INTEC JAPAN/BLOG

このフォーラムは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。
最新のニュースを毎週月曜日にお届けします。

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● 2007年01月 記事 ●

2007年01月15日

ホワイトカラーを直撃するフラット化する世界/0038号

●「フラット化する世界」と3つのグローバリゼーション

 『フラット化する世界』とは、ピューリッツァ賞を3度も獲得した「ニュー
ヨークタイムス」のコラムニストとして有名なトーマス・フリードマンという
ジャーナリストが、2005年4月に米国で出版した本のタイトルです。
 この本はたちまちベストセラーとなり、世界中で翻訳されるようになるので
すが、フリードマンはこの本の中でITによって変質したグローバリゼーショ
ンの姿を克明に描いています。
 グローバリゼーションというのは、これまでの国家や地域などの境界を越え
て、地球規模で複数の社会とその構成要素の間での結びつきが強くなることに
伴う社会の変化やそのプロセスのことをいうのです。この言葉は、1970年
頃から使われはじめたのですが、フリードマンはグローバリゼーションを次の
3つに分類しています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 1.19世紀型グローバリゼーション/「国家」のグローバリゼーション
   ・1492年〜1800年
 2.20世紀型グローバリゼーション/「企業」のグローバリゼーション
   ・1800年〜2000年
 3.21世紀型グローバリゼーション/「個人」のグローバリゼーション
   ・2000年〜
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 19世紀型グローバリゼーションというのは、国家が武力や蒸気機関などの
物理的な力を使って自分たちと世界のグローバル化を進めたので、主体は国家
であり、これを「国家」のグローバリゼーションというのです。
 20世紀型グローバリゼーションというのは、多国籍企業が通信や流通の進
化によって市場と労働力を求めてグローバル化を推し進めるかたちをいうので
す。例えば、車を世界中に輸出するため、工場を外国に移し、その土地の労働
力を使ってグローバル化を進める――主体は企業であり、これを「企業」のグ
ローバリゼーションというのです。
 21世紀型グローバリゼーションというのは、ITの進化によって世界中の
個人が結びつき、競い合い、協力することが可能になりつつあり、それが企業
の雇用形態を変えつつある――そういうグローバリゼーションをいいます。

●ホワイトカラーの仕事がなくなる

 冷戦の終結によって、世界は今や一つの労働市場の中で動いています。それ
を契機に社会主義国に閉じ込められていた労働人口が開放され、一挙に労働人
口は30億人増えたといわれます。
 IT技術の発達によって、これらの労働人口を資本主義国からでも使えるよ
うになってきています。このような時代においては、企業は好むと好まざると
にかかわらず、グローバル化を推し進めざるを得なくなります。企業のグロー
バル化が加速すると、中国などとの競争で労働コストには下押し圧力がかかり
やがて労働コストは世界的に妥当なラインに平準化されます。
 こういう世界では、もはや学歴はもとより国籍も問われることはなく、個人
がいかなる能力を持っているかだけが問題になるのです。そして企業は個人の
その能力に見合うコストを支払うようになります。
 その結果として、グローバル企業はコアバリューだけを本国に残し、あとは
より安価な労働力を求めて世界中に展開することになります。IT技術によっ
て、ビジネスワークフローをユニットごとに切り出すことが可能になっている
からです。そして、会計士、税理士、ITエンジニア、重役秘書といったホワ
イトカラーの花形とされた仕事まで切り分けられたパーツでしかなくなってし
まうのです。こういう世界を「フラット化する世界」というのです。
 フリードマンは、フラット化する世界の民を次のユニークが言葉で呼んでい
るのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
   1.無敵の民 ・・・ 他人が真似のできぬ非凡な能力を持つ人
   2.無名の民 ・・・ 他人が代替できる平均的な能力を持つ人
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 無敵の民には、世界中から多数のオファーが多額の報酬とともに舞い込んで
きます。そして世界レベルの競合によって報酬は高騰する一方です。これに対
して無名の民は、ITの力によってその他大勢としてデータベースに組み込ま
れ、データベースが無作為にはじき出した仕事に就くことになります。そして
その報酬は世界レベルの最も低いラインに落ち着くのです。
 現在、ホワイトカラーいじめとしてサラリーマンの憤激を買っている労働時
間規制の適用除外制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)も、経営側−−
とくに大企業の経営者が全体としての労働コストの上昇を抑える一方で、無敵
の民に多くの報酬を与えられる柔軟性を人事制度に求めていることが背景にあ
るようです。フラット化する世界を意識しているからでしょうか。
 ところが日本は、フリードマンのいう21世紀型グローバリゼーションに明
らかに立ち遅れています。それは、グローバル化を進めるさいに不可欠な言語
のかべを乗り越えられないからです。「個人」のグローバリゼーションはコミ
ュニケーションの世界であり、言語は不可欠だからです。       以上

