超巨大小売業IKEA成功の秘訣を探る/その4/0120号
●社会主義国ポーランドとの提携で納入業者不足を解決
1960年の話です。その頃IKEAは家具の注文は増えているのに、生産
にネックがあって商品の補充が追いつかないという悩みを抱えていたのです。
そのネックとは、IKEAの商法に反発するスウェーデン国内の家具メーカー
の多くが、IKEAとの取引に応じてくれなかったことです。
結論からいうと、カンプラードはこのネックを当時社会主義国のポーランド
と提携することによって乗り切ったのです。そのきっかけは、カンプラードが
新聞でポーランドの貿易相がスウェーデンにやってくるという記事を読んでひ
らめいたことなのです。
カンプラードは、ポーランドの貿易相に手紙を書き、自分の会社を紹介し、
ポーランドの家具メーカーと提携する用意があることを伝えたのです。数ヶ月
後やっとポーランドからワルシャワで話がしたいという趣旨の招待状が届いた
のです。1961年1月、カンプラードはポーランドを訪問したのです。
ポーランドとの交渉は曲折があったものの成功し、IKEAはポーランドと
長期契約を結ぶことに成功したのです。これによってIKEAは、品不足を心
配することなく、商品を満載したカタログによって注文を受けることができた
のです。さらに何よりもIKEAにとってプラスだったことは、スウェーデン
の家具業者が絶対に追いつくことができない価格優位を実現したことです。
カンプラードの伝記作者のバッティル・トーレクルは、スウェーデンの業界
が行ったIKEAに対するボイコット攻撃について次のように述べています。
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エルムフルトの成り上がり者を邪魔してやろうという試みは、皮肉なことに
かえってその成り上がり者をさらに強くしてしまった。
――リュディガー・ユングブルート著/瀬野文教訳
『IKEA/超巨大小売業、成功の秘訣』 日本経済新聞出版社刊
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●低価格に高品質が加わったIKEAの家具
ポーランドとの提携で納入業者不足を解消したカンプラードは、さらなる飛
躍を求めて、スウェーデンの首都ストックホルムに進出する計画を立てます。
カンプラードが敷地として選んだのは、ストックホルム郊外の広大な土地であ
り、家具店の利用面積は、約4万6000平方メートルの広さだったのです。
ここにニューヨークにある円形のグッゲンハイム・ミュージアムを模した家具
店を建設したのです。これは家具店としてはかつてない広さだったのです。
このビルの建設にはエルムフルト1号店の30倍もの資金がかかったといわ
れますが、IKEAはそれをすべて現金で支払ったのです。IKEAはその時
点でそのぐらい儲かっていたのです。
オープンは1965年6月のことです。初日だけで実に1万8000人のお
客がストックホルム南西の新しい家具店を訪れたのです。IKEAのストック
ホルム進出が大成功を収めたのは、次の2つの幸運が後押ししたためです。
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1.一流インテリア雑誌の家具の商品テストに合格
2.ストックホルムの住宅政策にフィットしたこと
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IKEAのストックホルム店がまだ建設中のときのことです。スウェーデン
の有名なインテリア雑誌「くつろぎ百科」が、大々的な家具の商品テストを行
い、IKEAの家具と老舗の有名家具メーカーの製品の比較を行ったのです。
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IKEAの商品が安いことは、当時スウェーデンの国内ではよく知れ渡って
いたから、値段については想像の範囲であった。だが品質テストの結果には
誰もあっとおどろいた。専門家が公平に審査したところ、なんとライバル社
の製品よりもIKEAの製品の方が高品質だったのです。品質テストで勝利
を得たのは、ポーランドで製作されたIKEAのチェアで、比較対照された
他社の一番高価なチェアのわずか4分の1の値段で、しかも耐久テストにも
壊れることなく合格したのです。
――リュディガー・ユングブルート著/瀬野文教訳
『IKEA/超巨大小売業、成功の秘訣』 日本経済新聞出版社刊
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IKEAの家具は安かろう悪かろうであると思われていた時期に、この「く
つろぎ百科」の商品テストはIKEAにとって絶好の追い風となったのです。
家具業界は激しく反発したものの、テストの結果には異議をはさむ余地はなく
業界の完敗だったのです。
そこで、業界は戦法を変えて、IKEAの家具のデザイン性の貧弱さを攻撃
したのです。しかし、これについてはそのときスウェーデン政府が進めていた
住宅政策がIKEAに味方したのです。
当時のスウェーデンの国民にとって住宅選択の余地は少なく、住宅は不足し
ていたのです。そこで国としては効率の良い集合住宅に力を入れており、都市
郊外に団地が急ピッチで建設されていたのです。IKEAの家具はこういう住
宅にぴったりであり、価格も安く、それに品質も良いということで、スウェー
デンの国民に受け入れられたのです。 以上
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