急拡大する『セカンドライフ』とは何か/その4/0064号
●セカンドライフ内で採用面接が行われている
SNSのミクシィは、2008年度の新卒採用活動の一環として、2007
年3月1日〜30日の期間限定でセカンドライフ内に「ミクシィーキャリア・
インフォメーションセンター」を立ち上げています。
その際の同社のプレスリリースには、同センターの設立の狙いについて次の
ように記述されています。
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「ミクシィーキャリア・インフォメーションセンター」は、ミクシィの新卒
採用活動の一環として、進取の精神を持ったアーリーアダプター層に対する
採用情報の提供を目的に開設されました。この活動は2008年に卒業を予
定しているコンピュータ・サイエンス分野の研究開発者の採用活動の一環と
して行われており、ミクシィでは2008年に大学院・大学・高専を卒業見
込みの学生で、ウェブ・アプリケーション、検索エンジン、分散システム、
P2P、ユーザー・インタフェースなどの技術研究に携わった経験のある学
生の採用を予定しています。ミクシィーでは2008年4月に30名を採用
する予定です。 ――ミクシィーのニュースリリースより
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
今回ミクシィが行ったのはあくまで告知なのですが、なぜセカンドライフ内
でやったのかというと、新しい技術にすぐ反応するアーリーアダプター層の人
材が欲しかったからです。今のところそういう人しかセカンドライフの世界に
入ってこないからです。
米国の人材広告会社ティーエムビーワールドワイドは、2007年5月15
日から17日までの3日間、セカンドライフ内でキャリア・フェアを開催した
のです。求人側の企業としては、マイクロソフトやヒューレット・パッカード
など、多数の企業が参加したのです。最初の日だけで世界中から124人の求
職者の申し込みがあり、最終的には450人の面接が行われたのです。
求職者はウェブサイトで登録し、書類審査をパスした人がアバター姿で面接
を受けたのです。セカンドライフ内での面接に進んだ求職者のアバターの制作
やその動かし方については、ティーエムビーワールドワイドのスタッフが指導
したのです。人材採用だけに絞っても、セカンドライフの世界でこんな驚くべ
きことが行われているのです。
●なぜ、3Dグラフィクスでなければならないか
アバターの求職者とアバターの採用担当者のセカンドライフ内のキャリア・
フェアでの面接――このようにいうと、単なる人形劇じゃないかと考える人も
多いでしょう。そんなことをして何が面白いのか、と。
しかし、アバターの後ろにはそれぞれ当の本人がいて、アバターを操作して
いるのです。セカンドライフとウェブサイトが根本的に違うのは、2人が同じ
時間帯にセカンドライフの特定の場所に入っていないと出会うことがないとい
う点にあります。これは電話をかけているときと同じです。
ところで、電話で伝わってくる音声は、話している本人の声そのものではな
く、本人の声に似せた擬似的電子音です。しかし、お互いに相手の声だと思っ
て話しています。この電子音がアバターだと思えばよいのです。最初は違和感
を感じますが、慣れてくるとアバターであることを忘れてしまいます。したが
って、アバター同士の面接であっても、やっているうちに現実世界の面接と何
も変わらない面接になり得るのです。
セカンドライフで採用面接ができるのであれば、セミナーや諸会議、講演や
パネルディスカッションなども可能です。現実の講義やセミナーをバーチャル
な世界で開催することにより、地理的なへだたりを越えて幅広い教育活動が可
能になります。セカンドライフはとくに教育に使えるのです。
2007年3月の時点で、100以上の大学がセカンドライフを次世代の教
育のプラットフォームとして検討しています。リンデン社では、教育分野を重
要な分野と位置づけ、大学などの教育機関については、島の取得費や維持費を
半額にするなど優遇措置を講じています。
現在、大学などの教育機関は、既存のウェブ・インフラを利用したe−ラー
ニングが初期コストがかかる割に学習者のモチベーションが上がらず、期待し
た教育効果が出ていないなどの限界に気がついており、そういう意味でセカン
ドライフ教育には大きな期待を寄せているといいます。
セカンドライフは、既に定着している既存のメディア――ウェブサイトやブ
ログの次の新しいメディアであり、Web3.0的メディアといえます。しか
し、なぜ、3Dグラフィクスでなければならないのか、なぜ、アバターなどと
いう人形が必要なのかという点に疑問を持つ人も多いでしょう。
ウェブサイトであれば、単に見ただけでは、そのサイトの人気度を判定する
ことは困難です。月に1人しか訪問してこないサイトと1000人以上来訪す
るサイトの見分けは、アクセス解析をしない限り難しいです。
しかし、セカンドライフは違うのです。人気のある場所には多くのアバター
が集まってくるのが目に見えるのです。それに対して人気のない場所は誰も訪
ねてこないのでひっそりとしており、一目瞭然――この点は現実の世界と何ら
変わらないのです。これがウェブサイトと大きく異なる点です。セカンドライ
フ――真面目に研究する価値がありそうです。 以上
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