AIDMAからAISASへ/0071号
●種類が増えた「日本人のタイプ」
何千万人という人が毎日企業で働いていますが、何のために働いているのか
というと、その企業が提供している製品やサービスを販売するために働いてい
るのです。製品やサービスが売れなければ企業が成り立たないからです。
企業にとってそれほど重要な販売の問題なのですが、とかく従業員が増えて
くると、その企業の基本的な目的について、真剣に考える人が少なくなってき
ているように思います。
そういう販売をテーマに取り上げた新刊書が新潮新書で出版されています。
新潮新書といえば、昨年藤本篤志著で『御社の営業がダメな理由』(新潮新書
165)が出ており、大変よく売れたそうです。
この本については、「INTEC FORUM」 第14号で取り上げましたが、それ以
来2冊目の販売の本ということになります。著者の山本直人氏は、広告会社に
勤務されていた人で、その豊富な経験により、これからのマーケティングのあ
り方について適切な意見を述べておられます。内容的には、『御社の営業がダ
メな理由』のマーケティング版といった感じの本です。
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山本直人著
『売れないのは誰のせい?』/新潮社刊/新潮新書/202
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かつて日本人は基本的には1パターンであったのですが、成熟社会が進むに
つれて「日本人の種類」が増えています。つまり、ライフスタイルが多様化し
てきたわけです。そのため、ものを売るにはどういう日本人に売るか的を絞る
必要が出てきたのです。当然広告にもそれは大きく影響してきます。
また、国際化が進んで外国製品が多く入ってくると、改めて本物と代用品の
差を日本人は認識するようになり、「本物志向」が強くなったのです。この頃
から、広告がストレートに顧客の心に届かなくなり、気分先行で消費を促す販
売のやり方が通用しなくなってきたのです。これによって、広告のあり方は必
然的に大きく変化したのです。
それは、「情報環境の激変」によって、「消費者の情報優位」が明確化して
きたことです。消費者はインターネットなどによりさまざまな情報を手に入れ
加えてクチコミによって、企業が提供する商品・サービスが丸裸にされてしま
う事態が起こっているのです。こういう状況のなかで競争が激化しているので
「智恵の集積」としてのマーケティングが現在、本当の意味で求められる時代
になったといえます。
●「情報受動型」から「情報検索型」へ
広告の効き方には、次の2つのパターンがあります。IT技術の進化によっ
て、2のタイプが多くなり、2つをミックスする傾向も出てきています。
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1.広告に接したことが契機となって購買につながる ・・ 情報受動型
2.購買することを決断して商品について情報を探す ・・ 情報検索型
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広告の役割の中で最も基本的なものは「商品の認知」という、商品・サービ
スの名前と内容を消費者に伝える方法です。たとえば、お店に行ったとき、広
告で認知していた商品を見つけたときに、ふと購買しようとするものです。こ
ういうタイプが「情報受動型」です。
このタイプについては、広告業界の古典的モデルとして、「AIDMA (ア
イドマ) の法則」が知られていたのです。
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A ――Attention ・・・・・ 注意
I ――Interest ・・・・・ 興味
D ――Desire ・・・・・ 欲求
M ――Memory ・・・・・ 記憶
A ――Action ・・・・・ 行動
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しかし、最近は買おうと決めて情報を探すタイプである「情報検索型」が多
くなっています。そたため「AIDMAの法則」は「AISAS(アイサス)
の法則」に変化しています。
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A ――Attention ・・・・・ 注意
I ――Interest ・・・・・ 興味
S ――Search ・・・・・ 検索
A ――Action ・・・・・ 行動
S ――Share ・・・・・ 情報共有
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サービスを受けようとする消費者は、あらかじめ情報を検索して意思決定す
ることが多いのです。そのさい、その商品・サービスが良いイメージであれば
購買が後押しされます。最近テレビCMで「詳しくはネットで」というメッセ
ージとともにキーワードをクリックするものが多くなっているのはこの影響で
す。現代の広告論として興味ある好著であると思います。 以上
