INTEC JAPAN/BLOG

このフォーラムは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。
最新のニュースを毎週月曜日にお届けします。

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● 2006年07月 記事 ●

2006年07月03日

構造改革がもたらした負の遺産/0012号

●町から酒屋さんが消えている!?

 小泉改革と称して、いろいろな改革なるものが進められています。なかには
新聞などには出てこない細かな規制が緩和ないし撤廃され、それに伴う法律ま
で改正されて、私たちの身のまわりに明らかな変化が起こりつつあります。
 それは、消費者にとってはプラスのものも多いことは確かですが、その結果
として、昔からある日本の文化や伝統や技術が次々と壊されつつあるのをご存
知でしょうか。
 2005年10月のことですが、零細な酒小売店から預かっていた「酒販年
金」に穴があいて、老後の年金支給に支障をきたすというニュースが伝えられ
たことを覚えておられるでしょうか。
 「酒販年金」というのは、「全国小売酒販組合中央会」が主催する年金のこ
とです。なぜ、穴があいたのかというと、同組合は2つの致命的な失敗をして
しまったからです。
 第1の失敗は、積立金の運用に失敗したことです。
 同組合は、約143億円をクレディスイス銀行に運用委託していたのですが
銀行の勧めによって、バハマのプライベートバンクに再委託をしたのです。と
ころが、2004年にそのプライベートバンクが倒産してしまい、多額の運用
資金が未償還になるという事態に陥ったのです。
 第2の失敗は、巨額の使途不明金があることです。
 この使途不明金については現在捜査が続けられていますが、どうやら大物政
治家への政治献金に使われたものと考えられています。そして、その政治家か
ら資金の再委託先のプライベートバンクも紹介されたというのです。まさに二
重のショックですが、問題はその背景なのです。
 最近町の「酒屋さん」がどんどん姿を消しています。2003年から「酒類
(サプリメント)の自由化措置」が実施され、町の酒屋さんの倒産が相次いで
いるからです。スーパーや大型量販売店が、商店街の酒小売店を駆逐しつつあ
るといえます。お酒を買うライフスタイルが変わりつつあるのです。
 1999年の日米両国の規制緩和の進捗度を報告する「共同現状報告」にお
いて「酒類の自由化措置」が決定事項としてスケジュール化されています。こ
れまで酒小売店は共存・共栄を図るため、店舗開店基準が定められていたので
す。それは、人口、酒小売店間の距離などを勘案した規制だったのですが、こ
れが完全に撤廃されることになったのです。
 当然のことながら、全国小売酒販組合中央会としては、何とかしてもらおう
として政治家に働きかけたのです。酒小売店にとっては死活問題であり、その
ための巨額献金だったのです。それに積立金の一部が使われたのです。
 この米国との規制緩和協議――橋本政権のときからはじまっているのですが
小泉政権になってから「強化されたイニシアチブ」として、一層急ピッチで進
められるようになったのです。それは、国家を揺るがすような大問題ばかりで
はなく、この酒類の自由化措置のようなものまで、米国は細かく要求を出して
きており、日本はそのほとんどを受け入れているのです。
 なかには、自動二輪車の高速道路における最高速度規制の緩和などという一
見して何を狙っているのかわからないものまであります。それは、日本の高速
道路で、自動二輪車の2人乗りを認めさせ、80キロの最高速度を100キロ
まで出せるように改正させることによって、ハーレーダビットソンを多く売る
ことが狙いなのです。これを受けて与党議員は「ハーレーダビットソンの会」
を結成し、米国に迎合しているのです。

●耐震偽装問題の原因も規制緩和

 こうした性急な規制緩和が現在次々と問題を生じさせています。
 「建築基準法」の改正による建築確認・検査手続きの簡素化が耐震偽装問題
を生んでいます。そして、禁止されていた「木造三階建て住宅」が米国政府の
強い圧力でできるようになっています。もちろん耐震性に問題があるのです。
 そもそも日本家屋は、良質の木材を使用し、職人は柱に穴を開けて組み上げ
る高い技術を誇っていたのです。しかし、外材が使えるように木材の規格が変
更され、さらにコードレス釘打機を認可させることによって、柱の組み立てを
不必要にし、日本家屋の品質を悪化させることを平気で容認しています。
 そして、株の時間外取引の規制緩和措置が放送業界を震撼させたライブドア
のニッポン放送株の大量取得を可能にし、ファンドに関わる規制緩和によって
村上ファンドの問題を生んでいます。
 現在、「強化されたイニシアチブ」によって、規制緩和と競争政策に関する
施策を検討する「上級会合」と「専門家会合」が設けられており、上級会合は
専門家会合から上げられてきた案件をレビュー、コメントするスタイルになっ
ているのです。
 専門家会合は、電気・通信、住宅、医療、金融サービス、規制緩和の5つの
分野に区分され、このうちの電気・通信、住宅、規制緩和については、米国側
が議長になっているのです。このようにして構造改革の名の下に、日本の伝統
的な技術や文化、生活スタイルが壊されていっています。
 ここで述べたのはほんの一部に過ぎないのです。詳しくは、京都大学院教授
本山美彦氏の『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ』(ビジネス社刊)を読
んでいただくとその恐るべき実態がわかります。           以上

