旧正月
KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明
日本では年始回りに忙しい1月。この時期、韓国の日本人駐在員や出張者は
何とも微妙なモヤモヤ感におそわれます。理由は新正月と旧正月の狭間です。
前回もご案内した通り、韓国では1月1日の新正月より旧正月(今年は1月
23日)を祝う風潮があります。そのため新正月から旧正月のこの期間は、日
本的に言えば「年始回り」の時期にもかかわらず、韓国では年末のご挨拶回り
の時期でもあるからです。
韓国人同士の挨拶はストレートに「よいお年をお迎えください」で済むので
すが、相手が日本人となると先方も気を使って、冒頭「新年おめでとうござい
ます」でスタートし、帰りがけには「よいお年をお迎えください」となり、何
とも不思議な感覚になるのです。
旧正月は1月20日ごろから2月20日ごろまでの間で毎年変動します。こ
のためモヤモヤ期間は年によって3週間から最大7週間ほどになります。今年
は1月23日なので最短の3週間ですが、それでもこの3週間はモヤモヤの連
続なのです。
不思議なことに韓国では、旧正月と秋夕(お盆)の「2大名節」だけは旧暦
で祝い、その他の祝日は新暦で祝います。旧正月は家族が一堂に会して1年の
幸福を祈念し、秋夕は墓参で先祖と共に1年の収穫を祝う。まさに農耕民族ゆ
えの季節感あふれる思い入れの深い祝日といえます。事実、いずれも前後合わ
せて3日間が国民の祝日になっていますが、これはあくまで表向きで、実際は
故郷に帰る民族の大移動があり、「旧正月ウィーク」「秋夕ウィーク」といっ
て都市部では1週間くらい仕事にならないというのが実情です。事実、今年も
1月20日の金曜日午後から民族の大移動が始まり、各地の高速道路は深夜ま
で帰省するマイカーで大渋滞だったそうです。
しかしその一方で、最近の旧正月が一時に比べて様変わりしたことも否めま
せん。その昔、1980年代の旧正月をソウルで過ごしたことがありますが、
当時はソウル市内のほとんどの店がシャッターを下ろし、まるでゴーストタウ
ンのような寒々しい光景だったことを覚えています。ところが最近の韓国は、
田舎を持たない都市生活者や核家族化が増えたせいでしょうか?いつもと変わ
らず店を開ける商店や海外旅行に出かける家族連れが増えるなど、旧正月の風
景も大きく変化してきました。今年の旧正月も厳しい冷え込みにはなったもの
の大型スーパーは平常通りの営業で、ゴーストタウンとは程遠いものでした。
ところで韓国語で「あけましておめでとう」は、「セヘ・ポク・マニパドゥ
セヨ!」(福をたくさん受けてください)。旧正月を迎えた今、今度こそすっ
きりと「みなさん!セヘ・ポク・マニパドゥセヨ!」。



