世界中から注目されるMOTTAINAI/0065号
●「MOTTAINAI」が世界中に流行している
「もったいない」という日本語が「MOTTAINAI」というローマ字に
なって、世界中に流行しつつあります。その仕掛人は、ケニア出身の環境保護
活動家であり、2004年に環境分野ではじめてノーベル平和賞を受賞したワ
ンガリ・マータイ女史です。
それには次のようないきさつがあるのです。
2005年2月にマータイ女史が京都議定書関連行事のため、毎日新聞社の
招聘により日本を訪問したとき、同社編集局長とのインタビューにおいてはじ
めて「もったいない」という言葉を知り、その言葉を支える思想こそ、環境問
題を考えるのにふさわしい精神であるとして感銘を受けたというのです。
マータイ女史はそのあと、当時の小泉首相と会談した際、「もったいない」
を世界に広めたいと約束したといいます。そして同年3月、国連女性地位委員
会において出席者全員に「MOTTAINAI」を唱和させるなど、機会ある
ごとにこの言葉を熱心に広めてきているのです。
ところで「もったいない」という言葉は、仏教用語の「物体(もったい)」
を否定することを意味しており、物の本来あるべき姿がなくなるのを惜しみ、
それを嘆く気持ちを表しているといわれます。
もともとこの言葉は、「不都合である」「かたじけない」などの意味で使用
されていましたが、現在では「物の価値を十分に生かしきれずに無駄になって
いる」状態やそのような状態にしてしまう行為を戒める言葉として使用される
日本語になっています。
しかし、世界中で一番残飯の多い国といわれたり、産業投棄物や膨大な一般
ゴミの多い国である日本――果たして、現代の日本人にどれほどこの「もった
いない」精神が生きているか疑問です。そういう意味でマータイ女史の提案は
当の日本人が一番に取り入れるべき精神ではないかと思われます。
日本テレビ系のテレビ番組に「世界一受けたい授業」というのがあります。
2006年3月18日のこの番組にマータイ女史は講師として登場し、次のよ
うに述べています。
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「もったいない」という言葉に感銘を受けた後、この意思と概念を世界中に
広めるため他の言語で該当するような言葉を探したのですが、「もったいな
い」のように自然や物に対する敬意、愛などの意思(リスペクト)が込めら
れているような言葉、また消費削減(リデュース)、再利用(リユース)、
再生利用(リサイクル)、修理(リペア)の概念を一語で表せる言葉が見つ
からなかったので、そのまま「MOTTAINAI」を世界共通の言葉とし
て広めているのです。 ――ワンガリ・マータイ
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●小池百合子大臣翻訳の「ワンガリ・マータイ自伝」
ワンガリ・マータイ女史の自伝として、次の本が出版されているので、ご紹
介します。翻訳者は、現防衛大臣の小池百合子氏――小池氏は環境大臣時代か
ら著者と交流があり、その縁で翻訳の労をとったといいます。482ページの
大書です。小池大臣は環境大臣として立派な仕事をしています。
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『UNBOWED/へこたれない/ワンガリ・マータイ自伝』
ワンガリ・マータイ著/ 小池百合子・訳 小学館刊
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この自伝を読むと、マータイ女史は、大変な苦労をして現在の地位に登りつ
めていることがわかります。マータイ女史は、ジョン・F・ケネディによる教
育支援プログラムの対象者に選ばれ、米国に留学し、生物学を学んで修士号を
得ています。その後ケニアに戻ったマータイ女史は研究職から教職を経て、ケ
ニア初の女性博士号を取得しています。
70年代に大学での研究に加えて環境NGOへ参加するようになります。農
村部に育ち、生物学を学んだことが、環境への関心を育んだとマータイ女史は
述べています。
当時森林は産業植民地に植え替えられ、土壌が荒れはじめ、森林が失われつ
つあったのです。農業は換金作物中心に変化し、食料や煮炊きに使う薪も不足
する状態だったのです。
そこでマータイ女史は「植林」を提案し、独立ケニア初代大統領ジョモ・ケ
ニヤックの提唱する「グリーンベルト運動」を推進したのです。植林の担い手
は農村部の貧しい女性が多く、この運動は彼女たちに教育の機会と収入をもた
らしたのです。
しかし、第2代大統領モイは一党独裁を固め、マータイ女史の推進する運動
に不快感を示し、考えられる限りの妨害を始めたのです。そのため彼女は数度
の逮捕と投獄を経験しますが、まったくへこたれなかったのです。
しかし「グリーンベルト運動」は反政府運動として盛り上がり、遂に、20
02年にモイ大統領は退任し、野党連合の結成が実現します。マータイ女史は
総選挙で国会議員に当選――2003年に環境・天然資源省の副大臣に任命さ
れ、2004年にノーベル平和賞を受賞するのです。読み応えのある、感動的
な書籍であり、一読をお勧めします。 以上
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