2006年07月10日

キリスト教が変わりつつある/0013号

●「オプス・デイ」の信者が米国で急増している

 ダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』が超大ヒットを続けていま
す。しかし、この小説は日本人にとってかなり難解であり、映画を見てもいま
ひとつピンとこないという人が少なくないと思います。
 とくにわかりにくいもののひとつとして、「オプス・デイ」という秘密結社
があります。マヌエル・アリンガローサという司教と、色素欠乏症のシラスと
いう修行僧の属している秘密結社がオプス・デイです。
 このオプス・デイ――小説や映画では怪しげな秘密結社として描かれていま
すが、現在米国において信者が急増しており、その存在を知らない人はほとん
どいないといわれます。しかし、オプス・デイは正式にカトリック教会に属し
ており、セクト的特徴は見られるものの、キリスト教の正式な一派なのです。
 オプス・デイは、ホセマリア・エスクリバーによって、1928年10月2
日にスペインで創設された宗教団体です。エスクリバーは、スペインの内戦で
は極右勢力フランコ軍に参加し、フランコ政権樹立によって力を得て、オプス
・デイは国内での勢力を拡大させたのです。その正式名称は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
           属人区聖十字架とオプス・デイ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 1970年代にチリの左翼組織「アジェンデ」をクーデターで崩壊させたア
ウグスト・ピノチェトは、このオプス・デイが育てた政治家であり、ペルーの
アルベルト・フジモリもオプス・デイと協力していたことが知られています。
 オプス・デイとはラテン語で「神の御業」を意味し、そのモットーとするの
は「仕事と日常生活の中に神を見つける」というものです。
 現在、キリスト教は「ニューエイジ」といって、神に隷属するのではなく、
人間の内部に神性を見つけるということで、キリスト教の諸宗派の融合を図る
動きが活発になってきています。2005年に亡くなったカトリックのヨハネ
・パウロ二世はそのための努力をした代表格であるといわれています。
 キリスト教には、カトリックとプロテスタントという二大潮流があり、それ
ぞれにリベラル派と保守派がありますが、現在、カトリックとプロテスタント
の差はほとんどなくなっており、リベラル派と保守派が2大勢力を形成してい
る状況にあります。
 加えて、米国ではこのオプス・デイなどを中心に「カリスマ運動」なるもの
が盛んになっており、大きな動きになりつつあります。京都大学院教授本山義
彦氏は「カリスマ運動」について次のように述べています。キリスト教はいま
や大きく変化しようとしているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「カリスマ運動」は、神から力を与えられた聖者(カリスマ)の言葉、つま
 りキリストの言葉とは異なる「異言」や、奇跡などの宗教体験を重視して、
 民衆の素朴な信仰心に宗教活動を移している。      ――本山義彦著
       『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ』より。ビジネス社刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

●キリスト教右派を中心とする国際人脈の存在

 このカリスマ運動が、キリスト教右派の中心部に入り込み、カトリックとの
連携だけでなく、ユダヤ教との折り合いをも活動の重点にして、キリスト教の
中心勢力を形成しています。
 さらにそれは、宗教組織でありながら、そこに集まる巨額の資金を活用して
「ニュービジネス」を指向しています。その結果、キリスト教右派を中核とし
た政・財・官・学の各界にまたがる強力な人脈が形成されているのです。
 「華麗なる雲上人脈」と呼ばれる国際的人脈――それはまさにキリスト教右
派そのものであり、世界に名だたる財界人はほとんどこの人脈に属していると
いわれます。
 しかし、日本人はこうした国際的人脈には、ほとんど入り込めていないので
す。なぜなら、この人脈の基盤がキリスト教だからです。日本人にとって、言
葉や人種の差以上に宗教は大きな壁となって立ちはだかっているのです。
 現代において世界を相手にしてビジネスを展開し、大きな取引を実現させよ
うというとき、このキリスト教右派は無視できないのです。欧米人はこういう
宗教基盤を積極的に使ってビジネスを仕掛けてきますが、宗教観が異なり、キ
リスト教そのものに無関心でかつ情報のないな日本人のエクゼクティブは大き
な壁にぶつかってしまうことになります。
 旧長銀を2000年にわずか10億円で買収した米国投資ファンド「リップ
ルウッド」のコリンズ会長は、キリスト教右派の人脈をフルに使ってこのビジ
ネスを成功させたのです。何しろ新生銀行になって4年後の2004年には株
式公開を行い、一夜にして2200億円もの利益を得ているのです。
 このコリンズ――ケッタッキー州のデボー大学で宗教学を修め、キリスト教
バプティスト派の牧師になろうとしていた人物であり、もともとキリスト教関
係に人脈が多いのです。そして、この旧長銀買収は相当早い段階から入念に買
収計画が練られていたといわれています。
 そういう意味でダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』は、日本人とっ
て改めて宗教を考え直すよい機会になると思います。         以上

