INTEC JAPAN/BLOG

このフォーラムは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。
最新のニュースを毎週月曜日にお届けします。

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● 2007年08月 記事 ●

2007年08月06日

いざなぎ景気以来の景気拡大は本物か/0067号

●本当に「いざなぎ景気」を超えたのか

 「景気回復を本物にしていかなければいけない。皆さんに実感していただけ
るところまで引っ張っていくのが私の使命だ」(7月31日付朝日新聞)――
これは参院選を通じて安倍首相が国民に訴えていた言葉です。
 この安倍首相の主張では「現在の景気回復は本物でない」ということを認め
ていることになります。大企業を中心に既に景気は回復しているが、経済成長
政策を今後も継続させ、国民がそれを実感できるようにするといっているので
す。本当に景気は首相のいうように拡大していくのでしょうか。
 以下、『実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠』(ダイヤモンド社)の著者
で文京女子大学院経営学研究科教授、菊池英博氏の主張を基にしてこの問題を
考えてみることにします。
 2006年11月22日発表の内閣府月例報告では、現在の経済の状況を次
のように報じています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 2006年10月時点での日本の経済成長(実質成長)は、2002年1月
 から57ヶ月継続しており、「いざなぎ景気」以来の景気拡大である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「いざなぎ景気」というのは、1965年11月から1970年7月までの
4年9ヶ月連続して継続した景気上昇期を指しています。しかし、現在の景気
回復は「いざなぎ景気」とは似て非なるものです。内容が大きく異っているか
らです。そこには大きなカラクリがあるように思います。
 「いざなぎ景気」では、名目GDP成長率は年平均で17.3%、GDPデ
フレーター(物価の総合的指数)はプラスで5.7%、名目成長率からGDP
デフレーターを引いた実質GDP成長率は11.6%だったのです。つまり、
デフレではなかったし、この間毎年減税をしているのですが、税収は2.4倍
も増加しているのです。これなら景気を実感することができるはずです。
 名目GDPというのは、われわれの額面給与と企業の税引き前利益の合計額
にほぼ等しいのです。この名目GDPから物価の変動部分を調整したものが実
質GDPであり、物価の変動部分はGDPデフレーターというものであらわさ
れます。これがマイナスであると、デフレということになります。
 このことをアタマに置いて2000年〜2006年の景気状況を見ると、名
目GDP成長率は年平均で0.8%、GDPデフレーターはマイナス7.9%
つまり、デフレなのです。ところが、名目成長率からマイナスのGDPデフレ
ーターを引くと、マイナスとマイナスはプラスですから、実質GDP成長率は
計算上プラスになるのです。先の内閣府月例報告ではこの状態が2002年1
月から57ヶ月続いているといっているに過ぎないのです。
 いざなぎ景気のときは、毎年減税してしかも税収は2.4倍増えているのに
現在の景気回復では減税はおろか定率減税の廃止などで実質増税を行い、税収
は2006年度506兆円と2000年度の508兆円のレベルに戻ったに過
ぎないのです。内容が違い過ぎるといえます。

●15兆円減少した可処分所得――日本の国際的評価も急落

 「いざなぎ景気以来の景気拡大」といわれる今回の景気回復を家計の実感か
ら見ることにします。内閣府の統計によると、国民の手取り所得である可処分
所得は、2000年度に298兆円あったのです。しかし、2005年度には
283兆円、5年間で15兆円、毎年3兆円ずつ減ったことになります。
 これに対して家計の貯蓄額は2000年度に23兆円あったのですが、5年
後の2005年には6兆円になっているのです。5年間で17兆円も減ってい
るのです。毎年3.4兆円減少したことになります。つまり、国民は可処分所
得の減少分を貯金を取り崩して対応したことを示しています。
 これに伴い貯蓄率は2000年度に7.6%あったのに、2005年度には
2.3%になり、5.3%も低下しています。ちなみに貯蓄率とは、可処分所
得に対する預貯金の比率のことです。
 この状況で景気は回復し、拡大・成長しつつあるといわれても首を傾げざる
を得ないでしょう。デフレの下での実質成長率プラスは、真の意味の景気回復
とはいえないのです。まず、やるべきはデフレの克服であるのに、政府は現在
の経済がデフレであることをぼかして、経済成長・拡大といっているのです。
しかし、2006年も依然としてGDPデフレーターはマイナスであり、デフ
レ下にあるのです。
 もうひとつあまり新聞や雑誌などで取り上げない大きな問題があります。そ
れは「一人当たり名目GDPの国際順位」です。1994年度には日本は1位
だったのですが、現在は何位かご存知でしょうか。
 まず、橋本財政改革の失敗で7位に転落したのですが、その後の小渕政権の
積極財政で2位に戻しています。それを2001年からの小泉内閣の構造改革
の失敗で、2005年度には14位に急落してしまったのです。これによって
日本の国際的評価も急落しています。
 日本経済が現在の状況にあるのは、小泉デフレ政策で民間投資が減少し、デ
フレのときに必要な公共投資を減少させたことにあります。そのため、名目G
DPがまったく増えなかったのが原因です。日本ではなぜか「公共投資=悪」
という図式が出来上がってしまっているのです。           以上

