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このフォーラムは、異文化研修の教育機関(株)インテック・ジャパンの情報発信用です。
最新のニュースを毎週月曜日にお届けします。

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● 2008年07月 記事 ●

2008年07月07日

『本を読む本』が伝授する現代読書術/0114号

●古典『本を読む本』が売れている

 『週刊/東洋経済』6/21特大号では読書術を特集しています。この時期
に読書術とは・・といぶかる向きもあるとは思いますが、実は次の本がこのと
ころ非常に売れているのです。
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    M.J.アドラー/C.V.ドーレン著/外山滋比古・槇未知子訳
           『本を読む本』――講談社学術文庫/1299
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 この本は、講談社学術文庫に収められていることからもわかるように、19
40年に米国で出版され、世界各国で翻訳されて読み継がれてきているいわば
古典なのです。累計販売部数は約8万部ですが、その約半分がこの3?4か月
で売れたというのです。
 売れた原因は、話題の公認会計士の勝間和代氏が自著で紹介したことがきっ
かけで、若いビジネスパーソンが一気に読み始めたものと考えられます。今時
の若いビジネスパーソンは話題本には目がないようです。
 ところで『本を読む本』とは、どういう内容の本なのでしょうか。
 著者のアドラーとドーレンは、ともにエンサイクロペディア・ブリタニカの
編集長を経験しており、本を4つのレベルに分けて読む方法をわかりやすく説
明しています。4つのレベルの読書法とは次の通りです。
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    1.    初級読書――Elementary Reading
          ・小学校で学習する基本的な読み書きのこと
    2.    点検読書――Inspectional Reading
          ・短い限られた時間内で内容を把握すること
    3.    分析読書――Analytical Reading
          ・本全体について、分析的にじっくりと読む
    4.シントピカル読書――Syntopical Reading
          ・1つの主題を何冊もの本を関連づけて読む
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 「初級読書」で基礎を作り、「点検読書」で書店や図書館で本を選別し、自
らが興味のある本に絞って「分析読書」を行う――このレベルに達すると、読
み手は書き手の水準に到達できるといいます。そして、「シントピカル読書」
という最上級水準に達します。ひとつの主題について何冊もの本を比較読書し
客観理解をし、書かれていない主題をも発見するというレベルです。

●現代の情報収集にフィットする佐藤優式読書

 『週刊/東洋経済』6/21特大号では、6人の知的生産の達人の読書術が
披露されていますが、これら6人の達人の中にあって、アドラー/ドーレンの
『本を読む本』で説く読書術に一番近いのは、佐藤優氏の読書法です。
 興味深いことですが、佐藤氏は1930年出版の世界百科事典を毎日少しず
つ読んでいるというのです。なぜ、1930年代の百科事典なのかというと、
戦前の事典は絶対性が強いことに特徴があるからといっています。佐藤氏は百
科事典について次のように述べています。
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 百科事典とは英語に訳すと「エンサイクロペディア」、つまり、「円環をな
 す」という意味だ。優れた百科事典には、ある時点で切った「知の円環=体
 系」が載っている。ここがオンライン百科事典の「ウィキペディア」と異な
 るところである。      ――『週刊/東洋経済』6/21特大号より
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 佐藤氏が戦前の百科事典を読んでいるのは、戦前の百科事典の持つ「知の体
系」を身につけようとしているのです。既に述べたように、アドラー/ドーレ
ンは百科事典の編集者であり、読書法の考え方が似ていて当然と思われます。
 佐藤氏は読書を「熟読」「速読」「超速読」の3種類に分けていますが、中
心になるべきはあくまで「熟読」であるというのです。しかし、忙しいビジネ
スパーソンが熟読すべき本は限られるので、熟読できない本の概要を短時間で
理解したり、読むべき本を決めるために「速読」と「超速読」を駆使すること
になります。
 書店に行って本を探し、これはという本を見つけたら、「超速読」で読むか
どうかを決めるのです。ここでは購入した本の「速読」をご紹介します。
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 序文の1ページ目と目次を読んだら、以後はひたすら文字をできるだけ早く
 目で追う。重要な箇所は線を引き、ページ上に付箋を貼っていく。線を引い
 た部分はノートに書き写し、そこには簡単なコメントを書き込む。これは読
 了後、線を引いた部分に何が書いてあったかを忘れないための補強作業だ。
 一連の作業で記憶への定着は著しく向上する。     ――前掲雑誌より
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 佐藤氏は「速読」と「超速読」ができるためには基礎知識が必要であるとい
います。したがって、これらはアドラー/ドーレンの「初級読書」に該当し、
「速読」と「超速読」は「点検読書」、それに「熟読」は「分析読書」と「熟
読」の繰り返しは「シントピカル読書」に該当するのです。      以上

