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2007年09月25日

サブプライム問題と世界経済/その2/0074号

●サブプライムローンは特殊な手法で証券化される

 サブプライム問題について多くの人が抱く疑問には、次の2つがあります。
このうち、1については、前回(第72号)で述べました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
     1.サブプライムローンとはどのような住宅ローンか
     2.米国の住宅ローン問題がなぜ世界に波及するのか
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 今回は2について考えていきます。
 サブプライムローンは確かに米国の住宅ローンなのですが、それが世界中の
問題になるのは、サブプライムローンが証券化されて金融商品に組み込まれ、
世界中に普及しているからなのです。
 それでは「証券化」とは何でしょうか。証券化の定義はなかなか難しいので
すが、ごく簡単にいうと次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 有価証券を利用して金融資産を流動化させることをセキュリタイゼーション
 ――証券化(securitization)という。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 例えば、銀行が保有する貸付債権――事業会社への貸付金や個人に対する住
宅ローンは貸付期間が長期にわたるものが多いのです。この場合、銀行の資金
は長期的に固定化されることになります。
 こういう債権は、「資産担保証券――ABS」という証券の形に変えて、借
り手との契約はそのままで、市場で投資家に売却することができます。そうす
ると、銀行にはお金が入ってきます。
 つまり、銀行は借り手から貸付金の返済を受けたのと同じ効果が得られるの
です。銀行にとっては、資金の長期固定化を防止できるし、貸し倒れリスクも
少なくなるというメリットがあるのです。
 それでは、サブプライムローンは資産担保証券化されて市場で売却されてい
るのでしょうか。
 実はそれほど簡単な話ではないのです。サブプライムローンは資産担保証券
化されるのですが、その格付けは最高でも中リスク格(BBBクラス)にしか
ならないのです。これでは投資家から多くの資金を集められないので、複雑な
金融技術を使って繰り返し再証券化し、高い格付けを取得して市場で売却する
のです。この形をCDO(債務担保証券)といっています。
 どういうことをやるのかというと、できる限り多くのサブプライムローンを
集めてプール化し、債権ごとのリスクを計算してその組み合わせを工夫するこ
とによってリスクの再評価をしたうえで再証券化するのです。これによって高
い格付けを得て、市場で投資家に売却しているのです。このようにして証券化
された金融商品は数多くあり、それらの金融商品を保有している投資家は世界
中にたくさんいるのです。知らないで保有している人も多数います。

●混迷をきわめる世界経済

 ところが困ったことに、住宅価格が下がったことに加えて、融資時の所得の
虚偽申告などによって、サブプライムローンの延滞率が、あらかじめ予定して
いたレベルよりも高くなってしまったことです。こうなると、当然損失額は予
定を大きく上回ることになります。
 損失が予定よりも上回ると、当然のことながら、格付けは引き下げられるこ
くなります。これによって証券化商品の売却価格の下落に歯止めがかからなく
なり、損失額はさらに大きくなります。格付け会社のムーディーズやS&Pは
2007年7月から8月にかけて、数次にわたる住宅ローン関連商品の格下げ
を発表しています。これによって負の連鎖がはじまったのです。
 このように損失は次から次へと連鎖し、予期しなかったマイナスが積み重ね
られることになります。やっかいなのは、証券化が幾重にも繰り返されている
ため、損失がどのくらいの範囲まで拡大するのか、専門家でも掴めない事態に
陥っていることです。
 これによって資金繰りに窮する金融機関が出てきています。こうした証券化
商品を多く保有するファンドは、これらの金融商品を担保にして融資を受けて
いるので、金融機関への返済が滞るケースが多くなりつつあります。そのよう
なファンドはとくに欧州に多いといわれます。
 この事態を放置すると、金融機関は融資に及び腰になって貸し渋りを行い、
信用収縮(クレジットクランチ)に拍車がかかる恐れが出てきます。この信用
収縮を防ぐために、FRB(米国連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀
行)は多額の資金供給に踏み切ったのです。
 日銀は8月9〜13日にかけて1.6兆円、さらに16日に1.6兆円の資
金を追加供給していますが、その額はFRBの640億ドル(約7.5兆円)
ECBの2035億ユーロ(約32兆円)に比べると、かなり小規模になって
います。しかし、こういう情勢を受けて日銀の懸案事項である利上げは、年内
困難の見通しになっています。
 世界同時株安から約1ヶ月が経過していますが、現在でも株価の乱高下は続
いています。問題は解決しているとはいえず、このサブプライム問題によって
世界経済の先行きが不透明化しています。とくに欧州当局の動向には目が離せ
ない状況であるといえます。                    以上

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