INTEC JAPAN/BLOG

このフォーラムは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。
最新のニュースを毎週月曜日にお届けします。

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● 2008年05月 記事 ●

2008年05月07日

NTTのNGNとは何か/その2/0105号

●NGNは「カーナビ付き自家用車」である

 NGNによって何ができるのでしょうか。
 週刊「ダイヤモンド」3月1日号にNGNが特集されています。その特集の
冒頭に次の一文があります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 20××年。
 日曜日の昼下がり。一人暮らしの石井太郎さん(仮名・69歳)は、居間の
 テレビに病院から画像メールが届いていることに気がついた。画面いっぱい
 に映し出された担当の看護婦さんは、「今朝は普段よりも血圧が少し高いで
 すね。もしや、昨日のサッカーで張り切っちゃいましたか?」と微笑む。毎
 日、トイレ内蔵型の測定器が、体の調子をチェックとして、病院に連絡を入
 れてくれる。夕方には、同じくデータが送られている娘夫婦からテレビ電話
 がかかってきた。石井さんは、心配する娘をよそに、孫の顔を見ながらサッ
 カーの話をするのが大好きだ。 ――週刊「ダイヤモンド」3月1日号より
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 NGNは、IP技術によってすべてのネットワークを融合し、それぞれの良
いところを集約したものです。ところで、従来の電話網とインターネットとN
GNのそれぞれの違いについて述べると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
      1.電話網は「路線バス」のようなものである
      2.インターネットは「自家用車」が該当する
      3.NGNは「カーナビ付き自家用車」である
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 路線バスは、目的地の近くの停留所まで決められた時間で、決められたルー
トを通って行かなければならないのですが、専門の運転手が付いているので、
誰もが安心して同じサービスを受けることができます。これが電話網です。
 これに対して自家用車は、いつでも好きなときに好きな場所にどこでも行け
ます。しかし、多くの自家用車がそのようにしてあちこち走り回るので、しば
しば交通渋滞が起こったりします。それでも自家用車はどんどん増えるので、
最後には収拾がつかなくなってしまいます。これがインターネットです。
 これに対して、カーナビ付き自家用車は、到着時間を考えて、最適にして最
短の道路を選んで目的地に到着します。その場合、道路が混んでいるときは事
前にそれをキャッチして、混んでいない道路を探して目的地に達することがで
きます。これがNGNなのです。

●NGNにおける2つの融合の実現

 NGNは、基本的には「2つの融合」の実現を狙っているのです。その「2
つの融合」とは次の2つです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
       1.固定通信と移動通信の融合――FMC
       2.放送のデジタル化と通信と放送の融合
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 固定網と移動網の融合のことを「FMC/Fixed Mobile Convergence」とい
います。この中で特に注目されるのが「ワン・フォン型サービス」です。これ
は、一台の携帯電話機を、宅内では固定回線経由の通信端末として、その他の
場所では普通の移動通信端末として利用するものです。つまり、電話機は携帯
電話機一台で済むので、「ワン・フォン型サービス」といわれるのです。
 実はこの分野で日本は少し遅れているのです。「ワン・フォン型サービス」
の先駆者は韓国KT(コリア・テレコム)であり、2004年からサービスを
開始しています。KTは、同社が提供する固定電話回線の先に宅内アクセスポ
イント(AP)を接続し、このAPが無線機能を持っているので、利用者が宅
内で電話をかけていることがわかるのです。韓国に続いて、2005年からは
英国BT(ブリティッシュ・テレコム)もこのサービスをはじめています。
 日本国内では、法人ユーザー向けから「ワン・フォン型サービス」が開始さ
れていますが、個人向けのサービスはこれからです。NGNの下にネットワー
クが統合されれば、本格的なサービスが始まると思います。
 もともとNGNは、固定通信市場の縮小と移動通信市場の飽和傾向を背景と
して、固定と移動に分かれているネットワークを統合する必要性があって出て
きた構想であり、今後この面は大きく発展すると思います。
 通信と放送の融合については2011年7月に地上波は全面的にデジタル化
されますが、地上波デジタル放送をNGNで同時に再送信することが決まって
います。しかし、これはあくまで難視聴対策であり、通信と放送との融合には
まだ多くの法整備の課題が残されているのです。とくに放送を中心に制定され
た著作権法が大きなかべになっているのです。
 こうした状況を受けて、総務省は「通信・放送の総合的な法体系に関する研
究会」を2006年8月に設置し、通信と放送とで合計9本もある法律の全面
的見直しに着手しているのです。
 したがって、日本の場合は、こうした法制度の見直しと合わせて、NGNが
発展していくことになります。いずれにしてもアナログテレビが姿を消す20
11年からはNGNによって通信環境が一変することになります。   以上