2007年08月13日

日本の自殺率はなぜ高いのか/0068号

●日本の自殺率の高いのは文化に関係がある

 年間3万人、1日90人、G8(主要8ヶ国)ではロシアに次いで2位、米
国の2倍、英国の3倍――これは日本の自殺者に関する数値です。G8の順位
ではなく、自殺率のベスト10を示すと次のようになります。自殺率は、その
他の死因別死亡率と同様に、人口10万人当たりの死亡者数で比較されること
になっています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
                          人/10万人
    第 1位  リトアニア  ・・・・・・・・・・ 44.7
    第 2位  ロシア    ・・・・・・・・・・ 38.7
    第 3位  ベラルーシ  ・・・・・・・・・・ 33.2
    第 4位  ウクライナ  ・・・・・・・・・・ 29.6
    第 5位  カザフスタン ・・・・・・・・・・ 28.8
    第 6位  ラトビア   ・・・・・・・・・・ 28.6
    第 7位  ハンガリー  ・・・・・・・・・・ 28.0
    第 8位  エストニア  ・・・・・・・・・・ 27.3
    第 9位  スロベニア  ・・・・・・・・・・ 27.1
    第10位  日本     ・・・・・・・・・・ 24.1
         ――WHO/自殺率国際比較より/2004年9月
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 これで見ると明らかなように、日本は国内の混乱が続く体制移行国に次いで
高い自殺率の国ということになります。先進国では、日本に次いで自殺率が高
いのはフランスの19位、ドイツの28位、カナダの40位、米国の46位、
英国の57位、イタリアの59位となっています。したがって、経済大国日本
の10位は、明らかに異常であるといえます。
 なぜ、日本はこのように自殺率が高いのでしょうか。
 日本の自殺率の高さについては、WHO精神保健部のホセ・ベルトロテ博士
は、それは日本の文化に関係があるとして、次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は過労
 や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任を取
 る、といった倫理規範として自殺がとらえられている。これは他のアジア諸
 国やキューバでもみられる傾向である。    ――ホセ・ベルトロテ博士
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

●国としての自殺対策は緒についたばかり

 日本人の自殺が多くなったのは、1990年代の後半からです。その時期に
おいて日本では、自己責任であるとか、額に汗して努力した人が報われるとい
う考え方――「新自由主義」が浸透し始めていたのです。その考え方を構造改
革として推進したのが小泉政権です。
 規制緩和、社会保障費の切り下げ、公共投資の削減など、今までの遅れを取
り戻そうと一気にやった結果、社会基盤が崩れてしまったのです。これによっ
てもともと弱かった地域社会(地方)は一層弱体化することになります。
 具体的には、企業のリストラや非正規雇用の増大などがあげられます。その
結果、大企業の収益は好調に転じましたが、他方それは多くの失業者を生み、
社会に存在するさまざまなセーフティーネットが十分機能しなくなって、自殺
者を生み出す原因のひとつになったのです。
 このように自殺の増加は社会の問題であり、国としてきちんとした対策を立
てる必要があったのですが、それが大きく遅れたのです。それは、ホセ・ベル
トロテ博士が指摘したように、日本には「世間体」といわれるものがあって、
これが目に見えない規制力として、組織や集団、個人の中に根を張っているの
です。そのため、自殺の問題は社会の問題として解決すべきであるのに、今ま
で個人の問題となってしまっていたというのです。
 「ライフリンク」という自殺問題に取り組むNPOがあります。その代表を
務める清水康之氏はこれに関連して次のようにいっています。清水氏は元NH
Kのディレクターであり、自殺で家族を亡くした遺族を仕事で取材しているう
ちに自殺問題に国や行政が取り組む必要性を痛感して「ライフリンク」を立ち
上げたのだといいます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 自殺者が急増した98年、特に増えたのが中高年男性でした。98年といえ
 ば、大量リストラ時代に入り、企業の連鎖倒産が相次いだ時期。失業や借金
 でつらい目に遭った人がいかに多かったかということです。しかし、問題は
 その後も高止まり状態が続いたのに公的な対策が取られてこなかったこと。
 結局、勝手に死んでいっているんだろうと放置されてきたのです。
             ――『ダカーポ』2007.8.15号/612
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 このライフリンクをはじめとする民間団体の働きかけによって、「自殺対策
基本法」が参議院の超党派議員の議員立法によって成立したのは、2006年
6月のことです。これによって、国としての自殺対策はやっとスタートライン
に立ったばかりです。美しい国は遠いようです。           以上