2006年07月18日

経営者がギョッとする営業の本/0014号

●『御社の営業がダメな理由』が売れている!?

 営業に関する本は夥しい数が発刊されていますが、一定量の売り上げは確保
できるものの、大ベストセラーにはならないというのが今までの常識です。し
かし、最新刊の次の本は例外のようです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    藤本篤志著
    『御社の営業がダメな理由』/新潮社刊/新潮新書165
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 著者の藤本篤志氏は元USENの取締役で、現在、株式会社グランド・デザ
インズの代表取締役をされているベテランの営業コンサルタントです。この本
は、営業に関する書籍としては次の3つの点でユニークです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
   1.本のタイトルが経営者にとってショッキングであること
   2.セールス・マネジャーの観点から営業を説いていること
   3.営業を方程式化してそのメカニズムの解明に挑んでいる
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 まず、タイトルがショッキングであり、とくに経営者がギョッとすることは
確かです。現在、営業に関して悩みを持っていない経営者は皆無であり、自社
の営業の問題点をズバリ指摘されたような気になるタイトルといえます。
 それに営業の本にしては、初版が新書版で出るのは珍しいのです。ほとんど
の営業の本は初版は四六版であり、価格は平均して1500円程度になるので
すが、新書版なら680円(税別)――買う方としては買いやすいのです。
 タイトルでギョッとして、価格も手ごろとなれば買って読んでみようという
気になっても不思議はないのです。そういう意味で、本書は本の販売に関する
マーケティングで成功しているといえます。現在、紀伊国屋書店の新書週間ベ
ストセラーランキングの9位(5月29日〜6月4日)に入るなど、幅広い支
持を得ているということです。

●営業を解き明かす3つの方程式

 藤本氏は「営業」を解き明かす次の3つの方程式を提示しています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  1.営業結果=営業量×営業能力
  2.営業量=営業時間−(意識的怠慢時間+結果的怠慢時間)
  3.営業能力=営業知識量+営業センス力+グランドデザイン力
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 営業の成果が「営業量」と「営業能力」の積であるというのは、別に珍しい
ことではないのですが、藤本氏は「営業量」と「営業能力」のそれぞれについ
て独自の定義をしている点がユニークです。
 「営業量」については、営業時間からいわゆる営業パーソンのサボリの時間
を引いたものであるとし、自ら意識してサボルのは「意識的怠慢時間」、自ら
は意識していないが、結果としてサボルのに等しいのが「結果的怠慢時間」と
しているのです。そして営業が低迷する原因は、この「結果的怠慢時間」の大
きさにある――このように指摘しています。
 「結果的怠慢時間」には、移動時間や営業会議、営業日報を書く時間など、
要するに営業をしてしていない時間のことです。とくに営業日報制度は諸悪の
根源であり、即刻やめるべきであると、本の全ページ数の約30%を割いて力
説しておられるが、真にその通りであるといえます。
 藤本氏は営業日報制度を廃止し、マネジャーによるヒヤリングを充実させて
必要に応じて同行営業を行うことを改善策として提案しています。そうすれば
「結果的怠慢時間」は大幅に減少し、結果として営業量は上がって、営業結果
は増大すると指摘しているのです。
 しかし、もうひとつの要素である「営業能力」の方は短期間ではレベルアッ
プさせるのは困難であると述べています。とくに「第一印象が良い」などの個
人的資質の総称である「営業センス」、営業先に対して適切な企画・提案がで
きる「グランドデザイン力」に関しては、先天的な能力であって、それらをレ
ベルアップさせようとする幻想は捨てるべきだと述べています。
 そうすると、残るのは「営業知識量」――これは商品知識などの知識だけで
なく、商品を売るために組織が培ってきた営業のノウハウも含むのです。しか
し、これをいくら積み上げても短期的には「営業能力」に反映されないのです
が、これは後天的に上昇させることが十分可能であって、営業組織としてそれ
を積み上げるプログラムを組んでそれに基づく指導をすれば、営業パーソンは
育成できると述べています。
 本書を一読して感ずる不満は、安定した営業成果を実らせるために不可欠な
「集客」への言及がまったくない点です。著者は明らかに営業を「売り込み」
としてとらえており、その観点から営業パーソン育成論を展開していますが、
それではよい結果は得られないのです。営業とは「集客」であり、セールス・
マネジメントの本質は、企業力を加えていかに集客を実現するかにあります。
 営業量増加は集客のための活動量の増加のことであるべきですが、著者の観
点に立つと、集客活動も「結果的怠慢時間」の中に組み入れられてしまうので
がないかという危惧を抱いてしまいます。              以上

