地球には明らかに水が多すぎる(EJ第998号)
われわれの住んでいる地球が「水惑星」といわれているのをご存知でしょうか。
地球の地表の3分の1は海です。そして、北極と南極には氷山と氷床があります。そ
うすると、地球上のかなりの部分は水で覆われていることになります。他に水のある惑
星というと、火星や金星がありますが、地球ほどの水はないといわれています。
「この多すぎる水はどこからきたのか」――と考えたことがあるでしょうか。実は、
世界中の多くの学者がこのテーマに挑んでいるのですが、今のところその謎は解明され
ていないのです。
「何とかして地球上の水を減らすことはできないか」――これが実現すると、人間の
住む土地が増えるので人類にとって意義のあることです。しかし、減らすどころか、最
近の地球の温暖化現象で、氷山が溶けて逆に水が増え、人間の住める土地が少なくなり
つつあるようです。
「海」はどのようにしてできたのでしょうか。
約46億年前のことです。太陽系3番目の惑星である地球が誕生したのですが、その
とき地球はマグマ・オーシャン(マグマの海)の状態で、岩石がドロドロに溶けて地表
を覆っていたといわれています。
岩石の中には水が化合物の状態で存在します。そのため岩石が溶岩状になると、岩石
の中の水の化合物が水蒸気となって出てきます。この水蒸気が空気中に放出されると雨
雲が形成され、それが雨となって地上に落ちてきます。しかし、地上が熱いうちは雨は
水蒸気となって空に発散し、また雨雲を形成します。
しかし、地球誕生から約6億年が経過すると、地表の温度は摂氏100度を切るよう
になり、雨はそのまま地上に止まるようになって、少しずつ海が形成されていったわけ
です。
ところで、水が液体の状態でいられるのは、次の条件が必要なのです。
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1気圧の下で、地表の温度が摂氏0度以上100度未満
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地球が誕生して約6億年が経過してやっとこの状態になったのというわけです。もう
ひとつ――太陽から受け取るエネルギーは地球上で1分間に1平方センチメートル当り
約2カロリーといわれています。
ところで金星は、この太陽から受け取るエネルギーが地球の2倍なのです。これによ
って、金星の地表温度は摂氏500度近くまで上がってしまいます。逆に、太陽から受
け取るエネルギーが2%減少すると、地球は全面凍結してしまうといわれています。
地表温度が下がって地表が凍結し、雪や氷で覆われると、今度は太陽光が反射してし
まい、太陽から受け取るエネルギーがさらに少なくなって一層地表温度が下がるという
悪循環がはじまるのです。すべては、太陽しだいであり、地球上の生命を保つ環境は微
妙なバランスの上に成り立っているのです。
水はこのようにかけがいのない貴重なものですが、地球上の水は、いささか多すぎる
と考えた人がいます。高橋実さんという日本人の科学者です。考えてみれば、人類はぎ
りぎりの水際に住んでいるといえます。よく晴れた日に飛行機から下を見ると、それが
よくわかります。東京にしても、ニューヨークにしても、ロンドンにしても、上海にし
ても、ほとんどの大都市が海面すれすれのところに展開されているのです。
もし、南極の氷がとけて、海面が5メートル程度上昇すれば、すべてが海に沈んでし
まうのです。ちなみに、南極の氷がすべてとけてしまうと、世界の海面は150メート
ル上昇するといわれています。地球の温暖化が進むと、南極の氷はとけることになりけ
っして非現実的な話ではないのです。
高橋氏は冒頭のテーマ――「何とかして地球上の水を減らすことはできないか」を本
気で考えて、科学者らしく計算をしてみたのです。その結果、このことが人智の及ばざ
ることであることを悟ったといいます。
どういう計算かご紹介しましょう。
海面を100メートル下げることを考えたとします。そうすれば、地球上に多くの陸
地ができることになります。これを実現するには、3.5京トンの海水を氷にして、そ
れを南極大陸に積み上げる必要があるのです。「京」という単位は、「兆」の1万倍と
いう途方もない単位です。
しかし、海水を氷にしてそれを南極大陸に積み上げるのに、石油が動力源として20
兆トン必要になるのです。ところが石油の埋蔵量は、大陸ダナのありったけを見積もっ
ても2兆トンぐらいにしかならないというのです。これは、しょせん不可能なことであ
るわけです。
ところで、大陸の氷がとけて海水になるという理屈は納得できますが、氷はなぜでき
たのかということに関しては、はっきりしていないのです。素人的に考えると、気候の
変化に決まっているということになります。確かに極冠と呼ばれる南北両極圏の氷は、
地球上でできたものと考えられます。
しかし、氷について不可解なのは、二畳紀といって今から約2億年くらい前の、古生
代末期に近い頃の地層に発見される氷河の痕跡です。これがオーストラリア大陸にも南
米大陸にも分布しているばかりではなく、アフリカ大陸の中央部、赤道直下にも、それ
から、赤道の北にも南にも広く発見されているのです。
この氷はどうしてできたのでしょうか。素人は、当時はきっと寒かったのだろうと簡
単に考えていますが、高橋氏は氷の分布状態から考えて、それでは説明がつかないとい
っています。
「氷は地球の寒暖と関係なしにできたものらしい」が、「氷がとけるときは、寒いと
ころはとけ残り、暑いところはとけて海水になる」――高橋氏はこのように考えて、壮
大な仮説を組み立てるにいたるのです。 ・・・[ノアの洪水/01]