2008年05月12日

ビジョナリー・カンパニーを解明する/その1/0106号

●ビジョナリー・カンパニーとは何か

 何回かに分けて、世界的なベストセラーになった『ビジョナリー・カンパニ
ー/時代を超える生存の原則』を題材に取り上げます。この本は、ともにスタ
ンフォード大学教授であるジェームズ・C・コリンズとジェリー・I・ポラス
の2人が「ビジョンを持つ真に卓越した企業は、他の企業と比べてどういう違
いがあるか」について、6年の歳月をかけて調査・分析した結果をまとめたも
ので大変示唆に富む名著です。正式な書名は次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著/山岡洋一訳
  『ビジョナリー・カンパニー/時代を超える生存の原則』
                     日経BP出版センター刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 コリンズとポラスは、ビジョナリー・カンパニーとはどのような企業である
かについて次のように書いています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ビジョナリー・カンパニーとはなんだろうか。ビジョンを持っている企業、
 未来志向の企業、先見的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間
 で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けた企業である。重要
 な点は、ビジョナリー・カンパニーが組織であることだ。
   ――ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著/前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 もう少し具体的に考えてみましょう。コリンズとポラスは、ビジョナリー・
カンパニーの要件というか、基準として次の6つを上げています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  1.業界で卓越した企業である
  2.見識のある経営者や企業幹部の間で、広く尊敬されている
  3.わたしたちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している
  4.最高経営責任者(CEO)が世代交代している
  5.当初の主力商品のライフ・サイクルを超えて繁栄している
  6.1950年以前に設立されている
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

●ビジョナリー・カンパニーは18社ある

 どのようにして、ビジョナリー・カンパニーを選ぶか――コリンズとポラス
は、それを各種企業グループの中から慎重に選び出したサンプル企業700社
のCEOにアンケート調査を行い、彼らに委ねることにしたのです。
 サンプルが幅広い業種にわたるようにするための作業を行い、200社を選
定し、それぞれのCEOに「ビジョナリー」と思われる企業を5社上げてもら
うよう依頼したのです。アンケート調査の回答率は23.5%、1件当たり平
均3.2社の企業名が集まったのです。
 この調査データをもとにCEOが上げた回数の多かった企業を選び出し、調
査を行い、そこから1950年以降に設立された企業を除いて最終的にビジョ
ナリー・カンパニー18社を選定したのです。
 続いてビジョナリー・カンパニーそれぞれに、設立時期がほぼ同じで、商品
や市場性が似ている企業を「比較対象企業」として選んだのです。この選定は
一定の基準を立てて入念に行われています。このようにして、18のビジョナ
リー・カンパニーと比較対象企業が次のように決定されたのです。次回からビ
ジョナリー・カンパニーの解明を進めていきます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
    ビジョナリー・カンパニー    比較対象企業
    3M ・・・・・・・・・・・・ ノートン
    アメリカン・エキスプレス ・・ ウェルズ・ファーゴ
    ボーイング ・・・・・・・・・ マクダネル・ダグラス
    シティコープ ・・・・・・・・ チェース・マンハッタン
    フォード ・・・・・・・・・・ GM
    GE ・・・・・・・・・・・・ ウェスチング・ハウス
    ヒューレッド・パッカード・・・ テキサス・インスツルメンツ
    IBM ・・・・・・・・・・・ バローズ
    ジョンソン&ジョンソン ・・・ ブリストル・マイヤーズ
    マリオット ・・・・・・・・・ ハワード・ジョンソン
    メルク ・・・・・・・・・・・ ファイザー
    モトローラ ・・・・・・・・・ ゼニス
    ノードストーム ・・・・・・・ メルビル
    プロクター&ギャンブル ・・・ コルゲート
    フィリップ・モリス ・・・・・ R・J・レイノルズ
    ソニー ・・・・・・・・・・・ ケンウッド
    ウォルマート ・・・・・・・・ エームズ
    ウォルト・ディズニー ・・・・ コロンビア
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
                                 以上

