SaaSは情報サービス産業の業態を変えるか/0069号
●「SaaS/サース」とは何か
最近よく「SaaS/サース」という言葉を聞きますが、何のことかおわか
りになるでしょうか。
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SaaS = Software as a Service
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「サービスとしてのソフトウェア」――具体的にいうと、インターネット経
由でサービスとしてソフトウエアを提供する形態のことをいうのです。そもそ
も日本で「SaaS」が話題になったのは、2007年4月に日本郵政公社が
SaaSの採用を決めたことによってです。
SaaSという言葉を聞いて、「ASP/アプリケーション・サービス・プ
ロバイダ」を思い浮かべる人も多いと思われます。ASPというのは、ネット
を経由してビジネス用のアプリケーション・ソフトウェアをレンタルする事業
者のことをいいます。
ビジネスソフトウェアといえば、企業でもパッケージソフトとして導入し、
それぞれのPCにインストールして使っていますが、インストールする手間や
管理、バージョンアップの費用や作業などで、情報システム部門は大きな負担
を強いられています。しかし、ASPとしての導入であれば、そういう負担が
一切かからず、きわめて効率的です。
SaaSはASPをさらに発展させたものです。ASPは既に市販されてい
るソフトウェアをネットを通して提供するのに対して、SaaSは、システム
開発会社がどの企業でも必要である業務機能をプログラミング化し、業務単位
ごとにソフトウェアとして提供する配付形態のことです。
この方式であれば、企業としては社員ごとの業務に応じて必要な業務単位ソ
フトウェアだけをネットを通じて使い、その使った分だけ料金を支払うシステ
ムなので、まったく使わない多くの機能の分も含めてソフトウェアを購入して
使うのに比べると、はるかに効率的であるといえます。
従来の企業向けのシステムの開発は、システム開発会社が顧客企業の要求に
応じてシステムを構築し、それを納品することによってビジネスが完結する方
式だったのです。従来のシステム開発会社のビジネスモデルは「人月モデル」
といって、システムの品質というより、システムの開発に要した時間に対応す
るプログラマの費用を請求するというスタイルをとっていたのです。
これに対してSaaSでは、システムを開発したうえでクライアントを探す
ので、ビジネスとしてはより多くのリスクを抱え込むことになります。それに
システムそのものの出来栄えが導入の可否に影響するわけです。
つまり、システムの品質というか価値が問われることになるので、従来の人
件費中心のシステム開発を大幅に変更せざるを得なくなります。またSaaS
では、そのシステムを複数のユーザに提供できるので、コストの面で従来のシ
ステム開発より有利にビジネスを展開できるのです。
●今後拡大を続けるSaaSの市場規模
ASPICジャパンによる「ASP事業者実態調査」(2006年)による
と、SaaSを含むASP関連の市場規模は2004年に4280億円、20
03年の3260億円から約30%拡大しています。その後も市場は成長を続
けており、2007年は8070億円、2010年には1兆5390億円の規
模に達すると予測されています。
SaaSの登場によって、システム開発会社の意識に大きな変化があらわれ
ています。顧客にソフトウェアを購入させるのではなく、サービスとして提供
するという方向に進み始めたのです。
そのため、システム開発会社の姿勢としては、従来のシステム作りの延長で
はなく、オンデマンドに適したサービスを用意し、つねに安定した操作環境を
提供し続けるという緊張感が出てきています。さらに、これまで弱点とされた
カスタマイズにも対応できるように技術を大幅に進化させています。
明らかに企業の情報システムは、大型コンピュータを中心とするレガシーシ
ステムから脱却しようとしています。ライオン株式会社は、現在IBMのメイ
ンフレームで作動している販売・物流の基幹系システムの再構築プロジェクト
を現在推進しています。これにより2010年をメドにIBMのメインフレー
ムを撤廃しようとしているのです。
同社のシステム再構築の狙いは、システム運用・保守コストの削減と現行シ
ステムに精通したベテランがリタイアしてしまう前に、販売・物流システムの
勘所を中堅・若手に引き継がねばならないと考えているからです。
既に同社は会計システムや生産管理システムについては再構築済みで、IB
Mのメインフレームとは別のハードウエアプラットフォーム上で動いているの
です。新システム再構築の手段はまだ決まっていませんが、その選択肢のなか
にはSaaSも入っているといわれます。
経済産業省の「平成17年特定サービス産業実態調査」によると、日本の情
報サービス産業の売上高は14兆5560億円−−現状このほとんどが人件費
なのです。この巨大産業に対してSaaSのようなオンデマンド型のサービス
の利用形態は、業態を一変させるほど大きなインパクトになるものと予想され
今後の大きな発展が期待されています。 以上
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