2007年01月22日

日本がアウトソースすべき国は中国なのか/0039号

●IBMに見るBTOというサービス提供

 フラット化する世界に対応して、IBMは自らをフラット化するとともに他
社のフラット化を促進しようとしています。いうまでもなくIBMはグローバ
ル企業であり、世界規模の設備と人員をリソースとして有しています。
 IBMは、2006年6月にBTOセンターを開設しています。BTOとは
何でしょうか。似たような言葉にBPOがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 BTO ・・ ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング
 BPO ・・ ビジネス・プロセス・アウトソーシング
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 BPOは、自社の業務の一部を外に出し、コストの改善を行うことに主眼を
置くことをいいます。これに対してBTOは、単に業務を外出ししてコストの
改善を行うだけではなく、その業務プロセス自体を改善して業務効率を上げる
ことに主眼を置くことをいうのです。
 BTOセンターは、経理、購買、調達、人事、コールセンター、物流管理、
研究開発の7分野について、日本語、韓国語、北京語、広東語、英語に対応し
たスタッフを用意して、他社のBTOをサポートする組織です。これら7分野
はIBMが90年代に奇跡の業績回復を成し遂げた過程でノウハウを獲得した
実績と自信のある分野であり、IBMにとって最大の売りなのです。
 もし、日本企業がこの仕組みを使えば、海外企業にアウトソーシングするよ
りも速く、簡単にクォリティの高いサービスが受けられるので、容易にフラッ
ト化に対応できるのです。
 IBMでは、フラット化を象徴するイベントが行われています。それは社内
イベントのひとつである「JAM/ジャム」です。IBMには世界中に数十万
人規模の社員がいますが、その全世界の社員がイントラネットを通して種々の
テーマを討議する巨大なチャット大会のことを「JAM」というのです。
 2003年のテーマは「IBMのバリューをどのように生かしていくか」で
したが、JAMで討議を行うと、声の大きな者が勝ったり、地位の高い者の意
見が尊重されるということは一切なく、まさにフラットな意見が集約されるの
です。フラットな環境の下で、フラットな意見が集約され、それが企業におい
てパワーとなって発揮されるのです。

●インドより中国と交流を深めるべきか?

 世界のフラット化で一番注目を浴びているのはインドと中国です。とくに米
国は最も多くインドにアウトソーシングしている国です。インドはIT技術者
の養成に力を入れており、年間45万人の大卒エンジニアを輩出しているので
す。2002年に日本とインドのIT技術者数は逆転し、2005年にインド
は、130万人を超えるIT技術者を有しているのです。
 問題は、そのインドでさえ2010年にはIT技術者が不足するといわれて
いることです。しかし、インドから日本へのIT関連の輸出の比率はわずか3
%未満、日本から海外へのソフトウェア開発に関するアウトソースもメインは
中国であってインドではないのです。
 日本がインドと手を組みにくいのは、言語−−英語と日本語の壁があるから
といわれますが、文化の壁もあるのです。その点米国は、80年代からインド
人技術者を自国内に受け入れ、一緒に仕事をしてきています。つまり、米国は
20年以上かけてお互いを知る努力を積み重ねてきたのです。だからこそ、イ
ンドに対するスムースなアウトソーシングが可能になっているのです。
 それでは、なぜ日本が、中国よりも技術レベルが高いインドにアウトソース
できないのかというと、その最大の理由は先方の日本語能力にあります。次表
は日本のアウトソース先と想定される国の「日本語能力検定受験者数」です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
           国名          受験者数
      中国     ・・・・・ 12万6422人
      タイ     ・・・・・  1万0333人
      インドネシア ・・・・・    6411人
      ベトナム   ・・・・・    5248人
      インド    ・・・・・    4152人
      シンガポール ・・・・・    3743人
      マレーシア  ・・・・・    2476人
            出典:国際交流基金/2005年
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 実に中国はインドの30倍――それだけ中国には高い日本語会話能力を持つ
技術者がいるのです。中国には約30万人の日本語学習者がいるといわれてい
ます。この日本語能力の差が、日本企業をして中国に向かわせているのです。
 日本の場合は、英語力が弱いので、フラット化を勧めるさいに障害になりま
す。しかし、この場合、先方、すなわちインドに高い日本語力があれば解決で
きるのですが、インドにはそれがないのです。
 その点中国は日本語力が強いのです。そこがインドとは違うところです。し
たがって、例えば日本企業は米国企業と同じように、中国へはコールセンター
などを置くことも可能になるのです。                以上

