『本を読む本』が伝授する現代読書術/0114号
●古典『本を読む本』が売れている
『週刊/東洋経済』6/21特大号では読書術を特集しています。この時期
に読書術とは・・といぶかる向きもあるとは思いますが、実は次の本がこのと
ころ非常に売れているのです。
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M.J.アドラー/C.V.ドーレン著/外山滋比古・槇未知子訳
『本を読む本』――講談社学術文庫/1299
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この本は、講談社学術文庫に収められていることからもわかるように、19
40年に米国で出版され、世界各国で翻訳されて読み継がれてきているいわば
古典なのです。累計販売部数は約8万部ですが、その約半分がこの3?4か月
で売れたというのです。
売れた原因は、話題の公認会計士の勝間和代氏が自著で紹介したことがきっ
かけで、若いビジネスパーソンが一気に読み始めたものと考えられます。今時
の若いビジネスパーソンは話題本には目がないようです。
ところで『本を読む本』とは、どういう内容の本なのでしょうか。
著者のアドラーとドーレンは、ともにエンサイクロペディア・ブリタニカの
編集長を経験しており、本を4つのレベルに分けて読む方法をわかりやすく説
明しています。4つのレベルの読書法とは次の通りです。
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1. 初級読書――Elementary Reading
・小学校で学習する基本的な読み書きのこと
2. 点検読書――Inspectional Reading
・短い限られた時間内で内容を把握すること
3. 分析読書――Analytical Reading
・本全体について、分析的にじっくりと読む
4.シントピカル読書――Syntopical Reading
・1つの主題を何冊もの本を関連づけて読む
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「初級読書」で基礎を作り、「点検読書」で書店や図書館で本を選別し、自
らが興味のある本に絞って「分析読書」を行う――このレベルに達すると、読
み手は書き手の水準に到達できるといいます。そして、「シントピカル読書」
という最上級水準に達します。ひとつの主題について何冊もの本を比較読書し
客観理解をし、書かれていない主題をも発見するというレベルです。
●現代の情報収集にフィットする佐藤優式読書
『週刊/東洋経済』6/21特大号では、6人の知的生産の達人の読書術が
披露されていますが、これら6人の達人の中にあって、アドラー/ドーレンの
『本を読む本』で説く読書術に一番近いのは、佐藤優氏の読書法です。
興味深いことですが、佐藤氏は1930年出版の世界百科事典を毎日少しず
つ読んでいるというのです。なぜ、1930年代の百科事典なのかというと、
戦前の事典は絶対性が強いことに特徴があるからといっています。佐藤氏は百
科事典について次のように述べています。
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百科事典とは英語に訳すと「エンサイクロペディア」、つまり、「円環をな
す」という意味だ。優れた百科事典には、ある時点で切った「知の円環=体
系」が載っている。ここがオンライン百科事典の「ウィキペディア」と異な
るところである。 ――『週刊/東洋経済』6/21特大号より
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佐藤氏が戦前の百科事典を読んでいるのは、戦前の百科事典の持つ「知の体
系」を身につけようとしているのです。既に述べたように、アドラー/ドーレ
ンは百科事典の編集者であり、読書法の考え方が似ていて当然と思われます。
佐藤氏は読書を「熟読」「速読」「超速読」の3種類に分けていますが、中
心になるべきはあくまで「熟読」であるというのです。しかし、忙しいビジネ
スパーソンが熟読すべき本は限られるので、熟読できない本の概要を短時間で
理解したり、読むべき本を決めるために「速読」と「超速読」を駆使すること
になります。
書店に行って本を探し、これはという本を見つけたら、「超速読」で読むか
どうかを決めるのです。ここでは購入した本の「速読」をご紹介します。
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序文の1ページ目と目次を読んだら、以後はひたすら文字をできるだけ早く
目で追う。重要な箇所は線を引き、ページ上に付箋を貼っていく。線を引い
た部分はノートに書き写し、そこには簡単なコメントを書き込む。これは読
了後、線を引いた部分に何が書いてあったかを忘れないための補強作業だ。
一連の作業で記憶への定着は著しく向上する。 ――前掲雑誌より
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佐藤氏は「速読」と「超速読」ができるためには基礎知識が必要であるとい
います。したがって、これらはアドラー/ドーレンの「初級読書」に該当し、
「速読」と「超速読」は「点検読書」、それに「熟読」は「分析読書」と「熟
読」の繰り返しは「シントピカル読書」に該当するのです。 以上
