ENGLISH

2012年02月20日

「名画から選んだ美しい英語」(62)

  〜きみが月の光のなかでも本物かどうか知りたい〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
 アメリカのある田舎町で幼ななじみとして一緒に育ったアラン(クリフ・ロ
バートソン)がマッジ(キム・ノバック)に思いを打ち明けます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

ALAN: I want to find out if you  「ぼくはきみが月の光のなかでも
   look real in the moonlight.  本物かどうか知りたい」
MADGE:Alan! Don't say that!    「アラン、そんなこと言わないで!」
ALAN: Why?            「なぜ?」
MADGE:Because I'm real, all right.「だって、私、本物だもの」
ALAN: It doesn't matter whether  「きみが本物かどうか問題じゃないよ。
   you are or not. You're the  きみは、ぼくがこれまで見たものの
   most beautiful thing I ever  うちで最も美しい」    
   saw.                  
            ――「ピクニック」(Picnic 1955年)
                監督:ジョシュア・ローガン 
                脚本:ダニエル・タラダッシュ
                戯曲:ウィリアム・インジ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・ if you look real = あなたが本物かどうか

 何でも美しく見える月の光の中で、ふだんでも美しいものを見たらどんなに
美しいことだろう、と相手の美しさをたたえる言葉。しかし、恋を打ち明けら
れたからといっても、うまく行くとはかぎりません。マッジはアランを頼って
やってきた友だちに恋し、彼と一緒にその町を去って行きます。

                            (原島 一男)
原島一男著「店員さんの英会話ハンドブック」(ベレ出版)好評発売中
映画「ピクニック」

2012年01月23日

「名画から選んだ美しい英語」(61)

  〜かざらないし、ナンセンスじゃない〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
 1930年代からクラリネット奏者として一世を風靡したベニイ・グッドマ
ン。家族がガールフレンドのアリス(ドナ・リード)のことをうわさしている
会話。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

HARRY: She's nice, isn't she. mum?「お母さん、彼女はステキだね」
MOTHER:Nice. Who's nice?     「ステキだって、誰が?」
HARRY: Alice!           「アリスのことさ」
MOTHER:Oh, yes. She's fine    「そうね。上流の娘にしては、
    for a high society girl.   いい感じね。
    No frills... No-nonsense... かざらないし、ナンセンスじゃない。
    Just like anybody else.   どこにでもいる人のよう」
                     
  ――「ベニイグッドマン物語」(The Benny Goodman Story 1955年)
                 監督/脚本 ヴァレンタイン・デイビス

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・No frills. No-nonsense.
   =「ごてごてしたものがついていない。ナンセンスでない」
   →「かざらないセンスがいい」。
・no-nonsense =「現実的な/厳しい」という意味もある
・just like 〜 = She is just like 〜 =「彼女は〜のようです」

 母親にとっては、上流階級に対する特別な意識があるのでしょう。「上流の
娘にしては、いい感じ」と言っています。
                            (原島 一男)

※原島一男著「店員さんの英会話ハンドブック」(ベレ出版)好評発売中

映画「ベニイグッドマン物語」

2011年11月28日

「名画から選んだ美しい英語」(60)

  〜ケイからとてもステキな話を聞いておりますのよ〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
アメリカの中流家庭で平和な暮らしを営む父親スタンリー(スペンサー・トレ
イシイ)は、一人娘のケイ(エリザベス・テイラー)から突然「結婚したい」
という話を持ち出されます。母親エリー(ジョーン・ベネット)は素直に喜び
ますが、父親としては釈然としない中、相手の男性バクスリイ(ドン・テイラ
ー)が訪ねてきます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ELLIE: Kay's been telling us      「ケイからとてもステキな話を
    some very exciting news.     聞いておりますのよ」
BANKS: That's fine.          「結構ですな」
BUCKLEY:Oh, I hope you don't mind.   「あの、賛成していただければ」
ELLIE: Oh, no, indeed. We're delighted.「もちろんですわよ。喜んでおり
    Aren't we? Stanley.        ます。ねえ、スタンリー。すば
    It's wonderful, so exciting,   らしいですわ。ステキですわ。
    well, that is... you might say,  ロマンスが生まれるなんて。
    right in our midst. Isn't it,   何ていっても、そうでしょう?
    Stanley? ...           スタンリー?」
BANKS: Hm? Oh, yes...         「え? そうだね」
BUCKLEY:I'm afraid it was a little   「少し唐突な話でして、
    sudden but... I couldn't...    ただ、まあ,私も、、、」

