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2008年01月28日

氷の融解は海水面を上昇させない/環境問題その2/0091号

●コップに浮かんだ氷が溶けても水位は変わらない

 中部大学総合工学研究所教授である武田邦彦氏は、最近の著作で次のように
述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 3年くらい前に、テレビを見ていたら「北極の氷が溶けると海水面が上昇す
 る」とテレビで報道をしていた。私はその報道を見てつくづく困ったなあと
 思った。私は大学で物理を担当しているので、アルキメデスの原理に関連す
 る試験問題もつくるのだが、これほど露骨にテレビで間違ったことを言われ
 てしまうと試験に出すのを一瞬ためらう。高校生はいうまでもないが、大学
 生でもテレビの言うことは正しいと思ってしまうだろう。
   ――武田邦彦著、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 洋泉社刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ちょっと考えると、北極や南極の氷が溶けると海水面は当然上昇すると考え
てしまいますが、これは大きな間違いです。大陸の上に氷がある南極の場合は
別として、氷床が海に浮かんでいる北極の場合は、氷床が溶解しても絶対に海
水面は上昇しないのです。それは「アルキメデスの原理」によって証明されて
いるからです。
 コップに水を入れ、氷を入れると、氷は水の上に少しあたまを出して浮いて
います。北極の氷はまさにこういう状態なのです。この状態にある氷が溶けて
水になっても水面は変化しない――つまり、上昇しないのです。
 これは気温が高くなるかどうかの問題ではなく、「アルキメデスの原理/浮
力の原理」によるものです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    水中の物体は、その物体がおしのけた水の重量だけ軽くなる
                    ――アルキメデスの原理
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 アルキメデスがこの原理を発見した有名なエピソードがあります。ある金細
工師は王様から王冠の制作を依頼され、金塊を預ったのです。しかし、その金
細工師は金に混ぜ物をし、金の一部を使わないで王冠を作ったのです。ところ
が悪いことはできないもので、金細工師が王様の金を盗んだといううわさが広
まったのです。
 うわさを聞いた王様はアルキメデスに「王冠を壊さないで混ぜ物をしている
かどうか調べよ」と命じたのです。アルキメデスはこの難問が解けずに困り果
てていたのですが、ある日風呂に入ったところ水が湯船から溢れ出すのを見て
その瞬間、後年「アルキメデスの原理」といわれるヒントを掴んだのです。
 アルキメデスは金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、その金塊と
王冠の両方をそれぞれいっぱいに水を張った容器に入れ、こぼれ出る水の量を
比較したのです。こぼれる水の量が同じなら不正はないし、違えば何らかの混
ぜ物をしている証拠になります。結局王冠を入れたときの方が多くの水があふ
れたので、金細工師の不正が明らかになったのです。これが「アルキメデスの
原理」です。
 氷がなぜ水に浮いているかというと、水より同じ体積の氷の方が軽くなるか
らです。もし、水が氷になるときに重たくなれば氷は下に沈むはずです。水に
浮いた氷が溶けると、氷の体積が小さくなり、ちょうど海水面の上に顔を出し
ている部分が体積としてはなくなる計算になります。したがって、北極の氷が
溶けると海水面が上昇することは絶対にあり得ないことです。

●地球温暖化が進むと逆に南極の氷は増える!?

 それでは南極の氷が溶けたら海水面はどうなるでしょうか。
 南極の氷は北極と違って大陸の上に載っています。したがって気温が上ると
氷が溶けて海水が増えると考えて不思議はないのです。事実「南極の氷が全部
溶けたら海水面は60メートル上昇する」ということがよくいわれるのです。
しかし、それは南極の氷がいかに多いかということを認識してもらうための計
算であって実際にはそんなことは起こり得ないのです。
 どうしてかというと、地球温暖化によって南極付近が暖かくなると、逆に氷
が増えるからです。これは簡単な実験で証明できます。暖かい湯気が出るよう
なお湯が入っているコップを冷蔵庫に入れると、そこに蒸気が発生して、零度
以下の部分に霜や氷となって付着します。最近の冷蔵庫はこの「霜取り」を除
去する装置が装備されてはいますが、霜が発生するのは事実です。
 つまり、どこかに零度以下のところがある場合、その近くにある水の温度が
高い方が氷は多くできるのです。地球温暖化によって南極付近の気温が上昇す
ると、氷が溶けて海水になる部分もありますが、かなりの部分が氷となるので
海水面はわずかしか上昇しないのです。
 南極大陸は平均してマイナス50度という非常に低い気温なのです。南極大
陸周辺の気温が上り、海水温が上昇すると水蒸気の量が増えます。もし、風が
海から大陸の方へ吹いていたら、これらの増えた水蒸気は雪や氷となって南極
大陸に積もるのです。したがって、温暖化すると氷の量が増えるのです。
 両極の氷床が溶けて海水面が上昇するのではないのです。地球が温暖化する
と、海水温度が上がり、海の水が膨張するからなのです。環境問題にはまだお
かしいことがあります。本テーマは次回まで続きます。        以上

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