緻密に考え抜かれた構成の山田真哉氏の新刊書/0098号
●『「食い逃げされてもバイトを雇うな」なんて大間違い』
公認会計士の山田真哉氏の著書『食い逃げされてもバイトを雇うな/禁じら
れた数字(上)』を「INTEC FORUM」 で取り上げたのは、2007年6月18
日発行の第60号においてです。この本は上巻であり、下巻の刊行が上巻刊行
時点で予告されていたのです。ブログのページをご紹介しておきます。
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http://www.intecjapan.com/forum/2007/06/post_57.html
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その下巻が2008年2月に刊行されたのです。タイトルは次のようになっ
ています。
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『「食い逃げされてもバイトを雇うな」なんて大間違い
/禁じられた数字(下)』 ――山田真哉著/光文社新書
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注目すべきは標題です。『「食い逃げされてもバイトを雇うな」なんて大間
違い』と書いてあるからです。上巻では「食い逃げされてもバイトを雇うな」
は正しいと主張していたのにです。
自分で「食い逃げされてもバイトを雇うな」といっておいて『大間違い』と
は何事だ――このように言って怒る人もいるかも知れません。どうやらこの問
題に対する答えは一つではなく、2つあるようです。
「禁じられた数字」には、次の2種類があるのです。上巻では「日常で使わ
れる数字」が解説されています。
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I――1.日常で使われる数字
禁じられた数字――I
I――2.会計で使われる数字
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今回は「会計で使われる数字」の解説があります。どこが違うのかというと
「日常で使われる数字」は、いかに人の感情を揺さぶるかがポイントとなるの
に対し、「会計で使われる数字」では、いかに数字に感情を入れないかがポイ
ントになります。
この「会計で使われる数字」――ときどき食い逃げされるラーメン屋が悔し
くてもバイトを雇わないのは、「感情よりも勘定」という会計の考え方に立っ
て、数字から感情を排除した結果である――と著者は説明しています。
この本の上下巻は、非常に緻密に組み立てられた構成になっており、本の書
き方のテクニックとしても参考になります。
●感情を排除すべき会計で使われる数字
「会計で使われる数字」の禁じられた数字には、次の4つがあります。
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1.作られた数字 2.関係のない数字
3.根拠のない数字 4.机上の数字
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第1は「作られた数字」の例として、著者は「次の都市のなかで、いまいち
ばん行きたいところはどこですか?」というアンケートを出しています。都市
は「ロンドン、パリ、ローマ、ハワイ」です。
20人の20〜30代世代の男女のアンケート結果は、ロンドン3人、パリ
5人、ローマ4人、ハワイ8人でした。この結果を見て、「ハワイの人気は凄
い」などといってはいけません。このアンケートには仕掛けがあるからです。
それは、ヨーロッパの都市が3つあるのに対し、リゾート地はひとつしかな
いからです。そのため、ヨーロッパに行きたい人は分散し、リゾート地でゆっ
くりしたい人はハワイに集中したのです。ハワイは都市ではないですが・・。
第2の「関係のない数字」の例として、著者は宝クジ売り場によく出ている
「この売り場は1億円が12本出ています」の告知を取り上げています。いか
にもその売り場から1億円が出そうですが、宝クジはどの売り場で購入しても
当る確率は同じです。また、「構想7年!遂に映画化」などというのも、映画
のできには、まるで「関係のない数字」なのです。
第3は「根拠のない数字」の例として、「○○の優勝で経済効果1000億
円」のたぐいの分析を上げています。これは分析者によって経済効果に含める
範囲が違うので、予測はそれぞれ違ってきます。したがって、これは「根拠の
ない数字」であるといえます。
第4のパターン「机上の数字」の例として、国税庁が発表している「日本の
中小企業の7割は赤字」を上げています。実はこれはウソなのです。中小企業
には本当は黒字なのにわざと赤字にしている会社が多いからです。
ビジネスにおいては、平均値というのは「机上の数字」なのです。A社とB
社の平均をとって、Cという数字が生まれたとします。しかし、Cという数字
を持つ会社はどこにも存在しません。このように平均値というのはあくまで架
空の数字、すなわち「机上の数字」なのです。
これらの会計上の禁じられた数字を前提として、4章にわたって会計論が展
開されます。実に含蓄の多い好著です。一読の価値があります。 以上
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