2007年01月29日

ゲーム業界は歴史的転換期を迎えている/0040号

●縮小傾向のゲーム市場の様相を変化させたもの

 ゲーム業界に異変が起こっています。それは、2006年末に発売された次
の2つのゲームマシンがそれを象徴しています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    1.「プレイステーション3(PS3)」 ・・・ SCE
    2.「Wii(ウィー)」 ・・・・・・・・・・・・ 任天堂
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 PS3は、ソニー・コンピュータ・エンタテインメント(SCE)が開発し
た最新のゲームマシンであり、「Cell」という高性能のマイクロプロセッサが
搭載されているところに大きな特色があります。
 「Cell」は、SCE、IBM、東芝によって開発されたのマイクロプロセッ
サであり、PS3だけではなく、高品位テレビやコンピュータのCPUとして
も使える高速な処理機能を持っています。
 「Wii(ウィー)」は、独特のリモコン型コントローラによって操作する今ま
でになかった任天堂開発のゲームマシンです。今までのゲームマシンのコント
ローラといえばボタンがたくさん付いたボードであり、それを操作してゲーム
を展開させたのに対し、「Wii(ウィー)」は小型のリモコンをちょうどテニス
のラケットや剣のように振り回して操作する独特のものです。このリモコン型
コントローラについては、任天堂のテレビCMで何回かご覧になったことがあ
るはずです。
 PS3も「Wii(ウィー)」も、いずれも発売日には長蛇の列ができて、即日
完売しています。このように一見盛り上がっているように見えるゲーム業界で
すが、その裏側では、開発経費の高騰、ミリオンタイトルの減少、ユーザのゲ
ーム離れなどの多くの問題を抱えているのです。
 ゲーム業界は平均すると約5年に一度、新しいハードが発売され、それに続
いて対応ソフトが発売されるというパターンを繰り返してきたのです。この限
定された市場のなかでの5年周期の顧客の奪い合いは、1997年をピークに
限界に達し、市場の縮小傾向が続いてきたのです。いわゆる「ゲーム離れ」で
す。その流れを変えるきっかけを作ったものがあります。それが任天堂が20
05年に発売した「ニンテンドーDS」なのです。これによって、ゲーム市場
の様相が変化したのです。

●目を離せない任天堂の「ゲーム革命」

 従来のゲーム人口というのは、それが若年層に限定されていれば少子化の影
響もあって将来性が著しく限定されます。将来性の確保のためには市場規模を
拡大する必要があるのですが、ゲームはおろかPCでさえ満足に使いこなせな
い中高年齢層がゲームをやるようになるとは思えないのです。
 しかし、・・・と任天堂は考えたのです。携帯用電子辞書が売れているでは
ないか――と。携帯用電子辞書のユーザの中心は高齢者なのです。そこで考え
出されたのが「ニンテンドーDS」(以下、DS)なのです。
 タッチペンで画面をなぞる簡単な入力方式を採用し、DS――ダブル・スク
リーンという名の通り、上下2つの画面を有している独特の設計です。脳力ト
レーニング用として銘打って発売されたのですが、実は任天堂としては最初か
ら新しいゲームマシンと考えていたのです。
 折からの脳ブームに乗ってDSは文字通り飛ぶように売れ、ゲームマシンと
しては、過去最速で1000万台を超える普及を見たのです。しかも購入層の
中には、もっともゲームをやらない中高年齢層が多く含まれており、結果とし
てそれがゲーム市場の拡大につながったのです。
 任天堂は、当初の計画通り「脳トレ」に続いて続々とDS用のゲームソフト
を発売し、これらのソフトもよく売れています。その中には「マジック大全」
というDSで手品を実演できるものまであるのです。これなどは今までなかっ
たまったく新しいゲームといえます。これらを見ると、任天堂が従来のゲーム
の定義を変えて、ゲームを超えた新しいエンタテインメント市場を立ち上げよ
うとしていることがよくわかります。
 さらに任天堂は「Wii(ウィー)」によって、DSと同じようにゲームの質的
転換を試みようとしています。「Wii(ウィー)」というのは「We」をイメー
ジして、「家族の誰もが楽しめる」というコンセプトを表し、「ii」は独特の
形状のコントローラと、人々が集まるさまを表現しているのです。ゲームを一
人でやるのではなく、例えば家族全員でやるというように全員が体験できるよ
うに工夫してしています。これはゲームの進化といえます。
 これに対して、PS3やマイクロソフトの「Xボックス」は、現状では従来
型の延長線上にあるといえます。PS3もXボックスもウインドウズと互換性
を持つなど、両者共に家電との融合を目指し、これを市場拡大に結び付けよう
としていますが、あまりうまくいっていないようです。
 ゲームのデータ処理は「入力→演算→出力」が基本ですが、従来は「演算」
部分の進化によって、ゲーム自体も進化してきたといえます。これに対して、
任天堂はDSや「Wii(ウィー)」において、「入力」と「出力」の面で大きな
進化を成し遂げており、従来とは違った方向性を持っているといえます。
 そういう意味で任天堂は、ゲームソフト市場においては携帯型、据置型の両
方で市場の牽引車的役割を果たしており、今後が注目されます。    以上

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