      ――「花嫁の父」(Father of the Bride 1950年) 
         監督:ヴィンセント・ミネリ  
         脚本:フランセス・グッドリッチ/アルバート・ハケット
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 娘の結婚の相手が、自宅へ訪ねて来たときの父親と母親の心のうちが見えま
す。双方とも言葉を慎重に選んでいる様子が観察できます。
・Kay's been telling us some very exciting news.
 =「ケイからとてもステキな話を聞いています」(経過をあらわす現在完了
   進行形)
・I hope you don't mind. 
 =「さしつかえないことを望みます」→「賛成していただければ」
・Aren't we?=Aren't we delighted? 「私たちは喜んでいますわね」
・you might say... =「まあ、言ってみれば」→ 「何ていっても」
                            (原島 一男)

映画「花嫁の父」

2011年10月31日

「名画から選んだ美しい英語」(59)

  〜私、離婚しようとしているの〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
スイスのスキー場モン・ダルボワ。映画は「シャレード」で、レジーナ(オー
ドリー・ヘプバーン)とピーター(ケーリー・グラント)が出会います。シャ
レードとは、パントマイムのジェスチャーから隠された言葉を当てるゲームの
こと。その名前のように変化に富んだトリックに充ちあふれた会話運びが楽し
めます。これは自己紹介のあとの会話。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 PETER:  Is there a Mr. Lambert?       「ご主人は?」

 REGGIE: Yes.                 「います」

 PETER:  Good for you!            「それはよかった!」

 REGGIE: No, it isn't. I'm getting a divorce. 「よくないの。私、離婚
                         しようとしているの」

 PETER:  Please... Not on my account.     「どうぞ。ぼくのせいで
                         はないですね」

        ――「シャレード」(Charade 1963年) 
                      監督:スタンリー・ドーネン
                      脚本:ピーター・ストーン
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 “Is there a Mr. Lambert?”と“Mr. Lambert”に“a”をつけて 「ランパ
ート氏という人は?」、つまり「結婚していますか?」と聞いています。オー
ドリーが「はい」と答えると、グラントが「それはよかった!」という。それ
を受けて、オードリーは “No, it isn't.”「いいえ、よくないの」と応え、
“I'm getting a divorce.”「離婚しようとしているの」と言っています。こ
こで、現在進行形を使っているのは‘今後の予定’を表しているからです。そ
こで、グラントは「ぼくのせいではないですね」と言うのですが、まさか、オ
ードリーがグラントに会って離婚を決めたわけではありませんよね。
                            (原島 一男)

映画「シャレード」

2011年10月03日

「名画から選んだ美しい英語」(58)

  〜何も聞かないって言ったでしょ〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
 ドイツ軍がパリへ攻め入り、第2次大戦の戦火が広がった1940年代。フ
ランス領モロッコの首都カサブランカはアメリカへ亡命する人々の寄港地でし
た。クラブの経営者リック(ハンフリー・ボガード)は、かっての恋人イルザ
(イングリッド・バーグマン)と再会します。二人の会話。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 RICK: Who are you really?      「きみは本当は誰なんだ?
     And what were you before?    前は何だったの?
     What did you do and what did you think? 何をしていて、
                         何を考えていたの?」

 ILSA: We said“no questions.”   「何も聞かないって言ったでしょ」

 RICK: Here's looking at you, kid. 「きみの瞳に乾杯」

 ――「カサブランカ」(Casablanca 1942年) 
                  監督: マイケル・カーテイス 
                  脚本:ジュリアス・J・エプスタイン
                     フィリップ・G・エプスタイン
                     ハワード・コッチ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 “No questions.” と “Here's looking at you.” は、「カサブランカ」
で最も知られているセリフ。昔のことには‘こだわらないこと’を
“No questions” という言葉で表しています。
 英語は現在と過去の区別が日本語に比べてはるかに厳密です。“Who are
you really?”と “Here's looking at you.”は現在形で、ほかはすべて過去
形。過去のことはすべて忘れたとしても、今の時点の(あなたは本当はどんな
人ですか?)と(あなたはすばらしい人です)と自分の気持ちを伝える、意味
のある言葉です。
 “Here's looking at you.” は “Here's to 〜”(〜に乾杯)の変型。 
“kid”(子供) は相手に対する愛称。
                            (原島 一男)