2008年07月14日

要人の携帯電話セキュリティの現状/0115号

●なぜ、日本の要人は一般の携帯電話を使うのか

 さきの通常国会開催中のときの話です。そのとき国会では年金問題の総括質
疑が行われていたのです。民主党の議員が質問に立ち、福田首相と升添厚労相
とのコミュニケーションについて質問したときのことです。
 「私と升添さんとはいつも緊密に連絡を取り合っていますよ」と福田首相は
答えながら、スーツから携帯電話を取り出し、今ここでかけてみましょうか」
といったのです。そのときNHKテレビは国会中継をしていたので、非常に多
くの人がそれを目撃したことになります。
 もうひとつこんな話があります。2008年3月5日早朝、首相官邸小ホー
ルで開かれた「地球温暖化問題に関する懇談会」の初会合の席上で、それは起
こったのです。
 そのとき小ホールには、福田首相をはじめ町村官房長官、座長の前財界総理
・奥田碩トヨタ自動車相談役らのメンバーが既に揃っており、会議は今まさに
始まろうとしてしたのです。
 そのとき、「ちょっと失礼」といって、福田首相がスーツから携帯電話を取
り出し、「もしもし、福田です」と話しながら、席を外して部屋の外に出て、
誰かとなにやら話し込んだのです。
 普通のビジネスパーソンであればそういうことはよくあることですが、一国
の首相が人前で携帯電話を使うことは明らかに異様です。洞爺湖サミットは終
わったばかりですが、サミットに出席するような国のトップが携帯電話を使っ
ているのあなたは見たことがあるでしょうか。米国のブッシュ大統領が携帯電
話を使っている映像を見たことがあるでしょうか。
 おそらくないと思います。なぜなら、そういうことを警備の人が絶対にさせ
ないからでいす。どうしてでしょうか。危険だからです。ちなみに、米国では
大統領、副大統領、全閣僚、議会幹部、軍幹部は携帯電話は使っていますが、
すべて盗聴防止特殊モジュール搭載の携帯電話であり、その携帯電話でも機密
情報は話さないということが徹底されているからです。まして人前で携帯電話
を使うことなど論外です。
 しかるに日本の要人の携帯電話はどうなっているでしょうか。
 現在、福田首相の携帯電話はNTTドコモの市販の携帯電話ですし、町村官
房長官、官房副長官たちも一般の携帯電話なのです。盗聴防止特殊モジュール
搭載の携帯電話を持っているのは高村外相だけであり、それも外国首脳との電
話や機密情報のやり取りのさいしか使っていないのです。外相も一般の携帯電
話を持っており、普段はそれを使っているということです。
 昨今は「セキュリティ」ということがうるさくいわれますが、会話などが盗
聴されると国益にかかわる国の要人たちの一般携帯電話使用――なぜ、このよ
うな事態が起こっているのでしょうか。日本の国のセキュリティはどうなって
いるのでしょうか。

●ケータイへの依存度が高い福田政権

 『週刊ポスト』/7月18号に、次のような記事が出ています。宰相の携帯
電話使用は安倍政権のときからはじまったといわれています。
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 かつて安倍政権の政府高官らは通常電話でホワイトハウスに電話していた。
 それに対して、ライス国務長官が不快感を示し、日米首脳の盗聴防止付きの
 直通専用回線ができたという経緯がある。複数の情報部門の関係者によると
 政治家が盗聴の対象になっているのは周知の事実で、それは当然に役人たち
 も知っていることだという。ところが、政治家が無警戒なのをいいことに、
 その状況を情報収集に利用しているというのだ。
             ――『週刊ポスト』/2008年7月18号より
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 小泉政権の5年半では、小泉元首相自身が携帯電話をプライベートでも持た
なかったので、要人の携帯電話使用は話題にもならなかったのですが、安倍政
権になると事情は一変したのです。
 安倍前首相は、主として携帯電話で連絡を取っており、とくに親しい塩崎官
房長官(当時)などとは携帯電話だけでなく、携帯メールでも頻繁にやり取り
していたので、それが他の閣僚たちへと広がっていったのです。
 それが福田政権になると官邸の携帯電話使用は当たり前になったのです。福
田首相はあらゆる機会に携帯電話片手にしゃべっており、もはや携帯電話は福
田首相の唯一最大のブレーンと化しているようです。町村官房長官などは「日
に2?3回は総理とケータイで話している」と公言しているほどです。
 あまり知られていないことですが、福田首相はかなり前から携帯電話を使っ
ているのです。福田首相が小泉政権の官房長官のときにケータイへの迷惑メー
ルの件でキャリアの社長を官邸に呼び、事情を聞いているのです。そのとき、
福田官房長官(当時)は「ケータイ・メールは受信者にも料金がかかると聞い
ているが、そのために迷惑メール対策が遅れているのではないか」といったと
いうのです。キャリアの社長たちは福田氏が携帯電話に並々ならぬ関心を持っ
ていることに驚いたというのです。
 どうして、要人は携帯電話の利用に慎重であるべきでしょうか。これについ
ては、次回軍事専門家の江端謙介氏の意見を中心に解説します。    以上