2006年07月24日

学習を続けることが長生きの秘訣である/0015号

●年をとって学習しない人は癌疾患があるのと同じ死亡率

 オランダのアムステルダム・フライ大学の学者たちによる興味深い調査があ
ります。どういう調査かというと、アムステルダムに住む55歳から85歳の
地域住民2380人を対象に実施した4年後死亡率の追跡調査です。精神科医
の和田秀樹氏の次の著書に出ていますが、参考までにご紹介します。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
         和田秀樹著/講談社刊
         『40歳から何をどう勉強するか』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 この調査がユニークな点の第1は、さまざまな病気の有無でどのくらい死亡
率が違うかを調査していることです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
   ≪心臓病≫          4年後の死亡者数(死亡率)
    心臓病なし  1922人    180人( 9.4%)
    心臓病あり   458人     83人(18.1%)
   ≪癌疾患≫
    癌疾患なし  2172人    227人(10.5%)
    癌疾患あり   208人     36人(17.3%)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 地域住民2380人中、心臓疾患のあった人は458人、癌を患っていた人
は208人いたのですが、それぞれの4年後の死亡率を調べると、18.1%
17.3%と疾患を持っていない人と比べると、4年後の死亡率が倍近く高い
ことがわかったのです。しかし、これは当然のことです。
 この調査がユニークな点の第2は、歳をとってからの知能と死亡率の関係を
調べていることです。そうすると、驚くべき結果が出たのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
   ≪情報処理速度≫
    上位ランク  1200人     69人( 5.8%)
    下位ランク  1180人    194人(16.4%)
   ≪流動性知能≫
    上位ランク  1161人     81人( 7.0%)
    下位ランク  1219人    182人(14.9%)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 情報処理速度と流動的知能のテストについては、内容を詳しく伝える紙面が
ありませんが、前者は決められたルールにしたがってデータを処理する能力の
テストであり、後者は今まで経験したことのない新しいことを学習する能力の
テストです。
 何が驚くべきかというと、情報処理速度の速い人の上位1200人の4年後
の死亡率がわずか5.8%であったのに対して、下位1180人の死亡率は、
16.4%と3倍も高くなっていることです。さらに、流動性知能のテストに
おいても、上位1161人の4年後の死亡率が7.0%であるのに対して、下
位1219人の死亡率は14.9%と倍になっています。
 この16.4%、14.9%という死亡率は心臓病を持つ人と癌疾患のある
人のそれぞれ4年後の死亡率、18.1%、17.3%と大差がないのです。
これは何を意味しているでしょうか。
 歳をとってからも高い知能を保っている人は長生きできるが、勉強しないで
遊んでいる人は早く死ぬということを示しているのでしょうか。

●勉強を続ければ結晶性知能は衰えない

 レイモンド・キャッテルという心理学者によると、人間には次の2つの知能
があり、それらが補完的関係にあるというのです。一方が衰えると一方がそれ
を補完するという関係です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
             1.結晶性知能
             2.流動性知能
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 結晶性知能とは、常識や判断力、理解力などの能力で、教育や社会的訓練を
通して、知識や経験を積み重ねることにより育まれます。したがって、年をと
ってからも学習を続けていくと、この知能はあまり失われることはなく、80
歳代になっても25歳ぐらいのレベルを保っていられるのです。
 これに対して流動性知能とは、新しいことを学習したり、新しい環境に適応
したりする能力であり、結晶性知能と違って教育や経験には大きく左右されず
そのピークは30歳代であるといわれます。
 例えば、歳をとってからPCを覚えるというのは、まさしく流動性知能が必
要になるのですが、それでも真剣に取り組むと、結晶性知能がそれをカバーし
て、習得を助けてくれるのです。したがって、高齢者は、自由になった時
間をフルに生かして、結晶性知能の充実に努めることが大切なのです。
 しかも、そうすることによって、寿命まで伸びるということをアムステルダ
ム・フライ大学の調査は示しているのです。確かに大学教授などの学者は長生
きであり、この調査を裏付けているといえます。           以上

