無線ICタグ−その実体と可能性を探る/0053号
●ICタグとは何かご存知ですか
最近「ICタグ」という言葉をよく耳にします。これとよく似たものにJR
のICカード「Suica」があります。3月18日からは新しいICカード
の「PASMO」が登場し、JRだけでなく私鉄も利用できるようになって、
利用者が一挙に急増しています。
「Suica」の登場は2001年11月ですが、ICタグは2003年頃
から標準化の作業が本格化し、さまざまな実証実験が積み重ねられ、現在その
本格的な利用がはじまろうとしているのです。ICタグの正式な名称は次の通
りであり、RFIDとも呼ばれています。
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無線ICタグ/RFID/Radio Frequency Identification
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ICチップのほとんどはバッテリーを搭載せず、リーダー/ライターが発す
る電波を受信し、電磁誘導などの仕組みで電波を発生させるのです。そのため
小型化が実現でき、商品などに貼り付けることができます。
●バーコードとはどこが違うか
商品などに付けられるという点では、ICタグはバーコードの次世代版とい
われています。ICタグとバーコードはどう違うのでしょうか。
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ICタグ バーコード
データ量 多い 少ない
データの書き込み 可能 印刷時のみ
暗号処理 可能 不可
複数同時書き込み 可能 不可
単価 高い 安い
リーダー価格 高い 安い
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大きな違いは情報量の差です。バーコードがせいぜい数10桁の情報しか保
存できないのに対して、ICタグは数1000桁の情報を保存できるのです。
さらにICタグは情報を読み取らせるだけでなく、書き換えることも可能であ
り、再利用もできるという特色があります。
気になるのは価格です。バーコードは印刷できるので低コストで使えるのに
対し、ICタグは1個100円〜150円もするのです。しかし、ICタグが
幅広く普及して使用量が増えれば、1億個のロットで1個当たり25円程度に
なるという試算もあります。
●たとえばこのように使われる――スーパーの例
ICタグにはさまざまな活用のしかたがあります。既に実験的に行われてい
るスーパーの例でいうと、次のような使い方ができます。
このスーパーマーケットでは、商品の1つ1つにバーコードの代わりにICタ
グが装着されています。こうしておくと、顧客が商品を手に取ってカートに入
れると、カートのディスプレイに野菜の生産地や出荷者、出荷日、お勧めのレ
シピが表示されるのです。
同時にその商品棚に設置されているリーダー/ライターが、商品が1個なく
なったことをスーパーのバックエンドシステムに伝えるのです。顧客がその表
示を見て元の棚に戻したとすると、そういう顧客の行為もICタグに書き込ま
れ、コンピュータに伝えられます。このように店内での商品に関わる顧客行動
は逐一ICタグを通じてコンピュータに記録され、後でマーケティングデータ
として役立てることができるのです。
さて、カートをいっぱいにした顧客は、レジカウンターの列に並ぶのではな
く、ICタグのリーダが付けられたゲートをくぐるだけでいいのです。そうす
ると、自動的に購入商品が計算され、顧客のクレジットカードから代金が引き
落とされるのです。もちろん、現金での精算も可能です。
少なくとも現在スーパーで行われているように、店員がいちいち商品のバー
コードを読み取る手間がなくなるのです。なぜなら、ICタグには複数同時読
み取り/書き込みが可能だからです。したがって、これだけでもレジの混雑は
一掃されてしまいます。
総務省によると、ICタグの普及しだいでは、2010年に最大31兆円の
経済効果があるといわれています。しかし、これには次の条件が付くのです。
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技術的課題の解決、タグの低コスト化などが実現し、利活用分野の拡大によ
り、普及が大きく促進される場合――基本的条件 2003年/総務省
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技術的課題はほとんど解決されるはずです。コストについても普及すれば、
100円を大きく割り、十分採算の取れるコストになるはずです。問題なのは
ICタグのプライバシー問題です。何らかの方法で商品に付けられたICタグ
をスキャンすることで、購入者の個人情報が読み取られてしまう恐れがあるこ
とです。これに関する技術的革新が待たれるところです。 以上