映画「カサブランカ」

2011年09月05日

「名画から選んだ美しい英語」(57)

  〜決心したら、連絡をくれ。どこでも、いつでも会おう〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
 第二次大戦後、米英仏ソによる四分割統治下にあったオーストリアの首都ウ
イーン。旧友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)の招きで、カナダから到
着した小説家ホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)は、意外な事実を発
見します。事故死したはずのハリーは、生存しており、偽ペニシリンの密売に
手を染めています。ハリーはホリーに仲間になるよう誘います。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 HARRY: When you make up your mind, send me a message. I'll meet you
     any place, any time. And when we do meet, old man, it's you
     I want to see, not the police. Remember that, won't you?...

   「決心したら、連絡をくれ。どこでも、いつでも会おう。でもな、会う
    ときには、会いたいのは君だ。警察ではないぞ。覚えておいてくれ」

             ――「第三の男」(The Third Man 1949年) 
                     製作・監督:キャロル・リード 
                     脚本:グレアム・グリーン

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

・When you make up your mind 「決心したら」 → 「気持ちが決まったら」
・send me a message 「私にメッセージを送れ」→ 「連絡してくれ」
・when we do meet の do は強調の do。
・old man =「なあ、君」と親しい人への呼び掛け。

 昔なじみのホリーに何とか仲間になって欲しい、というハリーの気持ちと焦
りが伝わってきます。ホリーは、親友への情、悪との対決、そして、ハリーの
恋人だった美しいアンナ(アリダ・ヴァリ)への思慕の中で、むずかしい選択
を迫られます。
                            (原島 一男)

映画『第三の男』

2011年08月08日

「名画から選んだ美しい英語」(56)

  〜あなたは紳士じゃないわ〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
アメリカ南部の自信満々でわがままな女性スカーレット・オハラ(ヴィヴィア
ン・リー)が、南北戦争を生き延びます。スカーレットが、初めてレット・バ
トラー(クラーク・ゲーブル)に出会ったときの会話です。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

     SCARLETT: Sir, you are no gentleman.
     RHETT:   And you, Miss, are no lady.

          「あなたは紳士じゃないわ」
          「うん、あなたも、淑女じゃない」

       ――「風と共に去りぬ」(Gone with the Wind 1939年) 
                   監督:ヴィクター・フレミング 
                   脚本:シドニー・ハワード 
                   原作:マーガレット・ミッチェル

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 想いを寄せるアシュレーに愛を打ち明けているときに偶然近くに居合わせて
いたレットに気づき、スカーレットが声を掛けるシーンです。
 この会話のおもしろさは、“Sir”と“Miss”の使い方。“Sir”は男性への
呼びかけで、“Miss”は女性への呼びかけ。相手に尊敬の念を持って接すると
きの言葉です。しかも、“You're not a gentleman.”と言わないで、 “You
are no gentleman.”と言い、相手も、“You, Miss, are not a lady.” の代
りに、“And you, Miss, are no lady.”と言っています。
 ちょっと乱暴で上品さに欠けてはいても、何か魅力のある言葉。これはクラ
ーク・ゲーブルとヴィヴィアン・リーだからこそ、その良さが生きるのでしょ
うね。
                            (原島 一男)

映画『風と共に去りぬ』

2011年07月11日

「英語1秒フレーズを覚える」

 「曲がりなりでもいいから、英語を話してみたい」という方々へ朗報です。
これまで、私たちは英語国民と同じように英語を話そう、と教えられて来まし
た。しかし、時代は変わりました。今、ノン・ネイティブ・スピーカー、つま
り、英語が母国語でない人同士のコミュニケーションの道具として、‘1秒フ
レーズ’を覚えることをお勧めします。そのあとで、標準英語にしていけばい
いのです。‘1秒フレーズ’の数は全部で50程度です。 
 これで、日常生活の90%をカバーできますし、ビジネス交渉やメールにも
使えます。

 例えば、1秒フレーズと標準英語を比べてみると、

  * Very kind. → That's very kind of you.
  * Name?    → What's your name, please?
  * Sorry.   → I'm sorry about that. / I'm sorry I'm late.

