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2007年12月10日

1ドル割れのDRAM市場の意味するもの/0085号

●なぜ日本はDRAM戦争に敗れたのか

 2007年も師走に入り、DRAMの価格が1ドル割れを起こして、その影
響が拡大しつつあります。DRAMとは、PCや携帯電話の主記憶(メイン・
メモリ)に使われる半導体であり、その価格は業界のみならず、国の経済・産
業に影響を与える重要なファクターの1つとして、頻繁に新聞紙上などにも登
場するので、ご覧になった方もあると思います。
 このDRAM――半導体の歴史のなかで、最も激しい栄枯盛衰が繰り返され
てきたのです。もともとDRAMの生産は、日本の得意とする分野であり、長
く世界一を誇っていたのです。しかし、現在では、サムスン電子やハイニック
スなどの韓国企業に抜かれ、さらにドイツにも抜かれて、現在世界シェア4位
にまで落ち込んでしまっています。
 米調査会社のアイサプライの調査による2007年1月〜9月の累計売上高
シェアは次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  第1位 サムスン電子(韓国) ・・・・・・・・・・ 27.1%
  第2位 ハイニックス(韓国) ・・・・・・・・・・ 21.9%
  第3位 キマンダ(ドイツ) ・・・・・・・・・・・ 13.0%
  第4位 エルピーダ(日本) ・・・・・・・・・・・ 12.0%
  第5位 マイクロン・テクノロジー(米国) ・・・・  9.9%
  第6位 南亜電子(台湾) ・・・・・・・・・・・・  5.0%
  第7位 力晶半導体(台湾) ・・・・・・・・・・・  4.7%
  その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  6.4%
              ――米調査会社のアイサプライの調査より
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「エルピーダ」というのは、日本で唯一のDRAMの開発・設計・製造・販
売会社であり、正式名称はエルピーダメモリ株式会社――日立製作所と日本電
気のDRAM事業部門の統合によって設立された企業です。
 それにしても日本はどうしてこの地位に甘んじているのでしょうか。
 1980年代においてDRAMの主要な用途は、メインフレームや電話交換
機向けだったのです。当時のDRAMはまだ開発途上であったため故障が多く
メインフレーム・メーカーや電電公社(現NTT)は、故障しないDRAMを
メーカーに求め、「25年保証の信頼性」を要求してきたのです。メーカーは
これに応えて作業工程の多い高品質のDRAMの量産に成功し、そのシェアで
世界一になったのです。
 ところが1990年代に入ると、コンピュータ業界に変化が生じたのです。
メーンフレームに替わってPCが上位市場となったことです。PC向けのDR
AMには25年保証の高信頼性は必要なく、その代わりに「安価なこと」が求
められたのです。しかし、日本の主要顧客はメーンフレーム・メーカーであっ
たことと、PCに乗り遅れたため変化に対応することができなかったのです。
これによって日本は、韓国メーカーの後塵を拝するようになったのです。

●DRAM1ドル割れをどう見るか

 台湾の市場調査会社の取引情報によると、DRAMの価格は2007年11
月29日現在で次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
      DDR2/512MB ・・・ 0.82ドル
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 2007年1月には6ドル台であったものが、一年で1ドル割れであり、業
界には衝撃が広がっています。DRAMの1ドル割れは、ITバブルの崩壊以
来のことであり、6年ぶりの異変といえます。
 どうしてこんなことになったのかというと、その主因は2007年1月に発
売されたマイクロソフト社の新OS「ウインドウズ・ビスタ」の売れ行き不振
にあります。今まで新OSが出るとPCの需要が高まり、それに伴いDRAM
の需要も急増していたからです。
 そのため、ウインドウズ・ビスタのヒットを見越して、最大手のサムスンを
はじめとするメーカー各社はDRAMの大増産を行ったのです。しかし、期待
通りの需要が発生せず、メーカー各社は膨大な流通在庫を抱え込むことになっ
たのです。その数量は3億個とも5億個ともいわれます。この在庫は年間需要
の10〜20%に該当し、少ない数字ではないのです。
 しかし、DRAM市場の場合、シェアや需給だけでは先を読みきれない特殊
性があるのです。それは、DRAMは原油などと同様に基本的には「売り手市
場」であって、メーカーがこの価格以下では取引しないと宣言すると、価格の
下落はストップするのです。まして、最大手のサムスン電子やハイニックスが
それをやったら価格の下落が止まることは確実です。
 しかし、最大手の韓国企業2社は、1ドル割れを放置したまま動こうとはし
ていないのです。これをもって「サムスン電子は意図的に1ドル割れを放置し
て業界再編を仕掛けるのではないか」という憶測が出ています。消息筋による
と、現在の大手5社は3社までに再編されるのではないかとしています。
 これに備えてか、唯一のエルピーダは今期の設備投資を300億円積み増し
することを発表しています。DRAM市場は風雲急を告げているのです。以上

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