エネルギーの安全保障に無策なニッポン/0084号
●自然エネルギー市場が急成長している
このところ自然エネルギーの市場が欧州連合(EU)を中心に急成長してい
ます。数字を上げると、市場規模は次のようになります。
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709億ドル(約7兆8000億円)――2006年の世界の投融資額
前年比44%の増加
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自然エネルギーといえば太陽光発電が頭に浮かび、多くの人は日本が世界を
リードしていると思っています。しかし、実態はそうではないのです。基本的
に日本は、いわゆる化石燃料(石油、天然ガス、石炭)と原子力という旧世代
エネルギーから脱却できないでいるのです。
ところで、自然エネルギーとは何でしょうか。自然エネルギーには再生可能
エネルギーを含むので、その主なものは次の6つになります。
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1.風力発電 ・・・・・・・・ 自然の風で風車を動かし発電する
2.太陽光発電 ・・・・・・・ 太陽の光から太陽電池で直接発電
3.太陽熱利用 ・・・・・・・ 太陽熱を集め温水や冷暖房に利用
4.バイオマスエネルギー ・・ 生物資源燃料を利用する熱電併給
5.小水力発電 ・・・・・・・ ダムを造らない小規模の水力発電
6.温度差エネルギー ・・・・ 海や川の水と外気温の温度差利用
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自然エネルギーは、化石燃料のように使えば減ることのない資源――風力や
太陽光などと、一定の範囲内で使うと再生ができる資源――間伐材などの2つ
を含むのです。間伐材とは、森林の成長過程で密集化する立木を間引く間伐の
過程で発生する木材のことです。
自然エネルギーで市場が最も大きいのは風力発電ですが、世界全体の設備容
量は2006年は累計7420万キロワットで前年比で26%増えています。
市場を引っ張っているのはドイツで、2000万キロワットを超えてダントツ
のトップです。
第2位はスペインと米国で1200万キロワット、第3位はインドで630
万キロワット、第4位は中国で260万キロワット、日本はわずか139万キ
ロワットで、ベスト10から外れ、現在第13位なのです。
続いて、太陽光発電です。この分野は本来日本がリードしてきたはずですが
2004年にドイツに抜かれ、2006年にはさらに大きく水をあけられてい
るのです。2006年に日本は設備――太陽電池の総容量を170万キロワッ
トと20%増やしたのに対し、ドイツは60%増加させて306万キロワット
になったからです。
●自然エネルギー対策に無策が際立つ日本
以上の動きとは対照的に、スウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国は、
バイオマス(生物資源)エネルギーの利用がさかんなのです。これらの国々で
は、間伐材を燃やして発電すると同時に、市内に巡らされたパイプラインでお
湯を送る「熱電併給――コージェネレーション」方式を取り入れています。こ
の方式によって地球温暖化の原因である二酸化炭素――CO2の排出量を90
%減らしたところもあるということです。
しかし、なんといってもドイツは自然エネルギー先進国といえます。かなり
前から国策として目標を定め、目標を上回るスピードでそれをクリアしてきて
いるからです。
ドイツでは、発電量に占める自然エネルギーによる発電の割合を2010年
には12.5%にするという目標を掲げて取り組んだのですが、これを4年も
早い2006年に達成しています。そのため、今度は2030年までにそれを
45%にする長期目標を掲げています。つまり、電源の半分近くを自然エネル
ギーで賄えるようにしようというのです。
ドイツだけではないのです。ドイツに主導されてEUが動き出し、EUは、
2007年2月に自然エネルギー電力を2010年までに22%、2020年
には30%にするという目標を決定しています。
地球温暖化問題に冷淡な米ブッシュ政権でも、2007年の一般教書演説に
おいて、脱石油とエタノールへの大規模な移行を訴えて、2020年には自然
エネルギー電力を15%にすることを目指しているのです。
各国がこれほど自然エネルギーの普及・拡大を目指すのは、単に地球温暖化
問題だけでなく、それがエネルギーの安全保障に有効だからです。現在、原油
価格が高騰しているのは、石油の供給がそう遠くない時期にピークに達するこ
とが背景にあるからです。しかし、地域の資源を利用する自然エネルギーは純
国産エネルギーであり、資源獲得競争や価格変動のリスクがないのです。
これに対して日本の無策ぶりは際立っています。安倍普三前首相が打ち出し
た温暖化防止の総合戦略「美しい星50」には、自然エネルギーへの言及が一
言もないのです。スタートが同じだったのにもかかわらず、ドイツと圧倒的な
差がついている日本――今後日本としてどのようにエネルギーの安全保障を確
立していくのでしょうか。−−『週刊エコノミスト』/2007年11/27
号参照。 以上
