果たして民業圧迫となるか/郵政民営化スタート/0075号
●郵政民営化が今日からスタートする
日本郵政公社は、本日――2007年10月1日から民営化されます。遂に
その日が来たかという感じですが、郵便局は私たちの生活にとって身近な存在
であったので、何がどう変わるのかについて、インテック・フォーラム風に整
理してみることにします。
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I−郵便事業株式会社 −I
日本郵政株式会社−I−株式会社ゆうちょ銀行 −I――郵便局株式会社
I−株式会社かんぽ生命保険−I
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民営化によって4つの事業会社が誕生し、それを持ち株会社である日本郵政
株式会社が統括します。3つの事業会社は従来の公社の業務が分社化して独立
したものですが、一番わかりにくいのは「郵便局株式会社」でしょう。
郵便局株式会社は全国約2万4000局の郵便局を束ねる会社です。今まで
の郵便局はそのまま残り、郵便、貯金、保険の窓口サービスが受けられるので
す。郵便局株式会社の収益源は、3つの事業会社(郵便事業、ゆうちょ銀行、
かんぽ生命保険)から徴収する窓口サービス手数料ということになるのです。
問題は、郵便局株式会社は果たしてそれだけでやっていけるのかどうかです。
郵便事業サービスについては、ほとんど変化がないと考えてよいでしょう。
今までの、はがき50円、普通封書80円はそのままで、全国一律・同一料金
(ユニバーサルサービス)で利用できます。しかし、小包などはユニバーサル
サービスの適用外になるので、ライバルである宅配業者と同じ条件の下での競
合になります。
株式会社ゆうちょ銀行は、郵便貯金業務を引き継ぐ事業会社です。民間金融
機関として銀行法の適用を受けるので、10月1日以降に預けた貯金は政府保
証がなくなります。しかし、民営化以前に預けた定額貯金や積立貯金に関して
は、政府保証が継続されますが、通常貯金など定期性のない貯金については、
民営化以前の契約であっても政府保証はなくなります。なお、監督官庁は今ま
での総務省から金融庁になります。
注意すべきは、公共料金やネット経由で購入した商品の代金の振込み手数料
などが民営化後はかなり値上がりすることです。民営化以前には免除されてい
た印紙税を負担することになったからです。
株式会社かんぽ生命保険については、既契約については契約はそのまま継続
し、政府保証もついています。保険証書などはそのまま利用できるので、加入
者にとってはほとんど大きな変化はないといえます。しかし、民営化後に加入
した生命保険には政府保証はなくなります。なお、民営化後は、民間生命保険
会社と同様に監督官庁は金融庁になり、保険業法が適用されます。
●日本最大の金融グループの誕生
郵政民営化にはさまざまな問題点があります。なかでも金融2社――株式会
社ゆうちょ銀行と株式会社かんぽ生命保険については、明らかに民業圧迫であ
るとして民間企業は警戒心を強めています。
何しろゆうちょ銀行の総資産は約187兆円(2007年4月)――これは
三菱UFJフィナンシャル・グループのそれを上回る額です。また、かんぽ生
命保険の総資産は112兆円――これは生保業界上位3社の総資産の合計を超
えており、文字通りの日本最大の金融グループが誕生することになります。
日本郵政株式会社としては、民営化3年後の2010年をめどにこの金融2
社を上場させ、民営化10年後の2017年に2社の全株式を売却する方針な
のです。そうなると、当然金融2社としては、新規事業を含む積極経営によっ
て、収益力をアップさせようとしてくることは必至であり、民間金融機関はそ
れに反発しているわけです。
なお、持ち株会社の日本郵政株式会社は、民営化後10年は政府が100%
株式を有することにしており、国としての影響力を残すため、上場後も30%
以上の株式を引き続いて保有する方針です。
これについて、全銀協会長と全地銀協会長は次のようにコメントし、不快感
をあらわにしています。
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郵政公社は、単に「国営」から「国有」に変わるに過ぎない
――奥正之・全国銀行協会会長
政府出資のあるうちは新規業務に乗り出すのをやめるべきだ
――小川是・全国地方銀行協会会長
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かつての郵便局が2005年10月から開始した投資信託の取扱状況を見る
と、販売件数は累計で約235万件、販売金額は1兆円を突破しています。こ
のあたりに郵便局の強さがあります。
この勢いで民営化後にゆうちょ銀行とかんぱ生命保険は、変額年金や自動車
保険、住宅ローンから個人ローンへと参入してくるのは目に見えています。い
くら民営化されたと世間にアッピールしても、公的金融機関のイメージは強く
残っているので、郵便局が有利になります。迎え撃つ金融機関は日本最大の金
融グループとどう立ち向かうのかが注目されています。 以上