2008年07月22日

要人の携帯電話利用には3つの危険がある/0116号

●政府要人の携帯電話は“傍受”されている

 携帯電話は使う側から考えると非常に便利な通信手段であるが、情報社会に
おけるテロ攻撃という見地からはきわめて脆弱な通信インフラである――こう
いうのは、著名な軍事評論家の江畑謙介氏です。
 携帯電話は電波を使うことによる移動の自由が身上ですが、江畑氏によると
電波にはいくつかの弱点があり、それによる携帯電話の問題点を3つ指摘して
いるのです。
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           1.電波は傍受されやすい
           2.現在位置が特定される
           3.電波妨害を受けやすい
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 第1の問題点は「電波は傍受されやすい」ことです。
 外に電波を放出する以上、電波は傍受されやすいのです。一般生活において
も携帯電話や室内コードレスフォンの電波が傍受され、いたずらや個人攻撃に
悪用される問題点が多く発生しています。
 そういう携帯電話を首相をはじめ政府の要人が使うことには大きな問題があ
るのです。元警察庁国際部長の大貫啓行・麗澤大学教授は電話傍受の危険性に
ついて次のように指摘しています。
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 (携帯電話での)会話はすべて傍受されているはずで、当然、安全保障上の
 問題はあります。だから福田首相は、米国をはじめ通信傍受能力を有してい
 る先進情報諸国から首相官邸、携帯電話、自宅の電話などを傍受されている
 という前提で行動しなければなりません。
             ――『週刊ポスト』/2008年7月18号より
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 傍受を防ぐ方法がないわけではないと江畑氏はいいます。携帯電話に暗号化
装置を付けるとか、スクランブル機能といって別の信号を混ぜて発信する機能
を付ける方法があり、官邸にはそういう携帯電話が用意されています。
 しかし、相手方の携帯電話にもその暗号を解読したり、スクランブルを解除
できる機能がなければならないので、特定の相手としか通信できないのです。
福田首相をはじめ政府要人はこれを嫌って、一般の携帯電話を使っているもの
と思われます。

●現在の位置を特定される危険

 第2の問題点は「現在位置が特定される」ことです。
 首相や政府の要人が携帯電話を使うことの危険性は、その要人が現在いる位
置が特定されてしまうことです。とくに首相や政府の要人にとって現在位置が
特定されると、戦争ではマイクロウェーブ兵器などによる攻撃を受ける可能性
もあり、安全保障上好ましいことではないのです。
 どうして携帯電話を使うと現在位置がわかってしまうのかについて、江畑謙
介氏は、次のように説明しています。
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 携帯電話のスイッチを入れると、しばらくして感度表示が出るが、あれは携
 帯電話が一番近い中継局(通信基地局)との間で自動的に交信を行い、この
 持ち主の(この番号の)電話が今ここに居るということを、電話中継局のコ
 ンピュータに教えているのである。           ――江畑謙介著
      『情報テロ/サイバースペースという戦場』より 日経BP社刊
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 どのぐらいの精度で特定されるかは、通信基地局の密度によって異なってき
ます。最近では通信基地局の数が増加したことと、その精度が非常に向上して
いるので、かなり狭い範囲内に相手を特定できるのです。
 それに加えて、首相や政府要人は、移動において秘書や警護の人が周りを取
り巻いていますが、それらの人の持つ携帯電話からでも容易に現在位置が特定
できるのです。江畑氏は要人の携帯電話使用の危険性については次のようにコ
メントしています。
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 要人は常に自分の、あるいは自分の秘書、副官、ないしは常に行動を共にす
 る人物が持つ携帯電話の番号を他に知られないようにせねばならないし、状
 況が緊迫したような場合には、一般的な携帯電話の使用は止めて、特別な回
 線を使った専用通信手段に限定する必要がある。     ――江畑謙介著
      『情報テロ/サイバースペースという戦場』より 日経BP社刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 第3の問題点は「電波妨害を受けやすい」ことです。
 携帯電話は電波を使うがゆえに電波妨害に弱いのです。携帯電話の電波はき
わめて微弱なものであり、簡単にして低コストで妨害ができるのです。したが
って、特定の場所で携帯電話が使えないようにすることなどは容易なのです。
 ということは、戦争を含めた緊急事態では携帯電話は真っ先に妨害されるこ
とを考えておくべきです。いずれにせよ、首相や政府要人は一般の携帯電話の
利用は控える見識を持つべきです。                 以上

