸問題/01]