2006年07月31日

日本はITの使いこなしでは後進国/0016号

●PC管理――全省庁不合格

 2006年7月26日付の日本経済新聞によると、日本の全省庁のPC管理
が不合格であると判定されたそうです。PC管理というのは、PCに関して、
ウイルス対策ソフトを導入しているかとか、機密情報の暗号化ができているか
とか、盗難防止策を講じているかなどのセキュリティ9項目をチェックした結
果をABCDの4段階で評価した基準のことです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 Aランク/全項目OK  0 ・・ なし
 Bランク/一部に不満  3 ・・ 内閣官房、金融庁、環境庁
 Cランク/対策に遅れ 10 ・・ 人事院、内閣府、公取委、防衛庁、
                  総務省、内閣法制局、財務省、文科省
                  農水省、経産省
 Dランク/大幅な遅れ  6 ・・ 宮内庁、警察庁、外務省、法務省、
                  国交省、厚労省
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 最も機密情報を扱う防衛庁がCランク、外務省と警察庁がDランク――これ
では、とても国家機密は守れないといわれても仕方がないといえます。防衛庁
から機密情報が流出するのはこのセキュリティ管理の甘さが原因なのです。
 というよりも、日本の省庁全体がITに弱すぎることが原因なのです。これ
は、省庁の問題だけではなく、一般企業――特に大企業にもいえることなので
す。日本ではPCを使っている人は多いのですが、その使いこなしのレベルは
世界の平均以下に過ぎないのです。
 日本人は、世界で一番高価なPCを持ちながら、その使いこなしに関しては
世界の平均以下という評価があります。アジアではもちろん最下位です。この
機会に、日本人全体のIT教育を根本から見直す必要があると思います。

●総務省(ランクC)のIT予測能力

 新聞では指摘していませんが、ITの総元締めであるはずの総務省がCラン
クであることには、お粗末の限りです。総務省は、日本を世界に冠たるIT国
家にする政策の総元締の役所だからです。
 その総務省のITに関する予測が、いかにお粗末であるかを示すデータがあ
ります。それは、ブログに関する将来予測に関するデータです。
 総務省がはじめてブログの利用者に関する調査結果を発表したのは2005
年3月末のことです。
 その時点でのブログの利用者は335万人だったのですが、今後のブログ利
用者の増加について次のように予測したのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
       2007年3月末 ・・・ 782万人
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、総務省は2005年9月末になって、ブログの利用者数をもう一回
発表しているのです。当初は年間調査の予定だったのですが、ブログやSNS
の関心の高さに、当初の予定を変更して半年調査に切り替えたのです。
 その2005年9月末時点でのブログとSNSの利用者は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
       ブログ ・・・・・・・・ 473万人
       SNS ・・・・・・・・ 399万人
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 そして、その半年後、総務省は2006年3月末のブログとSNSの利用者
の発表を次のように行ったのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
       ブログ ・・・・・・・・ 868万人
       SNS ・・・・・・・・ 716万人
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 どうでしょうか。総務省は2007年3月末に782万人と予測していたの
です。それが一年前の2006年3月末で、既に868万人となり、予測数値
を大幅に上回ったのです。要するに、総務省は、ブログの伸びを完全に読み違
えてしまったことになります。
 2005年の3月末が335万人ですから、868万人は260%の増加率
ということになります。驚くべき伸びといえますが、ブログを実際に作り、情
報を更新した経験のある人はその便利さを実感しているので、ブログやSNS
が今後大幅に伸びることは予測できていたはずです。
 予測であるから外れることがあるのは当然であるという考え方もありますが
それにしても総務省の予測値は外れ過ぎです。2年後の予測値が1年前倒しで
しかもオーバーしてしまったからです。それは、総務省自身がブログそのもの
をよく知らなかったのが原因ではないかと考えられるのです。
 ケータイの伸びもすさまじかったですが、ブログもそれに劣らぬ急伸ぶりで
す。これほどの伸びをもたらすものが、ビジネスの世界に無関係であるはずが
ないですが、いまだにブログをホームページの簡易版であると考えている人が
多いのは気になるところです。新聞各紙がブログのことをそのように書いてい
るからです。                           以上

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