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2007年12月25日

IPアドレスの枯渇は外交・政治問題化する/0087号

●2012年初頭にIPアドレスは枯渇する

 IPアドレスがやっかいな国際政治問題を引き起こしかねない――このよう
に主張するのは、日本のインターネットの草分け的存在である慶応義塾大学の
村井純教授です。
 ところで、IPアドレスとは何かご存知でしょうか。
 インターネットが実用化されてから15年が経過しましたが、IPアドレス
が何であるかを正確に理解している人はけっして多くないと思います。しかし
インターネットを使っている人であれば、IPアドレスがどうやら不足してい
るというぐらいは聞いたことがあると思います。
 インターネットは既に「社会のインフラ」となっており、ちょっと障害が起
こっただけでも企業の業務や個人の生活に深刻な影響を与える恐れがあるよう
になっています。その社会のインフラの基盤がきしみ出している――村井教授
はこう警告しているのです。
 IPアドレスというのは、簡単にいえば、インターネットに接続されたコン
ピュータや通信機器一台一台に割り当てられた識別番号のことです。郵便の場
合と同様に、インターネット上では、この識別番号(IPアドレス)に重複が
あってはならないので、IPアドレスの割り当てや管理については、各国のN
IC(ネットワークインフォメーションセンター)が行っているのです。
 現在私たちが使っているIPアドレスは、「IPV4/アイピー・ブイ・ヨ
ン」、つまりバージョン4なのですが、それは2の32乗であって、その個数
は有限――約43億個なのです。
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      2の32乗 = 42億9496万7296個
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 実はIPアドレスの不足は、インターネット・ユーザが急激に増えたことが
原因ではないのです。既に述べたように、IPアドレスはNICに申請して割
り当てを受けるかたちになっているのです。個人のネットユーザは「そんなこ
としたことはない」というかも知れませんが、それはプロバイダが代行してく
れているのです。
 問題はIPアドレスを割り当てる基準に問題があったのです。つまり、最初
のうち大判振る舞いをしてしまったので、後になって大幅な不足が生ずるよう
になってしまったというわけです。
 総務省は、2007年10月に、世界で初めて政府としてIPアドレスの新
規割り当てが困難になる時期の見通しを次のように発表しています。
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   2010年半ばから2012年初頭にはIPアドレスが枯渇する。
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●IPV4資源の半分以上は米国が保有している

 IPアドレスの枯渇については、はじめからわかっていたことであり、それ
に備えて次世代のIPアドレスのバージョン「IPV6」は既に完成され、誰
でもそれを使ってネットワークを構築できるのです。IPV6は、2の128
乗ですから、次のようにIPアドレスの個数は激増します。日本には「澗/か
ん」という単位があるので、2の128乗は340澗ということになります。
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2の128乗/340,282,366,920,938,463,463,374,607,431,768,211,456 個
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 「なぁんだ、それなら心配ないじゃないか」という声が聞こえてきそうです
が、そう簡単な話ではないのです。それはIPV4とIPV6は互換性がない
からです。つまり、IPV6でネットワークを構築しても現在のインターネッ
ト、すなわちIPV4のネットワークとはつながらないのです。
 もちろん、技術的にIPV4とIPV6の世界をつなぐことは可能です。し
かし、現在のサーバーやルーターなどの通信機器は、すべてIPV4で設計さ
れており、ハードやソフトに大幅な変更を加える必要があるので、相当のコス
ト高になってしまうのです。本当に2012年にIPアドレスが枯渇すると、
それ以降のIPアドレスの割り当てはIPV6のみとなります。
 ところで、IPアドレスは最初のうちには相当無駄に割り当てたといいまし
たが、世界中に大量のIPアドレスが余っていることになります。それなら、
その余っているIPV4を購入する方が、IPV6でネットワークを構築する
より、コスト的に安く済むことになります。
 冒頭の村井教授の心配は実はそのことなのです。現在米国は割り当て済みの
IPアドレスの55%を持っており、それが金になることを知っていますから
絶対に手放さないでしょう。IPV4アドレス市場が形成され、一儲けできる
からです。したがって、この問題を放置すると外交・政治問題に発展する恐れ
があるのです。上位3国のIPアドレスの保有割合を示しておきます。
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      米国 ・・・ 1,406,625,024 54.84%
      日本 ・・・  141,445,376  5.51%
      中国 ・・・  134,754,560  5.25%
―――――――――――――――――――――――――――――――― 以上

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