2008年05月19日

ビジョナリー・カンパニーを解明する/その2/0107号

●企業そのものが究極の作品である

 ビジョナリー・カンパニーというと、最初からすばらしいアイデアに基づく
明確なビジョンを持って設立された企業というイメージがありますが、まった
くそうではないのです。
 ヒューレッド・パッカード(以下、HP)の創業者の一人であるビル・ヒュー
レッドは、創業時(1938年)を次のように振り返っています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 たまに、ビジネス・スクールで講演する機会があるが、会社をはじめたとき
 に、なんの計画もなく、臨機応変になんでもやったというと、経営学の教授
 はあぜんとする。わたしたちは、カネになりそうなことは、なんでもやって
 みた。(一部略)たった約500ドルの資本金しかなかったから、だれかが自
 分たちにできそうだと考えたものは、なんでもやってみた。
     ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著/山岡洋一訳
         『ビジョナリー・カンパニー』/日経BP出版センター刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ヒューレッド・パッカードだけではないのです。ソニーもそうなのです。ソ
ニーの創業者井深大が1945年8月に会社を設立したとき、具体的な製品の
アイデアはなく、井深と7人の社員は、会社がはじまったあとで、どんな製品
を作るかについて数週間をかけて意見を交換しているのです。
 これに対してテキサス・インスツルメンツ(以下、TI)の創業者はHPと異
なり、最初からしっかりとした技術を持ち、的を絞ったビジネス機会をとらえ
ようとして会社を設立しています。ケンウッドの創業者は井深のソニーと違い
音響技術を専門とし、その分野のパイオニアでありたいとして、1946年に
会社を設立しています。
 TIにしてもケンウッドにしても、現在も存続しており、それだけでも成功
企業であることは間違いないのですが、HPやソニーに比べるとそのスケール
という点においては大きな差があり、それぞれビジョナリー・カンパニーと比
較対象企業に分かれているのです。
 それでは一体どこが違うのでしょうか。
 簡単にいうと、TIとケンウッドは企業というものを技術や製品やサービス
などの手段と考えているのに対し、HPやソニーは技術や製品やサービスを企
業の手段と考えている点にあります。つまり、HPやソニーにとっては企業そ
のものが究極の作品なのです。

●時を告げる予言者になるな、時計を作れ

 前回述べたコリンズとポラスによるビジョナリー・カンパニーの定義の中に
次のフレーズがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
   重要な点はビジョナリー・カンパニーが組織であることである
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 いつどんなときでも正確な日時を言える珍しい人がいたとします。この人物
は時を告げる驚くべき才能の持ち主であり、その才能によって多くの人の尊敬
を集めるはずです。しかし、その人が時を告げる代わりに時計を作ったとすれ
ば、その人がこの世を去った後でも後世の人に永遠に尊敬される存在になるは
ずである――「時を告げる予言者になるな、時計を作れ」――コリンズとポラ
スはこういっているのです。
 創業時にすばらしいアイデアを持っていたり、明確なビジョンを持つ人はカ
リスマ的指導者であり、これは「時を告げる予言者」に該当します。これに対
して、一人の指導者の時代をはるかに超えて、いくつもの商品のライフサイク
ルを超えて繁栄し続ける会社を築くのは「時計を作ること」なのです。
 コリンズとポラスによると、ビジョナリー・カンパニーの創業者は、概して
「時を告げる予言者」のタイプではなく、「時計を作る」タイプに属するとい
うのです。彼らにとって最も大切なことは、「時計を作る」ために会社を築く
ことなのです。
 ビジョナリー・カンパニーのGEとその比較対象企業であるウエスチングハ
ウスの例を取り上げます。ウエスチングハウスの創業者、ジョージ・ウエスチ
ングハウスは深い洞察力を持つすばらしいエンジニアであり、発明家であって
ウエスチングハウス以外にも59の会社を設立しているのです。彼の開発した
交流方式は米国市場に幅広く普及したのです。
 これと対照的にGEの創業者であるチャールズ・コフィンは、何も発明して
いないのですが、きわめて重要な革新を起こしています。アメリカ初の企業研
究所であるゼネラル・エレクトリック研究所の設立です。これによって、長い
年月にわたって次々と新しい製品が生み出されたのです。これぞ組織です。
 すなわち、ジョージ・ウエスチングハウスは時を告げ、チャールズ・コフィ
ンは時計を作ったのです。ウエスチングハウスの最高傑作は交流方式であり、
コフィンのそれはGEだったのです。
 ビジネス・スクールでは、経営戦略や起業に関する講義で、何よりもまず、
すばらしいアイデアと、綿密な製品・市場戦略を出発点とし、次に、「機会の
窓」が閉まる前に飛び込むことが大切であると教えるのですが、ビジョナリー
・カンパニーを築いた人はそうではなかったのです。         以上