2008年07月28日

超巨大小売業IKEA成功の秘訣を探る/その1/0117号

●「IKEA/イケア」の由来を知る

 「IKEA/イケア」をご存知でしょうか。
 「IKEA」は、スウェーデンの大手家具店で、2006年4月に日本に進
出し、目下大ブレーク中です。この「IKEA」という企業の凄さは、銀行か
らお金を借りず、株式市場に上場して資金を調達することもせず、もっぱら、
自分の稼いだお金だけで、グローバル企業にのし上がったことにあります。
 「IKEA」については、2007年に次の書籍が発売され、この世界一の
企業が編み出す「儲けの秘密」を明らかにしています。そこで、「インテック
・フォーラム」では、何回かに分けて「IKEA」の成功の秘訣を探ってみた
いと思います。
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           リュディガー・ユングブルート著/瀬野文教訳
  『IKEA/超巨大小売業、成功の秘訣』 日本経済新聞出版社刊
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 「IKEA」――イケアというネーミングの由来は何でしょうか。
 「IKEA」の4文字は、次の言葉の頭文字なのです。この文字の中に「I
KEA」のルーツがあります。
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    IKEA = Ingvar Kamprad Elmtaryd Agunnaryd
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 「Ingvar Kamprad」というのは、イングヴァル・カンプラード――「IKE
A」の創業者の名前です。「Elmtaryd Agunnaryd」――アグナリッド村のエル
ムタリッド、これは南スウェーデンの辺鄙な農場の名前であり、「IKEA」
の創業者イングヴァル・カンプラードが少年時代に家族とともに暮らしていた
場所なのです。
 日本語のカタカナ表記は「イケア」、ドイツやオランダも同じ「イケア」で
すが、アメリカやオーストラリアなどでは「アイキア」となります。中国では
「宣家家居」というのです。

●「IKEA/イケア」を創業する

 「IKEA」の原点は、17歳のイングヴァル少年が北欧最大の港町ヨーテ
ボリで、最初に設立した会社にあります。ヨーテボリは、ボルボ、SKF(ス
ゥエーデン・ボールベアリング工場)、ハッセルブラッドといった有名な企業
が拠点を構えるスウェーデン経済の重要な中心地なのです。
 イングヴァル少年は、ヨーテボリで高等商業学校に入学して、商売の勉強を
しながら、商売をやろうと考えていたのです。これについて、前掲書では次の
ように書いてあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 高等商業学校でイングヴァル・カンプラードははじめて理論を学んだが、そ
 れらはすでに何年も前から実地で覚えたことばかりだった。若き経営者イン
 グヴァルにとってもっとも興味深かったのは、教授たちが論ずる販売の問題
 だった。つまり、「どうやったら、最短距離で工場から顧客に商品をとどけ
 ることができるか?」、「一番有利な仕入れ値で商品を購入できるのはどこ
 か」といった問題だった。
            ――リュディガー・ユングブルート著/瀬野文教訳
     『IKEA/超巨大小売業、成功の秘訣』 日本経済新聞出版社刊
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 カンプラードは学校の図書館で経済新聞からスウェーデンの取引相手を探し
ている外国の会社に目をつけると、そこに手紙を書いて商品を取り寄せて販売
をはじめたのです。学校でそれが一番手っ取り早い商売であると教わったから
です。ベルトや紙入れや万年筆や時計――なんでも扱ったのです。
 彼は列車に乗って、南スウェーデン中をまわり、土地のタバコ屋やおもちゃ
屋などを一軒ずつ訪問して、商品を売り込んでいったのです。そんなに簡単に
売れるはずはなかったのですが、彼は頑張り抜いて少なくとも仕入れた商品は
売り捌くことに成功したのです。こういう地道な営業努力を通じて、カンプラ
ードは商売というもののコツを掴んでいったのです。
 こうしているうちに、カンプラードは小さな広告を新聞に載せるようになっ
たのです。これが少しずつ成果を挙げるようになり、それが営業の効率化に役
立つことを知ったのです。
 1947年にカンプラードは兵役に服さねばならなくなります。しかし、彼
は少しずつ軌道に乗りつつある商売をやめたくなかったので、上官と掛け合っ
て、夜間は兵舎にいなくてもいいという許可をもらい、ある一軒家の地下室に
事務所を設けたのです。
 連隊の同僚たちは、一日の勤務が終わると、みんな居酒屋に出かけたのです
が、彼は事務所にこもって商売に没頭したのです。当時の「IKEA」の品目
は、裁縫道具、ナイロンストッキング、グリーティングカード、種物、万年筆
紙入れといったところだったのです。新聞に広告を出して注文を取る単純なビ
ジネスモデルだったのですが、商売は面白いようにうまくいったのです。
 兵役が終わると、カンプラードは両親のいるエルムタリッドに戻り、腰を落
ち着けて商売の展開を始めます。                  以上

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