ジェネリック医薬品と沢井製薬の役割/0034号
●ジェネリック医薬品とは何か
最近よくテレビで聞く言葉に「ジェネリック」というのがあります。俳優の
高橋英樹がやっている「なによりも患者さんのために」というあのCMです。
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それは医療機関で処方される、もうひとつのお薬
同じ成分・同じ効き目でありながら
薬価は平均すると新薬の約半額です
――澤井製薬のCMより
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医薬品には次の2種類があるのです。一般の薬局・薬店で購入できるものと
医師の処方が必要なものの2種類です。
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1.一般用医薬品 ・・・・・・・ 一般の薬局・薬店で販売
2.医療用医薬品 ・・・・・・・ 医師によって処方される
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このうち医師の処方が必要な医療用医薬品はさらに2つに分かれるのです。
ここからは一般人の知らない世界です。
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I――先発医薬品 ・・ 新薬
医療用医薬品 ――I
I――後発医薬品 ・・ ジェネリック医薬品
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「先発医薬品」というのは、いわゆる新薬のことです。新薬として発売され
た薬は特許に守られ、開発したメーカーが独占的にその薬を製造・販売できる
のです。そのため「先発医薬品」というのです。
しかし、20〜25年の特許期間が切れると、他のメーカーも同じ成分、同
じ効果の薬を製造できるようになります。このようにして作られた薬が後発医
薬品、すなわち「ジェネリック医薬品」なのです。
ジェネリック医薬品のことを医師はよく「古い薬」といいます。古い薬とい
うと、新薬の古くなったものではないかと考えてしまいますが、そういう意味
ではなく、既に開発済みの薬を再製造したものなのです。したがって、作るメ
ーカーが違えば薬名も当然違ってきますが、その薬が昔の何の薬に対応するも
のであるかは、医療機関――とくに専門の薬剤師にはわかっているのです。
ジェネリック医薬品は、研究開発費がかからず、有効性のテストも済んでい
るので、その価格は新薬の20%〜80%くらいに設定することができます。
同じ成分・同じ効き目の薬でありながら、価格は非常に安いのです。
現在国の医療費は32兆円――そのうち薬剤費は約7兆円です。7兆円のう
ちの3兆円弱が特許の切れた新薬の購入費なのですが、これがもしすべてジェ
ネリック医薬品に置き換わると、1兆円以上が節約できるので、国のプラスに
なるのです。また、これによって患者の個人負担も減るので、ジェネリック医
薬品が普及するかどうかは国民にとって重要な関心事なのです。
●官邸を動かした沢井製薬の意見広告
しかし、日本国内の医療用医薬品市場におけるジェネリック医薬品のシェア
はわずかに16%(数量ベース)――これに対して欧米は50%以上がジェネ
リック医薬品であり、普及率に大きな差があります。
日本のような国民皆保険制度がない米国と日本をそのまま比較するのは問題
はありますが、それでも米国は同じ効き目なら安い薬を・・という合理主義が
官民挙げて徹底しており、ジェネリック医薬品が多用されています。
しかし、日本も2006年4月以降、ジェネリック医薬品の販売は予想を上
回る伸びを示しはじめたのです。それは厚労省による処方箋の様式の変更が、
きっかけになったのです。それも処方箋の備考欄に「後発医療品への変更可」
というチェツク欄を設けただけのことなのです。
これまでは、医師がジェネリック医薬品を使いたくても知識不足から処方箋
には新薬名を書くしかなかったのですが、新様式の処方箋の場合は、備考欄の
「後発医療品への変更可」にチェックを入れるだけで、薬剤師がジェネリック
医薬品を調剤できるのです。これに対して医師会は強硬な反対をしたのですが
厚労省は様式変更に踏み切ったのです。
厚労省がこの措置に踏み切るきっかけを作ったのは、沢井製薬の努力があり
ます。実際問題として国民としては、沢井製薬が新聞の意見広告や、テレビの
CMでジェネリック医薬品の存在を啓蒙してくれなかったら、その存在を知る
ことはなかったと思われるからです。
沢井製薬の社長澤井弘行氏によると、新聞の意見広告の訴える対象は国民だ
けでなく、官邸を意識したといいます。この狙いは見事に当たり、国会の質疑
応答で、沢井製薬が新聞に掲載した意見広告を片手に野党の議員が、当時の坂
口厚労大臣に詰め寄り、大臣から「前向きに検討する」という言質を引き出し
たり、小泉前首相も「同じ効き目から安い方がいいと思う」と答弁するシーン
も再三あったのです。
このようにジェネリック医薬品の普及促進は官邸の主導で進んだのですが、
その政策決定に沢井製薬の広告が一役買ったことは確かなことです。 以上