2007年08月20日

SaaSは情報サービス産業の業態を変えるか/0069号

●「SaaS/サース」とは何か

 最近よく「SaaS/サース」という言葉を聞きますが、何のことかおわか
りになるでしょうか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
        SaaS = Software as a Service
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「サービスとしてのソフトウェア」――具体的にいうと、インターネット経
由でサービスとしてソフトウエアを提供する形態のことをいうのです。そもそ
も日本で「SaaS」が話題になったのは、2007年4月に日本郵政公社が
SaaSの採用を決めたことによってです。
 SaaSという言葉を聞いて、「ASP/アプリケーション・サービス・プ
ロバイダ」を思い浮かべる人も多いと思われます。ASPというのは、ネット
を経由してビジネス用のアプリケーション・ソフトウェアをレンタルする事業
者のことをいいます。
 ビジネスソフトウェアといえば、企業でもパッケージソフトとして導入し、
それぞれのPCにインストールして使っていますが、インストールする手間や
管理、バージョンアップの費用や作業などで、情報システム部門は大きな負担
を強いられています。しかし、ASPとしての導入であれば、そういう負担が
一切かからず、きわめて効率的です。
 SaaSはASPをさらに発展させたものです。ASPは既に市販されてい
るソフトウェアをネットを通して提供するのに対して、SaaSは、システム
開発会社がどの企業でも必要である業務機能をプログラミング化し、業務単位
ごとにソフトウェアとして提供する配付形態のことです。
 この方式であれば、企業としては社員ごとの業務に応じて必要な業務単位ソ
フトウェアだけをネットを通じて使い、その使った分だけ料金を支払うシステ
ムなので、まったく使わない多くの機能の分も含めてソフトウェアを購入して
使うのに比べると、はるかに効率的であるといえます。
 従来の企業向けのシステムの開発は、システム開発会社が顧客企業の要求に
応じてシステムを構築し、それを納品することによってビジネスが完結する方
式だったのです。従来のシステム開発会社のビジネスモデルは「人月モデル」
といって、システムの品質というより、システムの開発に要した時間に対応す
るプログラマの費用を請求するというスタイルをとっていたのです。
 これに対してSaaSでは、システムを開発したうえでクライアントを探す
ので、ビジネスとしてはより多くのリスクを抱え込むことになります。それに
システムそのものの出来栄えが導入の可否に影響するわけです。
 つまり、システムの品質というか価値が問われることになるので、従来の人
件費中心のシステム開発を大幅に変更せざるを得なくなります。またSaaS
では、そのシステムを複数のユーザに提供できるので、コストの面で従来のシ
ステム開発より有利にビジネスを展開できるのです。

●今後拡大を続けるSaaSの市場規模

 ASPICジャパンによる「ASP事業者実態調査」(2006年)による
と、SaaSを含むASP関連の市場規模は2004年に4280億円、20
03年の3260億円から約30%拡大しています。その後も市場は成長を続
けており、2007年は8070億円、2010年には1兆5390億円の規
模に達すると予測されています。
 SaaSの登場によって、システム開発会社の意識に大きな変化があらわれ
ています。顧客にソフトウェアを購入させるのではなく、サービスとして提供
するという方向に進み始めたのです。
 そのため、システム開発会社の姿勢としては、従来のシステム作りの延長で
はなく、オンデマンドに適したサービスを用意し、つねに安定した操作環境を
提供し続けるという緊張感が出てきています。さらに、これまで弱点とされた
カスタマイズにも対応できるように技術を大幅に進化させています。
 明らかに企業の情報システムは、大型コンピュータを中心とするレガシーシ
ステムから脱却しようとしています。ライオン株式会社は、現在IBMのメイ
ンフレームで作動している販売・物流の基幹系システムの再構築プロジェクト
を現在推進しています。これにより2010年をメドにIBMのメインフレー
ムを撤廃しようとしているのです。
 同社のシステム再構築の狙いは、システム運用・保守コストの削減と現行シ
ステムに精通したベテランがリタイアしてしまう前に、販売・物流システムの
勘所を中堅・若手に引き継がねばならないと考えているからです。
 既に同社は会計システムや生産管理システムについては再構築済みで、IB
Mのメインフレームとは別のハードウエアプラットフォーム上で動いているの
です。新システム再構築の手段はまだ決まっていませんが、その選択肢のなか
にはSaaSも入っているといわれます。
 経済産業省の「平成17年特定サービス産業実態調査」によると、日本の情
報サービス産業の売上高は14兆5560億円−−現状このほとんどが人件費
なのです。この巨大産業に対してSaaSのようなオンデマンド型のサービス
の利用形態は、業態を一変させるほど大きなインパクトになるものと予想され
今後の大きな発展が期待されています。               以上

