ANY構想−−大新聞の狙いは何か/その2/0089号
●同床異夢のANY構想
新聞各社は、ここ数年、販売部数減、広告収入減、コスト増加の三重苦に悩
まされてきています。それに加えて、製紙メーカーから用紙の値上げを打診さ
れているといいます。その値上げ幅はメーカーによる違いによって7%〜10
%ぐらいであり、最低でも5%程度の値上げは避けられない情勢にあるようで
す。しかし、新聞購読料の値上げはきわめて困難な情勢です。
朝日新聞の秋山耿太郎社長は「経営陣と語る会」で、社員に次のようにいい
社内報でも同様の趣旨の話をしています。そこには同社が相当の危機感を抱い
ていることを感じさせます。
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3年後には新聞事業の収支が赤字になりかねない変化の大波がやってくる
――朝日新聞秋山耿太郎社長
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こういう危機感を背景としてのANY構想ですが、その目的とすることをま
とめると次の3つであり、ANY3社ともそれに合意しています。
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目的1:インターネット分野での共同事業
目的2:販売事業分野での業務提携を推進
目的3:災害時等新聞発行の相互援助提携
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しかし、3社のANY構想についての発表記事を読むと、3つの目的には合
意しているものの、3社の狙いは3社3様のようです。それは各紙の冒頭部分
の記述によくあらわれています。
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朝日新聞/インターネットでの共同事業と販売分野の業務提携で合意すると
ともに、災害時などに新聞発行を相互に援助する覚書を交換
日経新聞/インターネットにおける共同事業を核とする業務提携を3社で進
めて行くことで合意(販売分野の提携はプラスアルファ的)
読売新聞/(冒頭は朝日とほとんど同じであるが、続けて)日本を代表する
全国紙3社が本格的提携関係を築くのは今回が初めてとなる
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つまり、同じ業務提携でも朝日と読売は「目的2」に重点を置いているのに
対し、日経はあくまで「目的1」を中心に据え、他の目的はプラスアルファ的
な印象です。3社それぞれウエイトの置き方は異なっているのです。
いずれにせよ、このANY構想――現在はあくまで構想のままであり、正式
の契約は2008年の3月になるということです。その間に何が起こるか予測
がつかないといえます。
●ネットにシフトする産経新聞
現在、読売はヤフーに記事を配信していますが、読売の元の記事の量を10
とすると、ヤフーの記事は4でしかないのです。詳しい記事を見たい人を読売
のサイトに誘導するのが狙いですが、成功しているとはいえないのです。
日経にも3割ルールなるものがあり、無料配信しているサイトには新聞記事
の3割しか載せないのです。また、即時性が必要な記事やスクープ記事につい
ては、自社の有料サイトと差別化するため、わざと配信を遅らせることもある
というのです。
こうした事情は、ANY3社とも似たりよったりで、どうしても新聞を守ろ
うとするので、自社サイトが育たないのです。現在、読売や朝日は月間約3億
件のアクセスがありますが、ヤフー・ジャパンのそれは400億件であって、
勝負にならないのです。
こういうANY3社と対照的なのは産経新聞です。前号で述べたように、産
経はマイクロソフトと組み、「MSN産経ニュース」を立ち上げていますが、
考え方はANYとは大きく異なるのです。
これまで別々であった新聞とウェブの編集を一体化し、4人の編集長が交代
で両媒体を総括するという新体制に移行したのです。これに伴い、従来は新聞
紙面の掲載を待ってウェブに出していた特ダネ記事も、基本的にウェブを優先
するというのです。
新聞紙面のみに掲載していた特集記事や、新聞紙面に掲載しきれなかった情
報や写真もウェブ向けに掲載し、今まで2ヶ月であったウェブ上の過去記事掲
載期間も6ヶ月に延長しています。産経は「ネットを制限しても新聞を守るこ
とにはつながらない」という考え方に立って、ネットへのシフトを強めている
のですが、これが功を奏するかどうかはわからない。同社のウェブ事業からの
売り上げは、産経新聞全体の売り上げ(年間約2200億円)の数%程度であ
り、スクープ記事までネットに載せることを懸念する声もあるといいます。
ヤフーと違って独自の道を行くのは「グーグルニュース」です。これは、自
動的にロボットが新聞各社のサイトから記事の見出しを集めてきて、重要度を
判断して順位をつけて掲載するサイトであり、記事をクリックすると各新聞社
のサイトに飛んで記事が読めるというものです。これにはANY3社をはじめ
産経も「MSN産経ニュース」として参加していますが、毎日だけは参加して
いないようで毎日だけが独自の動きをしているようです。 以上
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