2008年05月26日

ビジョナリー・カンパニーを解明する/その3/0108号

●会社設立の時点で経営理念を確立する――ソニーのケース

 1945年――ソニーは、東京・日本橋の空襲で焼け落ちた古いデパートの
ビルの中で、使われなくなった電話交換室を借り、7人の社員と19万円の貯
金で会社をスタートさせたのです。
 社長の井深大を中心に、まず何をなすべきなのか、現金収入を得ることか、
どんな事業を行うべきか、何回も議論が繰り返されたのです。このように生き
残るために必死になっていたとき、議論のかたわら社長の井深は何日もかけて
ソニーの設立趣意書を作り、のちに「ソニー・スピリット」といわれるように
なる経営理念をまとめ上げたのです。
 実は高い理想、すなわち経営理念を事業が成功したあとではなく、生き残る
ために必死になっていた時期に作成したビジョナリー・カンパニーは多いので
す。ソニーの経営理念について盛田昭夫は次のように語っています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ソニーは開拓者、その窓は、いつも未知の世界に向かって開かれている。人
 のやらない仕事、困難であるがために人が避けて通る仕事に、ソニーは果敢
 に取り組み、それを企業化していく。ここでは、新しい製品の開発とその生
 産・販売のすべてにわたって、創造的な活動が要求され、期待され、約束さ
 れている・・・。開拓者ソニーは、限りなく人を生かし、人を信じ、その能
 力を絶えず開拓して前進してゆくことを、ただひとつの生命としているので
 ある。 ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著/山岡洋一訳
         『ビジョナリー・カンパニー』/日経BP出版センター刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 井深大が会社の設立直後に掲げた理念は、ソニーが発展していく過程で指針
として重要な役割を果たしているのです。実際にその理念は、日本企業として
は珍しい個人主義の文化や分権的な制度、市場調査を拒否する製品開発姿勢な
ど、同社の特徴が明確にあらわれているといえます。
 ソニーが設立当初にどのような製品開発を行うかを議論しているまさにその
ときに既にこの理念があったので、顧客が何を望んでいるかを調査するのでは
なく、新製品を作ることによって消費者をリードするという方針で議論できた
のです。このようにして誕生したのが、日本初の磁気テープレコーダー(19
50年)であり、初のフルトランジスタ・ラジオ(1955年)なのです。

●経営理念に基づく新薬の無料配布の決断/メルクのケース

 「メルク」という企業をご存知でしょうか。
 1891年に設立された世界的な医薬品大手メーカーであり、ビジョナリー
・カンパニーのひとつとして選定されています。
 メルクも会社設立時に明確な経営理念があったのです。ジョージ・メルク二
世は次のように同社の理念を表現しています。
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 (われわれは)は、医学を進歩させ、人類に奉仕する理想を純粋に追求する
 業界で働いている。             ――ジョージ・メルク二世
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 それから55年後の1991年のことですが、3代あとの経営者であるP・
ロイ・バジェロスも次のように創業者と同じ理念を語っています。
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 当社の成功とは、病気に打ち勝ち、人類を助けることを意味する。この点を
 忘れてはならない。             ――P・ロイ・バジェロス
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 この経営理念がベースになって実行に移されたのが「糸状虫症」治療薬「メ
クチザン」の無料提供です。「糸状虫症」というのは、寄生虫が体内に入り込
み、最後には目を侵して失明する恐ろしい病気であり、第三世界――アジア、
アフリカ、ラテンアメリカなどの発展途上国において、百万人を超える人がか
かっていた病気です。
 「メクチザン」は糸状虫症を治療する新薬なのですが、患者はその薬を買え
ない貧しい人たちなのです。そこでメルクはメクチザンを必要とするすべての
人に無料で配布したのです。本当は新薬が完成すればどこかの政府機関が買い
上げてくれるだろうと期待していたのですが、その期待が外れたので、無料配
布を決めたのです。
 これについて、バジェロスCEOは、もし、われわれがこれをやらなかった
ら、メルクで働く科学者の士気が低下していただろうと語っています。そして
日本に関連して次のように述べているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 15年前、日本をはじめて訪れたとき、日本のビジネス関係者に、第二次世
 界大戦後、日本にストレプトマイシンを持ち込んだのはメルクで、その結果
 蔓延していた結核がなくなったと言われた。これは事実だ。当社はこれで利
 益をあげていない。しかし、今日、メルクが日本でアメリカ系製薬会社の最
 大手であるのは偶然ではない。長い目で見ると(こうした行為の)結果は、
 必ずしもはっきり表れないが、何らかの形で必ず報いられると思っている。
                     ――メルク/バジェロスCEO
――――――――――――――――――――――――――――――   以上

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