2007年08月27日

新しい世紀のもの造りの原理/ウィキノミクス/0070号

●話題となりつつある「ウィキノミクス」

 セカンドライフが徐々に姿をあらわしていることと平行して、最近「ウィキ
ノミクス」という言葉をよく聞くようになってきています。この「ウィキノミ
クス」――次の話題の新刊書の題名なのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ドンタプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ著/井口耕二訳
  『ウィキノミクス/マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ』
                          ――日経BP社刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 セカンドライフのような世界がリアルの世界に根づくには、いわゆるWeb
2.0が完全に定着する必要があります。なぜなら、セカンドライフは明らか
にWeb3.0的世界の象徴であるからです。しかし、本書は、単なるWeb
2.0の解説本ではなく、Web2.0化が進む社会において企業の開発・生
産に、いまどのような変化が起きつつあるのかについて、多くの事例をあげて
解説しています。これは、オープンソース、コミュニティ、情報の共有などが
もはやネットの世界だけの話ではないことを示しているのです。
 著者は、ウィキノミクスがどういうものであるかについて説明する前に、あ
る鉱山会社、ゴールドコープの社の話からはじめるのです。
 カナダのトロントにある倒産寸前の鉱山会社であるゴールドコープ社は、普
通であれば門外不出の、自分たちでは掘り当てられない金鉱の全地質データを
ネット上で全部公開したのです。
 そうすると、驚くなかれ、世界中15ヶ国1000人以上から110ヶ所の
鉱脈予測(存在の示唆)が寄せられたのです。その情報にしたがって同社が実
際に発掘してみたところ、44ヶ所で約250トンの金が発見されたのです。
 これは、「ゴールドコープ・チャレンジ」として、21世紀初頭のウソのよ
うな本当の話なのですが、これはWebを通じた全地球レベルの無数の人たち
との協業――コラボレーションの重要性を教える話として、リナックス開発の
話と一緒に覚えておいて損はない事例です。「ウィキノミクス」とはそういう
大規模なコラボレーションのことをいうのです。
 ちなみに「ウィキノミクス」という新語は、本書ではそういう説明はないも
のの、次のように推測している人がいるので紹介しておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
       「Wiki+economics」・・・「ウィキ経済学」
       「Wiki+nomics」  ・・・「ウィキ秩 序」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「ノモス」はギリシア語であり、ノモスの語感をそのまま訳せば「ウィキ秩
序」となります。「Wiki」は2007年5月14日の「INTEC FORUM」 第55
号を参照してください。

●「ウィキノミクス」の4つの基本原理

 「ウィキノミクス」には、次の4つの基本原理があります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    1.オープン性 ・・・・・・ 情報のオープンソース化
    2.ピアリング ・・・・・・ 階層構造を持たない組織
    3.共有 ・・・・・・・・・ 知財を公共のものにする
    4.グローバルな行動 ・・・ 組織の内外との協調姿勢
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 現在起きている現象は、従来の静的なサイト(ホームページ)は廃れ、ブログ
やSNSをはじめとする参加型のコミュニティに取って代わられようとしてい
るのです。経済活動も、自分の庭(ウェブサイト)を造ってコンテンツを囲い
込み、それを守ろうとする従来のスタイルは忌避され、企業は大きく変わろう
としています。
 本書では、多くの有名企業の事例がていねいな取材によって紹介されていま
す。P&Gを例にとると、同社は巨大な研究・開発陣を抱えているものの、も
はやすべての製品の開発を社内で賄うことは困難になっているといいます。
 そこで同社は製品・開発のオープン市場「アイディアゴラ」を活用し、社外
からイノベーションを調達できるようになったといいます。アイデアゴラは、
優秀な人材がプールされている人材市場のことで、米国企業がこうした優秀な
人材の世界的プールを活用している様子が本書で紹介されているのです。
 具体的には、P&Gでは、新製品のうち社外調達率は2000年の15%か
ら、現在35%までに拡大しており、製品開発構想の実に45%が社外のアイ
ディアを基にしたものであるといいます。
 ボーイングは、新型機787を部品の開発まで思いきってサプライヤーに任
せることで、きわめて短期間で同機を市場に送ることができています。もはや
何もかもすべて自社でやる時代ではないのです。
 経営者にとって最大の教訓となるのは、一体型で閉鎖的、社内にばかり目を
向ける企業は死にゆく運命にあるということです。どのような業界であれ、ま
た、大企業であれ、小企業であれ、社内の能力と小規模なパートナーシップだ
けでは、もう、成長と革新に対する市場の要求に応えることは不可能な時代と
なったということが本書を読むとよくわかります。          以上

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