                          ・・・となります。

 言うまでもなく、単語だけの会話には問題はあります。目上の人や初対面の
人に話すと、失礼に当たることもあります。しかし、そうだとしても、‘1秒
フレーズ’は‘とにかく相手に自分の考えを伝える’という意味で大いに存在
価値はあるといえましょう。

 ※ 公開講座「美しい英語で話そう」
   2011年8月と12月を除く毎月第二木曜日夜7時から9時まで日本
   記者クラブ(東京内幸町)で開いています。参加ご希望の方はこちら
   りどうぞ。

                            (原島 一男)

講座風景写真

2011年06月13日

「名画から選んだ美しい英語」(55)

  〜僕が上院議員になったら、結婚するのはジャッキーだな。
   マリリンではない〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。 
 カラフルなブランド製品と趣味のいい服装をするエル・ウッズ(リース・ウ
ィザースプーン)の夢は、政治家志望の恋人ワーナー(マシュー・デイビス)
との結婚です。ところが、デートのとき「プロポーズされる」と信じているエ
ルに、ワーナーは「別れよう」と言うのです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

  ELLE:  You're breaking up with me? I thought you were proposing.
  WARNER: Proposing? Elle. If I'm gonna be a senator, well, I need
      to marry a Jackie. Not a Marilyn.

      「私と別れるの? プロポーズしてくれると思ってたのに」
      「プロポーズだって? エル、僕が上院議員になったら、
       結婚するのはジャッキーだな。マリリンではない」

      ――「キューティ・ブロンド」(Legally Blonde 2001年)
         監督:ロバート・ルケティック 
         脚本:カレン・マックラー・ラッツ&キルステン・スミス

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

・break up with 〜 = 〜と別れる

 プロポーズしてくれると思っていたエルは驚きを隠せません。ワーナーは、
上院議員の妻になるような人はマリリン・モンローではなく、ジャッキー・ケ
ネディだと説明します。“a Jackie/a Marilyn”と “a ”が付いているのは
「ジャッキー/マリリンという人」という意味。      (原島 一男)

映画『キューテイブロンド』

2011年05月16日

「名画から選んだ美しい英語」(54)

  〜お帰りいただければ、幸いですけど〜

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。 
伝統と発展の狭間に揺れる20世紀末のニューヨーク。母親から受け継いだ小
さな書店を経営するキャスリーン(メグ・ライアン)と大型書店を開店するジ
ョー(トム・ハンクス)。自宅へ訪ねてきたジョーに向かって、キャスリーン
が玄関のインターフォンでこう言います。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 KATHLEEN: ... I have a terrible cold. I'm sniffling, and I'm not
      really awake... I have a temperature. And I think I'm
      contagious. So I would really appreciate it if you would
      just go away.  
 
      「私、ひどい風邪をひいています。鼻をすすっていて、起きられ
       ませんし、熱があります。うつるかもしれません。お帰りいた
       だければ、幸いですけど」

      ――「ユー・ガット・メール」(You've Got Mail 1998年)
                 監督・製作・脚本:ノラ・エフロン 
                       脚本:デリア・エフロン

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 人が風邪をひいている状態をうまく説明しています。
・sniffle = 鼻でかぎまわる → 鼻をすする sniffer dog
                       (麻薬などを探す犬)
・contagious = 風邪などの病気がうつりやすいこと
・I would appreciate it if you would〜=「〜していただければ幸いです」
 現実の事実と反対のことを過去形で言う仮定法過去を使った丁寧な、相手に
対する依頼の言葉です。これは手紙に書く文章としても使うことができます。
                            (原島 一男)

映画『ユーガットメール』